DVDレビュー:「冷遇されてもすごいもんはすごいんじゃあ!」

こないだ、正月だったのに、早や3月。

梅の花から、桜の季節。
受験中の学生さんたちには、満開の桜が咲きますように!

さて、今月、ご紹介する「地域コード1」のDVDは、2つ。
いずれも、規模の大きくない映画館でひっそりと上映されている冷遇され
ているとすら思える作品たち。ビジネスとして成立しづらい傾向の映画と
評価されているようですが、なんのなんの!おもしろいんです、これが!

では、まず、「天下一品」鳴り物入りの評判とりながら、いろんなことが
ありまして「単なるSFアクション映画になってしまった!」と評論家の
センセ方に「メッタギリ」にされてしまった作品から(苦笑)

「Supernova」

-Region 1 encoding (US and Canada only)
-Color, Closed-captioned, Widescreen, Dolby, HiFi Sound,
Surround Sound, Digital Sound
-20 minutes of Deleted Footage including an alternate ending
-Never-before-seen R rated version
-Full-screen and widescreen anamorphic formats


トマス・リー監督・・・って誰?
じゃあ、アラン・スミシー監督ならいかが?
そうなんです。諸般の事情から監督の実名を出せない場合にハリウッドが
考えだした窮余の一策が「アラン・スミシー」なる架空の監督名。
ところが、昨今、この名前が氾濫してきて、またまた考え出されたのが、
「トマス・リー」。

なんでこんなことになったんでしょうねえ。
巨匠ウォルター・ヒルが撮り、コッポラまでが編集で関与しながら、結局、
放りだしてしまった、とんでもない映画。

SFXだって凄いメンバーなんですよ。
デジタル・ドメイン、マーク・ステットソン、なんていう知ってる人なら、
名前だけで見にいきたくなる!さらに、アメリカ・ゴジラをデザインした、
あのタトプロスさんまで、視覚効果でクレジットされてます。

では、見てみますかい?

・・・見ました(笑)

面白いじゃないですか!
なんで、そんなに否定するんかなあ?

「モズのメッタギリ」、あんまり切ってないやんか?との感想もある昨今
ではありますが(笑)、ふふふ、ホントに「ぶったきり」たいのは、配給
会社さんとか、評論家のセンセ方(ニヒルな笑)--あんた方、今回は切らぬわ!

たしかに、宇宙でのSFアクション映画、んでもってハッピーエンド。

でもね、TVで見るだけで充分なチープなSFXホラー映画を乱発してる
どこかの国の映画なんかより、はるかにセンスありますし、面白い!

コッポラなんて名前が出てくるもんだから、話がややこしくなってしまい、
これがなければ、そこそこの映画館でかかってたかもしんない。ちょっと、
逆説的に過ぎるかな?(笑)

ストーリー、さらっとお話しますと、
「ナイチンゲール」なんて人をくった名前の宇宙船が航行中に救難信号を
受け、救助に赴きますな。で、一人の生き残りが助け出される。ここから
、 俄然、トーンが変わってきまして・・・あとはご覧になってのお楽しみ。
      *         *         *
DVDは両面仕様になっていて、ノートリミングのシネスコサイズが片面に、
4:3のTVフォーマットが裏面に収録されています。オマケ映像はどちらの
面にも同じ内容で入っています。面白いのは、単純に画面構成を比較できない
こと。従来、TVサイズに焼き直す場合は、シネスコ画面を左右にパンしたり
電子的にスキャンさせたりしてたんですが、10数年ばかり前、具体的には、
「トップガン」あたりから「スーパー35」と呼ばれるフィルムを使い、
4:3で撮っておいて編集段階でマスク処理でシネスコにする手法が確立され、
70ミリなどのカネのかかるフィルムがどんどんすたれていきました。

昨今では、同じ考え方で撮影された素材をデジタル編集でノートリ、TVサイズ
両方に最も適した構成ができるよう、1本の4:3元素材を縦横無尽に使用して
画面づくりがなされています。

したがって、この作品も、シネスコ・ノートリだから撮影されたすべてが見える、
のではなくて、トリミングされてるハズのTV版のほうが上下の黒みに隠されて
いた映像が見えて情報量が多い場合だってあるんです。

おヒマでしたら、両方、ご覧になれば一興かと(笑)

あ、マスキングで、シネスコ化する手法は何十年も前からやってます。しかし、
超微粒子フィルムの開発が、さらなるトリミングの可能性を発展させた、と
お考えくださいね。

ぶれてきましたんで軌道修正します。

で、それなりに楽しめた本編。
オマケ映像を見てガクゼン!としました。
全13シーン、約20分におよぶ「Deleted Scene(カットされたシーン)」、
これが大問題!
特にエンディング。
アンハッピーエンンディングの嫌いな私ですが、この作品だけは、こちらのほうが
はるかに希有壮大にしてダイナミック! これを見ると、本来、超大作にするハズ
だったことが容易に想像できますし、異なるイントロからしてトーンが違うんで、
ヒマにまかせて編集してみようか?と思わせるほどの「高濃度」なシーンが多いの
です。DVDならではの思わせぶりいっぱいなオマケであります。

これ、コッポラ編集版、ヒル監修版、とかリリースされたら・・・買います!(爆)

惜しいよなあ。なんでこないなことになったんかいなあ。

あ、そうそう、STARGATEに主演していた、ジェームス・スペイダーくんが、
かなりイメチェンして好演してます。ルー・ダイアモンド・フィリップスはんも、
まんまの「どスケベおやじ」を地で演じてます(言い過ぎかなあ?笑)

でも、これ、ご家族でご覧になるのはおすすめいたしかねます。
だって、おやじウヒヒもんの「無重力ナニシーン」が何度も何度も(爆)
「さよならジュピター」の頃とは雲泥の差! え?なにがって?
いや、そのなんです、該当シーンのリアル感、ああ、イカン、誤解を招く!
なんつうか、無重力感のSFX処理がナチュラルになった!と・・・

ぼけつほりそうなんで、本作は、ここいらで(汗)

追記:「プラズマ・アクレレーション」と呼ばれる、ある種のワープ航法が
出てきます。艦長がこれでトラブルが起き、とんでもないことになっちまう
んですが、そのヴィジュアル・イメージを担当したのが、タトプロスさん!
ファンなんす、この人の。

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