『半分世界』石川宗生著、千海博美装画
2018.1.26、創元日本SF叢書、1900円
収録作:「吉田同名」第七回創元SF短編賞受賞作
ある日突然、19,329人に増殖した吉田大輔氏の奇想天外な物語。長男の親友に吉田大恭(読みは同じ)君がいて、月一で我が家を訪れるのだけれども、面白がってました(笑)
「半分世界」
突然縦に半分となり、世間の目にさらされることとなった家族と、それを観察(ストーカーとも言える)する人々を描いた表題作
「白黒ダービー小史」
全住民が、白と黒のサッカーチームに分かれ、街をフィールドに延々と試合を続ける物語。
「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」
999本のルートのバスが止まるという停留所。いっこうに来ないバスを待ちわびる乗客達の狂想曲(?)(笑)
2020.3.30、集英社、2000円
第30回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作
【目次】
1.[愛のアトラス]
「タイピスト〈1〉」「代理戦争」「すべてはダニエラとファックするために」「愛のテスト」「本の挿絵」「アンジェリカの園」
2.[性のアトラス]
「測りたがり」「転校生・女神」「わた師」「ゾンビのすすめ」「No.121393」
3.[死生のアトラス]
「光り輝く人」「饗宴」「恥辱」「100万の騎士」
4.[文化のアトラス]
「激流」「A#」「糸学」
5.[都市のアトラス]
「チママンダの街」「機械仕掛けのエウリピデス」
6.[時のアトラス]
「時の暴君」
7.[世界のアトラス]
[アトラス・プルデンシア]
藤井太洋先生との対談で、翻訳紹介するなら「タイピスト〈1〉」が候補という話が出てましたが、私も賛成。小説の中に入り込むとか仮想現実にジャックインする話はよく見かけるのですが、小説の文章をタイプするタイピストに憑依して読者体験を得るという新機軸。どこからこういう発想が出てきたのだろう。もうひとつ、目にするモノは何でも長さを測らないと気が済まない男性を描いた「測りたがり」もお薦め。
“石川宗生『ホテル・アルカディア』刊行記念エッセイ”
高山羽根子先生の『ホテル・アルカディア』書評
児玉雨子先生の『ホテル・アルカディア』書評
藤井太洋先生×石川宗生先生の刊行記念対談 『四分の一世界旅行記』石川宗生著、千海博美装画
2021.4.30、東京創元社、1800円
【目次】「パスポートナンバー TK49494949の叫び」「落下の山村」「笑いを灯す人」「摂氏四五・一度の異邦人」「世界の終わりとアンダーグラウンド・モスク」「時の旅人たち」「浴室」「旅のゆくえ」「ポータブル・ブコウスキー」「オン・ザ・エンディング・ロード」
【特別対談】宮内悠介 × 石川宗生
旅行記なんですが、これがまたもの凄く面白い。石川先生のように世界各国を旅して回られた人は少数派だと思います。様々な国や人との出会いが少なくて、常々人生を損した気分がしている私のような出不精の人間が読むと、その損した気分を癒やしてくれる好著と言えます。
「春夏夏夏夏夏夏夏秋とうっ! 石川宗生の旅日記」Web東京創元社マガジン