SFファンジン・データベース(2021年度版)

「SFファンジン・データベース 2021」
SFファングループ資料研究会謹製
「高井信先生著者インタビュー」の際にも関連書籍としてご紹介した、森東作氏製作のデータベースです。
森東作さま、毎年ご苦労様です。ありがとうございました。

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「星群ノベルズ」「星群」(「星群の会」関連本)

「星群ノベルズ」の補足(文責:石坪光司)
インタビューにお答えした五号以降についてのトピックスをお伝えします。


「星群ノベルズ」5号
『塔と言う名の箱舟』では菅浩江さんの「ブルー・フライト」も掲載されており、故矢野徹先生の強い推薦でSF宝石1981年4月号SF宝石掲載に掲載され、それを期に大作家へと育っていかれました。



「星群ノベルズ」8号
『伝説・永劫都市』では、虚青裕さんが「影に満ちる領土の星」で1983年SFファンジン大賞創作部門受賞。その後SFA83年10月号同人誌推薦推薦作で掲載されました。またこの号では、故石飛卓美さんも掲載されています。



「星群ノベルズ」9号
『光の賢者』では、故石飛卓美さんが 「ミネルヴァの森話」で1985年SFファンジン大賞創作部門受賞。その後SFA85年4月号に掲載されました。またこの号では井上祐美子さん、小沢淳さんも掲載されています。



「星群ノベルズ」
10号『エデンの産声』では、山本弘さんが 「シュレーディンガーのチョコパフェ」で1986年SFファンジン大賞創作部門受賞。その後、プロとして大活躍されています。またこの号でも井上祐美子さん、小沢淳さんも掲載されています。



「星群ノベルズ」
12号『虚夢の風』では、土本鷲さんが 「ピエール・モンテ除霊記録」で1987年SFファンジン大賞創作部門受賞されています。



「星群ノベルズ」
17号『カライナに風は輝く』では、山崎竜史さんが 「カライナに風は輝く」が『宇宙塵』196号に掲載され、2000年SFファンジン大賞創作部門受賞されています。


このように「星群ノベルズ」から多くのSFファンジン大賞創作部部門の受賞者や大活躍されるプロ作家を産みだしました。
振り返って見ると、上記のうち17号を除く5冊は、アンソロジーのタイトルが全て私の作品でありました。
自己紹介にもありますが、第六回ハヤカワSFコンテストで最終候補作に残った時も、佳作ながら、その後見事に花開いたのは大原まり子さんでして、どうも他の人を後押しするような運命だったのかと、ふと思いました。
<石坪光司>

—————————ここまで————————–
その他にも、「星群」のトピックとなる号の書影を石坪さんから頂きましたので、以下に掲載します。
「星群」創刊号
記録として、“「SFマニア」等を発行した「超人類」の高橋正則が、村上栄次を編集者に据えて創刊した雑誌である。”との記述があります。



「星群」38号
矢野徹先生の対談、水鏡子先生のエッセイ、巽孝之先生のエッセイ、堀晃先生の対談、眉村卓先生の対談等々と盛りだくさんかつ本格的な内容。



「星群」50号記念特集号
創作7編として、石坪光司氏、川村滋氏、山本弘氏、嬉野泉氏、亀沢邦夫氏、石飛卓美氏、後藤俊夫の諸作品が掲載されています。



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「星群の会」関連本(FC探訪)


SFアドベンチャー誌、1980年12月号
表1の装画は生頼範義先生。相変わらず凄みがある。

表1の左下に“同人誌推薦作:石坪光司”と記されてます。
「塔<バベル-75>」石坪光司著、加藤直之イラスト
バベル-75、それは高さ1700mの巨大な閉鎖都市であった。中には数百層のフロアと、中央部には直径80mのスーパーシャフトと呼ばれるパイプが有り、そこからバベル-75の三千万人の住民に必要な物資が供給されるのだ。

眉村先生と荒巻先生の対談「SF作家への道」と荒巻先生の「SFの発想と作法―同人誌評 ハードSFをプロジェクトする」が掲載されており、両方で「塔」が取り上げられてます。特に後者では、6頁中2頁強が「塔」に関してです。



「星群 No.88」山崎隆史表紙画
椎原豊編集、2018.10.1
収録作:
「ああ遠州灘」雫石鉄也
「ガレージ・ワンダーランド」松本優
「つかのまの・・・・」椎原悠介
「肩こり腰痛水滸伝」雫石鉄也



「星群 No.89」山崎隆史表紙画
椎原豊編集、2019.4.1
収録作:
「雲上の言霊」「問題解決」石坪光司
「倉田看護師の手」「観覧車は回る」雫石鉄也
「吐息まじりで飴を噛む」松本優
「『輝』(かがやき)」篁はるか
「前号批評」伊藤猛



「星群 No.90」山崎隆史表紙画
椎原豊編集、2020.1.10
収録作:
「幻影団地の風」「遅れた男」「十三・・・四」石坪光司
《食堂ジンベイ メニュー その1》
「ダンブツオオデンキウナギの蒲焼」「かぜひきサンタ」「風待草」「三角頭のサンショウウオ」雫石鉄也
「薔薇マチルダ」「逃亡」「魔女の棲んでいた穴」倉見和直
「青っぽい夜明け」松本優
「モデル」篁はるか
「前号批評」伊藤猛



「星群 No.91」山崎隆史表紙画
椎原豊編集、2021.2.10
収録作:
「夢言葉」石坪光司
〈ショートショート3選〉
「ひとまる鉄道」「くっしゃみ金メダル」「雨中の戦士」雫石鉄也
《食堂ジンベイ メニュー その2》
「シングルモルトウィスキー イブキ二十五年」雫石鉄也
「ピストル・ナイト」松本優
「彼の最初の有益な仕事」「三番目を予想する」椿廣子
《山尾健 民族伝説SFシリーズ》
「山岳山羊率いて」青木春樹
「名知らぬ花」「早春」「ストライプの雨」倉見和直
《呪い神社 ~》
「家内安全・疫病退散・呪い成就」三吉直子
「強い女は隣にいる」篁はるか
「エッセイ ただのおやじ日記」速水正仁
「エッセイ コロナ戦記」伊藤猛
「前号批評」伊藤猛


「星群の会」ホームページ(ここから「星群」購入できます)

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岡本俊弥先生著者インタビュー関連本

岡本俊弥氏の著作には、最新の知見を基にしたコアSF系の短編と、幻想色の濃いファンタジー系の短編がありますが、その境はシームレスに繋がっている感じです。
“新しい酒は新しい革袋に盛れ”とは、よく聞く警句の一つですが、岡本俊弥氏のSF系短編は、“新しい酒を古い革袋に盛る”ことで成功している珍しい例だと思います。SFは扱う題材が題材だけに、あまり懲りすぎると“宇宙人を抽象画で描く(©今岡清)”ことになるので、ひょっとしたらSFにおいては違う意味の警句になるかも。
そんな中でも、特にSFファンにお薦めなのは“機械の精神分析医”シリーズ。 主人公は、機械の故障解析を行う調査会社に属し、一般には”Behavior Analyst of Things:BAT”通称“機械の精神分析医”と呼ばれる。(以下BAT)
設定の解説としては、“「深層学習」はプログラムではない。仮想的なニューロ・ネットワークによるパターンマッチングが基本なのだ。数式を解いて答えを出しているわけではない。そういう機械の内部動作を、手続き型のプログラミング言語のようにデバッグすることはできない。機械がなぜそうしたのかを知るために、機械専門のアナリストが必要になる。”(以上引用)
以下、ネタバレのところは白いフォントにしていますので、未読の方は無理に見ようとしないで下さい(笑)
また、これだけの内容とページ数がありながら、380円という価格はコスパ抜群だと思います。Kindleアンリミテッドの会員の方は無料で読めますし。
「岡本ワールド」、お薦めです。

『機械の精神分析医』岡本俊弥著 2019.7.7、スモール・ベア・プレス、Kindle版、380円
収録作:
「機械の精神分析医」BATシリーズ
無人軍用機が事故を起こし、事故の原因として、インテリジェント・ボルトが疑われる。極めて限られたセンサしか持たないIoTボルト内のストレージに、なぜか「酷薄な笑みを浮かべる金髪の少女」の画像が紛れ込んでいたのだ。
「機械か人か」BATシリーズ
TOP500の一位である国産スパコン「垓」での創薬研究に従事する研究者から楳木に依頼が届く。「垓」内部からの、出所不明の救いを求めるメッセージが届いたというのだ。「垓」は、物理シミュレーションで感染症に有効な薬を瞬時に探すこともできる能力がある。
(この方法は、新コロナウィルスに合致したmRNAを製造する過程と同じだなあと思ったいたらインタビューでも言及されてます。以下ネタバレあり)
実はその「垓」と「量子コンピュータ」を結合させて兵士のスーパー脳を開発するプロジェクトでの出来事だったのだ。というわけで、題名の「機械か人か」は二重三重の意味を持ってくる。
「にせもの」BATシリーズ
人事部に、VR面談で採用予定の人間が、実在の人間ではないのではないかとの垂れ込みが寄せられた。(以下ネタバレあり)
電子的に生成された魅力的な人間のアバター(実在はしてない)の事案。機械知性なら、最も人間性を発揮する模倣ができ、年期を積んだ人間ほど簡単にだませる。なぜなら経験こそが機械学習のポイントだからだ。←なんとそうなのか!
「衝突」BATシリーズ
AIによる自動運転のドローン同士の衝突事故の話。自動運転車に搭載されたAIが「トロッコ問題」をどう解くかというと、八島游舷先生の星新一賞受賞作「Final Anchors」もありますが、あちらが理知的な構成とエモーショナルな展開であるのに対して、こちらは、本質的でクールであると言えると思います。。
「シュムー」BATシリーズ
倒産寸前の企業を買い取り、AI導入により事務職員を極限まで減らし利益がでるようにすることによって収益を上げて大きくなった会社からの依頼。
「シュムー」とは、入力と応答とのマップを多層に積み上げていくと、三次元の図形 が見えるようになる、それをシュムーと呼ぶ。(以下ネタバレあり)
赤字になった会社の欠陥をそのまま引き継いだAI化された会社は、更なる劣化も凄いスピードで進むというのはなんか本当ぽく聞こえる。
「マカオ」
急なマカオへの出張命令。それが総ての発端だった。チケット料金の関係で弾丸ツアーとなったその出張は、マカオのカジノリゾート誘致のプロジェクト絡みであった。
「人事課長の死」
AIによる多方面からの人事評価、その結果は絶対だった。今まで肩を叩く側だった人事課長は、ある日解雇を告げられる。そうして次に就くべき職業はアクターだと告げられる。(以下ネタバレあり)アクターといっても、AIが書く小説の肉付けに使われる経験・記憶を提供する役回なのです。

「ノンバルとの会話」
ノンバルは、道路標識を思わせる形をした会話を主体とするコミュニケータの一つ。収集した仕草や顔の表情・声から相手の感情の動きを読み取り、相手に最も適した声質と適切な相づちによって、人の情動を操ることが出来る。そのノンバルが引き起こした思いもかけない災厄を描く。
「摩天楼2.0」

旧来の友人から、自宅に招待したいと連絡が届く。そこは摩天楼と呼ばれる神戸にある高さ2.5kmにも及ぶ超高層建築の中だった。
「ビブリオグラフィ」
主人公が、亡くなった父親の住居に立ち寄り書架を見ていると見慣れぬ本に気が付く。記憶に関する研究をしていたエンジニアである父にしては珍しい本だ。『黎明期の階』と題されたその本は、BNFである父が書いた評論集でもあり、そのジャンルの体系的な資料集でもあった……(以下ネタバレあり)
還暦を迎えてまだ四年目の父が亡くなったとあるので、ほぼ現在の岡本俊弥氏の年齢と同じと思われる。しかも人工知能技術による“もうひとつの人生”生成の研究


『2038年から来た兵士』』岡本俊弥著、Photo by HIZIR KAYA on Unsplash
2020.1.24、スモール・ベア・プレス、Kindle版、380円
収録作:
「二〇三八年から来た兵士」
混雑する都会の地下鉄に突然自動小銃を持ち出現した老人は、自らを日本共和国の兵士だと言うのだが……(以下ネタバレあり)
若者VS老人の対立をエスカレートさせた作品。老人は生産性が無いから要らないというのは、昔から姥捨て山とかあって、それがない時代の方が短いかもです。平谷美樹先生にも同じ題材の『でんでら国』という傑作がありますが、岡本先生の描く世界はもっとアナーキーなようです。
「渦」
微生物量産化に取り組むベンチャー企業の開発者は、世界の異常気象をチェックしてブログに上げるのが趣味だった。(以下ネタバレあり)
プラスチックを分解する微生物と、異常気象を俎上に上げて料理した作品。この着想は鋭い。限界生物に詳しいというと長沼毅先生。極限環境(熱水火口も含む)にも色々な微生物が生息していて驚くばかり。藤崎慎吾先生は、マントル菌とか電気を喰う菌(地震を起こす菌)とかネタにされてましたね。
「汽笛」
少年が見たその蒸気機関車は、何軸もの動力輪を持った巨大なものだった。巨大な蜘蛛にも似た機械によって、異星人が支配するホロコースト後の地球。既に支配者と人類の穏やかな関係(人類側から見れば諦めの境地)が続く世界でのボーイミーツガール。
「水面」
起きたらそこは水底だった。屋根のはるか上で、光が揺らめく水面の意味する異変とは。(以下ネタバレあり)記憶や人間の精神活動は、われわれが考えるほど崇高なものではないのではないかという岡本先生の考えが良く出ている作品。わかっちゃいるけど、もの悲しい。
「ザ・ウォール」
ある日出現した壁は、日本全土を壊滅させ、残った人々の生活をも激変させる。(以下ネタバレあり)小松先生の『物体O』のような話。しかし生きている限りは働いて生きる糧を得なければいけない。ラストに現在の実際の状況が示唆されるが、それはあまりにも暗い未来を指さし示すのみ。
「五億年ピクニック」
夜のオフィスで受けた怪しい電話は、火星不動産のデベロッパー業者からの勧誘だった。年代を区切って、火星にたった一人だけ住むというその案件の本当の目的とは。
「消滅点」
ある日突然発生した爆縮による猛烈な突風と今なお続く強烈な電波障害。壊滅したN県にあった自宅と家族の安否を確認するために、立ち入り禁止区域に入った男の見たものとは。
「梅田一丁目明石家書店の幽霊」
かつて梅田一丁目にあった書店の直営の喫茶店では、趣味を同じくするモノ達がよく定例会を開いていた。そこに出没する林田という戦前のパルプ雑誌に詳しい年齢不詳の男が居た。
「流れついたガラス」
大学新入生の主人公は初めて小説を翻訳する。ディレーニイの「ドリフトガラス」とか、チャーリー・ブラウンとか懐かしいし単語が(笑)海外のファンジンというと、小谷真理女史が頒布されていた「SF-Eye」というのを購読していました。まあ英語だし、内容はほとんど読んではなかったのですが、毎年郵便局から送金していたのは覚えてます。見知った作家の名前のところだけ拾い読みしていた(汗;)
「あらかじめ定められた死」
遺伝子情報等で、人間の寿命の予測が付くようになった時代。18歳になると総ての国民に、あと何年生きられるかの予測情報が届けられるのだ。


『猫の王』』岡本俊弥著、Photo by Hannah Troupe on Unsplash 2020.7.24、スモール・ベア・プレス、Kindle版、380円
収録作:(ネタバレ部分は白いフォントにしてます)
「猫の王」
ある猫の王のお話。猫好きな人にはたまらない話でしょう。
「円周率」
円周率が書き込まれているDNAメモリを人体に埋め込む治験に参加した男の話。(以下ネタバレあり)PCにある程度詳しい人なら、首筋が薄ら寒くなる展開と納得の落ちではあります。
「狩り」
小学校から高校時代と、主人公が気になる女の子は魅力的な尻尾が生えていた。(以下ネタバレあり)岡本俊弥版「カンタン刑」の趣もありますね。ブルブル。
「血の味」
インドで開発された合成肉は、組成からして本物の肉と同じものだった。ライセンス料が安いこともあり、やがてその肉は市場を席巻する……。(以下ネタバレあり)そこには、食肉を好む国(人々)への隠された落とし穴が隠されていたのだ。
「匣」
年老いたコレクターが建てた巨大な書庫。行方不明になった主を探して調査に訪れた市役所職員たちが見たものは。(以下ネタバレあり)解説で大野万紀先生が、ネタ元は水鏡子先生の書庫であると暴露されてます。凄いなあ。石原藤夫先生のところの書庫も相当なものでしたが。
「決定論」
世の中総てにおいて決定論的な思想が支配する社会。それを少なからず疑問に思う主人公は、ある日前頭葉前野に不可思議な器官が存在していることを知るが……。
「罠」
あたりまえの日常を送る主人公は、朝の通勤途上「見えない壁」に行く手を阻まれる。
「罠」は、岡本先生の小説に趣向を変えて何回か出てくる、機械知性←→人間の意志・意識の話です。
「時の養成所」
荒涼とした谷間に、ヒト族のための養成所が設けられている。そこでは専門の指導者たちが時を司る特殊官僚を養成していた。
「死の遊戯」BATシリーズ
失業したプロのゲームアスリートが、謎めいたゲームにリクルートされる。聞いたこともないゲームシステムだった。何重にも重なりあったゲーム世界と現実世界。そこで起こった出来事はいったい……

『千の夢』』岡本俊弥著、Photo by Jakob Owens on Unsplash 2021.2.24、スモール・ベア・プレス、Kindle版、380円
収録作:
「千の夢」
新商品ステラは、共感覚センサーを用い個人の感情の起伏を記録する情報端末だ。『千の夢』の中で一番好きな作品。(以下ネタバレあり)ただ記録するだけでは無く、その記録から肯定的な物語を紡ぎ出し、それを聞かせることによってストレスを軽減し精神の静謐を保つ機能があった。社運を賭けて売り出してみたものの、ステラが巻き起こした驚くべき皮肉な結末とは…… 構成とか展開の仕方によって、どうにでも結末づけられるネタなんですが、あくまで会社と社員にこだわっているところが岡本先生らしい。仕様を変えれば個人用ドラレコみたいな用途にも使えそうだし、悪用すれば洗脳にも使えそうだし。
「呪い」
画期的な発明を産むはずの研究所から提案されるのは、怪しくて使い物にならないか捨てられた特許と同類のものばかり。それがある時期から急に……
「瞳のなか」
会社で重大な決断を迫られる時期、その度にある女性が現われ取引に関する核心を突くアドバイス告げるのだが……
「遷移」
集合論的定義をされた登場人物達が意味するものとは……ストレスに満ちたある職場で、登場人物の周囲の人たちの定義が次々と入れ替わっていく。一番面白かった作品。定義の仕方が一般意味論的というか、ヴァン・ヴォクト的というか。ニューウェーブ的でもあり面白いですね。インタビュー本編でそこらあたりもうかがっています。
「同僚」
地方のインフラを集約した中核市で、一人の男と同僚の女が何気ない会話をする。
「シルクール」
アフリカの聞いたことも無い国の製品が急に目に付くようになる。それは次々と姿を変え、やがて無視することの出来ない潮流となる。
「瞑想」
社内SNSでの誹謗中傷を見つけたあと、主人公は法衣を着たコンサルタントのカウンセリングを受ける。
「抗老夢」
無駄な生を生きる意味があるのか、一人の科学者の提言はさまざまな波紋を広げていく。「見えないファイル」
ジャンク屋で見つけたパソコンから、男が隠したはずの過去が湧き出してくる。
「ファクトリー」
謎のライバル会社の実態を探るため、現地に乗り込んだ主人公は、たらい回しにされたあげく意外な場所にたどり着く。
「侵襲性」
VR式のトレーニングジムに通ううちに、男は仮想コースを走るトレーニングの爽快感に取り憑かれてしまう。
「陰謀論」
主人公は若い女性管理職だったが、部下のうだつの上がらないベテラン社員から予想外の相談を受けることになる。

『豚の絶滅と復活について』『豚の絶滅と復活について』岡本俊弥著、Photo by Tishine Ndiaye on Unsplash
2021.9.18、スモール・ベア・プレス、Kindle版、380円
収録作:

「倫理委員会」
(問題視されぬ前の自主規制)倫理委員会の議事録を書く仕事。そこだけ見れば普通の仕事に思えますが……
「ミシン」
ミシンとは、脳内のネットワーク電位を探るために開発された極細プローブを埋め込む機械です。
「うそつき」
アシスタントというAIパートナーに誰もが頼り切る時代。ユーザーとアシスタントの間に生じた齟齬の原因は…。アシスタントの呼び名の例が「ワトソン」とか「マイクロフト」とは?我々の年代のSFファンなら、まず『月は無慈悲な夜の女王』を思い出して、こいつは有能に違いないと信用しちまうかも(汗;)
「フィラー」
著作物付帯権利保護法。鬼籍に入った俳優をデジタルで甦らすとき、日常動作の不自然さを払拭するために俺たちフィラーが登場する。
「自称作家」
どこにでも居る売れない自称作家が、ある契約をしたとたん信じられないことが起きたのです……
「円環」
一人の男が同居する友人と、知識を持ち生まれ、それを失っていく人生と、知識ゼロで生まれ次第に知識を獲得していく人生について語り合います。
「豚の絶滅と復活について」
牛豚鶏が絶滅して肉食が不可能になった世界。市場に効率よく時間をかけないで肉を提供する手段に隠された秘密とは……
「チャーム」
周囲に影響を及ぼす特殊能力チャームの力をつきつめていくと。
「見知らぬ顔」BATシリーズ
入国拒否されたミャンマー人の弁護士からの依頼。分析した入国管理局のデータには、隠された秘密が……。
「ブリーダー」
アプリ動物を育てる実験に使われているのは機械知性だと思われていたが、実際は…。
「秘密都市」
若い頃雑誌のライターをしていた主人公の元に仕事の依頼が来る。調べていくとロシアが得意とする技術が日本に漏出したようなのだ……。

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『眉村卓の異世界通信』関連本

『眉村卓の異世界通信』「眉村卓の異世界通信」刊行委員会編集
2021/6/30、オンデマンド版、1980円
●第一章 父のこと
眉村先生(藤野恵美)/そして。眉村さん追悼(谷甲州)/ 眉村さんのこと(円城塔)/ その果てを知らずについて(小林龍之)/父のこと(村上知子)
●第二章 眉村さんのこと
秋 あきら/芦辺拓/綾崎隼/石黒みなみ/石坪光司/上田早夕里/江坂遊/大熊宏俊/岡本俊弥/川端由香里/木下昭南/木下充矢/上坂京子/児島冬樹/小浜徹也/小林まゆみ/斎藤晋/佐倉希望/椎原豊/雫石鉄也/芝崎美世子/清水杏奈/菅浩江/瀬戸みゆう/妹尾良子/高井信/髙鍋學/竹本健治/田中和子/田中哲弥/CHARLIE/中西秀彦/中野和代/橋元淳一郎/浜田美鈴/林譲治/柊たんぽぽ/緋色比加ル/東野尚子/深田亨/福田和代/藤本あずさ/牧野修/まこと/まつもと みか/真弓創/深山 孝/森香奈/森岡浩之/盛田千里/山崎好志子/山本由樹/山根啓史/渡邊純代/和田宜久
(眉村卓にちなんで寄せられた文集、著者名五〇音順に掲載)
●第三章 SF作家・眉村卓の六十年
SF作家・眉村卓の六十年(山岸真)/ 詩とは何かと問われたら(山田兼士)/眉村卓の初期詩篇について(服部誕)/ 眉村卓さんのこと(祝井堅太郎)/日生を訪ねて――峠からヨータイ日生工場へ――(堀晃)/澤田郁子さんに聞く コピーライター時代の眉村卓さん/対談 眉村さんの光輪(田中啓文×北野勇作)/ インタビュー村上知子さんに聞く
●第四章 夢まかせ
夢まかせ(単行本未収録短編全文掲載)/卓通信 全10回全文掲載
●第五章 眉村卓著作リスト
眉村卓著作リスト・眉村卓著作リスト解題(岡本俊弥)/眉村卓映像化・ラジオ化作品リスト(石坪光司)
眉村卓さんの葬儀会場には、久しぶりに顔を合わせるグループが幾つか出来上がりました。誰からともなく、いつか「偲ぶ会」を開きたいという空気が生まれたのもこの時です。
しかし、年が明けてからの新コロナ禍で、一周忌での開催は見送らざるを得ません。今年になっても終息の気配はなく、三回忌に併せての開催も難しい情勢です。リアルな世界で眉村ファンが語り合うイベントは不可能な時代になったのかもしれません。
ひそかに結成されていた「眉村さんを偲ぶ会」実行委員会(仮)は「眉村卓の異世界通信」刊行委員会と改称し、当面の活動目標を記念誌の発行に切り替えました。
異世界通信とは、長年眉村さんが続けた異世界との交信記録であり、異世界にいる眉村さんへのファンからの送信でもあります。多くの方に賛同いただき本書が刊行できました。(本書のまえがきより抜粋)

『チャチャヤング・ショートショート・マガジン9 追悼・眉村卓先生』
小野霧宥/和田宜久/柊たんぽぽ/雫石鉄也/岡本俊弥/野波恒夫/深田亨/大熊宏俊/南山鳥27/ミラディス・ジョアン (著)
2020/2/10、チャチャヤング・ショートショートの会、Kindle版、99円
70年代初頭、関西地区で放送された深夜ラジオ番組「MBSチャチャヤング」、その木曜日担当パーソナリティが、当時36歳新進気鋭のSF作家であった眉村卓さんでした。
パーソナリティがそんな方でしたから、自然発生的に「ショートショートコーナー」が生まれ、 リスナーが競ってショートショートを投稿し始めます。
毎週優秀作が発表され、眉村さんが朗読して下さいます。番組が終了しても、メンバーは眉村邸に集い、爾来幾星霜、断続的に同人誌が発行されます。そして今世紀になって創刊されたのが、当誌《チャチャヤング・ショートショート・マガジン》ということになるのですね。
その眉村先生が昨年(2019年11月3日)、85歳で亡くなられました(合掌)。 よって本号に会員の追悼文(ほぼ思い出話)を掲載し、追悼特集号とします。

『チャチャヤング・ショートショート・マガジン10 眉村卓先生一周忌追善号』
野波恒夫/岡本俊弥/和田宜久/深田亨/雫石鉄也/柊たんぽぽ/大熊宏俊 (著)
2020/10/5、チャチャヤング・ショートショートの会、Kindle版、99円。
眉村先生が亡くなられて早一年。一周忌にあわせて、先生が病床で死の直前に完成された最後の長篇小説が、10月20日(先生のお誕生日ですね)刊行されますが、当会もその驥尾に付し、当号を「眉村卓先生 一周忌追善号」と銘打ち、70年代後半に開催していた先生を囲んでの勉強会「銀座会」の記録を収録の上、こちらはご命日の11月3日付にて発行します。


『その果てを知らず』眉村卓著、講談社、2020.10.20、1500円
2019年11月に逝去された故眉村先生の遺作
今から60年以上前、大学を卒業して会社員となった浦上映生は文芸の道を志し、SF同人誌「原始惑星」や創刊されたばかりの「月刊SF」に作品を投稿し始めた。サラリーマン生活を続け、大阪と東京を行き来しての執筆生活はどのように続いていったのか。晩年の彼が闘病しつつ創作に向き合う日常や、病床で見る幻想や作中作を縦横無尽に交えながら、最期に至った“この世界の真実”とは。

作中にマシスン作の『縮みゆく人間』に言及する場面が出てくるんですが、私がこの本を読んだときの感想そのままで、なんかジンと来ました。見ると早川の銀背で”3201″番なんですね。もっと古いかと思っていました(S43年11月。ちなみに”3001″は『盗まれた街』)
あと陰陽師を祭った神社に参拝するシーンがあり、これもお年始とか七五三で参拝する地元の神社にも、安倍晴明の墓があるのでなんかご縁を感じました……


作詞:相田毅
作曲:堀内孝雄
編曲:川村栄二
歌:堀内孝雄
発売:2012.5.9
堀内孝雄の1年振り(2012年時)となるシングル。作詞家・相田毅が作家・眉村卓夫妻のニュースをヒントに2008年に作詞、堀内孝雄が曲をつけた、久々にやや演歌調の楽曲。

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町井登志夫先生著者インタビュー関連書籍

#mce_temp_url#『量子少女(クォーク・ガール)1』

『量子少女(クォーク・ガール)1』町井登志夫著、Dick Thomas Johnson写真
2017/11/7、アドレナライズ、kindle版、770円
藤川コスモ。うちの高校でトップクラスの美少女だ。彼女に関してはいくつも都市伝説が生まれていた。中でも極めつきなのが、別名“量子少女”。彼女は「観察不可能」だという。クラスメイトだったはずが、なぜか次の日には隣のクラスにいる。ただ、そんな気がするだけで、誰も不思議には思わない。なぜなら、世界が変わると同時に、みんなの記憶も入れ替わってしまうのだから。だけどある日、ぼくは気づいてしまった。コスモが変えた世界を“縫う”ことで修復している少女・斉藤真綾に出会ったことがきっかけだった。

『量子少女(クォーク・ガール)2』

『量子少女(クォーク・ガール)2』町井登志夫著、Dick Thomas Johnson写真

2019/11/1、アドレナライズ、kindle版、770円

藤川コスモ。彼女は右手を振るだけで世界を変える。今まであったものはなかったことになり、今までなかったものがこの世に突然出現する。それが彼女の生まれついての特殊能力だ。不審な男たちが学校の周りをうろつくようになった翌日、突然、コスモと連絡が取れなくなってしまった。時空の歪みを修復できる斉藤真綾と、量子の波の影響を受けない犬飼研の二人は、コスモの行方を案じて捜索を開始。しかし彼女は、極秘の国家プロジェクトに協力するため、岩手県にある地下研究施設に保護されていた。


『電波次元の巫女』

『電波次元の巫女』町井登志夫著、稲荷茶緒デザイン

2017/9/5、アドレナライズ、kindle版、770円

大平淳一は地味で平凡、クラスの中でもまったく目立たない高校生。念願のスマホを手に入れたものの、友達がいないので誰からの着信もない。それどころか、彼のスマホにだけ異変が起き始めた。原因がわからず混乱していると、芸能界でも活躍する学校一の美少女・純夏(みか)が声をかけてきた。彼女に半ば強引につれられてやってきたのは特殊な病院。ベッドの上には、事故で寝たきり状態となり、生命維持装置や様々な電子機器に繋がれた一人の少女・深秋(みあ)。彼女は警告した、「あなたのスマートフォンの中に“何か”がいます」そして彼女こそ、世界を覆う“異変”に気づいた最初の人間だった…。

『生き髪』

『生き髪』町井登志夫著、Petras Gagilas写真

2018/2/1、アドレナライズ、kindle版、770円

気は強いがその美しさゆえに街中の視線を集める女・リエ。彼女を巡って、巨躯の筋肉男・中島、天才的な格闘センスを持つ優男・浦浜は、台風が吹き荒れる海岸で拳をまじえる。だがその頃、三人が通う“瀬島大学”では異変が起きていた。頭に茶髪を突っ立てた講師や学生が現れ、ふらふらと歩き回っている。変なカツラでも被っているのか、とバカにする周囲の者たち。だが、彼らは後悔することになる。その茶髪は、次々と人間たちを襲い始めたのだ…!

『スキール・クィーン』

『スキール・クィーン』町井登志夫著、Robert Moran,Yupeng Wu写真

2018/3/26、アドレナライズ、495円

伊月亜希子はごく平凡な女子大生。軽自動車であるスズキのKeiが愛車である。ある夜、咄嗟に繰り出した慣性ドリフトで、親友ユリを襲った人身事故を未然に防いだ。その瞬間を目撃した「キラー・クィーン」のリーダー、鷺島麗に声をかけられる。「私たちと“バトル”をしなさい。負けたら言うことを聞いて」……なんと彼女たちは、走り屋の間ではカリスマ的な人気を誇る日本屈指のレースチームだった! デパートの立体駐車場で、愛知県警前で、長久手の峠道で、熱い「バトル」が始まった。ユリの恋人和宏が所属する走り屋チーム「名古屋式」と「キラー・クィーン」の抗争に巻き込まれた形になってしまった亜希子。だが、嫌々ながらもハンドルを握る彼女のドライビングテクニックは、本物だった!

『ミューズ叢書<4>SF往復書簡』町井登志夫・上田早夕里共著

2018.2.10、オフィス・トリプルツー、Kindle版、440円

作家同士が行ったメール対談の記録。今回は町井登志夫と上田早夕里。ふたりとも小松左京賞出身で、小松左京賞の話や創作論、SF・映画・漫画の話など。後半には『電波次元の巫女』『量子少女』『破滅の王』などの執筆にまつわる対談もあり。


《婚活!フィリピーナ》
町井登志夫著、レイチェル・西,丸山真理絵
小学館電子書籍、各巻220円、honto電子書籍
書影は、19~30巻。
《婚活!フィリピーナ》の前回のインタビューはこちら

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橋元淳一郎先生著者インタビュー関連本


『空間は実在するか』橋元淳一郎著
2020.12.12、集英社インターナショナル新書、840円
【第1章 相対論がわかれば、時間と空間の不思議がわかる】
相対論なくして文明生活は送れない
【第2章 光速で動けば時間は止まる】
ロケットに乗った人から相手の時計を見ると?光速は誰から見ても一定
【第3章 さらに不思議な一般相対論】
加速し続けるロケットは光速に迫れるか?時間と空間は幻影である
【第4章 空間と時間の哲学的考察】
空間と時間はこの宇宙の「器(うつわ)」心の中に空間はあるのか?
時間は流れない?未来からの光はなぜか届かないパラパラ漫画はなぜ動くのか?
【第5章 物質と生命の狭間】
拡散した赤インクは元に戻るか?不可逆現象と時間の矢。モノの動きは記憶が生み出す
【第6章 生命と時間の流れ】
時間は生命の中に過去と未来は峻別されているのか?生命は負のエントロピーを食べる。最初の生命が生まれた環境。オートポイエーシスに欠けている時間の発見
【第7章 物質が空間を作り、生命が時間を創る】
万物の理論宇宙の階層構造。無意識と自己意識の階層構造。ふたたび実在と幻影(イリュージョン)について。未来からの光が見えない理由?



《SF・サイエンス・エッセイ》
◆第1巻『プラトンの洞窟』
◆第2巻『エピキュリアンの夢』
◆第3巻『デカルトの亡霊』
◆第4巻『幻想の永劫回帰』
◆第5巻『モナドあるいは唯識』
◆第6巻『主観というブラックホール』
◆第7巻『神と科学の退場』
◆第8巻『超知性原理』


生物と無生物の間『生物と無生物の間』福岡伸一著
2007.5.20、講談社現代新書、740円
生命とは、実は流れゆく分子の淀みにすぎない!?
「生命とは何か」という生命科学最大の問いに、いま分子生物学はどう答えるのか。歴史の闇に沈んだ天才科学者たちの思考を紹介しながら、現在形の生命観を探る。ページをめくる手が止まらない極上の科学ミステリー。分子生物学がたどりついた地平を平易に明かし、目に映る景色がガラリと変える!
構成が、ワトソンの『二重らせん』に似ている。著者の心象風景から、動的平衡の概念にたどり着くまでを描いた。


福岡伸一、西田哲学を読む

『福岡伸一、西田哲学を読む 生命をめぐる思索の旅』
池田善昭・福岡伸一共著
2020.12.1、小学館新書、1200円
「動的平衡」をキーワードとして、「生命とは何か」を鮮やかに、且つわかりやすく紐解いた福岡伸一が、日本が生んだ哲学の巨星・西田幾多郎の思想に挑む!
難解で知られる西田哲学と格闘する姿を追ううちに、読む者もいつしか科学と哲学が融合する学問の深遠へとたどり着ける画期的なベストセラーを新書化。
生物学者の福岡伸一氏が、西田研究の第一人者である哲学者の池田善昭氏と対談するという形式で、生命について考察する。


西田幾多郎の実在論 AI、アンドロイドはなぜ人間を超えられないのか

『西田幾多郎の実在論 AI、アンドロイドはなぜ人間を超えられないのか』
池田善昭著
2018.7.31、明石書店、1800円
世界は存在するのか、しないのか。生命とは、人間とは何かーー西田幾多郎の哲学は世界のあり方を根源から問う実在論であった。行為的直観、自覚、絶対無の場所、絶対現在、永遠の今、絶対矛盾的自己同一といった西田独自の概念を、生命論を手がかりに考察することを通して西田哲学と一体化しつつ、自身の思索を深化させる池田哲学の真骨頂が展開する。ピュシス(自然)の発する声に耳を傾けた、『福岡伸一、西田哲学を読む』の続編。

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平谷美樹先生著者インタビュー関連本・リンク

『鍬ヶ崎心中』書影
『鍬ヶ崎心中』平谷美樹著、中島千波装画
2018.3.12、小学館、1700円
2018年、維新から150年。
『鍬ヶ崎心中』の舞台は盛岡藩宮古。鳥羽伏見に端を発し箱館戦争に至る旧幕府と新政府が死闘を繰り広げる戊辰戦争の最中、宮古湾鍬ヶ崎で、幕府の復活を信じて最後の死に場所を求める青年・和磨。その一途な志を抱く男の姿に心を寄せる女郎・千代菊の悲しい恋の物語。最後に待ち受ける二人の運命が、ただただ眩しく神々しい。
震災から7年となった宮古の地。いにしえから脈々と人々が息づいていたことを、世に知って欲しいという著者の思いが伝わってくる。
2021年に出た文庫版(電子版)の表紙、たぶん和磨と千代菊、素敵だとは思うのですが、ちょっと美人&格好良すぎ(笑)


書評リンク
縄田一男先生
『大一揆』
『鍬ヶ崎心中』
《採薬使 佐平次》
『義経暗殺』
『柳は萌ゆる』

雨宮由希夫先生
『大一揆』
『草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 名月怪談』

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平谷美樹先生著者インタビュー関連本(怪異・伝奇系)

《百夜・百鬼夜行帖》シリーズ「冬の蝶」「台所の龍」「花の宴」「化人の剣客」「漆黒の飛礫」「魔物の目玉」「春な忘れそ」「薫風」「あかしの蝋燭」「勝虫」「慚愧の赤鬼」「義士の太鼓」

『萩供養 ゴミソの鐵次調伏覚書』平谷美樹著、森美夏装画
2012.8.20、光文社時代小説文庫、533円
「萬相談申し受け候」湯島の裏店にかかる看板。
ゴミソの鐵次が住む貧乏長屋だ。ゴミソとは、津軽言葉で占い師のことを言うが、持ち込まれる相談は、亡魂の障りや憑物祓いが多かった。長身に長羽織、手には独鈷杵。人に仇なす亡魂を祓いつつ、かれらの悲しみや無念を背負ってやるのだ。江戸を舞台に、北の陰陽師・鐵次が魅せる妖かし調伏。

「雛懺悔」「鈴虫牢」「萩供養」「おばけ長屋の怪」「傀儡使い」「妖かし沼」「夜桜振袖」「百物語の夜」


『お化け大黒 ゴミソの鐵次調伏覚書』

『お化け大黒 ゴミソの鐵次調伏覚書』平谷美樹著、森美夏装画
2013.2.20、光文社時代小説文庫、648円
浅草寺の歳の市に、奇妙な大黒売りが現れた。店先に十ばかりの大黒天を並べているのだが、「売り物ではござらぬ」という。顔を隠し侍言葉を使う男は何者なのか?。そして、その目的は?
鐵次は煤けた大黒天に秘められた奇怪な謎に迫ってゆく(表題作)。北の陰陽師が、イタコの美少女・百夜や戯作者で相棒の孫太郎らとともに、幾多の怪異に立ち向かう。
「梅供養」「檜舞台」「庚申待」「下燃の蟲」「飛鳥山寮」「湯屋怪談」「お化け大黒」「辻斬り」


『丑寅の鬼 ゴミソの鐵次調伏覚書』『丑寅の鬼 ゴミソの鐵次調伏覚書』平谷美樹著、森美夏装画
2014.3.20、光文社時代小説文庫、660円
師走の一夜。江戸に向かう新酒番船の一艘が大きく航路を変えた。船に乗り込むのは、鐵次の宿敵・傀儡使の惣助。惣助が企む、江戸の平安を覆すある陰謀とは? 一方、亡魂の調伏に奔走する鐵次とイタコの百夜の前に、師匠の峻岳坊高星が現れる。高星が鐵次に託す極秘の使命とは? すべての謎が明かされる時、江戸の命運をかけた決戦が始まる!


《百夜・百鬼夜行帖》シリーズ

1~12巻

《百夜・百鬼夜行帖》シリーズ「冬の蝶」「台所の龍」「花の宴」「化人の剣客」「漆黒の飛礫」「魔物の目玉」「春な忘れそ」「薫風」「あかしの蝋燭」「勝虫」「慚愧の赤鬼」「義士の太鼓」

百夜・百鬼夜行帖シリーズ

91~101巻


《百夜・百鬼夜行帖》シリーズ「のざらし」「坊主に断られた回向」「百万遍」「鐵次」「白木村のなみ」「首くくり寺」「沓脱石」「昨夜の月」「紅い烏」「邪教の呪法(前・後)100話記念特別長編」

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高井信先生著者インタビュー関連書籍


『ファンジン魂』高井信著、YOUCHAN装画
2020.6.25、ネオ・ベム、
著者のファンジン遍歴、ファンジンへの愛を綴ったハードSF研究所公報「Hard SF Laboratory」の連載「ファンジン魂」が書籍化。加筆修正、書影大幅追加。オールカラー。

『思えばいろいろなことがあったなあと、しみじみ回想してみたりする』高井信著
2018.9.23、ネオ・ベム
SF同人誌「CAT」8号(1984.11.30)に掲載された高井信氏のこれまでのファン活動歴を記したエッセイ



森東作氏製作の「SFファンジン・データベース」Ver.1.10 (2020年製)
エクセルで検索するようになっています。


『天に輝く星のごとく』若尾天星遺稿集
「天☆CON」実行委員会製作、梶田俊哉編集
2018.9.23発行
「若尾天星ファンダム史」
「若尾天星編集ファンジン及び出典先」他

「天星さん」大和眞也
「ファンダムが一番輝いていた時代に」まめさん
「いつの間にか隣に」梶田俊哉
「あとがき」梶田俊哉


『名古屋ファンダム史』若尾天星著、高井信編、梶田俊哉協力1018.5.5、ネオ・ベム
2018年に逝去された名古屋SFファンダムのBNFである故若尾天星(本名:典正)氏が書き記された日本SF大会のプログレスレポート等を、古くからの盟友である高井信氏がまとめたもの。





『SF雑誌99の謎』岡田正也著、高井信編
2016.2.22、ネオ・ベム
2014年の同表題本の再編集版
広島SF同好会の会誌「ALDEBARAN」に掲載(1976-1977)

『ベム AGAIN』岡田正也著、高井信編
2012.6.1、ネオ・ベム
高井信氏による2011年に逝去された岡田正也氏追悼ファンジン
「SFの怪」「天空の秘境」「A.Hyatt Verrillと『失われた種族』」「ハガードとの出会い」「ベムを編む」「影を求めて」「僕はベムが好き?」「昆虫あれこれ」「愛しのベムは今何処」
「編者後書き」高井信


『岡田正也コレクション』岡田正也著、高井信編
2019.11.20、ネオ・ベム
『ジンテン1★図録』(2016.2.14)『SF雑誌99の謎』(2016.2.22)『ベム AGAIN +』(2016.2.29)より岡田正也作品を抜粋・再編集したもの
「SFの怪」「天空の秘境」「A.Hyatt Verrillと『失われた種族』」「ハガードとの出会い」「ニュー・アトランティス1658」「ベムを編む」「風留本余釈」「影を求めて」「僕はベムが好き?」「エスペラント語界のSF」「ジンテン1開催にあたって」「日本SFファングループの現状」「昆虫あれこれ」「愛しのベムは今何処」
「絵解き SF雑誌99の謎」「異聞外伝 SF雑誌」


『漢字の夢~SFハガジン・ショートショート集成~』
尾川健著、尾川健表紙デザイン、2020.9.24、ネオ・ベム

「漢字の夢」「老婆」「函か帯か」「壱岐国屋書店新宿店エレベータ」「プラナリア」「色街」「最後の一冊」「密」


『海の中の赤い傘~SFハガジン・ショートショート集成~』
深田亨著、橘みづ装画、2020.10.10、ネオ・ベム

48作品を収録
なんという発想かと思った「記念日」、希有壮大な3Dプリンターネタの「お披露目」とか、60歳になったら好きな品物に変身しないといけない法律の裏をかこうとする男の話「61」とか、好き。

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