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 半分反省しつつ半分は思いがけない事実に彼はすくなからず面食らってもいた。
「無重力状態と呼吸可能な大気と野外の強い太陽光線――こんな組み合わせはこの世界でしかありえない。確かに――おとうさんだってうっかりしていたのだから、おまえが予想できないのもまったく無理はないんだ。ふたりともこっちへきて、これからわたしがやることをよく見ていなさい……」
 彼は身をかがめクレーターの縁の苔をひとかたまりちぎりとった。
「これをこうして水玉と地面の間の適当な距離にかざしてみると――さあ、どうなるかな?」
 いい終えて数秒のち、暗緑色の苔の塊からかすかに白い煙がたちのぼった。
「――水分が多いので燃え出すほどじゃない……が、ほら、焦げている」
 ウィリアムは息子たちに苔の表面の褐色に変色した部分を示した。
「乾燥した苔だったら確実に火がつくはずだよ。わかったね――凸レンズとおなじ集光効果だ。この世界では太陽と自分の身体の間に透明な水球を入れちゃいけない。とくにそれを通して太陽を見ては絶対だめだ――これからはそういうふうに漂っている水はよくよく気をつけて近づくようにしなさい」
 言い終え、物入れから取り出したハンドタオルに『危険』な水玉を染みこませながらある事に気づいて一瞬稲妻に撃たれたようにウィリアムは硬直し、それからつぶやくように付け加えた。
「『沼地』と違ってこの土地には生き物たちをそうした危険から守ってくれるあの『ゴキブリ』がいないらしいからね……」

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