『ほうれん草異聞 新・口中医桂助事件帖』和田はつ子著、洵装画
2024.10.9、小学館時代小説文庫、869円、Kindle版869円(税込)
藤屋桂助は、妻の志保、房楊枝職人で桂助の助手である鋼次夫妻と幕末にアメリカに渡り、最新の歯科医療を学んで帰国した。近代化を進める明治政府は、医学でも漢方から西洋医学への転換を早急に行おうとしていた。そのための医師開業試験が開設されることになり、桂助にも協力要請が長与専斎から届く。
巡査の金五が怪我をした少女を背負って駆け込んできた。少女は療養した翌朝、突然に姿を消し、金木犀の一枝が残されていた。最近市中では、評判の美人が暴行される事件が相次いで起こっていた。(第一話 金木犀禍)
腹部に傷を負った老人の治療を行なっていた桂助。そこに、孤児の正太を昼間面倒見てくれないか、と金五がやってくる。老人と正太が話を交わしたところ、正太はいなくなってしまう。(第二話 バニラの花)
速水公子より、速水家への招待があった。大旦那の速水万之助の意向という。桂助夫妻と鋼次が出かけて行ったが、そこで事件が。(第三話 ほうれん草異聞)
名前を明かさない患者が来ていたが、後に長与専斎と名乗った。あるべき口中医療の理想を伝える桂助。ある日、金五が女性の骸を運び込んでくる。(第四話 どんぐり巡査)
2024.5.21、(株)PHP研究所、990円、Kindle版850円(税込)
亡き夫の理想を継いで、卓越した腕で助産と日常の医療を手掛ける女医、お信。ある日、宮田という大物産医が不在だったため、容体が急変した大店の妻の出産に代理で携わることに。無事出産を終え、胸を撫でおろしたものの、その数日後、宮田が殺されてしまい、嫌疑がお信にかけられてしまう……。お信が巻き込まれる陰謀、そして産医として直面する生と死のドラマを描く時代医療ミステリー。 『至高の鳥膳 料理人季蔵捕物控』和田はつ子著、朝江丸装画
2024.7.11、ハルキ文庫、858円、Kindle版841円(税込)
塩梅屋が〝市中料理屋十傑〟の三傑に入った──日本橋は木原店の一膳飯屋塩梅屋の主・季蔵は弟分である豪助・おしん夫婦から瓦版を見せられた。
高級料理店でもないのにと、にわかには信じられない季蔵だが、常連客らが次々とお祝いの品を贈ってくる。
そんなある夜中、北町奉行の烏谷が、怒りと緊張が混じった表情で季蔵を訪ねてきた……。
季蔵はイサキ料理や鳥料理に腕をふるいながら市井の人々の幸せを守るため、烏谷らと共に命を賭して闘う。
二七〇万部突破の大人気シリーズ最新刊。書き下ろし。
『家族』、朝日文庫時代小説アンソロジー
2022.10.7、朝日文庫、902円、Kindle版792円(税込)
【収録作】
「誰に似たのか」中島要、「小夜の月」坂井希久子、「逃げ水」志川節子、「須磨屋の白樫」田牧大和、「雪よふれ」藤原緋沙子、「春北風」和田はつ子
『いやし 〈医療〉時代小説傑作選』宮部みゆき・朝井まかて・あさのあつこ・和田はつ子・知野みさき
2021.8.6、PHP文芸文庫、968円(税込)
藪といわれる小児医の三哲は、娘とともに高熱の子供の診療に出向くも薬を処方せず、追い出されそうになるが……「藪医ふらここ堂」(朝井まかて)、口中医の桂助のもとに、姫君の虫歯治療の依頼が来る。医者嫌いの姫君のため、呉服屋に扮した桂助だったが思わぬ事件に巻き込まれ……「菊姫様奇譚」(和田はつ子)他、書き下ろし作品「仇持ち」(知野みさき)など、江戸の医師たちを描いた五編を収録した短編集。 『花人始末 椿の花嫁』和田はつ子著、苗村さとみ装画
2023.1.15、幻冬舎時代小説文庫、759円(税込)
江戸で相次ぐ無差別の人殺し。手口は様々で、骸の傍には必ず一輪の白椿が置かれていた。阿片を手がかりに下手人に迫る、植木屋の花恵と活け花の師匠・夢幻。しかし花恵の父が襲われ、罠にかかった夢幻は瀕死に。人を操り、裏で糸を引く正体不明の敵を炙り出すために計画したのは、花恵と夢幻の祝言だった。花を一途に愛する二人の活躍が光る最終巻。
『鬼の大江戸ふしぎ帖 鬼が見える』和田はつ子著、山田タクヒロ装画
2015.8.20、宝島文庫、630円(税別)
定町廻り同心の渡辺源時は妹の誘拐をきっかけに、狼鬼、狐鬼、鳥鬼、蚊蜻蛉鬼……人間の姿で暮らす様々な鬼が見えるようになった。その昔、狼鬼である酒吞童子が、源頼光率いる討伐隊に成敗された。
その討伐隊・頼光四天王の子孫は鬼狩りが宿命となり、鬼の末裔たちと闘い続けてきた。源時は、この四天王の末裔だった。
『鬼の大江戸ふしぎ帖 鬼が飛ぶ』和田はつ子著、山田タクヒロ装画
2016.1.22、宝島文庫、630円(税別)
酒吞童子を退治した四天王の末裔は代々、鬼退治の使命を帯びてきた。
定町廻り同心の渡辺源時もその一人で、妹の危機に際し能力が開花、人の姿で暮らす鬼が見えるようになった。
狼鬼、狐鬼、蟻鬼、華鬼……江戸には様々な鬼が暮らしていた。源時は鬼と戦い、時に助け合って鬼と人の事件を解決していく。