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 巨大な『辺(エッジ)』の表面全部に無数の『蜘蛛』――イシュタル機械の作業ユニットたち、がとりついて蠢いていた。空中につきだした折れた端と『頂点(ヴァーテックス)』につながる根元の間をまるで蟻のように幾筋もの列になって行き来している。
「妙な気分だわ。――なんだか遠い異国で偶然旧友に巡り会ったみたい」
「ふうむ、そこまで言う? まあ……きみは『蜘蛛』たちと仲いいからな。しかしどうしてまた?」
「おそらくあれらは破壊された『辺(エッジ)』を取り壊してふたたび新しいものに架け替える作業を行っているんだわ。ということは……」
「まさか……この天体全体がいわばひとつのイシュタル機械、ってわけじゃないよな?」
「わからない。どう考えるべきなのかな――少なくとも確かなことは『ハルバン』を破壊したのは間違いなくこいつらのうちの一匹ってこと。自分たちがメンテナンスしている『辺(エッジ)』に勝手に穴をあけられて怒ったのね」
「なるほど」
「そう言えば――」モニターから目をそらし遠い記憶をさぐるような口調でカシルはつづけた。
「あなたも聞いたことあるでしょ? 実存段階発展型(エグジステンス・レベル・デベロップド)イシュタル機械――つまり『長老機械(エルディスター)』って?」

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