てっちりてっちり、と鳴き声がする。
空を見上げると、有傘フグが飛んでいた。
「今日はいけないよ、風が強いから」
私が叫ぶと、フグは膨れっ面に。わざと傘を開いたり閉じたりしながら旋回してみせる。
不安的中、フグが大きなくしゃみをした。キンキンキラキラと地上に舞い落ちる金粉。
フグ傘の胞子である。
アレルギー体質の私はクシャン。
あっちでもクシャン、こっちでもクシャン。
「ひどいじゃないの」
くしゃみと涙の合間に抗議したが、
「太陽が眩しくて」
フグは慌てふためきながら言い訳をし、去っていった。
風によってあらゆる場所にまかれた胞子は、たちまち毒茸となった。
困ったものである。
(了)