Shintaro Takasugi

 川原に古いロボットがうずくまっていて、雑草に覆われた鉄くずみたいだけど、晴れた日にはギーコギーコと体をきしませるんだ。
「電池をくれないかな」
 ロボットが顔を上げると草のしずくが錆びた胴体に落ちた。
「知ってるよ、君の犬のことさ。かわいそうに…でも心配しないで。会えるんだ。そう、私が犬に会わせてあげる。連れていってあげる。だから、電池を持ってきてくれないか」
 丸い目が冷たく光っている。僕は怖くなって走って家に帰った。
 どうしてこんなことになったのか分からない。でもとにかくこの夏、僕は乳母車にロボットを乗せて出発した。

(了)


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