ピエロの夜

とくだまり

 凍てついた雲に腰掛け、ピエロが細長い月をくるくると玩んでいた。オーロラに気をとられ、つい手を滑らせた。月はブンブン飛んでいき、子供の目にささった。子供は痛くて泣き出した。涙が氷となって、ぼろぼろ地面に零れ落ちた。母親はダイヤモンドだと勘違いし、狂喜した。背中を丸めて拾い集める。子供はずっと泣いている。ピエロはひとりおろおろとハンカチを噛んでいる。やがて母親は我に返った。血走った目でピエロを振り返 り、どなった。だましたわね!

(了)


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