カテゴリー別アーカイブ: 時代小説

『貸し物屋お庸謎解き帖 夏至の日の客』著者インタビュー関連書

『貸し物屋お庸謎解き帖 夏至の日の客』平谷美樹著、丹地陽子装画 2024.9.25、だいわ文庫、840円(税別) 【収録作品】 「花の宴」 「炬燵の中」 「夏至の日の客」 「揚屋町の貸し物」 「宿替え始末」 『【図説】怪異百物語 江戸東京篇』湯本豪一著 2024.7.20、河出書房新社、2200円(税別) 『図説 江戸東京怪異百物語』(2007/7月)を改題・新装  江戸・東京に起きた怪異現象や謎の事件を、江戸時代の記録、明治の新聞などからとりあげ、錦絵や瓦版・新聞の挿絵とともに紹介する都市伝説百話。  江戸時代を舞台にした時代小説を読むことが増えたので、当時の人たちがどういう事を面白がっていた(怖がっていた?)のか知りたいというのもあったので読んでみました。有名な幽霊の画とかもあり、面白いし読みやすいです。

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『天保からくり船』『【図説】怪異百物語 江戸東京篇』

『天保からくり船』山田正紀著、YOUCHAN装画 2024.7.25、春陽文庫、1200円(税別) 光風社出版 (1994/2/1)の待望の文庫化 独断と偏見のお薦め度☆☆☆☆1/2  上野の寛永寺から出火した大火事以降、江戸に広まった奇怪な噂……  火事に巻き込まれた岡っ引き・茗荷谷の藤吉と、傘張り内職で暮らす貧乏浪人・弓削重四郎が関わりを持ったとき、不可解な出来事が頻出し始める。重四郎とは本当は何者なのか?大江戸に隠された秘密とは?  その壮大な「からくり」が明らかにされるとき、驚天動地の結末が……。  時代小説ファン、ミステリファン、SFファンとでは、一番喜ぶのはSFファンかなあという気はします(笑) 『【図説】怪異百物語 江戸東京篇』湯本豪一著 2024.7.20、河出書房新社、2200円(税別) 『図説 江戸東京怪異百物語』(2007/7月)を改題・新装 江戸時代を舞台にした時代小説を読むことが増えたので、当時の人たちがどういう事を面白がっていた(怖がっていた?)のか知りたいというのもあったので読んでみました。有名な幽霊の画とかもあり、面白いし読みやすいです。 同時期の再版、同じ江戸の怪異ということで、『天保からくり船』と一緒に紹介してみました(汗;)

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熊谷達也先生関連書

『むけいびと 芦東山』熊谷達也著、宇野信哉装画 2024.6.20、潮文庫、900円(税別) 江戸時代中期、刑が無くても犯罪が発生しないような理想の世を求め、仙台藩儒学者・芦東山が23年にも及ぶ幽閉生活の中で著した『無刑録』。 刑罰は犯罪に対する報復だとする応報刑論が主流だった当時、人間尊重の立場から犯罪者を更生させるための手段との教育刑論を唱えたこの書は、近代刑法論書の先駆けとなるものだった。逆境を乗り越え、己の考えを貫き通した生涯とは―ー。 『孤立宇宙』熊谷達也著、 2022.8.31、講談社、2310円(税込) 小惑星の衝突で地殻、気象ほかあらゆる環境が破壊され、生存の危機に陥った人類は、他の星への移住を目指すものと世界各地のシェルターで生き残りをはかるものとにわかれた。 さらに、肉体のくびきから離れ、意識のサイバースペースへの移行が可能になった世界は、分断と孤立の中にあった。

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『賢治と妖精琥珀』著者インタビュー関連

『賢治と妖精琥珀』平谷美樹著、nii-ottoイラスト 2023.8.30、集英社文庫、720円(税別) 大正12年、不思議な琥珀を持った男が宮澤賢治のもとを訪れる。ふたつに割れた琥珀の片割れでもう一方は盗難に遭ったとか。よく見ると昆虫が入っているのではなく、妖精と呼ばれるものに酷似していた。学生の就職を頼むため樺太への旅に出た賢治に、以前からこの石を追っているという二人組が接近してくる。彼らの話では、割れた片割れの琥珀の力で不死となった怪僧ラスプーチンがもう一方も手に入れようと狙っているという…… 集英社のサイトでは、『賢治と妖精琥珀』冒頭の試し読みもできます。 「rakra」9.10月号 「さんりく巡礼 その47 陸前高田 幾つもの選択 part1」 “津波てんでんこ”の教訓(津波の時はそれぞれが自分の身を守らなければならない)とか、建造された高い防潮堤の話。

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平谷美樹先生著者インタビュー関連本

『貸し物屋お庸謎解き帖 五本の蛇目』平谷美樹著、丹地陽子装画 2023.6.15、大和書房、880円、Kindle版836円 「無い物はない」江戸のレンタルショップ湊屋両国出店の娘店主は、物だけでなく知恵も貸してくれるという評判を聞きつけて、今日も悩みと秘密を抱えた胡乱なお客がやってくる──。 湊屋本店と江戸市中に十二ある出店のすべてを訪れた謎の翁の正体は? 慌てて借り出された五本の蛇目傘はいったい何に使われるのか? 毎夜馬小屋を訪れる怪しい影は河童? それとも亡魂? 厄介事も無理難題も持ち前の好奇心と人情で一件落着!お客が求める貸し物の陰に隠れた事情を見抜いて収めるお庸の謎捌きが痛快な、大人気書き下ろし時代小説、 『虎と十字架 南部藩虎騒動』平谷美樹著、ヤマモトマサアキ装画 2023.8.1、実業之日本社、2090円、Kindle版1881円 謎が謎を呼ぶ虎脱走事件。ミステリと時代小説の融合を試みる作者のこれが最高傑作だ!―――――縄田一男氏(文芸評論家) 家康から贈られた虎が城から逃げ、死体が消えた! 国を揺るがす虎騒動の意外な真実とは? 著者、会心の歴史時代ミステリー長編! 目次:序章 第一章 虎捕物 第二章 切支丹と金山 第三章 乱世の尻尾 第四章 雪原の若武者 第五章 繋がらぬ環 第六章 騒動の真実 「ra ラ・クラ kra」7・8月号、vol.118 「さんりく巡礼 その四十六 陸前高田 未来に続く桜並木」平谷美樹著 「ラ・クラ」誌を最初に読んだのは、河北新報に『沙棗』を連載されていた時だから、32年くらい前になります。東北三県に特化したユニークな雑誌です。

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平谷美樹先生著者インタビュー関連書

『貸し物屋お庸謎解き帖 百鬼夜行の宵』平谷美樹著、丹地陽子イラスト 2022.12.15、だいわ文庫、858円、Kindle版858円(書影はKindle版) 「凧、凧揚がれ」“凧の骨を貸してくれ”とやって来た童が心に秘めた願いとは?  「貸家と散り桜」貸家の仲介を頼まれたが“縁起がいい”はずの仕舞屋に居たのは? 「百鬼夜行の宵」坊主の着物を借りに来た二人組、生兵法は怪我のもととはよく言ったもので 「貸し物卒塔婆」大店の跡取り息子で評判の悪い三人組。卒塔婆を十枚借りに来た理由は? 「信輔と十人」安布団を十組借りたいとやってきた元女衒。お庸の立てた景迹は? 「雪と綿帽子」因縁のある陸奥国神坂家の江戸家老橘が、用人の花嫁衣装を借りたいとやってくる。しかも、背格好が同じだから、お庸に届けて欲しいという怪しい依頼だ。  お客が求める貸し物の陰に隠れた悩みや事情を見抜いて収めるお庸の景迹(謎捌き)が痛快な、大人気書下ろし時代小説シリーズ 『渡裸の渡し』平谷美樹著、本田淳装画 2021.4.16、小学館、Kindle版220円 十歳ほどの娘にすぎないむつは、人間を超える力を持つ八百比丘尼になる運命。精神は子供のままであるむつを修行させようと、峻岳坊高星と百夜は津軽への旅に出る。が、むつの持つ力が様々な怪異と霊気を呼び寄せてしまう。千住大橋界隈にさしかかった一行は、さっそく加持祈祷を頼まれることに。 『九つの目の老人』平谷美樹著、本田淳装画 2021.6.18、小学館、Kindle版220円 神に近いものになろうとしている少女、むつを修行させるため、津軽への旅に出た百夜一行。宇都宮の宿に現れたのは、目のない顔を持つ白髭の老人と九つの光の玉。その正体がわからぬ百夜は、いつになく苛立っている。 『聖の思惑』平谷美樹著、本田淳装画 2021.12.17、小学館、Kindle版220円 神になろうとしている少女・むつは、旅先で出羽国に行きたいと突然言い出した。その夜、百夜とむつは師匠の峻岳坊高星も気づかぬ間に攫われてしまう。二人は黄泉の世界に踏み込み、次々と異形のモノたちに襲われる。果たしてこの恐るべき力をふるうものは何者なのか。 『宿坊の夜』平谷美樹著、本田淳装画 2022.4.15、小学館、Kindle版220円 むつの願いで早池峰山詣でに向かった百夜の一行は、雪の夜に麓の主のいない宿坊に泊まることに。 ただならぬ気配を感じながら宿坊に入ると、そこには3人の先客がいた。旅の女のしめ、行商人の為造は怪異が起きていると訴えるのだが、若い僧侶の法稔は頑なにそれを否定する。 『むつとの別れ(上) 八卦置き』平谷美樹著、本田淳装画 2022.6.17、小学館、Kindle版220円 だんだんと神に近づいていくむつを連れて、百夜の一行は八戸藩に入った。そこで未来の出来事を確実に当てて、米問屋や材木商に大儲けさせている占い師の噂を聞く。謎の素性の八卦占い師を招き寄せたむつに、山崎と名乗るその男は摩訶不思議な話を語り始めた 『むつとの別れ(下) 宇曾利山(うそりやま)』平谷美樹著、本田淳装画 2022.12.16、小学館、Kindle版220円 恐山の麓までやってきた百夜一行。いよいよ旅も終局、別れの時は近い。日も陰り、降りしきる雪の中、百夜と当来軒は、むつの導くままに山頂の宇曾利湖を目指し、山道を登り始める。しかし、その後を追う怪しい人影が…… 『図解!江戸時代―意外と住みたい?この町と、この時代!』「歴史ミステリー倶楽部」著、図版・DTP/ハッシィ 2015.10.20、三笠書房、649円、Kindle版617円  江戸時代の複雑な貨幣制度や暦・時刻、不思議なしきたりや多様な刑罰など、時代劇などでお馴染みのこの時代。しかし誤解や間違いも含めて、実際のところは知らないことだらけ!江戸の開発から幕府の統治、武士や庶民の暮らしぶりに至るまで、江戸の町と江戸時代に関する「基本としくみ」を、徹底図解でわかりやすく解説。

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《草紙屋薬楽堂ふしぎ始末》シリーズ完結記念著者インタビュー(丹地陽子作品集)

『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト 2016/10/15、大和書房、680円 「謎を解いて、見事に怪異を鎮めてみせるよ」 時は文政、江戸の通油町にある本屋・草紙屋薬楽堂に戯作を持ちこんだのは、地味な三筋格子の着物を粋に着こなした、鉢野金魚。薬楽堂に居候する貧乏戯作者・本能寺無念とともに巻き込まれるのは、あやかしの仕業とも囁かれる怪事件…… 『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 絆の煙草入れ』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト 2017/5/15、大和書房、680円 「気の強ぇ女が二人――こいつぁ危ねぇ組み合わせが出来上がっちまったな」 時は文政。江戸の通油町にある本屋、草紙屋薬楽堂の面々に、曲亭馬琴に認められた武家の女、只野真葛が加わった。売出し中の女戯作者・鉢野金魚(はちのきんとと)と貧乏戯作者・本能寺無念(ほんのうじむねん)、もと御庭番の読売屋・北野貫兵衛らとともに、真葛は怪異がらみの噂と企みの背後の闇を探り始めるが…… 『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 唐紅色の約束』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト 2017/12/15、大和書房、680円 「あたしはあんたがどこへ行ったって、必ず見つけてあげる」 時は文政、江戸の通油町にある本屋・草紙屋薬楽堂が特別に誂えた大切な表紙紙が盗まれた。知恵者の売れっ子戯作者・鉢野金魚と貧乏戯作者・本能寺無念は、金魚の遠き友への想いがこもった唐紅色の紙を取り戻すために、現場となった表紙仕立屋・播磨屋を訪ねるが……。 『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 月下狐の舞』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト 2018/10/15、大和書房、680円 「見えないかい? 月明かりの中の妖しく美しい狐の舞が」 時は文政、ある雨の日、江戸の本屋・草紙屋薬楽堂に持ち込まれたありふれた人情噺の裏には、禍々しくも哀れな狐憑きの噂が……。 推当物を得意とする女戯作者・鉢野金魚と貧乏戯作者・本能寺無念、武家の女・只野真葛、高名な父を持つ女絵師・葛飾応為ことお栄は、切ない出口なしの物語を「一番の結び」に導く大芝居を計画する。 『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 名月怪談』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト 2019/9/15、大和書房、680円 「次の百物語では必ず怪異が起こる」 時は文政、推当物が評判の女戯作者・鉢野金魚は、武家の女・只野真葛、貧乏戯作者・本能寺無念らとともに、怪異の謎を解き明かすべく、亡魂が現れるという百物語に参加するが……。 『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 凍月の眠り』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト 2022/1/15、大和書房、740円 「生ける屍 本所深川反魂の宴」 ──時は文政。推当物が人気の女戯作者・鉢野金魚と貧乏戯作者・本能寺無念は、墓に埋められた死体が生き返ったとの噂を聞き、その真相を探ろうとする。 「本草学者 未練の訪れ」 若き本草学者が亡くなったあと、書物屋に持ち込まれた蔵書。幽霊と書き込みの無い本をめぐる謎とは。 「丑の刻参り 呪いの行方」 許婚に裏切られた女の呪い。いったい女の身に何が起こったのか、裏切った侍の真意は…… 「雪女郎 凍月の眠り」 吹雪の日に姿を消した薬楽堂短右衛門の娘・けいの足取りを追い、六部の装束を纏った童女が誘う空き家に踏み込むが、そこに居たのは…… 『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 凍月の眠り』の帯をとったバージョンです。 著者インタビューの本文中にもある通り、金魚さんの艶姿は、「丑の刻参り 呪いの行方」での出で立ちと藁人形。「生ける屍 本所深川反魂の宴」のモチーフが右上のさらばえた両手。 「本草学者 未練の訪れ」は背景で散らばる和書、「雪女郎 凍月の眠り」はたぶん雪景色と黒い蝋燭と人魂かなあ 『丹地陽子画集』丹地陽子著 2121.10.20、パイインターナショナル、1800円 丹地先生から許可が出たので掲載 SF・ファンタジー系の装画がわりと多いような。 ○「アニマ・ソラリス」で取り上げたことのある本の装画 上記《草紙屋薬楽堂ふしぎ始末》シリーズ全6巻 … 続きを読む

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平谷美樹先生、2017年度の出版書籍

平谷美樹先生著者インタビュー関連書籍一覧 以下の8冊が、2017年度出版書籍です(『でんでら国』は上下巻なので2冊にカウント) 『江戸城御掃除之者!』2月 『鉄の王 流星の小柄』4月 『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 絆の煙草入れ』5月 (『でんでら国』(上・下)文庫化)6月 『雀と五位鷺 推当帖』10月 『江戸城御掃除之者! 地を掃う』11月 『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 唐紅色の約束』12月 以下は、平谷美樹先生2017年度出版書籍と関連シリーズの紹介です。 『江戸城御掃除之者!』平谷美樹著、平沢下戸カバーイラスト 2017/2/25、角川文庫、640円 江戸城の掃除を担当する御掃除之者の組頭・山野小左衛門は、上司から極秘の任務を命じられる。それは男子禁制の大奥の掃除。七代将軍徳川家継の生母である月光院付きの御年寄・音羽が何年も局に籠もり、局が汚部屋と化しているらしい。 精鋭の配下六人を集め、大奥へと乗り込むが、そこには大奥女中による防衛線が築かれていた……。 『江戸城御掃除之者! 地を掃う』平谷美樹著、平沢下戸カバーイラスト 2017/11/25、角川文庫、640円 江戸城の掃除を担当する御掃除之者の組頭・山野小左衛門は、またも上司から極秘の任務を命じられる。紅葉山文庫からある本がなくなったというのだ。 今回の任務は艶本探しなのか!?疑わしき人物を御風干の掃除に乗じて誘い出そうとするが、同時に黒鍬者たちとの掃除合戦もはじまって…… 『江戸城御掃除之者! 玉を磨く』平谷美樹著、平沢下戸カバーイラスト 2018/3/25、角川文庫、680円 「本丸御殿の御掃除を〈御掃除屋 武蔵〉に任せよ」。目安箱に投函された訴状をきっかけに、江戸城御掃除之者と民間掃除屋の御掃除合戦が勃発する! 上野の東叡山寛永寺双子堂を舞台に腕比べが行われることになったが、その裏には将軍位争いに遺恨を持つ尾張徳川家の影が見え隠れしていた。忍び寄る尾張の魔の手…… 『鉄の王 流星の小柄』平谷美樹著、遠藤拓人カバーイラスト 徳間文庫、2017/4/15、720円 時は宝暦四年(1754)、鉄屑買いの鉄澤(さなき)重兵衛は下野国の小藩の元・鉄山奉行だった。藩が改易になり、仲間と江戸に出てきたのだ。その日、飴を目当てに古釘を持って来た顔馴染みの留松という子が、差し出したのは青みがかった銀色の光を放つ一振りの小柄だった。それは、希少な流星鉄(隕鉄)を使った鋼で作られていたのだ。しかし、その夜、留松の一家は惨殺され、重兵衛たちは否応なく事件の渦中へ……。 『鉄の王 伝説の不死者』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト 徳間文庫、2018/9/15、690円 多霧は13歳。歩き蹈鞴衆の橘衆の頭の長女だ。ある日、越後山野領の山中で、大量の惨殺死体が転がる蹈鞴場を見る。生き残りと思われる瀕死の若者を助けるが、手当後、目を離した隙に彼は姿を消した。「逃げろ、俺に関わるな」という一言を残して……。一方、橘衆は覆面武家集団の襲撃を受けていた。彼らの目的は「不死の者」を探すことだった。 『鉄の王 唐金の兵団』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト 徳間文庫、2018/12/15、790円 多霧たち歩き蹈鞴衆の橘一党は、踏鞴場を求めて出雲にいた。その山中で唐金(青銅)の鎧に身を包んだ猪の集団が、山廻りの侍たちを全滅させるのを目撃。猪を操っているのは謎の唐金の踏鞴衆であった。猪のみならず、熊や狼をも操る唐金の踏鞴衆とは? 戦いに巻き込まれた多霧たちは、陸奥の国から駆けつけた夷月の霊力を持ってしても調伏できない恐るべき呪いと対峙することになる。出雲神話に隠された真実が明らかになる時、恐怖の王が解放される…… 『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト 2016/10/15、大和書房、680円 「謎を解いて、見事に怪異を鎮めてみせるよ」 時は文政、江戸の通油町にある本屋・草紙屋薬楽堂に戯作を持ちこんだのは、地味な三筋格子の着物を粋に着こなした、鉢野金魚。薬楽堂に居候する貧乏戯作者・本能寺無念とともに巻き込まれるのは、あやかしの仕業とも囁かれる怪事件…… 『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 絆の煙草入れ』平谷美樹著、丹地陽子カバーイラスト 2017/5/15、大和書房、680円 「気の強ぇ女が二人――こいつぁ危ねぇ組み合わせが出来上がっちまったな」 … 続きを読む

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江戸幕府役職他(笑)

最近江戸時代の時代小説を読む機会が増えたので、江戸の幕府組織を知るために資料を買ってみました。参考にしたのは上田秀人先生の『武士の職分』です。上田先生ありがとうございます。 『武士の職分』上田秀人著、西のぼるカバーイラスト 2016/10/25、600円、角川文庫 役目を減らすことは、役人の席を奪うこと。己の存在意義と既得権益をめぐり、武士たちは熾烈な競争を繰り広げた。世襲を旨とする幕府が、唯一実力主義を徹底した医師。大名・旗本が敵に回すことを最も恐れた奥右筆。親兄弟であろうと罪を暴き、なりふりかまわぬ手柄を求めた目付。人も羨む出世と引き替えに、お手討ちもありえた小納戸等々。 歯科医でもある上田先生の変わった役職についての考察(笑)。実はこの本の前書きに記された資料から、以下の本を購入したのでありました。上田先生には、同業のよしみもあり、ぜひインタビューをさせて頂きたいものです。ファンになった切っ掛けは《奥右筆秘帳》シリーズを読んでからです。 『江戸町奉行』横倉辰次著、鈴木一誌+武井貴行装幀 2003/11/1、2000円、雄山閣 俗にいう八丁堀風の髪を毎日床屋に結わせ、朝風呂に入り、江戸八百八町を肩で風切って歩く。相撲取り、火消頭とともに江戸三男といわれた与力およびその下役、同心、目明し。彼らの日々の活動と生活を幕末名与力佐久間長敬の記録や豊富な史料によってその実像を紹介する。 『江戸の町奉行』石井良介著 2011/11/25、1800円、明石書店 大岡越前は本当に名奉行だったのか。町奉行、与力、同心、目明、火盗改、辻番、代官…南北に別れる江戸時代の警察裁判を司る町奉行システムから当時の江戸の治安システム、さらには庶民の日常までを紹介・解説する。 折り込みに、「江戸の朱引絵図」あり。 『江戸幕府役職集成』笹間良彦著 1965/7/10、2500円、雄山閣 江戸時代の武家の社会組織、職制、生活のしきたりなどについて、さし絵を用いてわかりやすく、ていねいに解説。武家社会を知るための入門書。 江戸城勤番武士の生活(勤番の意味;武士の給与;旗本と御家人の生活;大名の生活) 江戸城勤番武士の職制(幕臣の身分の区別;役方の区分;老中支配の諸役;若年寄支配の諸役;幕末動乱期の職制) 「黒鍬頭」将軍が遊獵に使い、平時はもろもろの触達に使ったもので、470人もおり、三名の頭が支配したと記述があります。「御掃除頭」と同じく、台所前廊下席、御譜代で百俵高であるとのこと。 『図説・江戸町奉行所事典』笹間良彦著 1991/1/25、3800円、柏書房 八百八町にはびこる犯罪と、派手な捕物、牢獄のしきたり、過酷な拷問、刑罰の諸々…。江戸の行政・司法・警察のいっさいを管轄した町奉行所の全貌を、綿密な考証と豊富な図版で再現する。

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「《はぐれ名医》シリーズ」和田はつ子著

☆『大江戸ドクター』と《はぐれ名医》シリーズ 「アニマ・ソラリス」の「和田はつ子先生『大江戸ドクター』インタビュー」で、和田先生は、 “わたしの初期の作品に、医者、据物師、同心の三人が力を合わせて事件を解決する《やさぐれ三匹事件帖》シリーズというものがあります。実は『大江戸ドクター』は、彼らの十年後を設定し、医者ー克生中心に描いたものです。ですから三人にはかなりの思い入れがあります。現在、この《やさぐれシリーズ》を改変して、『大江戸ドクター エピソードゼロ』として刊行してはという話をいただいています。” と発言されています。 この言葉通り、『大江戸ドクター』は、《はぐれ名医》シリーズとして刷新されたとも言えましょう。まあ、これから読まれる方は《はぐれ名医》シリーズ だけ読めば事足りると思いますが、ファンの方は『大江戸ドクター』+『やさぐれ三匹事件帖1,2』と、《はぐれ名医》シリーズを読み比べて、どこが改稿されているかチェックされるのも一興でしょう(笑) 『はぐれ名医 事件暦』和田はつ子著、浅野隆広装画 2014.6.10、幻冬舎時代小説文庫、580円 「江戸に住む辰年生まれの者を、五日の内に殺める」という脅迫状が南町奉行所に届いた。木挽町で治療庵をひらく蘭方医・里永克生は、医学の豊富な知識と並外れた洞察力を奉行所に買われ、相次いで殺された辰年生まれの変死体を検分することに。人付き合いの苦手な医者が、死体から得た僅かな手がかかりを基に真相を明らかにする謎解きシリーズ第1弾。 ベスト時代文庫の『恋刀 やさぐれ三匹事件帖』と『三匹の侍捕り物控』を大幅に加筆修正。再構成したもの。 『はぐれ名医事件暦 女雛月』和田はつ子著、浅野隆広装画2015.6.10、幻冬舎時代小説文庫、600円 出産直後に殺された若い女の骸が発見される。赤子が消えているにもかかわらず自死と片付ける奉行所に不審を抱く蘭方医・里永克生。玉の輿を狙った娘達が足繁く通う甘酒屋をつきとめるが、女将はすでに殺され、訪れていた町娘達は行方知れずとなっていた。解明に乗り出す克生の前に立ちはだかったのは、名門武家が糸を引く非道な稼業だった。 ベスト時代文庫の『雪中花 やさぐれ三匹事件帖』を改題し、大幅に加筆修正したもの。 『はぐれ名医診療暦 春思の人』和田はつ子著、浅野隆広装画 2015.12.5、幻冬舎時代小説文庫、580円 十年ぶりに江戸に帰還した蘭方医・里永克生 は、神薬と呼ばれる麻酔を使った治療に奔走 していた。舌癌に苦しむ贅沢三昧の両替商、 痔瘻をひた隠しにする人気噺家、梅毒で鼻を 失った大名家のお世継ぎ……。冴え渡る医術 と並外れた洞察力で、一筋縄ではいかない過 去を抱えた患者たちの人生を蘇らせる。 幻冬舎の『大江戸ドクター』を改題したもの。

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