リメイク版で刺激され、原作含め再読しました。
原作は高橋留美子の漫画で1978年39号 – 1987年8号
少年サンデ-連載 全34巻全366話。
高橋留美子はその後SFから遠ざかり伝記漫画に傾倒していく、残念。
原作の非日常を押井監督が更に加速した。
波乱万丈、奇想天外、何でも有りで面白いのは勿論。
視聴後、様々な事を考えさせてくれる。
当たり外れは当然有るが、超高レベルの作品群でした。
あたるがいて、ラムがいて、しのぶがいる。
この三角関係に面堂終太郎が絡み、テンちゃんが絡み、
弁天・おユキ・ランが絡み、サクラ先生とチェリーがと
登場人物が増えてゆく。
諸星 あたる
本作品の主人公で、東京・友引町にある友引高校の2年4組の生徒。極度の女好きでガールハントを趣味とする。
ラム
本作品のヒロインで、鬼族の宇宙人。鬼族の地球侵略時にあたるに惚れて、彼の家で暮らし始める。
面堂 終太郎
友引高校へ転入してきたあたるのライバル。強大な財力と軍事力を持つ面堂財閥の跡取り息子でルックスもよく、女子生徒から人気である。
三宅 しのぶ
あたるの幼なじみ。かつてはあたると恋人関係にあった。あたるを振ってからは転入してきた面堂終太郎に執心するようになる。とてつもない怪力の持ち主でもある。
藤波 竜之介
物語中盤頃より転入生として登場。父親と浜茶屋「海が好き」を営んでいたが、その浜茶屋が壊れてしまったため、再建費用を稼ぐために親子で友引高校の購買部で働くようになる。女性だが、父親に男として育てられる
メガネ
強烈な個性を持ったラム親衛隊の最高幹部会議長
ラムの注意を引く(ゲットする)ための作戦を指示する役。
原作では殆ど登場しないがアニメでは大活躍する。
声優「千葉茂」の長科白は迫力満点。
錯乱坊
本名不明の遊行僧。僧侶の名前が「さくらんぼう」で、チェリーと呼ばれることが多い。サクラは姪になる
サクラ
錯乱坊の姪で巫女 霊能力者。
スタイル抜群の美人であり、友引高校の養護教諭も兼職している。
底なしの大食いでもある。
以下、印象深かった作品を取り上げます。
第26話 地獄のフルコース 原作5巻9話
ここはハワイ、リゾートホテル「フルコースがタダだよ~!」
タダの言葉に引かれたあたる。店のマネージャーが誰一人として完食した人はいないと言っているのに挑んでしまう。
最後まで残ったサクラは食材を食い尽くし、なけなしの牛の丸焼きまでペロリ。(サクラのお腹が膨れない、胃で圧縮しているのか)
ラストシーンは、
あれ程食べたのに夕飯は中華がよいと言うサクラさんに皆がおののいて終わる。原作の重すぎて水に沈むが方が不条理で良かったと感じた。
視聴後何も残らないが愉快痛快で許容。
第55話 ドッキリ図書館お静かに! 原作8巻10話
図書館で 本の世界のバランスが崩れ謎のお姉さんがやってきて本の整理を。
あたる達も手伝い始めます。謎のお姉さんに嫉妬したラムが
移動式書庫であたるを潰そうとする
本はぐちゃぐちゃに混じって、本格的に本棚の中からいろいろな物が出現。
スターウォーズ、ウルトラマン、ガメラ、バルタン星人、スーパーマンに
スパイダーマン、なんでもありです。
皆で懸命に本を整理します。
本も片付き、謎のお姉さんとはお別れ。
謎のお姉さんは、本の中でも図書館の腕章をつけたままなピ-タ-パンの
ウェンディでした。
ファンタジー 癒されました。
第76話 決死の亜空間アルバイト 原作13巻8話
まず、「つげ義春」を彷彿とさせる描写、表現が出てきます。
前半 ラムちゃんにあしゅら湯を勧められ、木戸くぐって阿修羅湯を探して右往左往。不条理。
後半 セクシ-女湯でのセクシーショットの数々。特に弁天…。
結局ジャリテンの魚雷が命中してあたるは浴槽の底に沈み、
最後はとおりゃんせでエンド。
「若さゆえ 銭の重みに 浮かばれず 湯船の底で 流す瀬(背)もなし」
前半の不条理がたまりません。作品に奥行きが出てきます。
後半は入浴シーンで視聴者サービス。しかし銭湯で戦闘とは。
第86話 竜之介登場!海が好き!! 原作15巻1話
竜之介の父は浜茶屋三代目。
前半、原作通りに長い鎖で浜茶屋の柱に結ばれて戦います。
鎖引っ張ると柱が折れて建物瓦解。
後半では竜之介転校。大八車登場。家財道具投げ合って大八車まで破壊。
愉快痛快、ストレス解消に役立ちます。
第100話 ダーリンが死んじゃう!? 原作16巻 5話
あたるがランちゃんを見つけて後を追い、落としたケーキを食べて卒倒。
ラムは押し入れの中から脳波計と心電図を取りだしてセット。異次元空間へ。
ランちゃんまであと一歩の所であたるの脳波計はフラットに。
ダーリンが死んだ!とラムちゃん本気で泣く。
元気になったあたるを見て喜ぶラム。
ラムの健気ささに脱帽。
第101話 みじめ!愛とさすらいの母!? オリジナル
視聴者に話しかけるあたるの母親の場面から始まります。
母親のセリフ「昨日なかったことが今日あるはずもなく、今日起きなかったことが明日起きるはずもございません。ただ、ただ時折、ふと何かの拍子に、この胸をかすめるのでございます。けして不満ではなく、娘時代の漠としたあこがれでもございません。なにかしら懐かしいようなあてどない想い・・」
次の場面でバーゲンセールの会場で主婦たちと争い、
フライングニ―パッドを受けて失神する母親。
病室で目覚め医者の説明が続く。
あたるの母が目覚めるたびに別の夢の中に目覚めるスト-リ-で
不条理感満載。
最後に廃ビルの中で、目覚めるあたるの母。街は廃墟と化していた。
宇宙人の襲来(敵(チェリー)とトライポッド)を迎え撃って戦うあたるの母。
巨大な爆発が起こり、敵も味方もすべてが吹き飛んでしまう。
ラスト不条理なまま、かごめかごめでエンディングになる。
少女が顔を伏せて,しゃがんでいて周りをまわっているのは今までの登場人物。
「うしろのしょうめん だあれ」で
少女が振り返ると、次の瞬間、少女とあたるの母が入れ替わります。
まあ押井ワ-ルド全開、神回でした。
第104話 あぁまぶたの母 原作 17巻 8話
竜之介の父が語る過去の思い出は「大陸に渡り15年戦争が」
「朝廷の計画に基づき、夕陽のイスカンダル星へ移民開始」とか、「移民船タイタニック号、氷海にて沈没」とか、「チリ大地震発生」とかと無茶苦茶。
父が追いすがる。必死で逃げる竜之介。壁を走り天井を走る。
寝ぼけた竜之介の父と竜之介の追いかけっこが抱腹絶倒。
「竜之介の父が語る過去の思い出」出鱈目ですが、ニヤリとさせられます。
遊び心満点。
第108話 惑星教師CAO-2の復讐 原作 18巻1話
CAO-2は教師として活躍しています。ラムちゃん達の妨害にあっても全くめげない。500tの重りにもミサイル攻撃にもびくともせず、電撃でショートしてもいつの間にか復帰しています。
ウニ星に長年閉じこめられていても、一回バフンと黒板消しアタックをしただけで恨み解消させてしまうというすっきりした性格。これに対して、「ここで負けたらうちら負け犬だっちゃ!」と短絡的思考で反撃を企図するラムちゃん。
教師を閉じ込めた罪悪は公式には問われなかった。
宇宙人の倫理観は不可解。
第113話 レディー竜之介! 原作15巻 3話-6話
今作の温泉マークは濃い絵!竜之介を女らしく、と個人教授をやる事になった温泉。
泊まり込みで教育してはどうかと校長に水を向けられるも、女生徒と教師じゃまずいと固辞。
ところが校長、竜之介の父に「男なんですよね?」「男です」と言わせ、ならば問題ないと話をまとめてしまう。
二人は特訓を続け、遂に最終段階へ。プロレスを見に行って暴れなければOKという最終試験です。
耐えろ藤波!と温泉マークの説得も虚しく、沸いて出てきたいつもの面々が竜之介をあおり立てる。
「衣装は女の命だっちゃ!」「戦うっちゃ!」おーおー、みんなそろって主戦論者主戦論者。
某映画へのオマ-ジュ? 強引にバトルへ。しかし面白かったので許容。
第114話 ドキュメント・ミス友引は誰だ!? 原作18巻 7話
校長は燃えていた。誰がいちばんかなぁ・・ということで。早速ミス友引予選会のお知らせが掲示された。
原作の腕力による武闘を政治劇に変えてしまった。
利害関係が色々複雑に絡み合い、次第に制御不能な規模に陥っていく。
ラムにはメガネ達が応援、しのぶもラムに対して火花をちらす。ランはかたっぱしからデートの約束をし、竜之介には下級生の女子がついていた。
後に闇の七日間と言われる予選の前哨戦の火蓋をきったのである。
前半はこの4組だけだった。しかし、週の半ばで情勢は変わる。
かくれしのぶ派と3年女子の反竜之介派の女子が手を組み、1年女子の切り崩しに入る。竜之介派は切り崩されるが、ファンの男子のバックアップが入る。
ラム、ランを押していた1年男子は自分の未来に不安を感じ、双子姉妹を擁立。ラム、ラン派は結託して双子派の切り崩しにかかる。週後半には戦いは醜く、泥沼の体を示していた。
学校側は校長の大英断で予選を1日早め、諸星あたるをその委員長に任命した。あたるは予選の結果を発表する。サクラ、しのぶ、ラム、ラン、竜之介の5人がノミネートされた。
本選は一週間後、戦いは一段落したかに見えたが、そうではなかった。
えり抜きの美女集団「ばらのつぼみ」は、4校のナンバーワンが集う集会だが、この微妙なバランスに友引高校が入れば、バランス関係の崩壊は時間の問題だ。
さっそく各校のナンバーワンも動きを開始する。それぞれが候補者を押し、委員長のあたるへ賄賂を提示する。それをことごとく受け取るあたるだった。
しかし、サクラの陣営は一歩出遅れた。そのことを商店街にリークするあたる。サクラには猫食堂がバックアップについた。
そうすると、各グループはこぞって商店街とタイアップを始めたのである。今やミス友引の戦いは、街全体に広がっていた。
そして、いよいよ当日がやってきた。
なんと、あたるが会場の入場料とリベートを持って逃亡したのだ。
「大坂のねえちゃんは、みんなわしのもんじゃあ!」と叫びながら東北新幹線に乗るあたる、会場は大混乱のうちに第1回ミス友引は終了した。
最後のオチは笑ってしまいました。
あたるの責任問題はどうなったのか?パラレルワールドの出来事と納得しましょう。
第122話 必殺!立ち食いウォーズ!! オリジナル
「立喰いそばはかけに始まりかけに終わる。
具の少なきは更なり。
つまるところ具は女の化粧と同じ。
究極的には外道だ。
麺を引き立てる彩りに過ぎん。
あくまでも本質は麺。
真の立喰いそばの哲学に置いては天そばでも邪道と云える。」
冒頭の薀蓄はTV版『うる星やつら』第122話「必殺!立ち食いウォーズ!!」でのメガネの講釈です
延々と喰い続け、遂には主人が根負けし全ての勘定をただにする「居残り派」
特定の店を喰い潰す「クラッシャー派」
巧みな話術で情に訴える「演技派」
何のかんのと難癖をつけて店から店を渡り歩く「さすらい派」
食い物の暗黒面に惹かれ海を渡ってしまった「帝国派」
様々な立喰師が出ます。
最後はもちろん、さくらの勝利で幕。
これも遊び心、満点。
第130話 異次元空間話 ダーリンはどこだっちゃ!? オリジナル
押井うる星からやまざきうる星へと変わった第一回目の作品。
129話「死闘!あたるvs面堂軍団!!」が押井版の集大成として最終回の気風を備えていたように、130話はやまざき版の初回として作品の理念が表明された。
ラムがあたるに鬼ごっこで勝利した世界・ラムの夫が面堂である世界・登場人物の性別の設定が逆である世界・あたるがラムに優しい世界(自分のあたるじゃないと気づき「バイバイ」と言って去る)を遍歴した後、「本物みたい」な世界に到達する。そこはかつていた世界と同一である保証は無いものの、「ま、いっか。」で済む程度の違和感しかない世界であった。
これにより、時系列以外の矛盾も全て正当化された。121話「ラムちゃんがいっぱい!」等の収拾のつかない終わり方をした話も、平行世界の一つにおける事件として正当化する事が可能になった。
優しいあたるの世界をラムは選ばなかった!
最後は、あたるの腕に抱きついて「いやがらないっちゃ?ま、いいか!」と、同一性に若干の不安を残したまま思考停止でハッピーエンド。
本当に同じ世界なんでしょうか。余韻を残した神回でした。