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BookReview

レビュアー:[雀部]&[たなか]&[栄村]

『大失敗 Fiasko』
> スタニスワフ・レム著
> Evolution de la pianete Phoebus,vue depuis Antinea.
SSHUTEN & PEETERS (C)CASTERMAN S.A
> ISBN978-4-336-04502-7
> 国書刊行会
> 2800円
> 2007.1.30発行
> "Fiasko" by Stanistaw Lem 1987
今月は粗筋の後半と、たなかさんのレビューと
栄村さんのレビューを交えてお送りします。

先月のつづき 粗筋後半)

攻撃と接触の試み

 攻撃は思わぬ形で行われました。
 「ヘルメス」号のバリヤーは破られました。突然、船体の近くに輪郭のぼやけた数十の群体があらわれたかと思うと、雲霞のようにおそいかかってきました。隙をつかれたGODはブラックホールに匹敵するすさまじい重力波を、船体を中心としたリング状に発生させ、群体を破壊します。 しかし、戦いはこれだけでは終わりません。消耗したエネルギーを補給するためゼータ恒星の近日点へと向かう「ヘルメス」号にふたたび脅威がおそいます。進路上にあった希薄ガスの雲をきり裂いたとき、おびただしいウイルス大の分子が船体にはりつき、侵食を開始したのです。すぐに熱噴射をくりかえして雲を散らしますが、船体への破壊は止まりません。 「ヘルメス」号はゼータ恒星の吹きあがるプロミネンスの業火をかすめるようにとび、ウイルス大の分子を焼きつくしてゆきます。

 事態が沈静化したのち、乗組員たちの間では、この出来事を意図的な攻撃か、それとも偶発的に起こった事件とみるべきかで意見がわかれます。しかし、これまでの出来事の解釈をとおして、彼らの脳裏にはクウィンタ星の文明がたどったであろう、おそろしい歴史の姿がかたちづくられていきます――敵対する勢力がたがいに生物圏を全滅させるほどの力を持ったものの、その使用は惑星規模の絶滅を意味するためどちらも先に用いることができなり、膠着状態におちいってしまいます。しかし、軍拡競争だけは宇宙へとひろがり、恒星系がすべて戦場と化してしまったというものでした。

 地球からきた人間たちはこの中に足を踏みいれてしまったのであり、「ガブリエル」号も、両方の陣営から外からの侵入者とみなされ、攻撃されたと考えました。さらに、乗組員が月で目撃したものは太古の戦闘の跡であり、「ヘルメス」号が攻撃をうけたのも、惑星をめぐる戦争で使われてた超微小兵器の「地雷敷設地帯」にたまたま進入してしまったのが原因だというのです。

 おたがいの喉元に剣をつきつけ、かろうじて均衡をたもっているような文明に、接触の扉をひらかせることを強制できるのか? 着陸機を送りこんでも破壊され、おなじ試みがつづけられれば、さらにたくさんの衝突と戦闘へと発展していくことでしょう。ならば、この星の住人にそんな行為をやめさせるためには、地球人の強大な力と決然たる態度を示すことが必要ではないのか――こうしてクウィンタの月の破壊が提案されます。

 無論、決定にはためらいもありました。しかし、「ヘルメス」号は平和的な接触を示すあらゆる努力を払ったうえに攻撃されたのであり、地球を代表してここに来ている以上、攻撃は地球に対して行われたのとおなじことを意味するのではないか、テムペはこう考え、そして、月の破壊は採択されます。
 実はこの時、人間たちはおそろしいあやまちを犯そうとしていました。

 惑星をとりまく氷の輪、宇宙へむけて放射される強力な電波、目的も役割もわからない百万にもおよぶ人工衛星、月面を飛ぶ火の玉、船体を侵食するウイルス大の分子、謎の閃光――たしかにクウィンタ星には理性を持つ有機体生命が存在し、高度な科学技術をもって活動しているのは事実でした。

 しかし、それ以外のことは何一つとしてわからず、謎は深まるばかりです。ですが、彼らは自分たちでも意識しないうちにクウィンタ星人の行動や目的をを理解できるものとしてとらえ、それを前提にして行動していました。別の星で進化をたどった知的生命は、ヒトとはあまりにもかけはなれ異質であるがゆえに、人間の思考の範疇ではとらえることができないかもしれないという可能性が存在していたにもかかわらず……。
 そして、乗組員たちが抱いたクウィンタ星のイメージ――それをつくりあげたものは、人間の自己防衛本能からくる感情――理解できないもの、不可解なものを前にしたとき、心の奥からわきあがる不安、そして恐怖でした。

力の誇示と月の破壊

 もし地球人の信号に答えないならば、月を破壊する、これは接触を要求する最初の警告である――われわれは平和的意図をもってここにやってきたのであり、もしそちらがなんらかの対立関係にあるなら、われわれがその点において中立を守る、というメッセージと計画のみじかい説明をクィンタ星に送ったのち、月の破壊は開始されました。

 半液体状の中心核を蒸発させるため、18基のミサイルが月の赤道表面に向かって発射されます。
 計画では、月とクウィンタ星間にうちこまれたミサイルが、砕けてゆく月を太陽の方に押し、反対の裏側から中心核にうちこまれたミサイルは、月をクウィンタ星の方向に押すことで、無数の欠片は月軌道にとどまります。クウィンタ星には、微かな地震と大陸棚への津波しかおこらないはずでした。しかし、3基のミサイルがクウィンタ星人によって破壊されたため、事態はおそろしい方向へと奔りはじめました。

 残りのミサイルが中心核で爆発するや、凄まじい衝撃がおそい、月全体が黄色味がかった雲につつまれました。地殻が裂け、巨大な炎が長い流れをつくって宇宙空間に噴き上がります。炎は太陽に匹敵するほどの眩(まぶ)しい輝きを放ち、その前に星々の光はかすみました。燃えあがる渦の中で、月は分解してゆき、かつて月の地殻や深部の岩塊を成していた数兆トンもある巨大な破片が、炎の渦の中から塵につつまれて姿をあらわします。そして、瓦礫から惑星を守るはずのミサイルが破壊されたことで、クウィンタ星の引力は大量の破片をゆっくりとひきよせはじめました。
 数時間後、約100兆トンにもおよぶ膨大な量の破片が、クウィンタ星の大気圏の上で閃光をあげながら地上へ落下しました。数兆トンもある破片が海に落ち、海水は一瞬で沸騰する水蒸気となって成層圏の上にふきあがり、あつい雲となってクウィンタ星全域をおおいます。落下地点からは、最大時の満ち潮の百倍もの高さになる津波が発生し、大陸へとおしよせました。津波は大陸の奥深くまで達し、広大な平野を水の底に沈めてゆきます。

 「ヘルメス」号は月の崩壊のすぐ後に無線探測機と送信機を放出し、エンジンを最大出力にしてその場を去っていました。送信機はミサイルの破壊が計画をくるわせ、月軌道にとどまるはずの瓦礫が落下した、クウィンタ星みずからが今回の事態をまねいた、という声明を発信しつづけます。

 大惨事にもかかわらず、船内では専門家たちが、月の崩壊の直後に観測装置がおくってきたクウィンタ星の断層X写真を調べていました。そして、地下深くに放射能汚染によって絶滅したらしい数百万もの生物の遺体ともみえる影を発見します。大量虐殺による骸骨の山、集団虐殺――知的生命はすでに全滅しており、自動機械がそれを生みだした者たちにかわって軍拡競争をつづけているのか――不気味な憶測が出てきます。

打開策

 「ヘルメス」号の指揮官は、引き下がることのできない状況に立たされました。
 もしここで退却すれば、平和的意図をもった接触ではなく、大量殺戮と別の星からの侵略という記憶をこの星に残すことになります。事態を打開するためにはどうすべきか。指揮官はGODに問いかけます。人工知能の出した答えは、戦いによる集団虐殺を終わらせ、接触の扉を開かせるためには、政権中枢部への力による威嚇が必要であり、惑星をとりまく氷の輪の破壊するというものでした。指揮官はこの案を実行すべきと考えますが、そこには落とし穴がありました。

 人間をはるかにこえる処理能力と会話能力を持つ人工知能ですが、課せられたコマンドとあたえられた情報をプログラムにしたがって処理するだけで、人間が知っている以上のことは、なにひとつとして知らなかったのです。GODは、クウィンタ星人の心理を読み解こうとし、いくつもの可能性のあるシナリオを考えだしてきます。しかし、その原型になっているのはあくまで人間の心理や行動であり、人間の持つ暴力性の部分をクウィンタ星人に投影して解釈していたにすぎません。そして、指揮官はフラストレーションによって引きおこされた暴力性を拡大する鏡としての役割を、知らず知らずのうちにGODにあたえていたのでした。

 船にのりこんでいたカトリックの修道僧は、このことに気づき指揮官を説得します。そして、これまでの電波による通信方法ではなく、光学通信によるメッセージをクウィンタ星におくるよう提言します。指揮官は受けいれますが、クウィンタ星人に対する不信感が消えたわけではありません。

 光学通信で送るメッセージの内容は、テムペのアイデアにより、直立歩行する生物が登場し、襲撃と闘争を経たのち、和解を意味する集団の踊りでおわる、という内容の映像に決まります。この絵物語は、強力なレーザーを使い、雲をスクリーンとしてクウィンタ星の各大陸で映写されます。

 クウィンタ星人はこれに反応し、「ヘルメス」号との光による通信を開始して、惑星の中立地帯に着陸を許可するというメッセージを送ってきます。乗組員たちは意外な反応におどろきますが、最短でも100年以上もたがいに戦っている勢力が、敵勢力の合意なしに宇宙からの訪問者をうけいれられるはずがない、いともあっさりと同意をあたえたということは、罠がしかけられているのではないか、指揮官はこのように考え、あくまで慎重な態度を崩しません。

 そして、相手の真意を測るため二機の着陸船を出したあと、船は別の惑星の影に入って身を隠し、かわりに「ヘルメス」号に見せかけたダミーをクウィンタ星に送り、彼らの反応をみることにします。
 着陸船は、事前に人間の生物学的特徴が知られることのないよう、指の表皮繊維の細胞ひとつ、黴菌のひとつたりとものこらないよう入念に検査され、現在の技術レベルを隠すため主要な機器は80年前の地球の技術に相当するものが使われました。さらに、惑星の陰に隠れた「ヘルメス」号からクウィンタ星を監視するためには、数百万個の群れからなる、砂粒より小さな水晶状の監視装置が散布されることになっていました。

 作戦は開始され、二機の着陸船がゆっくりとクウィンタ星に降下するときを見計らって、「ヘルメス」号は監視装置を航跡にばらまきながら、遠くはなれた惑星の影に入ってゆきます。
 船内では監視装置から送られてくる映像が、クウィンタ星の白い雲の上を黒い点のようになって進む戦闘衛星群をとらえていました。二機の着陸船は着陸し、ナトリウムの閃光を光らせて無事についたことをしらせます。

 48時間後、着陸船は飛び立ち、クウィンタ星人のメッセージをたずさえて帰還してきました。すぐさま宇宙空間に浮かぶ円筒形の検疫実験室に格納され検査をうけますが、汚染された形跡はみつかりません。「ヘルメス」号の操縦室では着陸船が持ち帰ったクウィンタ星人のメッセージが分析され、スクリーンに映しだされます。

最初のメッセージと罠

 惑星に映写したのとおなじ絵物語からはじまる映像は、クウィンタ星の風景を映しだします。
 地球の森よりはるかに濃い緑色の植物におおわれた山稜、4枚の羽根を持つ巨大な鳥、巨大な石筍を思わせるロケット、百足を思わせる機械仕掛けの生き物、メキシコのピラミッドに似たような鋼鉄の階段構造を持つ建物、クウィンタ星人らしい群衆もうつりますが、満員のスタジアムをはるか遠くからカメラで撮ったような、さまざまな色の大群としか人間の目には認識できません。

 映像は月の破壊で壊滅した都市も映します。そこでもクウィンタ星人らしきものが出てきますが、生前の姿を推測できないほどにばらばらに切り裂かれた遺体であり、この星の住民がどんな姿をしているのかは隠されていました。やがて、30万トンの宇宙船の着陸を許可する字幕が出て、突然、メッセージは終わります。

 「ヘルメス」号に偽装した小型ダミーが発進し、クウィンタ星へと向かいます。ダミーは着陸しようとしますが、雲の下に入った直後に破壊されます。接触をのぞんだクウィンタ星からのメッセージは狡猾な罠でした。指揮官はつめたい怒りとともに氷の輪の破壊を決断します。

 ソーラーレーザーは魚雷艇ほどの大きさの、太陽エネルギーを動力とする光子の大砲でした。発射されるレーザー光は、クウィンタ星の軌道に達する場所では直径600メートルもの柱となり、その力は惑星の半径の4分の1の深さまで達します。この光が何千キロにもわたる氷の輪にねらいをつけて発射されます。
 光の剣が輪の端を真横に疾走するとき、氷原は何百キロにもわたって粉砕され、破片となった何兆もの氷の水晶は暗黒の宇宙で花火のように煌めきます。地上を音速より速い衝撃波がおそい、雷鳴の中で沸騰する氷山の破片――数十億の氷の欠片が、天から雪崩のように降下してきます。クウィンタ星の北半球では、大気と雪と火が宇宙まで吹き上がり、まるで惑星自体が膨張したように膨れはじめました。周回軌道をまわる無数の人工衛星が膨れあがった大気圏にのみこまれ、地上に落下しながら燃えつきてゆきます。

 「ヘルメス」号の指揮官は、氷の輪の破壊は地球の宇宙船が武力攻撃を受けた報復としておこわれたのであり、ふたたび攻撃されたり、メッセージに応答のない場合は、第一段階で大気圏を一掃し、第二段階で惑星崩壊作戦を決行するという最後通牒をクウィンタ星人につきつけます。そして、もし地球からの使者をうけいれ、無事にその者が宇宙船に帰還するなら作戦は見合わせるという条件を示し、クウィンタ星人に接触をせまります。

 惑星全体をおおうように数百の送信ステーションから発信されていた強力なホワイトノイズは、すでに消えていました。海はいたるところで水位を上げ、沿岸地域の奥までのみこんでいます。地震活動が急激に増大し、すべての火山が噴火していました。マグマとシアン化合物を大量にふくむ気体が火口から吐きだされ、クウィンタ星の雲海には黒ずんだ斑点があらわれていました。

使者の着陸

 最後通牒の後、地球人は破壊された「ヘルメス」号のダミーの調査と、着陸船の半径約10キロの地域にかぎって自由にうごきまわることができるという条件をひきだし、テムペが「使者」としてクウィンタ星におもむくことが決まります。

 彼の乗ったロケットが、クウィンタ星への下降を開始しするとき、「ヘルメス」号はロケットの着陸地点を宇宙空間から正確にとらえながら待機します。地上からは着陸地点の上空をおおうように金属塵の塊が打ち上げられ、無線による交信も、モニターによる監視もできないように遮断幕がはられていました。指揮官はテムペが100分ごとに送るレーザー閃光がひとつでもとぎれれば、「過激な手段」を使うのを条件にこの提案を了承したのでした。

 地上に近づくにつれテムペの目に灰色の不等辺四角形のかたちをした宇宙港がみえてきます。巨大な光学パラボラアンテナや平らに押しつぶされた頭足類か烏賊を思わせるような建物もあります。宇宙港の三方は無数の赤い閃光にふちどられており、着陸地点の上空をおおう金属塵の噴流は、そこから大気をふるわせて噴きだしていました。

 ロケットは無事にクウィンタ星の宇宙港に着陸します。外に出るあいだ、テムペの胸の内に、いままで秘めていたさまざまな思いが去来します。内心、彼はこのような暴力を最強のカードにするようなコンタクトゲームに足を突っこんだことを後悔していました。しかし、クウィンタ星人を見たいという一念と千載一遇の機会を逃すことはできない、という強い思いが彼を今までささえてきました。

 カトリックの修道僧は、「力の誇示」という言葉が乗組員の中から出てくるまえに、今回の「接触」のいきつくはてが悲観的なものになるとみていました。そして、人間たちはこれから陰謀の競争をはじめようとしているのであり、異星人との強い相互理解をもとめるあまり、いつわりの顔と計略でよそおい、安全かもしれないが、ことなる知性への展望を本当に開くことからますます遠ざかるだろう、とくりかえし警告していました。しかし、彼の言葉も、結局は事態の流れをかえることはできませんでした。

 たれこめる雲の下、宇宙港にはまったく生き物の気配がありません。彼はロケットを降り、北にある「ヘルメス」号のダミーへと向かいます。船尾を破壊され、倒壊しそうな姿で立っているダミーですが、近くの路面には、着陸後、融解して船外に放出されるように設計された使い捨て原子炉の残滓が放射能のしみをつくっています。テムペはコンテナからマイクロセンサーをそなえた人工昆虫の大群を放ち、船体の裂け目から船内をすみずみまで精査させ、錆、ゴミ、屑、融解金属の中に、病原体となる無数のウィルスが偽装して仕掛けられていることをしります。

 その後、ロケットにもどると万能車で北の山地の斜面にある、ツェッペリン型飛行船の格納庫に似た建物へと向かいます。半円の門を通ると、中には鉄の劇場を思わせる空間がひろがっています。テムペは、この建物が「ヘルメス」号のダミーを何百倍にも拡大して裏返した複製だということに気づきます。
 生き物の気配がまったくないグロテスクな空間で光と字幕の奇怪な歓迎をうけますが、これが悪意にみちたはかりごとなのか、それともほんとうに歓迎を意味する異星文明の祭儀なのかはわかりません。
 怖れと孤独と出口のない迷路に立たされた彼の心に、内なる声がささやきかけます。

 ――人間は計略と詐欺と偽装以外のいかなるものも、得ることはない。どこへ行こうとも不動の沈黙だけが支配するこの星で「接触」の期待を放棄し、道に迷い、怒りのあまりすべてを破壊するだろう。
 しかし、激怒に我をわすれて破壊をすればするほど、得られる知識はすくなくなり、価値あるものとと破壊するものとの区別がつかなくなってゆく。そして、やがてこの星から逃げだすにちがいない。計画どおりぬすみとった知識を手にして退却するのではなく、恐怖と狼狽のうちに。

そしてクウィンタ星人

 激しい怒りとクウィンタ星人の正体をあばきたいという強い思いがテムペの心をとりこにし、冷静さを奪いました。
 彼は建物から出ると高感度のバイオセンサー(生体感応装置)をとりだし、あたりを走査します。センサーは遠く離れた高地に、大きな生体反応があるのを感知します。そこには巨大なアンテナ・マストが聳(そび)え、はりめぐらされたワイヤー・ロープ状の物が巨大な蜘蛛の巣を形作っている場所でした。

 土砂降りの雨のなかを万能車が疾走します。交渉で決められた踏査の限界領域に近づきますが、テムペはかまわず速度を上げます。やがて境界線らしき深い溝があらわれ、行く手をさえぎります。向こう側の断崖には、天にのびる巨大なマストと風にゆれる蜘蛛の網がみえます。斜面は粘土より明るい色をした巨大な亀の甲羅か、塚のような土塁によっておおわれていました。バイオ・センサーの針は、顕微鏡大の微生物ではなく、鯨か象かが群れでいるかのような、激しい動きを示しています。残された時間は、あまりありません。ひきかえして「ヘルメス」号に送るレーザー閃光を上げなければ、指揮官は彼が殺されたと考え、報復としてソーラーレーザーが発射されるでしょう。しかし、ここで戻れば不意打ちの効果は無駄になります。彼は一線をこえる決心をし、ジェット・ホルスター(噴出装置)をつかって崖をとびこえ、向こう側へ渡ります。

 塚のならぶ墓地のようなその場所は、テムペの身長より半分だけ高い灰色の粘土の円丘におおわれていました。
 豪雨の中、バイオセンサーは、いたるところに生命があることを示しています。シャベルを出して円丘の粘土を掘ると奥には生暖かい太く丸い管がありました。センサーのスイッチを切り替えて円丘に押しつけると、針は一定のパルスを打ちはじめます。謎を解くため、夢中になって脈動する円丘群のあいだを走りまわりますが、クロノメーターの発する警告音にふと我に帰ります。時計を見ると、もうすでに刻限を過ぎていました。今からひきかえしととしても、ロケットまでは10キロ以上もの距離があります。それまでに、もし「ヘルメス」号が攻撃を開始したとしたら……。
 後悔とはげしい感情におそわれ、テムペは両手でバイオセンサーを振りまわし、円丘の外殻を打ちつけます。目の粗い外殻が割れて、中の“もの”が姿をあらわしたとき、宇宙空間からソーラーレーザーが発射されます――彼の仲間たちの手によって。ふりしきる雨は一瞬のうちに沸騰して蒸発し、あたりは恐ろしい光につつまれます。彼がクウィンタ星人を見たと悟ったその瞬間、巨大なアンテナ・マストは折れ、炎を上げる蜘蛛の巣とともに頭上に崩れ落ちてきたのでした。


『大失敗』作品レビュー

雀部 >  『Fiasko 大失敗』ついに出ましたねえ。
 最初の章「バーナムの森」でのタイタンの地獄の美しさとか、生き返って地球外生命体探査に旅立ちブラックホールを利用してあれこれやったりするところなんか、まさにSFの醍醐味だったのですけど。
たなか >  『大失敗』は、大きな物語展開ががんがんと話を進めてくれるというわけではない長い長い作品なんで、長編慣れしていないわたしには、端から端まで楽しめたかどうか、ちょっと微妙です。以前もお話ししたとおり、わたしはレムが語る蘊蓄部分が大好きなんで! 延々と続く思索の断片断片を楽しむという読み方をしちゃいました。って、雀部さんとは楽しみどころが全然違ってます?(笑) でも、その思索がすべて「大成功」にはつながらない話なので、エンディングまで読んで感じたのは、やり遂げた! という達成感ではなく、むしろ、むなしさのようなもののほうが大きかったです。
 冒頭にピルクスが出てきたときは、ちょっとわくわくしたというか楽しかったです。
 全体的には、レムがやりたかったことをすべて詰めこんだのかなぁという印象でした。ガラス固化って『星からの帰還』のヴェトリゼーションかなぁとか。やっぱり地球とは別の進化をたどった文明と遭遇する話なんだなぁとか。
雀部 >  ガラス固化は、スターウォーズを(笑)
 蘊蓄部分というと、私は真ん中あたり(「受胎告知」「攻撃」)で、色々相手のことを想像しているところが面白かったです。ここらあたりけっこうハードSFしていますよね。かなかさんは、ここらあたりも楽しまれました?
たなか >  「ガブリエル」号の顛末のあたりですね。本作では長く続く思索のあいだに何か所か物語が動く局面がありますが、これはわりと大きな事件でしたね。「ガブリエル」号が消滅する場面では、わたしも手に汗握り、作中の人物たちとともにその「映像」を見つめていました。
 レムはファーストコンタクトの難しさを書き続けてきた作家だと思うのですが、本作ではその困難さが顕著に詳細に描かれていますね。攻撃する意思をもたずにコンタクトをとろうとすること、それを相手に伝えることについての苦難が、もうこれでもかと書きつづられているわけですが、大幅に思想が違うわけでもない登場人物たちの異なった方向性を背景にした、楽天的ではなく、かといって絶対的に悲観的でもないこのあたりのかれらの会話には、こちらの脳内も活性化するような気がしました。少ない情報量からいかに仮説をたて、そのなかからその時点で最良(あるいは最悪ではない)と思われる判断を選びとっていくか。もちろんわたしの理解力ではすべて把握することは無理なのですが、現実における対話方法と照らし合わせてみたりもして、興味深く読みました。
雀部 >  巻末に“主要な架空固有名一覧”がついてますが、擬似科学の“らしさ”はいかがでした?
 私はけっこう痺れましたけど。気を付けて読んでないと、どこまでが本当の科学で、どこからが“嘘”か分からない(笑)
たなか >  “主要な架空固有名詞一覧”はおもしろかったですね。でもこの一覧はわりとさらりと表面をなぞっていらっしゃる印象があるので、さらにつっこんでいくとそれだけでレム風のひとつの作品になるかも。ノムラやナカムラの項目などが顕著ですが。レム自身につくってほしかった気がしますね。
 疑似科学については、当然わたしのお脳ではもう全然、ホンモノとニセモノとのあいだの線引きなんかできやしないのですが、そのへんはわたしは気にしません!(笑) フィクションのなかの「事実」って、「らしさ」があれば充分であり、また、「らしさ」こそが必要なんだと思うんです。「事実」をそのままなぞっても物語にはならないですよね。物語としての説得力というのが、小説が成り立つうえでとても重要なことだと思います。
 そういう意味ではレムの書く「らしさ」は、とてもあやうい線の上に立っていると思います。「論」をいかに「物語」として昇華させるか。レムがただ単に自説を展開したいのであれば、それは論文でもエッセイでもよかったのだと思います。けれどもレムはそれを小説というかたちに作りあげた。そして描かれるのは、思索のうえに試行錯誤のうえに思索のうえに試行錯誤。「成功」を追い求めながら、そしていつしか、この試みに「成功」はないだろうということを予感させつつ、けれども少しでも実になるものをと追い求め、思索を繰り返す。物語の大きな軸になる部分をまわりながら思想が展開されていくわけですが、本作はやはりどうしても「物語<論」という図式に傾きがちだと思います。それが良いか悪いかということになると、それはもう好みの問題でしかなくなるのですが。
 とにかく登場人物たちすべてがとても頭がいいことにわたしは感嘆しました! わたしはかれらの会話にとてもついていけない~ でもそういうのも楽しい部分ですよね。レムの造語が普通名詞のように扱われていたりするのが、とても楽しい!
雀部 >  頭が良くても、一つの考えに凝り固まっちゃうと失敗するんですねえ。そういう警告もふくめられているような気がしました。
 ところで、男と女のファーストコンタクトも難しいですよね(笑)
 というか、他人を本当に理解するのは難しいですよね。結婚して27年になりますが、カミさんのことを分かったつもりでいても、そういうつもりではないと時々いわれます。相手が言葉の違う外国人だったら余計に分からないだろうし、まして異星人だとしたら、理解し合えると思うほうがおかしいのかも。
たなか >  個人対個人のコミュニケーションと、外交などの「国家」のありようを左右する代表者のコミュニケーションとを、同列に扱うことはできないと思うのですが、ただどちらにせよ会話をするためには、なにかしらの「文化」を共有していないととても困難ですよね。わたしの世界の「正義」が、あなたの世界の「正義」とイコールではない場合、相手になにを見せればこちらの意図を汲み取ってもらえるのか。すべてを理解することは必ずしも必要ではないと思います。ていうか、無理だと思います。(笑) でもだからこそ、「言葉」を共有するために、相手の文化を知ることが必須なんですよね。ただ、まったくのファーストコンタクトということになると、お互いに相手の情報がゼロの状態から始めないといけなくて、そのために道具としていったいなにが効果があるのかといったことさえ、暗中模索。コミュニケーションが成功すると考えるほうが難しいというのは、たしかにそのとおりだと思います。じゃあ、その高いハードルを越えてまで、そもそもなぜ他の文化・他の生物と遭遇するための努力を重ねようとするのか。人間は出会いに対して楽観的なんでしょうか。そして悲観的な部分をもって、あらゆる状況を予想して、破滅へと導かないようにできる限りの防波堤をたてる。ああ、コミュニケーションってたいへんだなぁ……
栄村 >  本の終わりのほうで、こんな一節もありましたね。 「……強固に相互理解を志向するあまり仮面と計略で鎧い、それによって安全ではあるがかもしれない が〈異なる知性〉への展望を本当に開くことからますます遠ざかり、相互理解を放棄していることにな る、と繰り返し述べていた。相手の言い逃れをつかまえ、拒絶をひとつひとつ攻撃し、遠征の目的を果 たすためにますます乱暴な攻撃を用いるようになり、その分目的が達成されにくくなってきた。」(391頁)
 クウィンタ星に着陸した主人公が、アラゴ神父のことばを回想している場面でしたけれど。
雀部 >  異星人が相手の場合はロゼッタストーンが無いですからね。本当に、数学(科学)はロゼッタストーンのかわりになるのだろうかという疑問もあります。
 栄村さんはどうだったでしょうか。
栄村 >  むつかしい小説でしたね(笑)。論文もでてくるし。登場人物のかわす会話は、ひじょうに専門的で、高度で……。ブログをみていると、読みだしたら3ページも、もたなかったという人がいるくらいでして(笑)。じつは、それで今回、くわしいあらすじを先に紹介しようときめたんです(笑)。
 この小説には、物語よりさきにがっちりした論理があるんですね。あまり理に傾きすぎると破綻はなくなるけれど、物語が本来持ついきおいやあらあらしさが削がれてしまうという危険性がでてくるのですが……。でも、読みかえすうちに、急に光を放ちはじめる部分がこの本にはあります。
雀部 >  その論理ってどういったものですか。
栄村 >  「宇宙的終末論」のところで、GODと「ヘルメス」号の指揮官がかわす会話などによくでてるとおもいますが、高い専門知識と理詰めで物事をとらえ、すすめてゆこうという強い姿勢です。月の破壊が決定され、クウィンタ星人に警告をおくる「力の誇示」というところでも、操縦士が、
「最初の時点でわたしたちは彼らに、論理的計算式と、『もしAならばBだ』『もしAでないならばCだ』等々といった連言を伝えてあります」
 と、話すところがありますね。小説では人工知能、コミュニケーション、哲学、天文学、対立する二国間関係、核戦略論など、レムの考察がいろいろとでてきますけれど、人工知能や球体戦域についての彼の持論は話のながれを中断してまでも、かなりのページをさいています。
雀部 >  たなかさんのお好きな蘊蓄部分ですね。私も好きなんですが、これがある種の読みにくさになっているのは、しょうがないかも。レム氏の一番語りたかったところでしょうし。
栄村 >  他の惑星の、肉体も心もヒトとはまったくことなる進化の道すじをたどり、科学も文明もべつの方向に発展させた知性体とコミュニケーションできるのかというのかというのは基本的なテーマですね。
 「大失敗」では、航宙士、科学者、教皇使節であるドミニコ会の修道士、操縦士たちが乗りこんだ宇宙船がクウィンタ星の生命体と接触しようとします。はじめは道理をわきまえたやりかたで接触しようとするのですが、なぜか相手は狡猾な方法でこちらの命をねらってくる。いろんな仮説がたてられるけれど、ほんとうの理由は最後までわからない。それどころか、肝心のクウィンタ星人もまったく姿をみせない。彼らの正体を見極めようといろいろ考えをめぐらし、軍事関連技術のなかに人間との共通点を見つけますが、そこから相手は自分たちに似ているのか、あるいは「邪悪な怪物」なのかという疑問が生まれてくる――じつはこの疑問自体まったく無意味だったことが、あとからわかるのですが……。
 結局、乗組員たちは生命の危険をともなう強いフラストレーションにさらされるうちに、防衛本能やおそれ、怒りといった人間のもつ根元的な感情に支配されてしまい、正常さをうしなってしまいます。
雀部 >  全く異なる進化の道筋をたどった異星人とは相互理解は出来ないのではないかということですね。『ソラリス』と基本的には同じテーマと考えて良いのでしょうか。
栄村 >  別の進化の遺産をうけついだもの同士が出会ったとき、根本的にどうしても理解できない部分がでてくるというのは、「エデン」の方が近いでしょうねえ。「ソラリス」ではあまりにも形態がちがいすぎ、相互理解が不可能に近いという設定で書かれていましたけど。
 「大失敗」では意志の疎通にある程度成功してますね。この小説で大きなテーマになっているもののひとつは、理解できないものをまえにしたときに人間がかかえるフラストレーションや、その行動でしょう。主人公や宇宙船の名前をつかって、それとなく示されるオルフェウスの神話は、ふりかえって妻の顔を見てはならないという冥界の王との約束にたえきれなくなり災いを招いてしまうという話ですね。わからないものに、つよいフラストレーションを感じ、それが災いにつながってゆくという構図は人間がもつ根元的なものなんでしょうか。

 物語のなかでクウィンタ星人が見せる反応も、ひょっとしたら、地球からの来訪者よりも、もっとさしせまった問題、滅亡を意味する深刻な事態に彼らが直面しており、混乱のさなかにあったせいなのかもしれませんけれど……。
雀部 >  もしくは、元来対立状態・戦闘状態にある環境で進化してきたので、平和的な接触という概念がが理解不能だとかですよね。
栄村 >  「大失敗」は寓話として書かれたのですが、この本をよんで、レムはイラク戦争が泥沼化することを予期してたんじゃないか、という人もいました。いわれてみれば対イラク戦争の開戦前からの人間のうごきと、この物語の底にある人の行動のパターンというのは、たしかによく似てる。小説は1986年の米ソ冷戦末期に書かれてますけれど、描かれていることは、いまもくりかえされ、これからもきっと起こると思う。
雀部 >  そうか、クウィンタ星人(?)の反応は、個人としての人間というよりも、組織とか国家としてのものなんですね。
栄村 >  モチーフとして現実の国家間外交のうごきを参考にしたんでしょうねえ。
 対イラク戦争の発端は大量破壊兵器――核兵器を隠しているんじゃないかという疑惑からはじまりまりましたが、緊張が高まったとき中東に駐屯しているアメリカ軍や、アメリカ本土への核攻撃の可能性がマスコミではとりあげられていましたね。当時、ソビエト崩壊時に行方不明になった核兵器ということで、スーツケース大に小型化された核爆弾の存在がネットのニュースで流れていましたが、混乱にまぎれてフセイン政権の手にわたっているんじゃないか、という憶測もありました。

 国連は化学兵器を含む大量破壊兵器の存在をめぐって、イラクに査察をおくるけど、はっきりしたことがわからない。外から見ているわたしたちは、イラクがクウィンタ星みたいに接触の扉にカギをかけているわけじゃありませんが、閉ざされた扉のむこうにある真実が気になるわけですね。大量破壊兵器は存在するのか、しないのか。
 じつはこの査察、はじめのうちはイラク側は協力的だったそうです。でも、アメリカのスパイ行為があったとかで、だんだん疑いの目をつよめていく。工場の偽装があきらかになったり、兵器は廃棄されたけれど、その記録や証拠がいっさいのこっていない、またある施設への立ち入りを拒むなど、こうしたことぜんぶがアメリカの目には妨害としてうつる。イラクの方はイラクで、アメリカやイギリスが勝手にイラク南部、北部に飛行禁止区域をきめてしまい、イラク機の空域侵犯を理由に軍の軍施設に攻撃をくりかえしていたので、いくら国連決議であろうと信用できない。核がないのを確認したうえで、豊富に埋蔵されている石油資源をねらって、よその国がおしかけてイラクを占領するのではないか。それなら意図をくじくためにも大量破壊兵器の存在は灰色に見せておいたほうがいい。存在をにおわせることは経済制裁を解除させる政治的カードにもなる、とたがいに不信感をつのらせてゆくわけですね。

 一方、アメリカはなにがほんとうの真実かわからなくなり、欺瞞と偽装の迷路のなかに入りこんでしまう。2001年には同時多発テロを経験しているし、イラクとアルカイダとのつながりもささやかれる。また、イタリアでイラクがウランを購入した証拠があるという話がでっちあげられたニジェール疑惑というのもあった。真相は扉のむこう側です。
 小説の終わりのほうで宇宙物理学者のナカムラ博士が、
「操縦士はクウィンタ星人を見るかもしれませんが、それを見たことは知らないままかもしれないのです」
 とテムペに告げる場面がありましたが、おなじようなことが核疑惑の情報を収集する側でも起こっていたのかもしれない。
雀部 >  それは現実に対するあり得る暗喩ですね。
栄村 >  「ヘルメス」号の指揮官スティアガードじゃないけれど、情報を収集する側は相当ないらだちとストレスがあったでしょう。判断をまちがえれば、たくさんの命がうしなわれ、とりかえしのつかないことになる。アメリカのうごきを見ていたフセインの方は、事態がどんどんエスカレートし、よみがはずれて開戦にかたむいてゆくのに青くなるわけですね。副首相がバチカンに行き、ローマ教皇と会談して必死に戦争回避を国際社会に訴えるけど、事態をとめることができない。

 業を煮やしたアメリカとイギリスは、大量破壊兵器を破棄すること、武器査察を無条件でうけ入れることなどがきめられた『国連決議687』にイラクが明確に違反しており、警告にもしたがわない、世界の安全をおびやかすというので、単独で開戦にふみきって中に入るのですが、肝心の大量破壊兵器は国連決議を守って廃棄されていたばかりか、アルカイダとフセイン政権とのつながりもなかった。そして、そもそも最大の開戦理由だった大量兵器が存在するという情報じたいが信憑性の薄いものだったことがあとからわかるのですが。……小説では劇中劇みたいなかたちで、20世紀前半を舞台にした、異様な力をもったおびたたしい数の白蟻の群れをコントロールする〝水晶の球〟を見つけるためにアフリカの奥地に探険する話が出てきますけれど、あの話の最後の一節みたいに、金庫をあけたら中は空っぽだった、みたいなことになってしまった。

 おかげで開戦の前提条件は崩れるし、事態は泥沼化して内戦状態みたいになり、イラクでは市民であろうとアメリカ兵であろうと自爆テロに巻きこまれてばたばたと死んでゆく。また膨大な戦費――開戦から今まで54兆円ぐらいのお金がかかっているらしいのですが、アメリカの経済をおびやかして国力を衰退にもっていくどころか、まわりの国まで巻きこんで、さまざまな問題をひきおこしてゆくわけですね。
雀部 >  アメリカという国がコントロール不能になっているか、もしくはあまりに一部の人間たち(巨大企業)のコントロール下に置かれているのか……

[栄村]
レムの30年来のファン。「砂漠の惑星」を読んだのが、SFに本格的に身を入れるきっかけとなりました。彼が亡くなる前に一度、ポーランドを訪れたかったのですが……。
生前、レムが言っていたように、インターネットで世界中から情報が入ってきて便利になる反面、駆けめぐる膨大な情報のために、ますます世の中は複雑化し全 体像が掴みにくくなっているような気がします。彼のような広い知識と視野をもつSF作家は、これからますます生まれにくい状況になっているのかもしれませ んね。
[たなか]
しろうとレムファンの超短編屋。超短編をはじめとするたなかの創作群は「たなかのおと」をご覧ください。また、超短編投稿サイト「500文字の心臓」に参戦しつつ、持ち回り自由題選者をつとめています。「超短編マッチ箱」にも、創作と作品紹介で参加中。超短編仲間は毎日募集中です。
[雀部]
スタニスワフ・レム追悼ブックレビュー再開第二弾です。いよいよ終わりが近づいてきました。もう少しお付き合い下さいね。



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