■著者インタビュー
『天涯の砦』 小川 一水先生
27歳の軌道業務員である二ノ瀬英美は、惑星間航行士の公募に応募したが、最終選考で落第、失意と共に地球と月を中継する軌道ステーション〈望天〉に戻ってきていた。俺は所詮しがない軌道作業員かと落ち込む二ノ瀬だったが、〈望天〉で破滅的な大事故が勃発した。虚空へと吹き飛ばされた〈望天〉の残骸と接岸中だったためにめり込んでしまった月往還船〈わかたけ〉。この二つからなる構造体は、真空に晒された無数の死体とともに宇宙空間を漂流し始めた。しかし隔離されたわずかな気密区画にはまだ数人の生存者がいたのだ。空気ダクトによる声だけの接触を通して生存への道を探る彼らであったが、やがて構造体は大気圏内への突入軌道にあることが判明する……。
今や近未来に起こりうるかも知れない宇宙事故。そしてそれに巻き込まれた人々を通して小川先生が描こうとしたものは何か?星雲賞、SFマガジン読者賞を連続受賞し、のりにのっている小川先生。『回転翼の天使』から、ハードSFファンもうならせた短編集『老ヴォールの惑星』まで、その創作の秘密をお聞きしました。
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