『エンゼルフレンチ』<宇宙篇>藤田雅矢著、ウエタケヨーコ装画
2018.8.21、株式会社アドレナライズ、Kindle版、495円
「奇跡の石」(SFマガジン読者賞国内部門一位)
机の上のガラス瓶。そこにはドリスがくれた小さな雲母に似た半透明な結晶が入っている。あの姉妹は今はどうしているのだろうと私は思いをはせた。とある電機メーカーの、閉鎖になったエスパー研究所に所属していた私は、様々な超能力を持った人たちと出会う機会があった。ある時、東欧のロベリア共和国を訪ねる機会を得た私は、そこで類い希な能力を持った姉妹と出会うが……
「エンゼルフレンチ」
いつものようにミスドでデートしたすばるとダイチ。喘息持ちのダイチが宇宙飛行士に選ばれたというのだ。驚くすばるに、無人探査機にダイチの分身が搭乗するという計画を聞かされる。人工知能にダイチの個性が転写されるというのだ……
ミスドに始まりミスド終わるお話なんですが、なんとこれが壮大な宇宙空間と悠久の時の流れと愛情を紡ぎ出すという心温まる短編になっているとは!
「飛行螺子(ねじ)」
人力飛行機の制作にのめり込んでいた拓司は、どうにか大学の飛行工学実験棟に研究生として潜り込んでいた。そこで友達となったドルハンは、飛行機部品を主要輸出産品としていたマニ王国からの留学生だった。そのドルハンは、コップの中の紙切れを自由に動かすという不思議な手品を披露していた。そして、マニ王国に招待された拓司に明かされた驚愕の真実とは……
「地球の裏側」
アポロ8号が帰還の際に撮影されたとする画像、そこにはぼんやりした象の目らしきものが写っていたのだ。そしてアポロ十一号が撮影したのは、大地を支えている象の鼻や胴体、さらに三頭の象が乗っている亀らしきものだった!!
「こだま」
何年かぶりに田舎で林業を営む両親の元に帰ったダイキは、山がきれいになっていて驚く。山で働く父のところへ向かうと、どうも自動機械が山の手入れを手伝っているとのことだった。
「RAIN」
雨女・雨男を集めて雨を降らそうという組織にスカウトされた雨森益男の働きとは…… ラストの一行にずっこけると共に納得(笑)
「SHS88」
火星に繁栄をもたらすキーワード、それが「88」だった。火星に設置された八十八カ所の札所と、地球の四国遍路との関係とは……