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AKIのキネマまんぽ

『2001年宇宙の旅』と『男はつらいよ』

『スカイ・クロラ』
『ハプニング』
『ハムナプトラ 3』

AKI

 上映40周年記念ということで、先日まで老舗の銀座「東劇」では、『2001年宇宙の旅』が上映されていました。
 この映画は、40年前に、京橋の「テアトル東京」で観ました。
 涙が出るほど感激しました。
 色が変わりつつありますが、B4版よりやや大きめ、銀色のパンフレットと、チラシが手元にあります。    
 チラシの解説には、手塚治虫、岡本太郎、大宅壮一、石川達三、福島正実、桂小金治、アントニオ古賀などの諸氏が名を連ねています(不思議な人もいますが、当時はそういう時代だったのです)。
 監督は、スタンリー・カブリックとなっています!

 その後、VHSで何回見直したことか。

 そして、本当の「2001年」には、名前は「銀座テアトルシネマ」と変わりましたが、同じ映画館で再び、大スクリーンで観ました。

 その後はDVDで、また何回も。

 先日、ある人から、「お勧めのSF映画、これはという一本は」と聞かれ、咄嗟に 『2001年宇宙の旅』と答えてしまいました。
 何百本もある、SF映画の中で、『2001年宇宙の旅』を超える映画は未だないのでしょうか!?

 因みに、現在、東劇では、40周年記念として『男はつらいよ』の作品を連続で上映しています。同じ時代だったのですね。(笑)

 今月ご紹介するのは、以下の三作です。
『スカイ・クロラ』『ハプニング』『ハムナプトラ 3』

■『スカイ・クロラ』

 8月2日は、友人から「全国巡回陶芸創作展」の招待状が届いたので、川崎まで観に行き、その後、川崎の東芝管球工場跡地にできた、大型ショッピングセンター「ラゾーナ川崎プラザ」内のシネコン「109シネマズ川崎」で『スカイ・クロラ』を観てきました。
 流石、夏休み、土曜日、初日2回目(12:55)、120席ばかりのシアター5は満席でした。

物語:
 いくつかの大戦を経て、束の間の平和を手に入れた、地球によく似た、ある世界の物語。
 DNA操作により新薬を作り出す過程で、偶然、思春期で成長が止まり、永遠に生き続ける“キルドレ”と呼ばれる子供たちが誕生した。
人々は、現在の平和を持続するために、必要悪の戦争、ショーとしての空中戦を作り出し、戦争ででもなければ死ぬことのない、この“キルドレ”たちを飛行機に乗せた。

 今日も一人の新人キルドレ、カンナミが前線基地の飛行場に配属されてくる。が、基地の同僚や、回りの人たちの彼を見る目がなれなれしい。また、新しくあてがわれた戦闘機も、何故かカンナミには昔から自分になじんでいる感じがする。自分自身の過去の記憶は、ある時点で途切れている。同僚と話をしている中に、だんだんと過去を思い出し、永遠に死ねないことへの絶望感と、死への願望が募ってくる。
 そして、最後、彼が選んだ手段とは。 
 そしてまた、それで彼の願いは叶えられるのであろうか。

 押井守のSF映画は、今まで『攻殻機動隊(1995)』、『アヴァロン(2001)』、『イノセンス(2004)』などを観て来ましたが、深刻、且つ難解で、未来に救いのない感じのものが多かったようです。
 今回も、この映画を観るのは、余り気が進まなかったのですが、矢張り、避けて通れない映画なので出かけた次第。ですが、矢張り、思った通り、決して楽しい映画ではありませんでした。
 観ている間に、これは何を意味しているのだろうかと、常に考えながら観ていても、決して全部が理解できるわけではなく、幾つも謎を残して映画は終わります。(それにしても、『イノセンス』で出てきたのと全く(?)同じ犬が、今回も出て来るのは何故?)
 この映画の長いエンド・ロールの後に、もうワン・カットがあり、これによって大きな謎の一つが解決されますので、必ず最後、場内の照明が点くまで席を立たないで下さい。
 まだまだ沢山書きたいことはありますが、最後に一つ。彼のメカの描写はただただ素晴らしいのひと言で感動しました。

蛇足:「クロラ」は英語で「Crawlers」(這うもの)。「クローラー」でないのは、原作者:森博嗣の全作品共通の表現法とのこと。

2008/日本/
製作:PRODUCTION I.G
製作指揮:小杉善信、石川光久
原作:森博嗣
監督:押井守
脚本:伊藤ちひろ
声の出演:菊地凛子、加瀬亮、谷原章介、山口愛、平川大輔、竹若拓磨
2008/08/02公開 2時間02分

<<後日談>> この犬の謎が解けました。
 この犬は、思った通り(?)、押井守の飼い犬で、バセット・ハウンド種、名前は「ガブリエル」、愛称「ガブ」。
 但し、この映画制作中、2007年4月3日に死んだ由。
 次回作品には、どんな犬が・・・。

■『ハプニング』

 8月5日は、大雨の合間をかいくぐって、渋東シネタワーB1まで、朝一(11:40)の 『ハプニング』を観に行ってきました(観ている間、TVで放映されるほど、渋谷は豪雨でした)。
 入りは、思ったより多く、約250席に数十人。

物語:
 それは、いつものように平穏な、ニューヨークのセントラル・パークから始まった。
 公園で憩う人々が、突如、錯乱し、方向感覚を失い、やがて死に至る。
 この現象は、ニューヨークを起点とし、急速に、周辺へと広がり始める。
 辛うじて生き延びた人々は、できるだけニューヨークから離れようと、車で、列車で避難するが、この原因不明な死は、逃げる人々よりも早く先回りしている。
 当初、テロだと思われていた可能性が、だんだん薄れ始める。
 フィラデルフィアの高校で、理科の教師をしているエリオットは、妻、アルマと、預かった少女を連れて逃げるが、やがてパニックから目覚め、この死が、人間の密度に関係していると判断、できる限り少人数で拡散、逃避を始める。
 果たして、この中の何人が、生き残れるのであろうか。
 そして、この現象には終わりがあるのか。

 ご存知、M.ナイト・シャマラン監督の映画です。
 最初の『シックス・センス』(1999)で、「それはないよ」のドデンガエシを食わされ、それから『アンブレイカブル』(2000)、『サイン』(20002)、『ヴィレッジ』(2004)、『レディ・イン・ザ・ウォーター』(2006)と続けて観てきた惰性で、今回の『ハプニング』も観に行った次第。
 彼の映画は、出来、不出来はあるものの、『シックス・センス』を超えるものもなく、この『ハプニング』も、現在、アメリカでの興行は今一とのこと。そろそろシャマラン監督の独りよがり路線も、変更の時期かもしれません。
 毎回、ワンカットに自分自身が出演するのですが、今回は分りませんでした。(パンフレットによると、出るに相応しいシーンがなかったので、妻、アルマに掛かってきた電話の声が、シャマランだった由)
 『崖の上のポニョ』のときにも引き合いに出しましたが、この映画は『深海のYrr』の植物版ともいえる物語です。シャマランは、ヒッチコックの『鳥』(1963)をイメージしていたようですが。
 しかし、いずれにしても、今回の敵(?)は姿が見えない“風”!?。

(原題)THE HAPPENING
2008/アメリカ/20世紀フォックス映画配給
脚本・製作・監督:M.ナイト・シャマラン
出演:マーク・ウォールバーグ、ズーイー・デシャネル、ジョン・レグイザモ、アシュリン・サンチェス       
2008/07/26公開 1時間31分

■『ハムナプトラ 3』

 不覚にも夏風邪を引き、10日ばかりぐずぐずしていたため、いくつか見逃した映画もありましたが、8月20日は、やや回復したのを幸い、試しに港北ニュータウン、ノースポートのシネコンに、先週土曜日から公開された『ハムナプトラ 3』を観に行ってきました。
 ここは、横浜市営地下鉄の新線、グリーンラインを使えば、我が家から30分で映画館。しかも、“敬老パス”で足代は無料!
 今回はスクリーン“2”。座席数:352に対して、観客は20人足らず。冷房効きすぎで、注意力やや散漫!

映画:
 時は1946年、中国奥地。考古学者たちが、砂漠の中で、秦の始皇帝の墓と、それを守る兵馬俑を発掘する。その学者たちに混ざって、今は大きく成長した、リックの息子、アレックスの姿があった。
 シーンは変わって、今から2000年前の中国。
 向うところ敵なしの皇帝は、最後に不老不死を求め、女妖術師ツイ・ユアンを呼び寄せるが、嫉妬から、彼女の恋人を惨殺したため、皇帝と兵士は呪いをかけられ石にされてしまう。
 再び、お話は1946年のロンドンへ。
 リックとエヴリン夫妻は、静かな生活を送ろうと誓い合い、彼女は今までの冒険を小説に纏め、作家として成功している。なのに、外務省から、謎のブルー・ダイヤ“シャングリラの眼”を上海の博物館へ返しに行ってくれと頼まれ、仕方なく2人で上海に向う羽目に。
 その地で、夫妻は、アメリカの大学で勉強しているはずのアレックスとクラブで出会い驚く。
 丁度その時、ある陰謀から、上海の博物館に保管されていた石の皇帝が蘇る。彼は、“シャングリラの眼”を奪い、そのダイヤに導かれ、不老不死を求め、ヒマラヤのシャングリラへと向う。そうはさせじと皇帝を追うリック、エヴリン夫妻とアレックスたち。しかし、魔法の力を持つ皇帝には勝てず、遂に彼はシャングリラの不死の霊水を飲み、加えて、強力な妖術も身につけ、それによって、数万の兵馬俑を生き返らせてしまう。
 世界征服を目論む皇帝。
 果たして、リックたちは彼の野望を阻止することができるのであろうか?

 ともかく波瀾万丈、荒唐無稽。
 このシリーズも、1,2と観て来ているので、3も観に行ったわけですが、結構楽しめました。
 8月下旬号の「キネマ旬報」が「カンフー特集」を組むほど、このところカンフー・ブーム。なんだかんだと、この夏は、『ドラゴン・キングダム』に続いて、中国を舞台にしたジェット・リーを、2度も観てしまいました。矢張り、“北京オリンピック”の関係でしょうか?
 CGがふんだんに使われていますが、カンフー場面は実写とのこと。
 それにしても、今まで、どこかで観たことがあるようなシーンが、何回も出てきます。
 例によって、2000年の間、皇帝の墓を見張ってきた一族の末裔と自称する若い中国女性(実は妖術師ツイ・ユアンの娘で、2000年生きてきた!)と、アレックスとの恋も見どころ。不老不死の少女との恋は『僕の彼女はサイボーグ』・・・、だが?
 また、この映画は、父親と息子の断絶修復物語にもなっています。
 日本語吹き替え版もあり。

(原題)THE MUMMY TOMB OF THE DRAGON EMPEROR
2008/アメリカ/東宝東和配給
監督:ロブ・コーエン
脚本:アルフレッド・ガフ、マイルズ・ミラー
出演:ブレンダン・フレイザー、ジェット・リー、マリア・ベロ、ジョン・ハナ、ミシェル・ヨー、ラッセル・ウォン
字幕翻訳:戸田奈津子
2008/08/16公開 1時間52分

◇ 今回、初めて映画館で観た予告編。

『センター・オブ・ジ・アース』(米)
   10月25日上映。主演は『ハムナプトラ 3』のリック役、ブレンダン・フレイザー。

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