面白そうな映画はあれど、どれもSF映画と呼ぶには…… ということで、今月もSFファンの皆さんが興味を持ちそうな、先月見そこなった『宇宙エレベータ』のレポートを交えてお送り致します。
◆『宇宙エレベータ』
5月19日は思い立って、仕切直しということで先月9日、『エイリアン展』を観に行った際に、時間の関係で観ることができなかったアニメ映画『宇宙エレベータ』を観に、再び、お台場の日本科学未来館まで出かけました。
4月24日から始まった、『表現する研究者たち』と題した、“科学技術との融合による新しい芸術作品の展示”、8点を観るのも目的のひとつ。
今回は昼食に「ここだけコロケット」は敬遠、途中、新橋で“おそば”を食べて行き正解でした。 日本科学未来館到着後、直ちに常設展のチケット(500円)を購入、その足で「ドームシアター・ガイア」で13時から、毎日1回のみ上映される『宇宙エレベータ』の予約を取り(常設展のチケットを持っていれば無料)、3階のメディア・ラボで開催中の『表現する研究者たち』展へ向いました。この会場はガラガラでしたが、手持ちぶさたの説明員がSFファンだったので話が弾み、3〜40分楽しみました。<本展覧会は8月31日まで。【監修】岩田洋夫(筑波大学大学院システム情報工学研究科 教授)> http://www.miraikan.jst.go.jp/j/info/2008/if_0416_01.html
さて、『宇宙エレベータ』。
物語: 21世紀後半。12歳の未来(みく)は、宇宙エレベータで働く父親、ピアニストの母親、それに、エジソンと呼ばれる家庭用ロボットと知能都市で生活している。 ある日、抽選に当たった未来と母親は、宇宙エレベータに搭乗、地上4000kmで働く父親に手作りのお弁当を届けに行くことになる。が、直前に母親の都合が悪くなり、未来は一人で宇宙エレベータに乗り込む。同時に搭乗したお婆さんが、実はこの宇宙エレベータ創設時のVIPだったりと、話はふくらみ、最後は地上4000kmのエレベータの中継点で、美来とお父さん、お婆さんの3人はお弁当を広げ、未来は将来、もっと上まで行ってみたいと夢を膨らませるところで物語は終了。
物語の中で、数十年後の知能都市、家庭用ロボットなどの機能説明や、初期の宇宙エレベータは低いところに作られていたため、静止ではなく、地球周辺の宇宙を飛んでいたとか、現在の静止宇宙エレベータの構造(下部末端が、地上に接続されておらず、フリーになっているところは感激)などの説明が入り、子供用の科学啓蒙アニメなのに充分楽しめました。 この映画は、かなり技術的にしっかりと作られており、技術的には“つっこむ”ところはありませんでしたが、ひとつだけ、お弁当に入れた父親の好物“肉のローズマリーのハーブ焼き”の調理に使われたハーブの葉がローズマリーではなく、ミント系の葉であったのが気になりました。 この映像は、日本科学未来館のプラネタリューム用の直径15.4mの全天スクリーンに映写されますが、強度の老眼鏡を掛けた私には、かなり映像が視界からはみ出してしまいました(笑)。120の座席は満席でした。
企画監修:日本科学未来館 制作・配給:ウォーク、制作協力:エクスプローラーズ・ジャパン キャラクターデザイン:百瀬ヨシユキ(スタジオジブリ) (見たことあるようなキャラクターが出てきましたが、矢張り、ジブリが絡んでいました) 監修:アニリール・セルカン(東京大学助教授「建築学」/宇宙飛行士候補) 青木隆平(東京大学教授「航空宇宙工学」) 原島博(東京大学教授「大学院情報学」) 協賛:ダイワハウス、ケン・コーポレーション 2007年公開、32分 http://www.miraikan.jst.go.jp/j/exhibition/d_gaia_elevator.html
■『紀元前1万年』
5月8日、朝一(11時20分)の『紀元前1万年』を観に、渋谷ピカデリーに出かけました。開場の11時丁度に着いたときには、観客は3人、その後、上映時にも10人ばかりだったと思います。
物語 遠い遠い昔のお話。 狩猟民族、ヤガルのハンター、デレーは、美しい娘、エバレットと子供の時から惹かれ合い、将来を誓い合っていた。 だがある日、馬に乗った正体不明の一団が村を襲い、エバレットも奴隷としてさらわれてしまう。 デレーは、エバレットを救い出すため、数人の仲間とともに、この一団の後を追う。 果てしない旅の中で、デレーはいろいろの動物や、民族と遭遇、成長していく。 やがて、たどり着いた目的地には、“神”が支配する高度な技術力を持つ民族が住んでおり、天にも届くばかりのピラミッドが、奴隷たちの力で建設されつつあった。 果たして、デレーはこの民族に打ち勝ち、エバレットを救うことができるのであろうか?
『インデペンデンス・デイ』、『デイ・アフター・トゥモロー』のローランド・エメリッヒ監督の映画です。 まず最初に、映像に出てくる、1万年前のヤガル族は、こんなものかも知れないと納得しましたが、全員が流暢な英語を話すのでビックリしました。流石に、旅の途中で遭遇する他の民族は、意味不明な言語を話していました。 物語は、よくある筋書ですが、よくこんな映像を作ったものだと感心させられました。特に、マンモスの一群が暴走するシーンなどは迫力があります。 雪の残る山を越え、日照りの砂漠を歩いての行軍。やっと目的地にたどり着いたときには、私も草臥れ果てました。
予告編で初めて『ドラゴン・キングダム』を観ました。7月26日公開の由。 ジャッキー・チェン(54歳)とジェット・リー(44歳)、奇跡の共演。 古代帝国に迷い込んだ現代の若者(アメリカ人)が、伝説の“如意棒”を巡って悪と対決する冒険物語?どうやら、SFのようです。
(原題)10,000BC 2008/アメリカ/ワーナー・ブラザース映画配給 監督:ローランド・エメリッヒ 脚本:ローランド・エメリッヒ、ハラルド・クローサー 出演:スティーブン・ストレイト、カミーラ・ベル、クリフ・カーティス 2008/04/26公開 1時間49分
■『ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛』
5月21日は初日、朝一(10時30分)の『ナルニア国物語』を観るために頑張って早起きし、渋谷ピカデリーに出かけました。この日は水曜日で“レディースデイ”。過半数は女性でしたが、入りは三分の一ほど。 この映画は、水曜日からの上映。前の『紀元前一万年』が不評だったのかと思いましたが、全世界同時公開のためだとか。日付変更線に近い日本で、初日、第一回目を観るということは、世界で一番早くこの映画を観たことになります。
物語: 現世では、第一作の1年後、ナルニア国の暦では1300年後の物語。 人間が治めるテルマール王国は、魔法の国、ナルニアを壊滅させていた。 テルマール王国の王子、カスピアンは、父亡き後、王の座を狙う叔父が、男児を得たことで命を狙われ、森へ逃げ込む。が、追っ手に捕まりそうになり、伝説の救世の王、ペベンシー4兄妹が、いつでも助けに来てくれるという謎の角笛を吹く。 丁度その時、下校途中のロンドンの地下鉄「STRAND」駅にいたペベンシー4兄妹は、駅の謎の崩壊に遭遇、その跡の地下洞から見知らぬ美しい海岸にトリップする。 そして、そこで、4兄妹が発見する数々の遺跡が、実は1300年前のナルニア国のものであったことを知る。 4兄妹は、カスピアン王子や、森に生き残るナルニア人たちと出会い、テルマール王国を滅ぼし、ナルニア国の再建を誓うが、多勢に無勢、勝ち目がない。 そこで想像力豊かな最年少の次女、ルーシーは単独で、彼女にだけしか見えない、ナルニア国の創造主、ライオンのアスランに助けを求めために出かける。 果たして彼女はアスランを見付けることができるのか。 そして、4兄妹は再び現世に戻ってこられるのか?
第1作を観たので、第2作目もといった惰性で観に行きましたが、完全に嵌って楽しめました。それぞれに1年成長した4人の兄妹の顔を見たとたん、忘れていた前作の物語が完全に蘇って来たのは不思議です。 前作同様、CGも素晴らしいし、後半の戦争場面も痛快です。 今回の物語は、小説『ナルニア国物語』全7巻の第4巻目の映画化とか。 取りあえず、ハッピーエンドで終わりましたが、果たして続きがあるのでしょうか? 最後に、アスランが4人兄妹の“ピーター”(長男)と“スーザン”(長女)に向って「君たちは、もう大きくなったので、再びナルニア国に来るのは相応しくない」といったようなことを告げるシーンがあります。
(原題)THE CHRONICLES OF NARNIA PRINCE CASPIAN 2008/アメリカ/ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ & ウォールデン・メディア提供 監督:アンドリュー・アダムソン 脚本:アンドリュー・アダムソン、クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー 出演:ベン・バーンズ、ジョージー・ヘンリー、スキャンダー・ケインズ、ウィリアム・モーズリー、アナ・ポップルウェル 2008/05/21公開 2時間25分
★ 7月5日よりロードショーのウィル・スミス主演、『ハンコック』の予告編を初めて観ました。“やり過ぎパワー、嫌われ者”のスーパーヒーローのお話です。
■『ランボー 最後の戦場』
昨、26日は朝一(11時15分)の『ランボー』を観に、渋東シネタワーに行って来ました。上映三日目、エレベーター前はそれなりに混んでいましたが、流石、渋谷一の大映画館、入場したらば数十名はガラガラの状態でした。(この映画は、SFではありません)
物語: ランボーはタイ北部のジャングルで、ひっそりと、毒蛇を捕ったりして生計を立てていた。そんな彼の前に、一人の女性、サラが現われ、仲間とともに奥地のカレン族に医療品などを届けたいので道案内をして欲しいと頼み込む。一度は断ったものの、サラの熱意に動かされ、ボートで奥地へ支援団を送り届けるランボー。 数日後、その支援団が、ミャンマー軍に拉致されたらしいとの知らせが届き、ランボーは再びボートで支援団救出の傭兵5人を奥地へと案内する。が、ランボーはミャンマー軍によるカレン族の虐殺を目の当たりにし、サラを救うべく、殺人マシーンへと変身する。 果たして、ランボーと傭兵たちは、ミャンマー軍を絶滅し、サラたち支援団を救出することができるのであろうか。
ご存知、『ランボー』の4作目。 これも、最初の『ランボー』(1982)から、全部観ているので、ひょっとすると本当に最後になるかと思い観に行った次第。 昨年の『ロッキー』と同様、殆ど衰えを見せないスタローンに脱帽です。スタローンは1946年生まれ。観ていて、元気を分けて貰いました。 それにしても、『ランボー3 怒りのアフガン』(1988)以降、20年間、ランボーはタイのジャングルでコブラ取りをしていたのでしょうか。 そして、今度の敵は、ミャンマー軍。 このところ、サイクロンで、ミャンマーの軍事政権がクローズアップされており、その中での映画上映。タイミングがよかったように思います。 相手が、凶悪であればあるほど、これを容赦なくやっつけるのは痛快です。 最後、ちょっとサラに岡惚れだったランボー、『寅さん』を連想、可愛そうでした。 郷里に帰って、よいお嫁さんを探し、お父さんに親孝行をしながら、どうか静かな人生を送って下さい。
(原題)RAMBO 2008/アメリカ/ギャガ・コミュニケーションズ提供・配給 監督:シルベスター・スタローン 脚本:シルベスター・スタローン 出演:シルベスター・スタローン、ジュリー・ベンツ、ポール・シュルツ、マシュー・マースデン、グレアム・マクタビッシュ 2008/05/24公開 1時間30分
◇ 今回、初めて映画館で観た予告編。
★ 5月31日公開の『ラスベガスをぶっつぶせ』。MITの数学の超天才グループが、ラスベガスでブラックジャックに挑戦。実話の映画化とか。数学SF? ★ 6月21日公開の『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』。あの音楽を聴くだけで、心が躍ります。しかし、ごく最近の調査によると“クリスタル・スカル”は、“オーパーツ”ではなく、19世紀のドイツ製の偽物と判明したとか(2008/04/25:朝日新聞)。 ★ 7月公開のシャマラン監督『ハプニング』。予告編は、謎、謎、謎のシーンの連続ですが、最近、彼の作品は肩すかしが多いので、今回はジックリ四つ相撲を期待しております。 ★ 今秋、9月に公開の『ウォンテッド』。“1を倒して、1000を救う”。アキレスの時代以来、神に代わり「運命の意思」を実践してきた秘密の暗殺者組織。アンジェリーナ・ジョリー、モーガン・フリーマン出演。飛んでくるピストルの弾が見えたり、その経路を曲げられたりと、『マトリックス』程度にはSFかも知れません。
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