『雨に叫べば』『グッドバイ、バッドマガジンズ』

『雨に叫べば』2021年11月公開、内田英治監督作品
往年の名女優のヌードシーンと若手アイドルタレント起用が話題の新作映画の監督に抜擢された女性が、苦労しつつも映画道を貫く話。かたくなに女性の監督を認めようとしない、ものすごく前時代的な映画スタッフの描き方が面白い。内田監督のインタビューを読むと、この映画は『蒲田行進曲』へのオマージュらしい。なるほどなあ。階段落ちに相当するシーンが、「濡れ場」にあたるのか。もろもろがそれで納得(笑)もちろん映画のタイトルは、雨の中で歌って踊るあの名作ミュージカルです。

『グッドバイ、バッドマガジンズ』2022年10月公開、横山翔一監督作品
 憧れの出版社に就職したヒロインが配属されたのは、男性向け成人雑誌の編集部だった。しかも、長らくの出版不況に加え、東京五輪開催による外国からの観客増加に備えてコンビニから成人雑誌が撤去されるという苦境の中、彼女の奮闘は続く。成人雑誌を編集・出版するというお仕事がどんなにブラックだったかよく分かる事実に基づいたフィクションです。

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『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』『地獄の花園』『前田建設ファンタジー営業部』

『前田建設ファンタジー営業部』2020年1月公開、英勉監督作品
独断と偏見のお薦め度☆☆☆
第36回(2005年)星雲賞ノンフィクション部門受賞。
実際にあったゼネコンのファンタジー営業部に基づいたフィクション。『マジンガーZ』格納庫建設がテーマ。
設計の仕様とか工期・費用など、そこらあたりは極めて真面目に作られてます。そことマジンガーZの格納庫建設というギャップが見所(笑)

『地獄の花園』2021年5月公開、関和亮監督作品
独断と偏見のお薦め度☆☆☆1/2
OLたちの華やかな職場の裏で、壮絶な派閥争い(喧嘩バトル)がおこなわれていた!
脚本のバカリズムさんとは波長が合うというか、笑いに徹したバカさ加減が素敵です。どんどん強いキャラが出てきたり、思いもかけない人が実は……とか、まあ実にアホらしい設定と展開ですがそこが良いのです(笑)

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』2022年10月公開、竹林亮監督作品
独断と偏見のお薦め度☆☆☆
弱小広告代理店で働く社員達が、あることから地獄の一週間がタイムループしていることに気がつく。原因が部長にあると判断した社員たちに、このタイムループは解消できるのか!
タイムループものというと、アニメ「ハルヒ」のエピソードとうる星の「ビューティフル・ドリーマー」の夏休みネタをまず思いつきますが、これは納期に追われた地獄の一週間がループするという(笑)

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『レッド・グラビティ』『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』2018年3月公開、リュック・ベッソン監督作品
独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆1/2
《スターウォーズ》のネタ元ではないかと言われるフランスのSFコミックが原作。主人公コンビは美男美女、スタイリッシュでかつアクション満載で面白いという。フランスのSFコミックが原作で映画化されたというと、オールドファンには『バーバレラ』がまず思い浮かぶと思います。ロジェ・バディム監督とジェーン・フォンダの良さが満載の楽しくてエロい映画でしたが、本作も面白かったです。言うなら、映画《TAXi》シリーズの宇宙版かな。SF映画ファンなら、見るべき!(笑)

『レッド・グラビティ』2022年7月公開、ロマン・キロット監督作品
『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』と違って、こちらはいかにもフランス映画って雰囲気が満載(笑)
惑星レッドムーンが衝突コースに出現し、それを防げるのは主人公ただひとりという設定なんですが、かの『妖星ゴラス』とは違い地球を動かす話ではありません(笑)
結局描きたかったのは、親子の葛藤と兄弟間の確執であるような気がします。
劇中にエアカーが出てくるのですが、主人公が乗るのはオンボロのプジョー504(たぶん)の改造車。で、追跡してくる弟(悪役設定)の乗るクルマがポルシェ928の改造車。抜きつ抜かれつのシーンもあり、ここらあたりはフランスの心意気といったところ(笑)

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『TENET テネット』『オールド』

『TENET テネット』2020年9月公開、クリストファー・ノーラン監督作品
独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆
第三次世界大戦を阻止するため、秘密組織”TENET”にスカウトされた主人公の活躍と葛藤を描く。
未来人が作り出した時間を逆行させる装置「アルゴリズム」を巡り、敵と味方(?)が入り乱れ暗躍する展開は目が離せません。逆行する時間線に入ると、時間逆転現象が体験できたり、空気も吸えなくなるため酸素マスク必須だったりと細かな設定も面白いです。メインの縦線が、時間を行き来してのアクションだとしたら、横線はロシアの武器商人の妻プリヤに対する主人公の感情の機微だと思いました。

『オールド』2021年8月公開、M・ナイト・シャマラン
独断と偏見のお薦め度☆☆☆
ホテルから「特別に」と紹介された人里離れた美しいビーチ。そこは時間の流れが加速する脱出不能の危険地帯だった。
ホテル側がこのビーチを勧めるにあたって、ある基準を持って家族を選んでいるのですが、それがこの企みの真相に直結してます。けっこう意外な結末で驚きました。まあ展開自体は凡庸といってもよいのですけどね。

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 『シャイニー・シュリンプス! 愉快で愛しい仲間たち』

『シャイニー・シュリンプス! 愉快で愛しい仲間たち』2021年7月公開、セドリック・ル・ギャロ監督作品
独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆
LGBTQ+によるスポーツと文化の世界的祭典「ゲイゲームズ」出場を目指す、実在するゲイの水球チーム「シャイニー・シュリンプス」をモデルにしたヒューマンドラマ。ギャロ監督は実際のメンバーでもある。
ゲイへの差別的な発言の罰として、ゲイの水球チームがフランス代表として「ゲイゲームズ」に出場できるようにすることを命じられた元オリンピックの水泳選手が、くせ者ぞろいのメンバーをコーチする中で信頼関係を築いていく……
フランス映画って、こういう題材は上手いこと撮るよなあ。変に構えることも無くさらっと描いていてしかも深いという。

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『DC がんばれ!スーパーペット』『ソニック・ザ・ムービー ソニック VS ナックルズ』

『DC がんばれ!スーパーペット』2022年8月公開、ジャレッド・スターン監督作品
独断と偏見のお薦め度☆☆☆1/2
 スーパーマンの愛犬で空を飛べるクリプトは、スーパーマンに恋人が出来たため自分はもう必要とされなくなるのではないかと悶々としていた。ある日、とあるペット保護施設に宇宙の果てからオレンジ色に光る謎の物体が落ちてきて、ペットたちにスーパーパワーが宿る。その中の一匹、ある犯罪者に心酔するモルモットのルルは、ヒーローたちの捕獲と牢獄にとらえられている犯罪者の奪還に乗り出す。
 一方、クリプトナイトで超能力を失ったペット犬のクリプトは、ルルと同時に超能力を得たペットたちの協力を得て彼らに立ち向かう。なかなか楽しめました。侮れないぞ(笑)

『ソニック・ザ・ムービー ソニック VS ナックルズ』2022年8月公開、ジェフ・ファウラー監督作品
独断と偏見のお薦め度☆☆☆1/3
本当のヒーローになりたいと願うソニックだが、本来の性格から行き過ぎも多々(笑)。平和が訪れたグリーンヒルズで彼は毎晩、街を守り続けていた。そんなある日、ドクター・ロボトニックがキノコ惑星から脱出し、戦士ナックルズとともに、再び地球に舞い戻り悪事を働こうとする。彼らを阻止するため、ソニックとソニックに憧れてやってきた二本尾のテイルスが立ち向かう。王道の仲間と冒険の物語。
ソニックの父親的存在でもあるトムの義理の姉の結婚式のエピソードがあるのですが、その相手がTVドラマ「S.W.A.T.」のホンドー隊長!当然秘密組織勤務(笑)。あと、警察官にTVドラマ「ザ・ルーキー」で主人公の先輩女性警察官役の人も出てたりして配役の妙が(笑)

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『アイネクライネナハトムジーク』『ハウ』

『アイネクライネナハトムジーク』2019年9月公開、今泉力哉監督作品
原作『アイネクライネナハトムジーク』(伊坂幸太郎著2014年)
劇的な出会いを求める気弱な会社員が、ある女性と出会い10年間の交際をの後プロポーズするまで。
もてない会社員が三浦春馬さんという設定はちょっと変じゃないかな(笑)
世界タイトルに挑戦するボクサーのエピソードとかが絡んできて、最後はほっこりとするという……
7年間ほど仙台市民だったので、伊坂さんの話はつい読んでしまうのです。

『ハウ』2022年8月公開、犬童一心監督作品
結婚寸前に彼女から別れを切り出され傷心の主人公が、声帯を切除したため「ハウ」としか吠えられない保護犬との関わりを通して心癒やされる。
ひょんなことから、主人公の元から離れて青森まできてしまった「ハウ」は、主人公の住む横浜まで走り抜ける過程で関わる人々の心を癒やしていく……
深キョンが主演の『天使』と主題は似てますね。天使もハウも、そこに居るだけで周りの人たちに変化が訪れるという触媒のような存在ですね。
 二作品とも、TV放映があったら見てホッコリしましょう(笑)

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『ギャラクシー街道』『ビリーバーズ』

『ギャラクシー街道』2015年10月公開、三谷幸喜監督作品
三谷監督曰く「スペースロマンティックコメディ」作品だそうです。
宇宙船の交通量が多く、ギャラクシー街道と呼ばれた航路途中にある宇宙サービスエリアを舞台としたドラマ。
オールスターキャストでバカやっているなあ(笑)メインは、遠藤憲一扮する宇宙人が、綾瀬はるかに懸想して妊娠し卵を出産するシーン(見ただけで妊娠するというのはファーマーの『恋人たち』へのオマージュかも)。
今は寂れていて廃止も検討されている「ギャラクシー街道」が廃止されたくなくて意識を持つという設定はまだしも、宇宙空間に放出された卵を宇宙服で追いかけるシーンで、泳ぐアクションをするのは、いかに三谷監督とはいえど観客を馬鹿にしすぎ(笑)

『ビリーバーズ』2022年7月公開、城定秀夫監督作品
原作マンガ『ビリーバーズ』(山本直樹著1999年)。
かつて『ビッグコミックスピリッツ』誌で連載されていたとき読みました。明らかにオウム真理教を意識した設定とエロさ加減に爆笑したものです。
原作が山本直樹さんで、監督が城定秀夫さんというコンビで、エロが入らないはずはなく(笑)
「ニコニコ人生センター」という怪しい宗教組織の“孤島のプログラム”に基づいて、無人島で暮らすオペレータ・議長・副議長の三人。教義に基づく生活を淡々と続けるうちに、綻びが……
若い男女と中年男性の三人が一部屋で共同生活をしていて何も起こらない方が不思議というモノ(笑)主演女優の北村優衣さんは、綺麗で素敵で、しかもエロいという。

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 『聖の青春』『泣き虫しょったんの奇跡』

『聖の青春』2016年11月公開、森義隆監督作品
大崎善生原作、先行したテレビドラマ版(2001年)もあり。
幼くして患った腎臓病と闘いながら、将棋が大好きで、将棋に没頭し、29歳の若さで夭逝した元A級棋士・故村山聖九段の生涯をつづったノンフィクション映画。
将棋世界「将棋世界」1998年10月号、「さようなら村山聖九段」
顔がぷくぷくとしているのは、持病のせいで浮腫んでいることが大きいのです。
以下リンク
「『藤井聡太六冠はあの天才棋士・村山聖の生まれ変わりではないか』…ネット上の噂を師匠に聞いてみたら返ってきた意外な答え」

今回の二作品と『3月のライオン』で、新将棋三部作ということでどうでしょうか。映画としての面白さをいうなら『3月のライオン』なんですが、個人的には『聖の青春』が人口に膾炙して故村山九段のことがもっと今の将棋ファンに知られる展開になって欲しいと思います。藤井七冠(2023.6月時点)は圧倒的に強いのだけど、上記のリンクからの元師匠の話には、当時を知る将棋ファンとして頷けるところが多々ありました。


『泣き虫しょったんの奇跡』2018年9月公開、豊田利晃監督作品
原作『泣き虫しょったんの奇跡』(瀬川晶司著・自伝)
全国中学生選抜将棋選手権大会で優勝して奨励会入りした瀬川は、その人の良さも災いして勝ち星が届かず年齢制限で奨励会を退会する。フリーター生活の後、大学を経てサラリーマンになったものの、将棋を捨て去ることはせず、アマ強豪としてプロ公式戦に参加し7割を超える勝率を挙げる。そのことが契機となり、多くの人々の支援を得て日本将棋連盟を動かし、全棋士の投票により規定に存在しないプロ編入試験が実施され合格するまでの半生が描かれる。

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『TANG タング』『弟とアンドロイドと僕』『ラブアンドロイド 執事のアダムとぼっちな私』

『ラブアンドロイド 執事のアダムとぼっちな私』2016年8月公開、城定秀夫監督作品
城定監督の特集だったのか同時期に『ビリーバーズ』(2022年)も見ました。
業績不振の電機メーカー・LENY社は、会社の起死回生をかけて執事型セクサロイドを開発。発売にあたり、オタク処女の女子社員が抜擢され、アンドロイドとの同居生活が始まる。セクサロイドが「どきどきメモリアル」をプレイして女性の扱い方を勉強するという(汗;)ちょっとエロい作品です。展開はベタで訴求層がおじさん限定みたいですが、まあそれが心地良いというか、癒やされます(笑)

『弟とアンドロイドと僕』阪本順治監督作品、2022年1月公開
孤独なロボット工学者の男は、子どもの頃から自分が確かに生きているという実感を得られずに生きてきた。そのために奇妙な言動を繰り返し、同僚や世間からは変人と見られていた。彼は父が残した廃病院に1人で暮らし、生きている実感を得るために自分そっくりのアンドロイドを造り上げようとしていた。父親は入院したままなのだが、入院費とか今後の対応を求めて腹違いの弟が突然訪ねて来る。←この弟が主人公に反感を持っていて、色々やらかすのですが、なんせ雰囲気が暗くて主題が難しいときてるので一般受けはしないような……

『TANG タング』三木孝浩監督作品、2022年8月公開
原作『ロボット・イン・ザ・ガーデン』デボラ・インストール著
仕事を辞めて、ゲーム三昧のあげく妻に捨てられそうな春日井健。ある日自宅の庭に突然現れた「タング」と名乗る謎のロボットと出会い、そのエネルギーがもうすぐ尽きようとしていることを知る。タングにはそれまでの記憶がない上にポンコツだが、なぜか憎めない。
基本的にはタングは狂言回しで、主題はタングと同じく人生においてポンコツな主人公の愛と再生の物語なのかも。

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