今月紹介する映画は、『ダイ・ハード 4.0』『シュレック 3』『ルネッサンス』『西遊記』の四本です。おまけとして、SFファンも興味を持たれるのではないかと思われることなども……
【小松崎茂とROBERT McCALL】 7月6日 「地球SOS」の時、確かにと思って探していて見つからなかった、アサヒグラフ『小松崎茂 少年の日の夢』(通巻4000号、1998年11月6日号)が出てきました。 更に、忘れていた『ROBERT McCALL EXHIBITION』(1982年7月23日〜8月22日:原宿ラフォーレ・ミュージアム)のパンフレットもオマケに出てきて喜んでいます。 映画『2001年宇宙の旅』のポスターの原画は彼が描いたのですね。 パンフレットの解説が「SFアート界のA・C・クラーク」として小松左京、「イメージの力」として海野弘、「作品解説」として野田昌宏の諸氏が書いています。
【ゼミナール「暗黒に支配される宇宙」】 7月7日 今日は、恒例の東京電力館科学ゼミナールを聴きに渋谷のTEPCOまで出かけました。 今回(7月)の演題は「暗黒に支配される宇宙」、講師は名古屋大学理学研究科教授 杉山直氏。 非常にタレント性のある方で、お話も楽しめました。 最後に、ご自分が書かれた本のご紹介があり、即売されていたので眺めましたところ、福江純、粟野諭美編著の『宇宙はどこまで明らかになったのか』(サイエンス・アイ新書)を発見、発行が2007年6月24日だったので即購入しました。 杉山直氏は最後のpart8を担当されていました。 全ページカラー印刷で綺麗な本です。 それに今日は特別に1000円の本が900円で買えました!
■『ダイ・ハード 4.0』
7月2日は朝一(11:10)からの『ダイ・ハード 4.0』を観に渋東シネタワーまで出かけてきました。入りは150人ぐらいで、まあまあ。 昔々、行列をして映画を観た癖が未だに抜けず、どうしても早めに映画館へ行ってしまいます。今は、予告編が始まっていても十分に座れるのに!
物語: 愛想を尽かされ、ハイティーンの娘を残して離婚されたニューヨーク市警の警部補、マクレーンは、その娘にも嫌われ、殆ど口をきいて貰えない。そんな彼にある晩、FBIからニュー・ジャージー州に住むハッカーの身柄を保護し、本部まで連行しろと命令が来る。早速、彼の部屋に赴いたマクレーンだが、突然何者かの銃撃に出会い、ハッカーを連れて命からがら、外へ逃れる。が、更に車とヘリコプターに追跡され、遂にマクレーンは本領を発揮、敵と戦う羽目になる。 丁度、時を同じくして、アメリカ東部がサイバー・テロに襲撃され、交通・金融機関などが順次麻痺状態になって行く。 実は、このハッカーは、知らず知らずにサイバー・テロに利用されており、口封じのため、組織から抹殺されようとしていた。 アナログ人間、マクレーンはこのハッカーと共に、高度なサイバー・テロ集団に立ち向かうが、果たして勝ち目があるのであろうか。
1,2,3と観てきたので、何となく惰性で観に行った感もありましたが、矢張り観ていると完全に引き込まれてしまいました。「主人公は絶対に死なない」ので安心して観ていられます。これでもか、これでもかのぶち壊し、テロの被害よりも、この戦いの被害の方が大きいのではないかと心配しました(アニメ映画『Mr.インクレディブル(2005)』では、市民が「ヒーローは敵も倒すが、回りをメチャメチャにするので不要」というデモをするところから話が始まりました)。ちょっとしんどそうですが、ブルース・ウィリスも元気に頑張っていました(52歳の由)。肉体同士の戦いの他、ネット上の知能合戦も楽しめます。 多分に誇張はあるかとも思いますが、天才が本気になれば、現在のセキュリティはこの映画のように簡単に破られてしまうのではと気になります。また、本物のハッカー(オタク)の生活の一部分を垣間見たような気がします(これを観て、ワイヤレス・キーボードの使い方が分かりました! また、ゴムのシートのように巻けるキーボードなんていうものもあるのですね)。 毎度書きますが、この映画も、テロ集団に人質に取られた娘を、マクレーンが命がけで取り戻した結果、父と娘の絆が深まるという「父娘もの」でした。 字幕は戸田奈津子さん、彼女の翻訳は映画を観終わった後、ひょっとして自分は全部英語が分かったのではないかと思うぐらい素晴らしい出来です。
(原題) DIE HARD 4.0 2007/アメリカ/20世紀フォックス配給 監督:レン・ワイズマン 脚本:マーク・ボンバック 出演:ブルース・ウィリス、ジャスティン・ロング、ティモシー・オリファント、クリフ・カーティス
日本版字幕:戸田奈津子 2007/06/29公開
■『シュレック 3』
7月13日の金曜日には、朝10時50分からの『シュレック 3』を観に、渋谷のTOEI(2)まででかけました。入りは20〜30人、10%ぐらい。
物語: 蛙に戻された「遠い遠い国」の国王は、臨終の床(ハスの葉)の上で、シュレックに次の国王になってくれと依頼するが、もとより王様になりたくないシュレックは、遠い血筋のもう一人の候補者、アーサーの名前を聞き出し、彼を捜す旅にドンキーや長靴を履いた猫と共に出発する。が、以前からこの国を乗っ取ろうとしていた男、チャーミング王子は、おとぎ噺の悪役ども(フック船長や魔女など)をそそのかし、シュレックの留守に奇襲をかける。やっとの事で、魔法学校に通う気の弱い高校生、アーサーを見つけたシュレックが、嫌がる彼を引き連れて国に帰ってみると・・・。 果たして、シュレックを初めとする善玉ヒーロー、ヒロインたちは、チャーミング王子の悪計を覆し、アーサーを王位につかせることができるのであろうか。
ご存知『シュレック』の第三作目。馬鹿にしてはいけません。この第一作目は2001年に初めて制定された「長編アニメ部門」で、見事「アカデミー賞」を受賞しました。今回は、王位継承問題で大騒ぎ。最後は教訓的で、ちょっとホロリとさせられます。 善玉ヒロインたち(白雪姫、シンデレラ、眠れる森の美女など)の活躍は、まさに『チャーリーズ・エンジェル』そこのけ。 最後、アーサーに王位を譲ったシュレックとフィオナ姫との間には3人のベビーも誕生、二人は末永く田舎の汚い小屋で幸せに暮らしたという・・・ことになるのでしょうか? 果たして、『シュレック 4』は? 何故かどこの映画館でも、日中は全部「日本語吹き替え版」のみ上映。フィオナ姫の声が藤原紀香で悪くはありませんが、日本語に吹き替えられた歌は、どうもリズムに乗らず頂けません。因みに、英語版フィオナ姫は、キャメロン・ディアスです。
(原題) SHREK THE THIRD 2007/アメリカ/ドリームワークス アニメーションSKG提供 監督:クリス・ミラー 制作:アーロン・ワーナー 原作:ウィリアム・スタイグ 脚本:ジェフリー・プライス、ピーター・S・シーマン、クリス・ミラー、アーロン・ワーナー 声の出演:シュレック マイク・マイヤーズ/濱田雅功 ドンキー エディー・マーフィー/山寺宏一 フィオナ姫 キャメロン・ディアス/藤原紀香 長靴を履いた猫 アントニオ・バンデラス/竹中直人 2007/06/30公開 1時間33分
■『ルネッサンス』
7月17日は、小雨の中、先週土曜日から上映された『ルネッサンス』を観に、渋谷シネセゾンまで出かけました。座席数約200の劇場、入りは15%程度でした。
物語: 時は2054年、場所はパリ。 総合医療企業「アヴァロン」の美しい研究者、イローナが誘拐され、誘拐専門の捜査官カラス警部に捜査命令が出される。カラス警部が同じく「アヴァロン」に勤めるイローナの姉、ビスレーンと共に捜査を進めているうち、「アヴァロン」が早老症の研究のために、子供たちを実験台に使っていたことを突き止める。しかし、更に捜査を続ければ続けるほど意外な事実が浮かび上がってくる。果たして、「アヴァロン」がひた隠しにしている実験とはなにか、そして、その実験とイローナの関係は・・・。
久し振りに2054年を舞台にした、SF的な映画を見ました。 が、前から“新時代映像<デジタル・モーション・グラフィック>”と宣伝されていたように、映像の斬新さは物語以上に新鮮でした。これは殆ど中間のトーンがない白黒映画なのに、非常に実写的なアニメに仕上がっています。初めはちょっと目が疲れますが、だんだんとその不思議な世界に引き込まれていきます。パリの街並みも半世紀後の新市街と、昔ながらの旧市街がうまく混在してよい雰囲気がでています。この新映像は、「この映画を実写で撮ると、とてつもなくお金がかかる」ということから考え出されたものなのだそうですが、非常に物語にマッチしています。 また、カラス警部の声は、今年のお正月映画として上映された『007/カジノ・ロワイヤル』でジェームス・ボンド役を演じた新人、ダニエル・クレイグ、これもセールス・ポイントのひとつになっています。 この総合医療企業名を「アヴァロン」にした点について、監督は「特に押井守を意識したわけではないが、私は彼の大ファンだ」と語っているそうです。
(原題) RENAISANCE PARIS 2054 2006/フランス・イギリス・ルクセンブルグ合作(英語)/ハビネット+トルネード・フィルム+Yahoo! Japan提供 監督・デザイン原案:クリスチャン・ヴォルクマン ストーリー原案:マチュー・デラポルト、アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール 技術サポート:IBM 声の出演: カラス警部:ダニエル・クレイグ イローナ:ロモーラ・ガライ ビスレーン:キャサリン・マコーマック 2007/07/14公開 1時間46分
■『西遊記』
7月24日は予定通り9時に我が家を出発、10時30分からの『西遊記』を観に渋東シネタワーまで出かけました。まさに、夏休みスタート。開場前、子供連れが沢山行列。しかし、渋谷一の大劇場、入場してみたらばガラガラでした。
物語: ご存知、『西遊記』のうち、「金角大王、銀角大王」からの一席! ということで、詳細は省略させて頂きます。
今まで何度『西遊記』は劇場で上映、テレビで放映されたことでしょう。 私の記憶に残っている一番古い『西遊記』は孫悟空が榎本健一、通称エノケンの映画で、戦前(小学校1年生!?)、新宿の東宝劇場で観たような気がします。 そこで、今、「ぴあ」のCD-ROMで調べたところ、正式なタイトルは『エノケンの孫悟空』(1940年、東宝東京)で、監督は山本嘉次郎、そして出演者は榎本健一、花井蘭子、岸井明、高勢実乗、中村是好、高峰秀子、三益愛子、李香蘭、渡辺はま子、中村メイコといった錚々たるメンバー。 楽しい、ミュージカル・コメディーに仕上がっていました。そして、翌1941年12月8日、日本は大東亜戦争に突入するわけです。
さて、今回の『西遊記』、孫悟空には香取慎吾。全体として、学芸会的な雰囲気ですが、適所にCGが使われていたり、インディ・ジョーンズそこのけのシーンもあり、結構楽しめました。もともと、キャーキャーと喜んで観ている夏休み、お子様向けの映画ですから、年寄りが云々いう資格はありません。
最近になって、岩波文庫の『西遊記』全10冊を読了しましたが、今まで考えていた以上に大人向けの物語、猪八戒のエッチ振りが楽しめました。
2007・日・フジテレビジョン、東宝、J−dream、FNS27社 監督:澤田鎌作 特撮監督:尾上克郎 脚本:坂元裕二 出演: 孫悟空 香取慎吾 沙悟浄 中村光良 猪八戒 伊藤淳史 三蔵法師 深津絵里 2007/07/14 公開 2時間 |