出だしの、地球を取り巻く宇宙デブリや、見捨てられてから700年後の荒廃した地球なども、かなりリアルに描写されており、映画評のただ「可愛い、初恋を思い出す」といった程度のことでなく、予想以上にSF的要素も十分にあり、奥の深い映画でした。
一方、矢張りディズニーだなーと、童心に返らせられるような詩的シーンも幾つかあり、今年一番の期待に十分応えてくれた映画でした。
また、この映画には、最後、赤い目玉のコンピューターの反乱が描かれており、更に、バックグラウンド・ミュージックに『ツァラトゥストラはかく語りき』や、『美しく青きドナウ』などが流れ、『2001年宇宙の旅』へのオマージュが捧げられているように思われます。この他、今まで聴いたことがある音楽が幾つか流れてきます。
ちょっと前まで、この映画は、チャップリンの『街の灯』がモチーフだといわれており、最近、これは間違いと訂正されましたが、一番最後のところで、壊れた部品を取り替え、意識が戻ったウォーリーが、イヴを再認識する辺りは、『街の灯』を彷彿、ホロッとさせられます(あるいは、『心の旅路』か?)。
“ピクサー・アニメーション・スタジオが贈る短編コメディの最新作!!”として、楽しい10分ばかりのアニメ『マジシャン・プレスト』が、最初にオマケで同時上映されます。
12月19日は、公開初日、朝一番(10:55)の『地球が静止する日』を観に、ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウンまで出掛けました。10時現着、切符売り場は殆ど無人。10:40開場。劇場に入ったらば私が二人目。それでも、上映時には20人ほど。この“スクリーン1”は、座席数:534でガラガラ。
この映画も、結局煎じ詰めれば、「子連れの夫と結婚したヘレンは、軍人の夫が戦死してから、子供、ジェイコブとの間が険悪になって来ていた。しかし、この事件を切っ掛けに、母子が和解する」という、最近流行のアメリカ版定番親子物語です。
「ノアの方舟」まで出てきた、重いテーマの映画なのに、最後が“えっ、もうこれでお仕舞い?”といった感じがしたのは残念。期待値をいささか下回りました。
最後、ヘレンが、クラトゥに、「地球人は変われるから、助けてくれ」と懇願するところは、“We can change!”の連呼。“小浜さん”の顔が頭に浮かびました。
地球壊滅に“ナノマシン(?)”が使われますが、シーンによって、マシンの大きさが異なるような気がします。もしかすると、何種類もあるのかも知れません。
現在、本屋の店頭には、『地球の静止する日』と『地球が静止する日』が平積みで両方並んでいますが、この映画は、原作小説『地球の静止する日』の映画化ではなく、映画版、『地球の静止する日』(1951年)のリメイクです。従って、前作へのオマージュも込めて、ロボット“ゴート”も前作の映画に準じた形状になっています。
今回の筋書きでは、特に「静止」する必要もないのに、題名上仕方なく(?)、「地球が静止する」シーンが、最後にちょっと付け足されています。
大分前に『地底探検(1960)』と一緒に購入した、『地球の静止する日(1951)』を、久し振りに観ましたので、この前にご紹介しました『地球が静止する日(2008)』と対比して、粗筋と、感想を上げておきます。