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日別アーカイブ: 2022年7月16日
「小林ひろき自作を語る」関連
「小林ひろき自作を語る」で、 “ご指摘は本当に勉強になるので、私が火だるま(笑)になっているところをSF関係で知人になった人たちやTwitterのフォロワーに見せたいですね。きっと初めてSFを書き始めた人の参考になると思います。” とのことで、SF的な設定に対する突っ込みをぜひ公開して欲しいとの要望がありましたので、以下に公開しておきます。リンクの無い短編も、公開され次第順次リンクを張っていく予定です。 私からの指摘は、良くあるアイデアで古びていると言えば確かに使い古されているパターンなのでちとあれなのですが(汗;) それを踏まえて、さらにひねった構成・展開が欲しいところではあります。 「SFの小箱(1)テラフォーミング」 冒頭で“土の下には石灰石が埋まっていた”という記述があるので、SFファンだと、ここはかつて海が有りCaを含有した骨格をもった有機生命体が豊富にいてその残骸が石灰石になったんだなと考えます。←読む上での前提条件ですね。 石灰岩があればその成り立ちから、水棲のCaの外骨格を持つ生命体が大量に棲息していたと推測されるという話です。海中で二酸化炭素と結合した古代生物の遺骸の集積物ですから。大理石もその仲間です。玄武岩などは火成岩なのでCaCO3成分は無いはずです。石灰岩は、半分以上がCaCO3。 でもその後「石灰石を燃やす炉」というのが出てきて、石灰石は既に酸素を含んでいるので燃えないぞ!(一酸化炭素は燃えますが(笑))、それは何だと思うんです。まあ何かを燃やす時に石灰石を混ぜて二酸化炭素を出す装置かなとは想像しますが。 かようにSFファンは面倒くさいところに拘っちゃう(笑) 「SFの小箱(2)重力制御」 宇宙で波乗りというと、久美沙織先生(「マザー」のノベライズで有名)の出した短編集「星のキスメット」(宇宙船の廃棄エネルギー流に乗って遊ぶサーファーというサイケなやつが主人公)を思い出した(笑)(http://sasabe.com/SF/news/kumi6.shtml) “重力波は光速で伝播する波であるから、その曲面を滑っていくことは可能”ということなんですが、冒頭にこの文章が出てくるから「ああ、そういう雰囲気の話なのね」と思いました(笑) ただ、同じく光速で伝播する波である電波の曲面を滑ることが可能かというと?(笑) 重力波観測所LIGO、Virgo、KAGRA等の名前を出しているので、あまりファンタジー寄りにするのは無しにすると、無難なのは「先生は、自らを情報としてデジタル化し(城ごと?)、その情報で変調をかけた重力波となり、他の重力波に波乗りする」とかなんとか(笑) 「SFの小箱(3)タイムトラベル」 タイムトラベラーの“トロッコ問題”。9.11を予知できたら防ぐかどうか。それが本来の歴史ならやむなきの立場を取るかどうか、難しい問題です。 著者インタビューの久永実木彦先生は、一人でも死亡者が出たら、それは歴史改変の対象になる世界を描いて(なんと人手不足で担当者は非正規職員)怖かった。 同じく著者インタビューの岡本俊弥先生は、「時の養成所」で、人類が滅んだ時間線を守るタイムパトロールの人間を描きます(遠い未来では異生命体が地球を支配している。で、件のタイムパトロールは、その異生命体が養成している) どちらも、そりゃ職員は病みますわ(そういうタイムパトロールに私はなりたくない^^;) 「SFの小箱(4)タイムパラドックス」 これがちと分かりづらいかも。 進行順なのですが、/1→/2→/3……と考えると 【/1】では、主人公の息子である大海が未来からやってくる。ここでの大海は19歳、主人公は16歳。ううむ、息子が年上というのは変な気分ですね(汗;) 【/2】で、「一回だけ、過去に戻れるのか」は勇輝の言葉みたいですね。とすると過去に戻った勇輝は、どこかの時点の自分を励ましに過去に戻るのかなと考えられます。 【/3】だと、“大海の頬のほくろが僕と全く同じ場所にある”となっているので、ここでの“大海”は未来から来た勇輝なんですね。主人公が勘違いしているだけで。 【/4】で、母親=彩が登場。「ふたりの大海がいてくれた」とあるので、未来から大海がやってきたことによって改変された過去においても、勇輝が二人いてそれぞれの時間線の未来に二人の大海が居たことが示唆されている。 【/5】では、彼女=彩だとして、人生の終わりを迎えた夫婦が居る。幸せだったんだろうという暗示がある。 「SFの小箱(5)質量保存の法則」 「冷たい方程式」で扱った密航者の質量がそのまま効いてくる燃料問題とは異なって、新生児の酸素必要量はそれほど増加しないと考えられます(重量もそうですが)。妊婦さんの子宮にいる状態で、母親から酸素と栄養をもらっているわけですから(元々母親の消費が胎児の分増大している)。 あと搭乗者が全部で16人いたら、赤ん坊ひとり分の酸素くらいどうにでもなりそうです。 みんな強制的に眠らせておくとか(笑)やるなら夫婦二人くらいの搭乗者にして、緊迫性を増すのが良いと思います。 「彼女が生きるために、この宇宙船は引き返す判断をした。」のところも、その判断の根拠を描いて頂く方が面白いと思います。酸素消費量という時間的なものと、引き返すという今までの運動エネルギーを無駄にする行為(燃料消費倍増)ですね。それを入れるとソーラーセイルの必然性(?)が生きてくると思います。 引き返すということは得られた速度をなくしてさらに反対方向へ加速しないといけないので、燃料消費はかなり増えると思われます。 普通というか経済的な燃料使用を追求すると、最初は加速してその推進方法で得られる最高速度に達したら、エンジンを止めて等速度運動に移行、目的地に近づいたら逆推進で減速という行程になると思います(行程の半分に来たときに最大速度に達してない場合はこの限りにはあらず)。まあ相手が惑星の場合、公転しているわけで、出発時点でどの位置に居て、到着時点ではどの位置に来ているかも加味するともっとそれらしくなります(笑) 「SFの小箱(6)エントロピーの増大」 これ、面白いです。 ただ、主人公の形態がよく分からないのが難点かなと思います。大きさも不明だし。 読み取れるところからは、どうも宇宙空間に漂うガス状生命体の様に思えますが、それにしては固い交接器官があるようだし、雄雌の別もあるようだし。 あと、題名との乖離があるように思います。エントロピーの増大をうたうからには、それについての記述がもっと欲しいところです(落ちをエントロピー絡みにするとかも) … 続きを読む
カテゴリー: 自作を語る
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