ブックレビュー

 
『名誉のかけら』

ロイス・マクマスター・ビジョルド著

小木曽絢子訳、1997/10/24刊
浅田隆画
ISBN4-488-69806-9 C0197

 

創元SF文庫 700円 L・M・ビジョルド女史の処女作。
粗筋:
 ベータ星の探査艇の女性艦長コーデリアは、新たに発見した惑星に上陸して探査中に部下を殺され、取り残されてしまう。更に見知らぬ男に襲われ、捕虜になってしまう。その男はヴォルコシガンと名乗り、なんとバラヤー軍の艦長だというのだ。
 だが彼も、部下の反乱にあってこの惑星上に取り残されてしまったというのだ。
 その男の知っている秘密の貯蔵庫にたどり着くためにやむなく協力することになったのだが・・・
  毎回違った趣向で楽しませてくれるビジョルド女史。
 今回は、マイルズ・ヴォルコシガン・ネイスミスの両親の出会いの物語ヽ(^o^)丿
 または、敵同士だった二人がなぜ結ばれたかの物語(^^)v
 
『戦士志願』

ロイス・マクマスター・ビジョルド著

小木曽絢子訳、1991/1/30刊
浅田隆画
ISBN4-488-69801-8 C0197


 

創元SF文庫 728円
粗筋:
 惑星バラヤーの有力貴族の息子として生を受けた17歳のマイルズ。だが彼は母親が妊娠中に毒ガス攻撃を受けたために、身体的ハンディキャップを持ちながら育ち、今また帝国軍士官学校の入試に臨んでいた。しかし自らの不注意と
ハンデのために試験に失敗してしまう。
 その傷を癒そうと、母親の母星ベータにやってきたマイルズは、そこでオンボロ貨物船に立てこもるジャンプ・パイロットを雇う羽目になってしまう。
 そしてそれが、マイルズの大宇宙に乗り出すきっかけになろうとは・・・
  いやなんとも上手いですね。この長編とか「無限の境界」もそうですが、徒手空拳で危地に乗り込み、持ち前の度胸と機転と度量でなんとか勝利をものにするというパターン。誰かに似ていると思っていたら、エリック・フランク・ラッセル氏のユーモアSFのパターンじゃないでしょうか。特に「宇宙のウィリーズ」あたりの。
 この本を読んでいるあなたは、まさにマイルズを呼吸するという幸福な状態に陥ることができること請け合いです。
 
『ヴォル・ゲーム』

ロイス・マクマスター・ビジョルド著

小木曽絢子訳、1996/10/25刊
浅田隆画
ISBN4-488-69805-0 C0197


 

創元SF文庫 854円 '91年度ヒューゴー賞受賞作品!
粗筋:
 身体的ハンディキャップにも関わらず、どうにか士官学校を卒業したマイルズ少尉。配属先はどこかと胸を高鳴らせるが、なんと極寒の孤島の気象観測基地!
 いままでさんざん問題を起こしてきたマイルズが、この任地で六ヶ月間うまくやっていくことができれば、最新鋭の宇宙艦への転属要求を認可するのも吝かでないとのこと。
 覚悟を決めたマイルズ少尉が乗り込んでみると、そこは・・・・
(ま、行くところ常に波乱が巻き起こる我らがマイルズ少尉=ネイスミス提督^^;)
 最近気が付いたんですけど、このシリーズは時代劇で言うと「暴れん坊将軍」とかの範疇かしら? :-)
 
『無限の境界』

ロイス・マクマスター・ビジョルド著

小木曽絢子訳、1994/7/15刊
浅田隆画
ISBN4-488-69804-2 C0197

 

 

創元SF文庫 728円 ヴォルコシガンが主人公の中編集
ヒューゴー賞/ネビュラ賞のダブルクラウンに輝く中編を含んだ傑作。
内容:
 敵の捕虜収容所惑星からの一万人の大脱走劇を描く「無限の境界」は、ヒューゴー・ネビュラ両賞受賞\(^o^)/
 『親愛なるクローン』の前日談です。

 「迷宮」は『自由軌道』に出てきた四本手のクァディーも出てくる遺伝子工学が主題のちょっといい話。

 「喪の山」はまだ因習に縛られる山村を舞台にした、人間性とは何かに踏み込む好中編です。

 ちょっと考えさせる冒険活劇がお好きな方には大推薦ヽ(^^)丿
 お話し作りの巧さには定評があるロイス女史ですから。
 
『親愛なるクローン』

ロイス・マクマスター・ビジョルド著

小木曽絢子訳、1993/12/24刊
浅田隆画
ISBN4-488-69803-4 C0197

 

 

創元SF文庫 728円
粗筋:
 ある時は辺境惑星の一中尉、またある時は極秘任務についた傭兵部隊の提督。二重生活を送るマイルズは、作戦は成功したものの、敵に追われ地球まで逃げてくる。しかし部下の尻ぬぐいで人助けをしたところを運悪くTVレポーターに捕まってしまい、正体がばれそうになる。とっさに「あの傭兵提督は、私の非合法のクローンなのだ」とでっち上げる。しかしこれが嘘から出た真となろうとは、お釈迦様でもご存じあるめえ:-)
 女ハインラインとまで呼ばれる作者の「戦士志願」に続く第二弾。
まあ筋立てはしっかりしてて、楽しく読めましたが、絶頂期のハインラインの域にはまだ達していないかな。
 特に主人公のマイルズの性格付けがうまいですよね。名門の出だが望まれなかった出生と、身体的ハンディキャップを背負った頭脳明晰な若者てのがヽ(^^)丿
[雀部]
48歳、歯科医、SF者、ハードSF研所員
ホームページは、http://www.sasabe.com

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