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「ハードSF研」テクテク訪問記(2001年9月23日)

レポート[雀部]


 
 SF関連本10万冊。純SF本に限っても、海外のSF雑誌まで含めると5万冊という日本最大・最高の蔵書を誇るハードSF研(石原藤夫博士ご自宅)にお邪魔したときの訪問記です。
 2001年2月に出版された金子隆一先生のSFが予見した未来技術に最新科学が挑むと題された『新世紀未来科学』(八幡書店)の後書きにも、石原先生の蔵書とデータベースがなければ、この本の執筆は不可能だったとあります。
 メインの用件は、石原先生のパソコンのセッティングだったのですが、ご自慢の蔵書も見せていただきました。

 

 書庫の入り口からの写真
 書庫は、一部屋ごとに名前をつけてあってて、「SF擁書楼1号室〜5号室」だとか。
 広さは、20畳が二部屋、19畳が二部屋、12畳が一部屋。あと予備の8畳があるそうです。

昔のジュブナイル書の棚を見上げて(マニア垂涎のものばかり)
白地に黒で題名が書いてある箱は、まだ入手してないSF本だとのこと。
日本初のSF雑誌「科学小説」誌創刊号と、少し遅れて発刊された「星雲」誌Vol.1を手に悦に入っているところ(笑)

 

書庫の入り口で石原先生とのツーショット(奥様に撮影してもらいました)

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『国際通信の日本史』
> 石原藤夫著
> ISBN 4-486-01482-0 C1021
> 東海大学出版会
> 2000円
> 1999.12 発行

 一八五八年に西洋列強と結ばれた不平等な修好通商条約をを完全に解消するまでに、わが国が五十三年のあいだ苦闘したことは周知の通りである。副題が「植民地解消への苦闘の九十九年」とされた本書は、わが国が明治初年から国際通信分野で一種の植民地状態に陥り、その状態を解消するために九十九年ものあいだ苦闘し、それを解消した歴史について書かれたものである。


『卑彌呼と日本書紀』
> 石原藤夫著
> ISBN 4-7541-0041-7 C1021
> 栄光出版
> 3800円
> 2001.10 発行
  邪馬台国は大和であり、女王卑弥呼は「日本書紀」の中にいた!!というのが石原先生の結論。この結論に至る出発点として、まず「魏志倭人伝」の資料性に疑義を示します。
 また「勘注系図」という古系図を「日本書紀」と付き合わせ、さらに、「年輪年代法」(建築に使用された樹木の年輪から、その伐採された年を年単位で推定できる)という最新の科学的測定法を取り入れ、考古学的発掘の成果と共に重ね合わさせ、邪馬台国大和説を認証しています。
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雀部 >  石原先生は、一昨年『国際通信の日本史』を出され、昨年末には『卑彌呼と日本書紀』を上梓されました。
『国際通信の日本史』は石原先生のご専門の延長上にあると言えなくもないのですが、『卑彌呼と日本書紀』は先生のご経歴からすると専門外だと思うのですが、どういうところから、この分野に興味をお持ちになったのでしょう?
石原 >  『卑彌呼と日本書紀』を書きたいと思うようになったのは、前書きにも記しましたが、二つの理由があります。
1.近年、年輪年代法という手法が確立してから、日本の考古学が科学的になってきて、教科書の記述の間違いが分かってきたこと。
2.戦後の歴史学で古事記や日本書紀が軽視されたり、非科学的だと言われたりする傾向があるので、これに異議を唱えたいと思ったこと。
雀部 >  なるほど、どことなく<とんでも>の分野の香りがする邪馬台国に科学的手法を導入されたんですね。
 まあ『魏志倭人伝』の曖昧な記述から、様々な説が百花繚乱というものある面では楽しいですが(笑)
石原 >  じつは最近になって、私と同じ意見で日本の古代史を見直そうという人が急増しているようです。
 邪馬台国にしても、インターネットを見ますと、九州説が多いようですが、若い学者の間では、大和説がきわめて優勢になっているようです。その理由は、私の本に書いたとおりです。
 最近も『日本の建国史』を書いた南原次男さんから同感のお手紙をいただきました。
 この人は王朝交替説(万世一系への異論)で有名な教授に弟子入りして、教授の説の間違いを指摘する資料を突きつけたが、何の答えもなく、反論もしなかったそうです。また講義でも交替説は一度も語らず、しかも退官記念の講演で「交替説を思いついたのは夢がきっかけだった」と、暗に間違いを認めたそうです。
雀部 >  また、某所で、お父様の影響で神社とかに興味を持たれたとコメントされていましたが、どういうところに興味を引かれたのでしょうか?
石原 >   父の影響で神社に興味を持ったというのは大げさですが、いつも赤坂稲荷神社とか浅草の聖天様とかにつれていかれました。また明治神宮や東郷神社は遊び場でした。
 また暮れにはいつも、神棚の掃除をやらされました。
神社には必ず鎮守の森がありますから、心が洗われます。森を神として崇める日本の伝統文化は大切にしなければと思っております。
 

[石原藤夫]
 '33年東京都生まれ。早稲田大学電気通信学科卒。工学博士。専門はマイクロ波導波管回路素子。
 '65年、「ハイウェイ惑星」でSFマガジンデビュー。以降日本では数少ないハードSFの書き手として活躍。
 書誌研究家としても知られ「SF図書解説総目録」「『SFマガジン』インデックス」で、第12回日本SF大賞特別賞を受賞。
 その活躍は、海外でも有名でGROLIER社の"THE MULTIMEDIA ENCYCLOPEDIA OF SCIENCE FICTION"にも名前があげられ、業績が紹介されている。
「ハードSF研のご案内」
「S-F資料研究会の刊行物のご案内」(野村さんのSFMRA)
[雀部]
 50歳、歯科医、SF者、ハードSF研所員。
 ホームページは、http://www.sasabe.com/

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