このところ、どうして本格的なSF映画がないのでしょうか? 『アーサーとミニモイの不思議な国』や『パンズ・ラビリンス』なども、当初は観たい映画の中に入っていたのですが、何回も予告編を見せられている中に、だんだんグロテスクなシーンばかりが頭に浸透し、観る気が無くなってしまいました。 ということで、今月紹介する映画は、『ミス・ポター』『めがね』『リトル・レッド』と『バタフライ・エフェクト 2』の四本。うちSFは、『バタフライ・エフェクト 2』だけでした。
■『ミス・ポター』
10月5日は、女房のお供で、渋谷まで映画『ミス・ポター』を観に行ってきました。 「ピーター・ラビット」の作者、ビアトリクス・ポターの「恋と波乱に満ちた半生を描く感動作」です。 『ファンタスティック・フォー』の時にも書きましたが、入場者数十人の中、男性は4人(お供か?)、後は全部、中年以降のオバサン、オバアサンでした。
シーンは20世紀当初のロンドンと湖水地方。 32歳、独身。初めて、自分の動物絵物語が本になり、その出版社の編集者と恋に落ちるが・・・・・。 最後は、自分の財産(印税)を投げ打ち、湖水地方の自然を守り抜くというお話。
主演は、『ブリジット・ジョーンズの日記』で大ブレイク、すっかりお馴染みになった レニー・ゼルウィガー。彼女はビアトリクス・ポターの大ファンだそうで、自ら名乗り出て、この役を獲得したとか。 綺麗な自然と、可愛い動物たち。心和む映画でした。 関係siteによると、「湖水地方」のニアソーリーには、ビアトリクス・ポターの家が残っており、観光コースに入っているそうです。 (残念ながらSFではありません)
■『めがね』
そんなわけで、10月9日も女房のお供で、シネセゾン渋谷まで日本映画『めがね』を観に行ってきました。
映画: 早春の、何もない南の島(ロケ地は与論島)の民宿に、「携帯電話が繋がらないところに行きたかった」という、一人のハイミスがたどり着く。毎年この季節になると、ここにやって来るという、初老の夫人。民宿の主人とその島の高校女教師。何故かそのハイミスを追ってやって来た大学の教え子(?)。 この5人が、何もない海岸の民宿を中心に、ただ海を眺めながら坦々と「たそがれた」毎日を過ごしていく。ハイミスも、最初はこののんびりさに耐えかねるが、だんだん皆にとけ込んで「たそがれ」ていく。
という映画です。 ひと頃話題となった『かもめ食堂』のキャストとスタッフが再集結して作り上げた映画。最近、「日常」の映画は受け入れられず、もっぱらバイオレンス、ホラーなど「非日常」の映画が普通となっていますが、この映画は、「日常」以下のスローテンポの「非日常」が主題。登場人物、5人の素性なども明かされず、エンドになります。 第三者としてこの映画を観ると、もどかしく感じると思いますが、自分自身がスクリーンの中に入り、6人目の登場人物になって観ていると、心が癒され、最後には自分もこの島に行きたくなりました。 そこで、帰宅後、即、ネットで「与論島」を調べて見ましたが、こんなに「非日常」なところではなさそうで、ちょっとがっかり。(笑)
『めがね』 2007/日本/日活配給 支援:文化庁、めがね商会 脚本・監督:荻上直子 出演:小林聡美、市川実日子、加瀬亮、光石研、もたいまさこ 2007/09/22公開、1時間46分
蛇足:『めがね』というタイトルは、先ず全員が「めがね」を掛けているため。そして、最後にちょっとした「めがね」のエピソードが挿入されます。 (SFではありませんが、「非日常」の物語です)
■『リトル・レッド』
10月11日は、久し振りに(?)一人で渋谷アミューズCQNへ、朝一(10:45)の『リトル・レッド』を“全米初登場No.1 大ヒット”につられて観に行ってきました。 小さなスクリーンでしたが、入場者は何と6人!
物語: いつもの通り、赤ずきんちゃんがオバアサンのところを訪ねると、そこにはオバアサンに変装したオオカミが座っていました。オバアサンは縛られて納戸の中に入れられていました。赤ずきんちゃんがオオカミに襲われようとしたとき、木こりが斧を持って窓から飛び込んできました。 事件発生で森の警察が出動、オオカミを逮捕しようとしたとき、蛙のフリッパー探偵が現れ、この件には、最近、森で起こっているケーキ・レシピ盗難事件が絡んでいるのではないかと発言、4人の裏付け調査が開始されます。 が、4人の証言はまちまち。 果たしてこの事件の真相は、そして、レシピ盗難事件の真犯人は誰でしょうか?
アメリカ版、大人向けドタバタ・アニメ大好き、ということで観に行きました。 前半はちょっとだれましたが、後半の犯人追跡場面は結構楽しめました。しかし、なかなか『シュレック』のようにはいきません(流石、『シュレック』はアカデミー賞作品)。 原題は『HOODWINKED』。この方が内容にマッチしています。 赤ずきんちゃんが訪ねて行く、よぼよぼのお婆ちゃんは、実は世を忍ぶ仮の姿。襟元には「GGG」(トリプルG)の入れ墨が入っている、大冒険家だったのです。 このところは、2002年上映の、ヴィン・ディーゼル主演『トリプルX』の大冒険パロディが満載。その辺が分ると、この映画は更に楽しめると思うのですが、私以外の5人は果たして・・・。(笑) 最近、SF的な映画がなかったので、10月下旬になって上映される『バタフライ・エフェクト 2』、『インベージョン』、『エクスマキナ』などを期待しています。
(原題) HOODWINKED 2005/アメリカ/ワインスタイン・カンパニー、カンバー・エンターテインメント提供 監督:コリー・エドワーズ 2007/10/06公開、1時間21分
■『バタフライ・エフェクト 2』
10月22日は赤坂見附での用事を済ませた後、銀座へ回り、「銀座シネパトス2」で12:50からの『バタフライ・エフェクト 2』を観てきました。 前にも書きましたが、この映画館は立体的に晴海通りと地下鉄日比谷線の間に挟まれた地下にあるので、地下鉄が通るたびに座席が振動します。 入りは数人!
物語: ニックと恋人のジュリー、それに友人のカップルの4人が湖畔で楽しいひとときを過ごした帰途、車がパンク、スピンしたあげく対向の大型トレーラーと激突。生き残ったのはニックだけ。 退院後、ニックが湖畔で撮した写真を悲嘆に暮れて眺めていると、突然頭痛が襲い失神。気が付いたときは湖畔のあの時に戻っていた。 今回は、トレーラーとの激突は避けられたが・・・・。
といった具合に、それ以降、不幸の都度、写真を睨みその時点に戻ってはみるものの、いつも待ちかまえているのは悲惨な運命。 愛するジュリーを救うため、最後にニックが取った行動とは・・・。
殆どが、観る前に予想していたような筋の運び。 しかし、一番最後のシーンだけは、ひょっとしたらばもっと飛躍した『バタフライ・エフェクト 3』ができるのではないかと感じさせられました。 題名は『バタフライ・エフェクト 2』ですが、物語も登場人物(キャスト)も全く前編とは関係のないお話なのでちょっと戸惑い、ちょっとがっかりもしました。 それにしても、戻った過去をあれだけ変えてしまうのは、とても「蝶の羽ばたき」どころではないのでは・・・。
(原題)THE BUTTERFLY EFFECT 2 2006/アメリカ/アートポート+AMGエンタテインメント提供・配給 監督:ジョン・R・レオネッティ 脚本:マイケル・ウェイス 出演:エリック・ライヴリー、エリカ・デュランス、ダスティン・ミリガン、ジーナ・ホールデン 2007/10/13公開 1時間32分 |