『うどん キツネつきの』高山羽根子著、クリハラタカシカバーイラスト
’14/11/28、創元SF叢書、1700円
第一回創元SF短篇賞佳作
収録作:
「 うどん キツネつきの」
「シキ零レイ零 ミドリ荘」
「母のいる島」
「おやすみラジオ」
「巨きなものの還る場所」
創元社のサイン本販売でゲットしました。サインの左横のうっすらしているのは、同梱のお名前にちなんだ”鳥の羽根”です。
『原色の想像力 1』の項でも書きましたが、まあヘンテコな小説です。もちろんSFにおいてヘンテコというのは誉め言葉なんですが。ベイリー氏みたいなお馬鹿な(これも誉め言葉)話とはちょっと傾向が違いますが、変な話ということでは共通点があるのかな?(笑)
インタビューさせて頂くことが出来たら、そこらへんも聞いてみたいと思います。
以下ネタバレが入ってますので、fontの色を白に変えてます。反転させてお読み下さい。
「シキ零レイ零 ミドリ荘」
グェンさん:宙に浮く。体の中心が光る。
キクイムシは、喰い跡で叙事詩を紡ぎ出すのかも(笑)
犬=グーグルストリートビュー撮影車
「母のいる島」
優れた視覚神経とそれを活かす運動能力(投擲力とか)の遺伝子
落ちは、たぶん「数で上回る」(笑)
「おやすみラジオ」
情報の洪水を乗り切る方舟と希望を運ぶ鳩
3.11と怪情報・放射脳
「巨きなものの還る場所」
人の作ったでかいもんは、古くなると命を持つ・学天測
オシラサマ(女と馬の姿で一対のご神体)
田中舘愛橘(地震・地磁気の研究)
自分の居場所と一族を想う想い・国引き・沖縄返還・シャガール・3.11
魂は、自分自身の中ではなくて、所属している集団・場所にあるのでは。
凄くヘンテコだけどとても面白い短編集。ヘンテコなことが起きているんだけど、普通に日常生活はおくれるよ的なところあり。そういう点から言うと、北野勇作さんがお好きな方には大推薦。
共通の設定・背景があるかなと思い書き出してみましたが、あまり無さそうではあります。
ゆるやかな心地良いまとまり感はあるんですけどね。
しいて言うなら、SFでは良く語られる「人間とは、つまるところ情報である」という観点からすると、「巨大な情報はそれ自体が命を持つ」と(ビッグデータとは違うけど)
学天測とか巨大ねぶたとか巨大オシラサマとか。
「シキ零レイ零 ミドリ荘」でも何かがデータ集めているみたいだし。
「おやすみラジオ」では、怪情報自体が一人歩きして混乱をもたらしている。
「母のいる島」では、数(情報量)で勝負してるけど(笑)