2月の東京電力館・科学ゼミナールで『新しい高温超電導物質』の講演を聴いたのが刺激となり、その後、ブルーバックスの『極限の科学 低温・高圧・強磁場の物理』(伊達宗行著:2010年2月20日発行)を本屋で発見したので、即購入、読了しました。 現在、究極の低温・高圧・強磁場などは何処まで可能になったのか、そして、それに至るまでの苦心談と、その状況下で物質はどうなるのかなどが面白く、分かり易く(?)書かれています。 因みに、現在、低温は10のマイナス8乗K、圧力は100〜200万気圧まで行っており、磁場は最終的には100テスラが実現可能目標とのこと。 この本によると、鉄は、そのままで20万気圧、2Kで超電導になり、また、コップに入れた水は、下から強磁場をかけると、球状になり空中に浮き揚がるそうです。 そして、この本の最後の章『宇宙の極限物性』では、現在、未だ人工的に到達不可能な究極の低温・高圧・強磁場が、宇宙の白色矮星、中性子星、ブラックホール内には存在し、そこではどんなことが起こっているのか、などについても考察されています。 新聞や、siteを見ていると、思わぬSF的なニュースに巡り会えます。 以下は、最近のニュースから抜粋してみました。 ◆ 『世界初 行け 宇宙帆船 光の圧力利用 「IKAROS」5月打ち上げ』 (2010年3月13日 朝日新聞 夕刊) 打ち上げは、5月18日。開発費は、20億円。 詳細は以下のsiteで。 遠心力で膜が広がるところが動画で見られます。 http://www.jspec.jaxa.jp/ikaros_cam/j/03.html
◆ 『チリ地震で地軸にずれ、自転時間短縮…NASA』 (2010年3月3日23時44分 読売新聞) 【ワシントン=山田哲朗】マグニチュード(M)8・8を記録したチリ地震によって、地球の自転時間(1日の長さ)が100万分の1・26秒だけ短くなったとする計算結果を、米航空宇宙局(NASA)が発表した。 NASAジェット推進研究所のリチャード・グロス博士(地球物理学)がコンピューターで影響を計算したところ、地震を起こしたプレート(岩板)が大きく動いたため、地軸がわずかにずれ、地球の自転時間も変化したとの結果が出た。 ジュール・ヴェルヌ、『地軸変更計画』もビックリ! http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100303-OYT1T01155.htm
◆ 『額から脳波を読み取るヘッドホン型の“集中力測定装置”』 (2010年3月14日3時8分 読売新聞) 東芝は、集中力の高さやリラックスの度合いを脳波から手軽に測定できる機器を5月に発売することを明らかにした。 親が子どものやる気を確かめながら勉強に取り組ませたり、スポーツ選手が試合前に精神状態を安定させたりするのに活用できるという。 ヘッドホン型の機器を頭に付けるだけで、センサーが脳波のデータを読み取り、無線でパソコンに送る。それを専用ソフトで分析すれば、パソコン画面上で、集中度や緊張度がメーターやグラフなどで分かりやすく表示される仕組みだ。価格は、専用ソフト込みで2万円前後になる見通しだ。 何かハードと組み合わせると面白いものができそうですね。 既に、東京電力館には「マインド・ゲーム」と称して、脳波でボールを動かし、敵陣に入れるゲームに人気があり、子どもたちが頑張ってやっています(フォース育成装置?)。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100314-00000004-yom-sci
◎『巨大望遠鏡で見る 宇宙の一番星』 3月13日は、渋谷の東京電力館まで科学ゼミナール『巨大望遠鏡で見る 宇宙の一番星』(国立天文台教授 家 正則)を聴きに行ってきました。 家教授は、ハワイ島マウナケア山頂に“すばる望遠鏡”を建設した中心人物で、いろいろと面白いお話を聴くことができました。 以下に当日の聴講メモを纏めてみました。 講演内容: 1.天体観測の歴史 ティコ・ブラーエ、ケプラー、ガリレオ、ニュートン、ハーシェル、ハッブルなどが代表として上げられるが、その功績は別として、ガリレオ以外は、全員、性格が悪く、殺人容疑が掛かってもおかしくない人物もいる。 朝日新聞出版から出された『ロバート・フック ニュートンに消された男』は面白いので是非一読をお勧めしたい。(注:1) 2.すばる望遠鏡 マウナケア山頂(4200m)に建設された、初めて日本国外に日本が建設した施設。 主鏡は直径:8.2m、厚さ:20cm。1998年11月完成。ドームは、直径:40m、高さ:42m、総工費:400億円。建設に16年掛かった。 主鏡は1°Cで、膨張率:1億分の1のガラスを使用、アメリカのコーニング社(注:2)で制作、研磨に4年掛かった。それでも、重力などで鏡が歪むので、261個のロボットを鏡の下に置き、鏡面の精度を保つようにした。蒸着は、マウナケアの天文台の中に真空チャンバーを作り、そこで行った。 3.最遠銀河の発見 この望遠鏡を使用して、129億光年彼方の銀河を発見した。この記録は、現在でもギネスブックで1番。因みに、宇宙の歴史は、137±1年であるから大分極限に近づいてきた。距離の測定は、特定の紫外線を、赤方偏移した赤外線として捕え、調べると分る。 今まで調べた、星の数は、41,533個。その中のひとつがこの銀河である。 4.レーザーガイド いくら高い山の上とはいっても、矢張り空気の揺らぎには勝てないので、レーザーガイド方式を考案した。高さ90kmの上空にレーザーで輝点を作り、それが、点になって見えるように、中間の鏡の面をコントロールする「補償光学系」を設置したお陰で、視力が10倍になった。 5.次世代超大型望遠鏡 2020年頃の完成を目指して、すばる望遠鏡のとなりに日米加の国際協力で直径30mの次世代超大型望遠鏡を建設しようと計画中。総工費:1300億円(日本分担は四分の一)。理論上では、33等星まで見えることになる(月面上のホタルが見える!)。 一口1000円の寄付も受け付けているので、宜しく。 (注:1) その後、調べたところ 『ロバート・フック ニュートンに消された男』(中島秀人著:大佛次郎賞受賞)は絶版。現在、図書館に貸し出しを依頼中。 (注:2) コーニング社、むかしよく聞いたことがある会社の名前だなーと考えた結果、テレビ用ブラウン管のガラスを作っていた会社であることを思い出しました。日本で旭硝子が作り始める前には、何処の家のブラウン管にも、上面には大きく「C」のマークが付いていました。因みに、旭硝子製のものには「A」が付いています。現在は、薄型テレビになって……。
今月紹介する映画は以下の4本です。 『プリンセスと魔法のキス』『シャーロック・ホームズ』『時をかける少女』『ウディ・アレンの夢と犯罪』 ■『プリンセスと魔法のキス』 4月8日は、寒空の中、「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで、12:15からのディズニー・アニメ『プリンセスと魔法のキス』を観に出掛けました。 スクリーンは7、座席数は116。入りは二十数名。何故かお子様はおらず。
物語: 場所はアメリカ、ルイジアナ州のニューオーリンズ。ティアナとシャーロットは幼なじみ。二人はいつも一緒で、ティアナのお母さんから何回も『カエルの王子』の本を読んで貰っていました。 ティアナは貧しい家庭の子、将来、立派なレストランのオーナーになるのが夢。一方、シャーロットはリッチな家庭の子で、将来、おとぎ話のように王子様と結婚することを夢みていました。 それから十数年が経ちました。ある日、その街にマルドニア王国の王子が現われ、シャーロットの豪邸に滞在することになり、ティアナはお手伝いに行きました。 が、シャーロットの家の財産を狙う邪悪なヴードゥーの魔術師によって、王子はカエルにさせられてしまいました。王子は、プリンセスとキスすれば元に戻れると聞き、仮装パーティでプリンセスに変装しているティアナにキスしたのですが、何故か二人ともカエルになってしまいました。カエルになった二人(二匹?)は、艱難辛苦の逃避行の末、森の奥に住む197歳のヴードゥー・クイーンから、王子が本当のプリンセスとキスするか、二人が真の愛に目覚めたとき、この魔法は解けると聞かされ、いろいろと試してみるが駄目。 あるマルディグラ祭の晩、シャーロットがこのお祭りのプリンセスに選ばれたことを知った王子は、魔法を解くキスをして貰うため、ニューオーリンズに戻ってくるが、タッチの差で時間切れ。 果たしてこの二人(二匹)は、元の人間に戻ることができるのであろうか! そして、邪悪なヴードゥーの魔術師の末路は・・・。 このところ、キャプチャー・パフォーマンスやストップモーションなどの素晴らしいアニメが3Dで公開されている中、“どうだ、これがディズニー・アニメの本領だ”といわんばかりに、全て手書き、しかも2Dの豪華版アニメで挑戦してきたのがこの映画。 この映画の中に流れる主題は“愛”。小さいときから育んできた幼なじみとの友情、夫婦の愛、親子の愛、料理への慈しみ、そして男女の愛。 この困難に直面した二人を助けるのはトランペットが大好きで、いつか人間になりたいと願っているワニのルイスと、夜空に輝く美しい星“エヴァンジェリーン”に恋する変なホタル、レイで、共に脇役で頑張っています。 舞台がニューオーリンズなので、ティアナとその家族、近所の人々、そして何故か王子までもが黒人で、ティアナのお父さんは何となく小浜さんに・・・。 全体は、ジャズに満ちあふれたミュージカル映画(最近は、音量が大きすぎ、やや辟易しますが)。また、お子様には、ちょっと怖いシーンもあります。 私事ですが、1984年6月、ニューオーリンズで万博「川の世界―水は命の源」が開かれていたとき、丁度、仕事でインディアナポリス(今は無き名門“RCA”がありました!)に行っていましたので、休日の一日、ニューオーリンズへ飛び、昼間は万博、夜はバーボンストリートを歩き、名物の茹でたザリガニ(crawfish)とジャンバラヤを食べ、観光用の外輪船でミシシッピー川を遊覧、ジャズを楽しんできました。 これらが、この映画の各シーンに盛り込まれていて懐かしく感じました。また、よく知らずに、お土産に買った“ヴードゥー人形(なんと針付!)”は、日本の“藁人形”と同じで実は怖いものだったのですね。映画にも出てきました。 (原題)The Princess and the Frog 2009/アメリカ/ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ・ジャパン配給 監督:ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ プロデューサー:ピーター・デル・ヴェッコ 制作総指揮:ジョン・ラセター 原案:ジョン・マスカー&ロン・クレメンツ、グレッグ・アーブ&ジェイソン・オレムランド 脚本:ロブ・エドワーズ、ジョン・マスカー&ロン・クレメンツ 声優:鈴木ほのか、丹宗立峰、安崎求、荒井洸子、玄田哲章、駒田一、小林アトム 2010/03/06公開 1時間37分 ◇ 今回、初めて映画館で観た予告編。
★ | 『クレヨンしんちゃん 超時空! 嵐を呼ぶオラの花嫁』 | 2010年 4月17日 |
| 未来のしんのすけを救うため、迎えに来た未来の花嫁と共に、5歳のしんちゃんは未来へ旅立つ。 |
■『シャーロック・ホームズ』 4月15日は10:10からの『シャーロック・ホームズ』を観に「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで出掛けました。 スクリーンは一番大きい01。座席数:534に対して入りは80人ほど。 月曜日はレディースデイなので、圧倒的に女性の観客が目立ちました。
物語: 暗闇のロンドン。先頭を走るのはシャーロック・ホームズ(ロバート・ダウニー Jr.)。その後を追う2台の警察の馬車。 一室では黒魔術の儀式が行われており、ひとりの女性が正に犠牲にされそうな瞬間、ホームズに続いて、ワトソン(ジュード・ロウ)と、警官たちが現場になだれ込み、格闘の末、連続女性殺人犯、ブラックウッド卿を逮捕する。そして、ここでタイトルが。 ブラックウッド卿は絞首刑にされ、ワトソンによって死亡を確認、埋葬される。が、数日後、ブラックウッド卿は生前予告した通り復活し、墓を内側から破り、逃亡する。しかも棺桶の中には別の男の死体が納まっていた。 斯くして、ホームズと、黒魔術を使い世界征服を企むブラックウッド卿との頭脳合戦が始まる。 ホームズは死体の復活から始まる数々の謎を解き明かし、ブラックウッド卿を再び捕えることができるのであろうか。そして、その背後で糸を引く真犯人は誰か。 丁度、朝日新聞でウディ・アレンの「最近の米映画はどれも、オープニングが仰々しくて凝りすぎ。主役が怒って泣いて、音楽な鳴り響いて、オープニングを見終わったところで、もう観客が思わず拍手をしてしまうような映画は疲れる」という談話を読んだ直後でしたが、正にこの映画はそんな風なオープニングでした。 今までのシャーロック・ホームズと違い、彼はワトソンと二人でカンフーもやるし、やたらとピストルをぶっ放す過激なコンビです。 超人的な頭脳で次から次へと謎を解いていくが、最後の方で、地図上に十字の線を引き、次の事件を予測するあたりは、正に『ダ・ビンチ・コード』そのもの。 また、ブラックウッド卿のトリックの中には、火花放電による無線リモコンの装置もあり、ホームズが「新しい技術だ」と感心するシーンがあります。 映画の中では、紅二点として、ホームズが唯一愛している世界中の宝石を狙う頭脳明晰な女性、アイリーンと、ワトソンのフィアンセ、メアリーが色を添えています。 更に、チラチラと、ホームズの宿敵、モリアーティ教授の影も見え隠れしています。 この映画のストーリーは、過去のコナン・ドイルの作品ではなく、新しく映画のために作られたもののようで、いろいろと盛り沢山、サービス満点です。 映像は色を抑えた白黒に近い色調で、物語に時代を感じさせるのに役立っています。 最後、次のお話に展開する事件が発生したところで映画は終了。続編が期待できそうです。 (原題)SHERLOCK HOLMES 2009/アメリカ/ワーナー・ブラザース映画配給 監督:ガイ・リッチー 脚本・原案:マイケル・ロバート・ジョンソン 脚本:アンソニー・ペッカム、サイモン・キンバーグ 原案・制作:ライオネル・ウィグラム 出演:ロバート・ダウニー Jr.、ジュード・ロウ、レイチェル・マクアダムス、マーク・ストロング、エディ・マーサン、ケリー・ライリー 2010/03/12公開 2時間09分 ◇ 今回、初めて映画館で観た予告編。
★ | 『アイアンマン 2』(米) | 2010年 6月11日 |
| トニーがアイアンマンだと公表された後の物語。 あの、スカーレット・ヨハンソンが悪役で登場。 (主演は、『シャーロック・ホームズ』のロバート・ダウニー Jr.) |
★ | 『第9地区』(米) | 2010年 4月10日 |
| 南アに不時着した宇宙人は、“第9地区”と呼ばれる特別居住区に収容されるが、そこで人類との戦いが始まる。アパルトヘイトがSF化された? アカデミー賞にノミネートされたが、残念。 (大画面で観るUFOは、迫力がありました!) |
★ | 『インセプション』(米) | 2010年 7月23日 |
| “犯罪現場は、お前の頭の中”。クリストファー・ノーラン監督のSF大アクション。主演、レオナルド・ディカプリオ。渡辺 謙が悪役で登場。 |
★ | 『タイタンの戦い』(米) | 2010年 4月23日 |
| あの大作を、『アバター』のサム・ワーシントンでリメイク。 (ただただ、怪物が騒々しい映画!?) |
■『時をかける少女』 22日は、休日、しかも月曜日のレディースデイでしたが、高を括って13:35からの『時をかける少女』を観に「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで出掛けました。上映10日目だというのに、もう1日に2回の上映で、しかも、一番小さい座席数:99のシアター9。そのせいか、2時間ほど前にチケット売り場に着いたときには、後ろの方の見易い席の残は二つだけ。そして、入場開始時には“完売”で、一番前の席まで完全に満席でした!!その上、プログラムは、「昨日で売り切れ。何時、再入荷するかは不明です」とのことでした。
物語: 母と二人暮らしの芳山あかりは高校を卒業、母が薬学者として勤める大学の医学部を受験して合格する。ある日、あかりは、交通事故で入院した母から、高校時代の母と二人並んで写真に写っている男子生徒、深町一夫を捜し出し、伝言を伝えて欲しいと頼まれる。いわれた通り、その写真を持って、母の研究室の机の引き出しの中の薬を飲み、1972年4月の土曜日にタイム・リープしたつもりが、慌てて暦を間違え、目的より2年後の1974年2月の土曜日に着いてしまう。 そこで最初に出会った、SFオタクで映画監督志望の大学生、溝呂木涼太とともに、あかりは深町一夫探しを始める。二人でいろいろと探し回った挙句、やっと高校時代のあかりの母、芳山和子に巡り会い、その写真を見せるが、彼女はその少年を知らないという。 二人で深町一夫を探している中に、あかりはだんだんと涼太に淡い恋心を感じ始める。 果たして、あかりは深町一夫を見付け、母からの伝言を伝えることが出来るのか。そして、深町一夫とは一体、何者なのであろうか。 また、時を超えて芽生えたあかりの恋の行方はどうなるのか。 主演の芳山あかり役は、アニメ版『時をかける少女』(2007)の声優だった仲里依紗。 タイム・リープ先を間違えるほどの慌てん坊なせいか、やや二枚目半。最初、ちょっと、違和感がありましたが、だんだん観ている中に慣れてきました。 この映画は、『キネマ旬報 3月下旬号』の4人の評論家の評価によると、最高の★★★★が1人で、後は★★が二人、★が1人。結局、前の作品を見ているかどうかによって、評価に差が出たように感じます。★★★★の評論家K氏は、「母親の芳山和子役は、原田知世にやって欲しかった」と書いていましたが、『時かけ』ファンの私も同感です(web siteで調べてみましたらば、原田知世は現在42歳。ちょうど適役ではなかったかと思います)。でも、そうすると、この映画の中での1974年の和子も若き日の原田知世でなくてはならないし、と無理がありそうです。(因みに、原田知世の『時をかける少女』は1983年の上映でした)。 タイム・リープ先で、あかりが自分の父親(?)と会うシーンもあったり、また、涼太が撮った劇中劇の映画『光の惑星』も観ることができたりとサービス満点ですが、ちょっと“こねくり回し過ぎ”の感じもします。 2010/日本/スタイルジャム配給 監督:谷口正晃 脚本:菅野友恵 原作:筒井康隆 出演: 仲里依紗、中尾明慶、安田成美、青木崇高、石橋杏奈、柄本時生、勝村政信、石丸幹二 2010/03/13公開 2時間2分 ■『ウディ・アレンの夢と犯罪』 3月29日は小雨模様の寒い朝でしたが、頑張って久し振りに恵比寿ガーデンプレイスのガーデンシネマまで、11:30からの『ウディ・アレンの夢と犯罪』を観に行ってきました(SFではありません)。入りは50人程度で予想以上。
物語: 場所はロンドン南部。二人の仲のよい兄弟、イアンとテリー。兄のイアンは父親のレストランを手伝うかたわら、ビジネス界で仕事をしたいとホテル建設事業に投資をしている野心家。弟のテリーは自動車修理工場に勤め、ギャンブルに明け暮れているが、恋人と楽しく過ごしており、二人のために新しい家を買うのが夢の心優しい男。 ある日、テリーがドッグレースで大金を稼いだので、二人は前から欲しかったドックで売りに出されていた中古小型クルーザーをローンで共同購入する。 が、テリーは家の購入金欲しさにのめり込んだポーカーゲームで惨敗、莫大な借金を抱え込んででしまう。 丁度その時、世界中を股にかけ、大きな事業をしている富豪の叔父がロンドンに立ち寄る。今までも、何度と無く金銭上で援助を受けていた彼らは、好機とばかりに叔父に工面を申し入れる。叔父は快く了解してくれるが、交換条件としてある男を一人処分して欲しいと頼まれ、二人はやむなく引き受けてしまう。 果たして、殺人は無事(?)成功し、二人は幸せになれるのであろうか。 『マッチポイント』、『タロットカード殺人事件』に続く、ウディ・アレン、ロンドンシリーズ三部作の第3弾です(いつも最後に殺人があるのですが、結末が変わります)。 この映画では、殺人に至るまで、そして、それが成功した後の二人の対照的な挙動がうまく描かれています。ウディ・アレンによると、悲劇と喜劇は紙一重とのこと。 この映画の原題は『Cassandra's Dream』で、元はテリーが大金を手に入れたドッグレースで優勝した犬の名前。それに因んで、その後、彼らが購入したクルーザーを、そう命名します。 この題名“Cassandra's Dream”が示すように、この映画はクルーザー「カサンドラズ・ドリーム」の映像から始まり、この映像で終わるように洒落て作られています(因みに、“カサンドラ”とは、ギリシャ神話に出てくる、「悲劇の予言者として知られるイリオス<=トロイ>の王女」とのこと)。 今回も適度にコミカルで、捻りに捻った結末になっており期待値通り楽しめました。 イアン役のユアン・マクレガーは『スター・ウォーズ エピソード1〜3』(1999-2005)のオビ=ワン・ケノービ役でお馴染み。最近では、『天使と悪魔』(2009)で個性的な悪役、パトリック・マッケナとして出演しています。 一方、コリン・ファレルも最近、何処かで見たなあと思いましたらば『Dr.パルナサスの鏡』(2009)にヒース・レジャーの代役としてトニー役で出演していました。 ウディ・アレンの話によると、「自分の映画には、名優でも、最低ギャラで喜んで出演してくれる」とのこと。 原題:Cassandra's Dream 2007/イギリス/アルバトロス・フィルム配給 脚本・監督:ウディ・アレン 出演:ユアン・マクレガー、コリン・ファレル、トム・ウィルキンソン、サリー・ホーキンス 2010/03/20/公開 1時間48分 ◇ 今回、初めて映画館で観た予告編。
★ | 『9』(米) | 2010年 5月 8日 |
| 人類滅亡後、ロボットの反乱に9体の小さな麻布の人形たちが立ち向かう。 ティム・バートン製作による、ギャガの人形アニメ。 |
★ | 『月に囚われた男』(英) | 2010年 4月10日 |
| 原題『MOON』。3年契約でただ一人、月のステーションへ観測に出掛けた男が、帰還2週間前、月面で自分とそっくりな男に出会う。 恵比寿ガーデンシネマを含め、全国で上映館は僅か八カ所のみ! |
★ | 『ちょんまげぷりん』(日) | 2010年 夏 |
| 180年前から、お侍さんがタイムスリップ。パティシエになり、侍の腕を揮う。 小学館文庫『ちょんまげぷりん』の映画化(実写版)。 |
◇ 今回、初めて映画館で入手したチラシ。
★ | 『月に囚われた男』(英) | 2010年 4月10日 |
| 東京での上映は、この「恵比寿ガーデンシネマ」のみ。 やっとチラシが手に入りました。 |
■Coming Soooon! 3ヶ月が経ちましたので、独断と偏見の「Coming Soooon!」をお送りします。 現在、上映中のものも含みます。 ☆印は、新しい映画か、最新情報が盛り込まれたものです。 SFではないですが、ミュージカルの『NINE』(3/19公開)の後、何故か、SFの『第9地区』(4/10公開)、『9』(5/8公開)と“九”が続きます。 また、昨年、20本ばかり公開された3D映画が、今年は50本ぐらい公開されるとか。
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