マイクル・クライトンの『NEXT』が、文庫本の上・下(ハヤカワ文庫 NV 1207、1208)で発売されたのを機に購入、ちょっと時間が掛りましたが読了しました。 巻頭に「本書はフィクションである。フィクションではない部分を除いて。」とあるように、ところどころに現実(?)のニュースが挿入されるなど、何処までが本当で、どこからがフィクションだか分らない遺伝子工学(問題提起)の小説です。 現在のように、急速に進歩している遺伝子工学の分野では、フィクションの部分が時々刻々と真実になっていくでしょう。 彼の小説らしく、だんだんと加速度的に物語が面白くなり、引き込まれていきますが、今回の小説は特に登場人物(人間だけでなく、チンパンジーや鸚鵡までが登場します)が多く、また、似通った名前の人物が登場するので、名前を覚えるのが苦手な私には、ちょっと大変でした。 普通の小説では、話がどんどん枝分かれして広がっていっても、最後は核心へ収斂するものですが、この小説では殆どの枝は広がったままで終わってしまいます。 「訳者(酒井昭伸)あとがき」によると、この小説は、構成そのものが「DNA的構造」になっていて、似たような名前が組みになって使われているのも、そのひとつであるとか。 前述のチンパンジーや、映画の科白を喋りまくる鸚鵡が、小説の重要な脇役になっています。 この『NEXT』は、マイクル・クライトンの生前、最後に発行された小説だそうです。 彼の死後(2008年11月4日没、66歳)、彼のMacに殆ど完成されている新作原稿、『Pirate Latitudes』が発見されたようです。 “巨匠の遺作、パソコンから発見! マイクル・クライトン『パイレーツ ―掠奪海域―』(酒井昭伸訳)”として、早川書房から発売になりました。「スピルバーグ映画化決定」だそうです。 『アンドロメダ病原体』に始まり、現在まで、小説や映画で彼には随分と楽しませて貰いました。
現在、月に3本の映画を観るように心がけています。 2009年は、取り敢えず、合計:39本の映画を観ましたので、当初の目的を達成することができました。
今月紹介する映画は以下の三作品です。 『カールじいさんの空飛ぶ家』『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』『アバター 3D』
■『カールじいさんの空飛ぶ家』
12月8日は、10時40分からの『カールじいさんの空飛ぶ家』を観に、「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで出掛けました。 2D版と3D版の両方を三つの劇場を使って上映していました。音声は、全て日本語吹替え版。私は3D版を観ましたが、何故か12月5日から3D版の追加料金が400円から300円に値下げされました。が、スクリーン2(座席数:348)の入場者は10人ばかり。
物語: カールは内気なのに冒険大好き少年。ある日、冒険家、マンツの記録映画を見終えてワクワクしているとき、無人のあばら屋で一人で冒険ごっこをしている勝ち気な少女、エリーと出合い、仲良くなり、彼女を南米の“パラダイスの滝”まで、連れて行くことを約束させられる。 大きくなり、二人は結婚。最初に二人が出会ったあばら家を自分たちの手で修復し、そこで幸せな生活が始まる。しかし、二人は自分たちの夢を果たせぬままに歳を取り、エリーはカール一人を残して死んでしまう。 やがて、カールじいさんの家の回りにも都市開発の波が押し寄せ、家を明け渡さなくてはならなくなったとき、彼は死んだエリーとの約束を果たすべく、想い出の家に沢山の風船を付けて南米の“パラダイスの滝”を目指して飛び立つ。しかし、自分一人だけだと思っていたカールは、家のポーチで年寄りの手助けをしようと訪ねてきていた少年、ラッセルを発見、二人は旅を共にすることになる。やがて、飛び立ったカールじいさんの家は、何とか南米のパラダイスの滝近くまでたどり着くが、そこで彼らが遭遇したのは・・・。
このところ、『PUSH 光と闇の能力者』、『Disney’s クリスマス・キャロル』、『2012』と、どうも草臥れる映画が続いていましたので、しんみりした映画も良いかと観に行ったのですが、しんみりしたのは最初の10分間だけ。このしんみりした物語も、矢張り、だんだん、ハラハラ、ドキドキの冒険活劇になりました。 宮崎駿監督をして、「実はボクは、『追憶のシーン』だけで満足してしまいました。」と言わしめたように、カールとエリーが愛を育んだこの家での素晴らしい10分間のシーンが元になって、後の物語が引き立てられていきます。 最後に、78歳のカールじいさんが見付けた、エリーとの想い出の家より大切なものとは何だったのでしょうか? エンドロールもなかなか考えられていて、ついつい見てしまうようにできています。 でも、老後まで、あんなに仲が良い夫婦がいるものかなーと、我が身を省みて考えさせられました。私も来年は78歳。何か胸躍るような冒険はないものでしょうか?
いつものように、本編上映前にピクサーの『晴れ ときどき くもり』という6分間の短編アニメが上映されました。雲の中で生まれた、いろいろの動物の赤ちゃんを、コウノトリがお母さんに届けるというお話で、これも楽しめました。
(原題)UP 2009/アメリカ/ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーションピクチャーズ・ジャパン配給 監督:ピート・ドクター 共同監督:ボブ・ピーターソン プロデューサー:ジョナス・リヴェラ 原案:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン、トム・マッカーシー 脚本:ボブ・ピーターソン、ピート・ドクター
蛇足:この映画を作るに当たって、実際に小さな家を持ち上げるためには、幾つぐらいの風船が必要なのか計算してみた結果、風船の数は2,650万個ばかり必要なことが分ったそうです。しかし、この映画では、20,622個の風船が描かれている由。それでも、あ〜っと驚くくらい沢山あります。
◇ 今回初めて手に入れたチラシ。
★ | 『時をかける少女』(日) |
2010年 3月 |
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今回は、実写版。 母の想いを遂げるために、1972年へタイム・リープ!・・・するはずが、間違えて1974年に。 |
■『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』
12月14日は9時55分からの『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』を観に、「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで出掛けました。 上映は朝1回と、夕方から深夜に掛けて3回の、計1日、4回のみ。 月曜日は女性ならば誰でも1000円のレディース・デイ。しかし『ヤマト』を観るレディーはいないのではと、高を括って出掛けましたらば、切符売り場は小さい子どもを連れたお母さんで一杯。一瞬驚きましたが、彼女たちの狙いは『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』だったようで一安心。 劇場はスクリーン3(座席数:122)で、観客は12人。かなりマイナーな扱いの映画です。
物語: 宇宙の中の地球の位置、そして、ブラックホールとはの解説に続いて、突然、地球移民団が乗った輸送船団と、SUS国を中心とする星間宇宙連合軍との戦いのシーン。 時は、2220年。宇宙の彼方からカスケード・ブラックホールが光速の十分の一のスピードで接近、3ヶ月後には太陽系を横切るため地球の全人類は27,000光年先の惑星アマールの月に移民を開始した。が、その第1団と第2団は、ワープした先に待ち伏せしていた星間宇宙連合軍に全滅させられる。そこで、第3団には、新たに建造され、パワーアップされた宇宙戦艦ヤマトが護衛に当たることになった。勿論、艦長は古代進。 矢張り、第3団もワープした先で敵に遭遇するが、古代の戦略で何とか目的の惑星アマールに到着する。しかし、星間宇宙連合軍はその惑星にも攻撃を仕掛けてくる。 一難去ってまた一難と、敵は攻めてくるが、果たして古代はこの星間宇宙連合軍を殲滅することができるのであろうか。 頼りになるのは、新装備の6連射可能な波動砲!
上映開始と同時に「原案 石原慎太郎」と大きなテロップが出てきてビックリ。本当!? のっけからのバトルシーンと、ヤマトの復活、そして、懐かしいあの歌。昔ながらの筋書きで、前半は盛り上がりますが、後半は、もうこれでハッピーエンドかと思うと、また新たな敵が何度も何度も現われ、やっと本当に終了(2時間15分)し、エンドロールも終わったと思ったところでスクリーンに「宇宙戦艦ヤマト 復活篇 第1部完」のテロップが出たので、「エ〜ッ未だ続きがあるの」と驚きました! 科学的にも凝っており、“ブラックホールによるフライバイ”などもありますが、普通の人に分るのでしょうか? 宇宙にばかり出ていて家に寄りつかない父、古代進。母が今回の戦いで死んだ(?)のも父のせいだと思い込み、頑なになっている娘が、最後、地球脱出の際の一件で、和解するという父娘物語も盛り込まれています。 今回、この映画のチラシは、遂にこの映画館では手に入らず(別の映画館まで行って貰って来ました)、また、プログラムを購入しようと思ったらば「好評につき売り切れ」の張り紙が。どうも、この映画館は、この映画の上映に関しては全く気が入っていないようです。
今回も長い『アバター』のメイキングと予告編を観せられ、粗筋も殆ど分ってしまい、『2012』の時のように本番での鑑賞に新鮮さがなくなりました。
2009/日本/「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」製作委員会 企画・原作・製作総指揮・監督:西崎義展 原案:石原慎太郎 脚本:石原武龍、冨岡淳広、西崎義展 音楽演奏:日本フィルハーモニー交響楽団 声の出演:山寺宏一、青野武、置鮎龍太郎、古谷徹 2009/12/12公開 2時間15分
余談:昔々、仕事でデジタル画像を弄っていた頃、西崎義展氏が是非観たいと研究所を訪ねてくれました。運転手つきの車で来られたと思い玄関にお迎えに出たらば、乗ってきたのは何と“ハーレーダビッドソン”でした。
◇ 今回、初めて映画館で入手したチラシ。
★ | 『クレヨンしんちゃん 超時空! 嵐を呼ぶオラの花嫁』 |
2010年 4月17日 |
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劇場版クレヨンしんちゃん第18弾! SFでしょうか? 原作者の臼井儀人は亡くなっても、しんちゃんは続きます。 |
■『アバター 3D』
23日は、天皇誕生日の休日で、しかも上映初日の第一回目(10時35分)の『アバター 3D』を観に「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで出掛けました。スクリーンは6(187席)。 矢張り、これだけ条件が揃うと、ごく前の方の席を除いて、ほぼ満席でした。
物語: 時は22世紀。戦場で負傷した車椅子の元海兵隊員、ジェイク(サム・ワーシントン)は死んだ双子の兄、トミーの意志を継ぎ、惑星パンドラへやってくる。そこには非常に高価な鉱石が眠っているが、原住民がいる上に人間には有毒な大気があり、採掘は困難を極めていた。 地球の資源開発会社RDAは、原住民ナヴィとトミーとの遺伝子操作で、パンドラの環境に適合したアバターを作り出したが、トミーがパンドラで死んだため、同じDNAを持つ弟、ジェイクに、意識の転送によってアバターを遠隔操作させようと、彼をパンドラに呼び寄せた。この実験は成功し、ジェイクのアバターは原住民とだんだん同化、ナヴィの女性、ネイティリとも心を通わせるようになる。 当初は、ジェイクのアバターを使って鉱脈の上に住んでいるナヴィを手なずけ、移住させる計画であったが思うように捗らず、業を煮やした資源開発会社は武器とブルドーザーを使ってナヴィを駆逐し始める。 両者の間に挟まったジェイクは、悩んだ末、遂にナヴィのために、惑星パンドラの全原住民と共に資源開発会社に立ち向かうことになる。 果たして、ジェイクのアバターが率いる軍団は、最新鋭の兵器を持つ資源開発会社に打ち勝つことができるのであろうか!
事前の予告編の観すぎで新鮮さは失われていたものの、年末・年始の娯楽映画として、それなりに楽しめました。 それにしても、CGやパフォーマンス・キャプチャーなどの組み合わせで、こんな映像が作れるのだという点では、観ておいていい映画だと思います。 上映開始と同時に映し出される、パンドラに向って航行中の大型宇宙船は、『2001年宇宙の旅』以来の立派なもの。また、ナヴィたちが、資源開発会社相手に戦うシーンは、何となく『戦国自衛隊』(1979)を思い出しました。 シガーニー・ウィーバーは、例によって、強引で意志強固な生物学者を好演しています(彼女のアバターも一見の価値あり)。 自然破壊による環境問題提起映画にもなっています。また、この映画でも、他の技術がこんなに発達しているのに、ジェイクが乗っている車椅子が、現在のものと殆ど変わっていないのが不思議です。 映画の上映時間は2時間42分、長すぎます。特に満員の時は、トイレに立ったりする人が多く、映画に没頭し切れません。 「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」では、12ある劇場の中、三つで『アバター』を上映していました(私が観たのは「吹替版・3D」。この他、「吹替版・2D」、「字幕版・2D:夜間のみ」を上映)。
(原題)AVATAR 2009/アメリカ/20世紀フォックス映画配給 脚本/監督:ジェームス・キャメロン 製作:ジェームス・キャメロン、ジョン・ランドー 製作総指揮:コリン・ウィルソン、レータ・カログリディス 出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーバー、スティーブン・ラング 2009/12/23公開 2時間42分
蛇足: 23日夜、webのNEWSの中に以下のような記事を発見しましたので上げておきます。 「『タイタニック』のジェームズ・キャメロン監督の最新作『アバター』が12月23日、全国831スクリーンで公開。初日だけで興行収入4億円を突破する推移を見せており、興収100億円も射程圏内に入る大ヒットスタートを切った。」
◇ 今回、初めて映画館で観た予告編。
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『Dr.パルナサスの鏡』(米) |
2010年 1月 |
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『アリス・イン・ワンダーランド』(米) |
2010年 4月17日 |
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『ヒックとドラゴン』(米) |
2010年 8月 7日 |
◇ 今回、初めて映画館で入手したチラシ。
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『コララインとボタンの魔女』(米) |
2010年 2月 |
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『ヒックとドラゴン』(米) |
2010年 8月 7日 |
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『借りぐらしのアリエッティ』(日) |
2010年 8月 7日 |
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スタジオジブリ最新作 |
■Coming Soooon!
年が改まりましたので、独断と偏見の「Coming Soooon!」をお送りします。 現在、上映中のものも含みます。 ☆印は、新しい映画か、最新情報が盛り込まれたものです。
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