日別アーカイブ: 2022年9月9日

門田充宏先生著者インタビュー関連本

《記憶翻訳者》シリーズの粗筋は、最初から順番に読んで頂くと分かりやすいと思います。 粗筋は、ネタバレも考慮して、門田充宏先生の「公式サイト」の「WORKS」から大幅に引用してます。雑誌掲載短編、Web掲載短編の粗筋も、公式サイトの「WORKS」にあります。 「風牙」門田充宏著 2014.8.8、東京創元社、Kindle版、220円 第5回創元SF短編賞受賞作 主人公の珊瑚は過剰共感能力者で、彼らは他人の感情に共感しすぎてしまう特異な体質のために、社会生活に支障をきたしてしまっている。珊瑚は、他人の感情と自分の感情を区別できないレベルの能力者故に、過剰共感能力を抑制するインプラントの助けを借りるまで、自我を発達させることが出来なかった過去を持っていた。生きづらさを抱える彼らの共感能力を生かし、本来はその持ち主にしか理解できない記憶を第三者にも分かるようにする“記憶翻訳”の技術を開発したのが九龍という企業だった。珊瑚はその中でもトップクラスの実力を持つ記憶翻訳者に育った。 『風牙』門田充宏著、しおんカバーイラスト 2018.10.31、創元日本SF叢書、2200円、Kindle版1935円 収録作:「風牙」「閉鎖回廊」「みなもとに還る」「虚ろの座」 この『風牙』は、以下の二冊に、改題・分冊・増補されて文庫版になっています。 『記憶翻訳者 いつか光になる』は、「風牙」「閉鎖回廊」+「いつか光になる」「嵐の夜に」 『記憶翻訳者 みなもとに還る』は、「みなもとに還る」「虚ろの座」+「流水に刻む」「秋晴れの日に」 『記憶翻訳者 いつか光になる』門田充宏著、日田慶治装画 2020.10.23、創元SF文庫、Kindle版、920円 「風牙」 インタープリタとは、個人個人によって独自のものである人の心から抽出した記憶データを“翻訳”し、他者に理解可能なよう立体的に再構築する技能者である。業界トップレベルの女性インタープリタである珊瑚が受けた仕事は前例のないものだった。”潜行”する先は、彼女自身の会社の社長の記憶。しかし珊瑚に先立って送り込まれたインタープリタ3人が、何れも社長の記憶の中で正体不明の存在に襲撃され病院送りとなっていた。社長の記憶世界でいったい何が起こったというのか。珊瑚は”統合サポートシステム”の孫子と共に、社長の記憶世界にアクセスする…… 「閉鎖回廊」 珊瑚のもとに、かつて共にインタープリタの導入研修を受け、今はトップクリエイタとなっている由鶴から奇妙なメッセージが届く。「お願い、今すぐ〈閉鎖回廊〉を止めて」。自分が作成した、疑験都市〈九龍〉で最大の人気を誇るコンテンツ、〈閉鎖回廊〉を由鶴は何故止めろと言ってきたのか? 連絡が取れない由鶴の事務所を訪れた珊瑚は、主のいない開発室で、由鶴の過去を巡る九つの記憶が保存されたモジュールを発見する。 「いつか光になる」 九龍の新しい事業、プロモーション用記憶翻訳。その提案者でもあり、記憶データ提供者でもあるハルには人生を賭けた密かな目的があった。ハルと共に新規事業に取り組む珊瑚は、その過程でハルと人生の一部を共有していく。ハルが目指していたものは、そしてその結末は…… 「嵐の夜に」 台風で電車が止まってしまった夜、珊瑚はハルと共にオフィスに泊まることになってしまった。嵐の中、少しだけぎくしゃくしていた二人に訪れる、静かで暖かな時間が…… 『記憶翻訳者 みなもとに還る』門田充宏著、日田慶治装画 2021.2.12、創元SF文庫、Kindle版、950円 「流水に刻む」 疑験都市〈九龍〉の第二階層、二狐。ファンタジイ世界を再現したこの階層に、本来登場しないはずの人間ー少年のNPCが出没する。少年は九龍側の制御を受け付けず、自由に二狐内を行動していた。珊瑚はプレイヤーのひとりとして光の妖精となり、同じくミノタウロスとなった上司の眞角と共に、少年を捕らえるために全力で鬼ごっこを繰り広げることに。果たして少年の正体、そしてその目的は。 「みなもとに還る」 レビューを依頼された疑験都市コンテンツの中で、珊瑚はうなじからどこまでも長く伸びる〈結びの緒〉を生やした子供、マヒロに導かれ、母と名乗る存在と出会う。もういないと聞かされていた母の存在に動揺した珊瑚は、導かれるように〈仮集殿〉と呼ばれる場所へと赴く。そこは、過剰共感能力者たちが肩を寄せ合って暮らす、〈みなもと〉という名の組織の本拠だった…… 「虚ろの座」 探偵の調査結果に従い、私は共感能力を礼賛する新興宗教団体、〈みなもと〉へと入信する。それがただひとつ、失った妻と子へと繋がる道だと信じて。だがそこで私を待っていたのは、考えてもいなかった出来事だった。 「秋晴れの日に」 珊瑚は二ヶ月ぶりに〈みなもと〉の仮集殿を訪れ、都や真尋と再会する。珊瑚には密かに心に決めた、小さな目的があった。 (著者談:こちらは「みなもとに還る」の後日談であり、珊瑚の決心の物語でもあります。) 『追憶の社』門田充宏著 2019.5.11、創元日本SF叢書、2585円、Kindle版1834円 収録作品: 「六花の標」 珊瑚が翻訳した記憶データが、ネット上に無制限に公開され始める。急死した料理研究家・雪肌女の最後の日々と、彼女と一緒に暮らしていた少年・仁紀の記憶――それが雪肌女の遺志だからと、仁紀は自分にとって大切な日々の記憶を公開し続ける。その結果、他人の記憶を覗き見ることを楽しむ人間が多く出る一方、記憶データの翻訳自体や、サービス提供元である企業・九龍に対する批判までが起こるようになってしまう。珊瑚は九龍と仁紀を護るため、雪肌女の本当の意図を探ろうするが…… … 続きを読む

カテゴリー: 創元SF短篇賞関連, 著者インタビュー関連書籍 | コメントは受け付けていません。