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AKIのキネマまんぽ



『アデル ファラオと復活の秘薬』
『プレデターズ』
『エアベンダー』
『インセプション』

AKI

 何となく、最近、世の中、数学付いているなと感じてはいましたが、先日siteで以下の記事を読み、矢張り「そうか」と納得しました。

「大人たちの間で超難解な数学が密かなブームに
 週刊文春7月22日(木) 12時12分配信 / 国内 - 社会
 子どもの理数離れとは裏腹に、今、大人たちの間で数学がブームになっている。
 (後略)」

  先ず、数学が出てくる小説というと、頭に浮かぶのが『博士の愛した数式』(小川洋子著、新潮社、2004年、第1回本屋大賞および第55回読売文学賞を受賞。映画にもなりました)。

 その後、『算法少女』(遠藤寛子著、筑摩書房)を読み、そして、先日、読了した『天地明察』(冲方丁著、角川書店、2010年本屋大賞第1位、第31回吉川英治文学新人賞受賞)は、算術好きな碁打ちの渋川春海が、星を観測し、日本独自の新しい暦を作り出すまでの苦心談の物語です。和算の大家、関孝和との関わりも面白く書かれています。
 あくまで小説であり、歴史書ではありませんが、楽しみながら歴史も勉強できました!
 (因みに、冲方丁は、2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞を受賞)

 余り、必然性はありませんでしたが、アーサー・C・クラークの『グランド・バンクスの幻影』では“マンデルブロー集合”が、そして『最終定理』では“フェルマーの最終定理”が小道具として出てきます。

 また、過日、購入した『数学は楽しい』(別冊日経サイエンス)を、未だ全部読み終えていない中に、『数学は楽しい Part 2』が発売になり、これも購入してしまいました。
 例えば、「2より大きなどのような偶数も、2つの素数の和になるだろう」(1974年:ゴールドバッハ)というような、簡単なのに未解決の予測問題は考えるだけで楽しめます。つい、100までの偶数を全部試してしまいました。
 (逆に、「2つの素数の和は、偶数になるだろう」ならば、証明できそうですが・・笑)

 7月は観たい映画が8本もあり、どれを観ようかと迷っていたのですが、結局以下の四作品となりました。
『アデル ファラオと復活の秘薬』『プレデターズ』『エアベンダー』『インセプション』

■『アデル ファラオと復活の秘薬』

 観たい映画が沢山ある7月。そのスタートの『アデル ファラオと復活の秘薬』を観に、上映初日の3日(12:35)、「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで出掛けました。劇場は座席数:180のシアター12。観客は三十数名。一番見易い、中央の席はほぼ埋まっていました。

物語:
 時は1911年、場所はパリ市街。真夜中。古代エジプトが専門の天才科学者、エスペランデュー教授が自宅でとり行っていた“死者の蘇生実験”の影響で、国立自然史博物館のガラスの箱の中に陳列されていた翼龍(プテロダクティルス)の卵が孵る。やがて、このプテロダクティルスは博物館のガラス屋根を破り、パリ市街を飛び回り、危害を加え始める。
 一方、ここは灼熱のエジプトの砂漠。うら若き女性ジャーナリスト“アデル”が、らくだの一隊を率いて進んでいいる。やがて目的の縦穴に入り、一体のミイラを盗み出し、パリへ持ち帰る。
 アデルには仲の良い双子の妹がいるが、5年前、不慮の事故で、この妹が植物人間になってしまった。アデルは、妹の命を取り戻すため、エスペランデュー教授に頼み、古代エジプトでファラオに仕えた、この医者のミイラを蘇生させようとしている。
 パリの空を、我が物顔に飛び回るプテロダクティルスはどうなるのか?
 果たして、このミイラは生き返り、妹を治すことができるのか。

 思った以上に、喜劇の常道が盛り込まれたコミカルな映画で、楽しめました。各シーンの変わり目に、工夫を凝らしている点も見逃せません。終始、パリ警察をおちょくるシーンが愉快で、『ピンク・パンサー』のジャック・クルーゾー警部を思い出しました。
 前半は『インディジョーンズ』、後半は『ナイトミュージアム』、そして中間には(未だ観ていませんが)『ヒックとドラゴン』的なシーンもあります。
 何はともあれ、最後は、妹も元の元気な姿に戻り、ハッピーエンド。
 アデルは再び船に乗り次の旅に出発しますが、彼女を尾行する怪しげな一団が現われたり、彼女が乗り込んだ船が岸壁を離れると、なんと船の名前が「タイタニック」号だったりと、続編を期待させるようなシーンで終わります。
 長いエンドロールの途中で、やや長めのワンカットが入ります。最後まで、席に座っていてください。        
 今、調べましたらば、タイタニック号が沈没したのは、1912年4月14日とのこと。時代考証は合っているようです。

(原題)The Extraordinary Adventures of Adel Blanc-Sec
2010/フランス/アスミック・エース配給
監督・脚本:リュック・ベッソン
製作:ヴィルジニ・ベッソン=シラ
原作:タルディ
出演:ルイーズ・ブルゴワン、マチュー・アマルリック、ジル・ルルーシュ、ジャン=ポール・ルーヴ、フィリップ・ナオン、ニコラ・ジロー、ジャッキー・ネルセシアン、
ロール・ド・クレルモン
2010/07/03公開 1時間47分

■『プレデターズ』

 7月16日はちょっと出遅れましたが、13:00からの『プレデターズ』を観に、「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで出掛けました。
 スクリーンは9、座席数:99に対して、入りは二十数名と思った以上でした。

物語:
 意識不明で高空から落下する一人のアメリカ人傭兵。
 彼は途中で気が付き、着地寸前にパラシュートが開き、密林に落下。
 続いて、7人が周辺に落ちてくる。
 落ちてきた人間は、それぞれ、ロシア特殊部隊の大男、メキシコ暗殺団のメンバー、アフリカ革命統一戦線の精鋭、連続暴行殺人罪の死刑囚、日本“やくざ”の殺し屋、紅一点、CIAに雇われていたスナイパー、そして、何故か一人の医師。
 医師を除く全員は、戦闘のスキルを備えた面々。
 この8人は一団となり、見たこともない植物が茂る密林の中を歩いているうちに、ここが地球とは全く違うプレデターの惑星であり、彼らの狩猟の場に自分たちが置かれていることを知る。
 やがて、3匹の“プレデター”と人間たちの、生き残りのゲームが始まる。
 果たして、生き残るのはどちらか。
 そして、ただ一人、このメンバーに異色の医師が混ざっていたのは何故か?

 本作は、シュワちゃん主演の『プレデター』(1987)から、『プレデター2』(1991)、『エイリアンVSプレデター』(2004)、『AVP2 エイリアンズ VS. プレデター』(2007)と続くシリーズの第5作目。
 遂に、舞台はプレデターの惑星へ。
 いつも、この手のサバイバル映画で気になるのは、アメリカ映画なので仕方がないのかも知れませんが、先ず最初に黒人たちがいなくなり、結局、最後、アメリカ人と女性が生き残ること、です!
 日本人代表として“やくざ”の殺し屋が格好良く登場。
 後半、生き残りを追っ手から逃してやるために、風の強い草原で日本刀を持ってプレデターと一騎打ちをするシーンは、黒沢映画を彷彿させます(ちょっと、格好良すぎて心配)。
 エンドロールの後の、ワン・カットを期待していたのですが、ありませんでした!
 そろそろ、種切れなのかも知れません。
 因みに、今回の密林のロケ地は「ハワイ島」とのこと。

(原題)PREDATORS
2010/アメリカ/20世紀フォックス映画提供
監督:ニムロッド・アーントル
脚本:アレックス・リトヴァク、マイケル・フィンチ
製作:ロバート・ロドリゲス、ジョン・デイヴィス、エリザベス・アヴェラン
出演:エイドリアン・ブロディ、ローレンス・フィッシュバーン、トファー・グレイス、アリシー・ブラガ、ウォルトン・ゴギンズ、ダニー・トレホ、オレッグ・タクタロフ
2010/07/10公開 1時間47分

■『エアベンダー』

 いつもの「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」の上映スケジュールをチェックしたところ、何故かこの『エアベンダー』は、初日から夜間上映のみ。仕方なく、昔、ときどき観に行ったことがある、一駅先の「109シネマズ 港北」へ出掛けました。
 ここは、字幕、吹替えと、朝から連続並列上映中。11:35からの字幕版に入場(3D版もあるようですが、ここでは上映無し)。
 劇場は、座席数:80のスクリーン7。入りは8名。

物語:
 太古、世界は“気”、“水”、“土”、“火”の四つの王国で均衡を保っていた。各王国には、それぞれ、このエレメントを操る“ベンダー”が存在していた。
 しかし、この四つの世界の均衡を保つためには、一人でこの四つのエレメントを操れる“アバター”が必要で、この次のアバターは、“気”の王国から出現することになっていた。が、このアバターの候補者、12歳の少年、アンは、世界の均衡を担う重責に耐えかね、修行の途中で逃走、行方不明となっていた。
 それから100年、世界の均衡は破れ、“火”の国が世界制覇のため、各王国に攻撃を仕掛ける。
 ある日、狩りに出掛けた“水”の国の兄妹が、海の氷の下に霊気を感じ氷を割ると、そこには12歳の時の侭のアンが眠っていた。
 アンは、本来の使命に目覚め、火の国に闘いを挑むが、彼が操ることができるのは“気”だけ。兄妹の薦めに従い、アンは水の国で修行に励み、“水”を操れるようになっていく。
 丁度そんなとき、火の国の大軍が、水の国に攻撃を仕掛けてくる。
 果たして、二つのエレメントを操ることができるようになったアンは、火の国の攻撃を退け、水の国を守ることができるのであろうか。

 2005年から、2008年まで、アメリカのケーブルTVで放映された子ども向け人気アニメ『アバター 伝説の少年アン』を元に作られた実写版映画。
 30時間以上掛かる原作の映画化のためか、映画の出だしは解説のテロップと、登場人物の語りの部分が多く、疲れましたが、後半は軌道に乗り楽しめました。
 今回、映画は、アンが“気”と“水”を操れるようになったところで終了。
 続いて“土”と“火”の修行や、世界の均衡など、未だ、いろいろの懸案事項が沢山残されているので、続編ができそうな雰囲気です。
 シャマラン監督の映画は、『シックス・センス』(1999)のどんでん返しに引っかかって以来、『アンブレイカブル』(2000)、『サイン』(2002)、『ヴィレッジ』(2004)、『レディ・イン・ザ・ウォーター』(2006)、『ハプニング』(2008)と全部観て来ました。
 毎回、シャマランは、映画の中で自分自身が端役で出演するので、それを探すのも楽しみ。今回は、似たような顔が多く混乱!多分、あの剃髪の人ではないかと目星は付けたのですが・・・。

(原題)THE LAST AIRBENDER
2010/アメリカ/パラマウント ピクチャーズ ジャパン配給
脚本・制作・監督:M・ナイト・シャマラン
製作:サム・マーサー、フランク・マーシャル
原作:『アバター 伝説の少年アン』
出演:ノア・リンガー、デヴ・パテル、ニコラ・ペルツ、ジャクソン・ラスボーン、ショーン・トーブ、アーシフ・マンドヴィ、クリフ・カーティス
2010/07/17公開 1時間43分

■『インセプション』

 7月27日は、今月4本目の映画、『インセプション』を観に、「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで出掛けました。
 矢張り、ディカプリオと渡辺謙出演のせいか、座席数:196の“スクリーン4”の入場者は、50名ほどで、中央の席はほぼ満席。

物語:
 他人の夢の中に入り、そのアイディアを盗み出す技術を開発した企業スパイ、コブは、日本人のサイトーから、「ライバルの巨大エネルギー開発企業の会長が、現在、危篤状態で、その跡を御曹司のロバートが継ぐことになっているので、何とかこの機会にロバートの脳の中に入り込み、代が変わったとき、自分で自分の企業を潰すような潜在意識を彼の脳の中に刷り込んで欲しい」と依頼される。
 コブは、各種の専門家とチームを組み、飛行機を買収、ロバートが飛行機で10時間の旅をする間に、機内でロバートとチーム全員の脳をネットで結び、彼の脳に潜入、彼を洗脳する計画を立てる。
 果たして、この僅かな時間で、この計画は成功するのであろうか。

 先ず映画は、日本とも中国ともつかない高級料理店で、サイトーが、コブに仕事を依頼するシーンから始まります。「ここは何処?」と思っている中に、シーンが屋外に変わり、遠くに東京タワーが見え、正に、ここは東京でした。
 予告編に出てくる、街並みが折れ返るシーンなどは、他人と夢を共有するということはどういうことなのかのイントロの部分でしかありません。
 そして、夢の中で、また夢を、そして、そのまた夢の中で夢をと、夢が階層的に深くなってゆき、それに応じて経過時間が実時間の何十倍、何百倍にも長く感じられるようになります。
 十分に、チームで計画を練ってから、ロバートの脳に入り込んだのに、ところどころで、コブの潜在意識下にある、自殺した妻や、アメリカに残してきた幼い二人の娘への愛着が夢の中に混入、話は益々複雑に。
 最後、コブ自身も、夢と現実が分らなくなり戸惑います(日本なら、“頬をつねってみる”というような手がありますが・・・笑)。
 いくら、ディカプリオと渡辺謙が出演するからといって、こんなに手の込んだ映画を、一般の人が観て分るのかしらと、余計な心配をしてしまいました。
 “余計な心配”というと、この映画でも、最後、夢の中ではあるものの、重傷を負ったサイトーが、自らの命を捨てて仲間を助けるシーンがあり、日本人は未だに“カミカゼ”だと思われるのではと・・・。
 INCEPTION:辞書には“=beginning”と出ていますが、ここでは、“ターゲットの意識下にアイデアを植え付ける行為”と定義づけられています。

(原題)INCEPTION
2010/アメリカ/ワーナー・ブラザース映画配給
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン
製作総指揮:クリス・ブリンガム、トーマス・タル
出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジ、トム・ハーディー
2010/07/23公開 2時間28分


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