このところ、12月まで、観たい映画が極端に少なくなってきました! 特に11月は少なく、取り敢えず、『怪盗グルーの月泥棒』と、11月6日からの『マルドゥック・スクランブル』を候補に上げていましたが、調べてみると、後者は、全国で上映館は僅か5館のみで、関東は新宿の「テアトル新宿」だけ。 しかも、当初、それも“PG12”の「レイトショー」(21:00より)のみとかで絶望していましたが、ファンの希望が多かったせいか、11月13日からは午前中に1回、また、20日からは昼を夾んで午前と午後に1回ずつの追加上映が決まったようで、どうやら観に行けそうです。 数ヶ月前、冲方丁の『天地明察』を面白く読んだので、彼の第24回日本SF大賞受賞作『マルドゥック・スクランブル』の映画化も期待していました。 映画は小説と同様、全三部作のようで、今回は“The 1st”の『圧縮』が上映されます。 10月25日に本屋でSFマガジン12月号を見付け、表紙に「劇場アニメ『マルドゥック・スクランブル 圧縮』公開記念 冲方丁特集」と書かれていたので、久し振りに購入しました(普段は、立ち読みです。(笑))。 SFMには、もうひとつの特集として「ジェイムズ・P・ホーガン追悼特集」も組まれており、こちらも楽しめました。 11月25日発売予定のSFM 新年号には、久し振りに「テッド・チャン」の最新作中篇“The Lifecycle of Software Objects”が掲載されるとか。また、来月号も続けて購入することになりそうです。 10月7日(木)は、前から気になっていた、六本木ミッドタウン裏の「21_21 DESINGN SIGHT」まで、“これも自分と認めざるをえない”展を観に行き、2時間楽しんできました。 “自己認識の属性は?”といった個人参加の展覧会です(「注文の多い展覧会」とも言われている?)。 11月3日(水)まで。入場料:1000円。 受付を入ると直ぐに小部屋があり、キーボードとディスプレイが置かれています。そこで、先ず、自分の名前(ニックネームなど)を入力、続いて、身長と体重を測定(自動的に記録される)、次に、目の前に置かれたアクリルの小箱を持って、一筆書きで大きく空間に星(五芒星)を描きます。最後、虹彩の撮影が行われ、準備は完了。 展示は、全部で22種ありますが、その中から面白そうなものだけをご紹介致します。 いずれも、3分ぐらいを必要とする一人ずつの個人参加なので、ある場所では行列になり、全体ではかなり時間が掛かります。 展示タイトルと内容:
1 | 『指紋の池』:横2m、奥行き3m(液晶パネル6枚で平面に構成)ぐらいの池の前に、指紋認識装置があり、それに自分の指紋を登録すると、池の手前にできた、小さな四角の枠の中に自分の指紋が現われます。見ていると、やがて、その枠が消え、指紋は池の奥の方へ泳いで行き、他の大勢の指紋と混ざり、泳ぎ回ります。 帰途(2時間後)、再び、ここへ来て、指紋を再登録すると、目の前にまた四角い枠ができ、沢山の指紋と一緒に泳いでいた自分の指紋だけが急いで泳ぎ帰り、その四角い枠の中に入り消滅します。 |
5 | 『属性の積算』: 細い通路を通過するだけで、光で身長を、床で体重を測定され、私の名前が、壁面に投射されます。 |
7 | 『覗かれ穴』: 板塀に穴があいており、その穴から中を覗くと、中には夏のビーチの写真が貼ってあり(ビキニの女性が沢山写っている)、覗いた本人がその写真の何処を見ているかの映像が、頭上の塀に投射されます。本人には分らず、回りで観ている人が、くすくす笑えるようにできている、イタズラです。 |
10 | 『休息所』: 小さな休息所があり、テレビの前には六つの長椅子が置かれています。各人が、各様に、その椅子に座って休んでいますが、その光景を(内緒で)天井のカメラが捉え、無意識に人間が“領域の確保”をしているのが、離れたところに置いてあるディスプレイに、領域のサークルが記入された映像として映し出されます。 変な外人が座っている回りは空いているし、カップルで来た人の二人の領域は一体になっています。 |
11 | 『ふるまいに宿る属性』: 入口の小部屋に置いてあったのと全く同じアクリルの小箱が置いてあり、再びそこで一筆書きの星を空間に描きます。 と、そこであなたは誰々ですと指摘されます。流石に、今回は複数の名前が挙げられましたが、しっかりと私の名前も入っていました。 |
12 | 『頭の中の散らばり方』: 各方面の有名人(?)、数名のパソコンのデスクトップ面のアイコン配列が紹介されています。人によって、配置、分類などが多様なので驚きました。 |
13 | 『金魚が先か、自分が先か』: 小さな掘っ立て小屋があり、ドアを開けて中に入ると、そこは2m四方ぐらいの小部屋。左側は、洗面台でその上には鏡が入っていて台には化粧品などが置かれています。右側には、低い棚があり、金魚鉢が置かれていて、底から空気が送り込まれていますが、中には金魚はいません。 そこで、何気なく鏡を見ると、鏡に映っている金魚鉢には、大きな金魚が2匹、悠々と泳いでます。「?」と思い、更に鏡を覗くと、そこに自分の姿が映っていないのに気が付きます!「なるほど」と納得して、ニヤニヤしながら小屋から出てくる仕掛け。 誰もが、自分が鏡に映っていないことより、金魚がいることの方に先に気が付くとのことで、「金魚が先か、自分が先か」というタイトルが付けられた由。 |
18 | 『2048』: ここで、再び箱のスリットに目を近づけ、虹彩の写真を撮られます。正面の大型ディスプレイに、デジタル化された自分の虹彩の情報が1と0の数字で、何重もの同心円状に表示されます。その数が2048あるのでこのタイトルが付けられたそうです。 直後、同心円の中央に私の名前が表示されます。ここまでは、当然なのですが、その後、この数字を、部分的にディスプレイ上から任意に、黒板拭き様のイレーザーで消去することができます。どんどん消していっても、スピーカーからは「まだ、あなたです」と言われ、30%ほど消したところで、やっと「もう、あなたではありません」に変わります。 虹彩による、個人の認識は、かなり冗長度が高いそうです。 トム・クルーズ主演の『マイノリティ・リポート』(2002)を思い出しました。 |
21 | 『新しい過去』: 「現在の自分の存在は、過去の記憶の上に成り立っている。もし『ブレードランナー』のレプリカントのようなものをつくったときには、その人格に過去を吹き込む必要がある」ということがこの作品の趣旨。 タッチパネル上で、名前と、簡単な質問に答えるだけで、部屋の片隅に置かれた、カセット・テープ・レコーダ(実は、デジタル音声合成機)から、あなたの“新しい過去”が流れてきます。 |
◆ 因みに、当日、展覧会への登録者(データの母数)は、ざっと勘定したところ、百数十人ぐらいでした。 そして、9日(土)は、渋谷まで恒例の電力館科学ゼミナール『免疫の功罪 〜がん免疫とアレルギー反応〜』(筑波大学大学院人間総合科学研究科教授 渋谷 彰)を聴きに行ってきました。 その中でも、「ヒトの体内では、毎日、3000個のがん細胞が発生している。抗体は、花粉や、他人の臓器は非自己と認めるが、果たして、がん細胞は自己か非自己か」というお話が出てきました。 “アイデンティティー”とは、難しいものです! ということで10月は、SF映画1本を含めて以下の3本の映画を観ることができました。 『パンドラム』『ナイト&デイ』『エクスペンダブルズ』
■『パンドラム』 今まで何度も、上映日未定のまま“Coming Sooon!”に載せてきました『パンドラム』が、急遽、10月1日から上映されることになりました。が、上映館は、全国で僅か十館。ときどき出掛ける「109シネマズ川崎」では夜間興行のみ。 そこで、10月2日(土)に、初めて、最近、桜木町にできたシネコン「横浜ブルグ13」へ11:50からの『パンドラム』を観に出掛けてみました。しかしそこも、終日興行は初日の10月1日(金)だけで、翌日、土曜日からは昼間:3回+深夜興行:2回と上映回数が激減しました。 そんなわけで、観客数は余り期待していませんでしたが、それでも、座席数:87のスクリーン:13の入りは、20数名と予想以上でした。
物語: 時は、2174年。地球は人口過剰、資源不足で喘いでいた。そこで、人類は宇宙探査で発見した123光年離れた地球型惑星“タニス”へ、6万人の人間と、動植物の種:2000万を載せた、現代版ノアの方舟、超大型宇宙船“エリジュウム”を発進させた。 そして、物語はその後何年か経ったある日の、この“エリジュウム”の中から始まる。 二人の宇宙飛行士が冷凍睡眠から覚醒すると、回りには誰もいず、自分たちの記憶も定かでない。また、原子炉も壊れ掛かっていてドアも開かない。天井のダクトを通って一人が様子を見に行くが、その先には奇怪な生物が蠢いており、ときどき襲ってくる。やがて、彼は、何人かの乗組員と出合い、協力して、原子炉の再起動に向う。 動力が正常化したので、彼らは司令室の窓の覆いを開けてみると、そこには、星ひとつ見えない暗黒の空があった。 果たして、現在、彼らは何処にいるのか。 そして、彼らを襲う奇怪な生物とは。 また、彼らは初期の目的を達成することができるのであろうか? ホラーの項目にも分類されているこの映画。映画の80%は怪奇な部分。映画『エイリアン』で、“エイリアン”が宇宙船の中で乗組員を次々襲ってくる恐怖に酷似です。 正に、超B級映画と言いたいところですが、最後の20%で救われます。 最初に出てくる、宇宙船“エリジュウム”の勇姿は、何十年か前の『スターウォーズ』の時代の宇宙船を思い出させます。 このストーリーの構想は、昔、誰かのSF小説で読んだことがあるような気もしますが、最近、映画は種切れのせいか、どんな映画を観てもデジャビュです。(笑) “パンドラム”とは、冷凍睡眠から覚醒した後に生ずる、記憶喪失と幻覚、指の震えなどの症状を言うようです。 帰途、売店で、プログラムを買おうとしたらば、「未だ、来ていません」とのこと。 矢張り、超B級でした! (原題)PANDORUM 2009/アメリカ・ドイツ/ソニー・ピクチャーズ 監督:クリスチャン・アルバート 製作:ポール・W・S・アンダーソン 出演:デニス・クエイド、ベン・フォスター、カム・ジガンデイ、アンチュ・トラウェ 2010/10/01公開 1時間47分 ■『ナイト&デイ』 10月12日は、小雨模様でしたが、いつもの「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで『ナイト&デイ』(12:30〜)を観に出掛けました。 字幕版と吹替版が並行して上映されていましたので、字幕版を選択。 スクリーン4、座席数:196に対して、入りは50名ほど。 物語: ウィチタからボストンへ帰るジューン(キャメロン・ディアス)は、空港で二度も同じ男性、ロイ(トム・クルーズ)とぶつかり、機内でも通路を夾んだ反対側に座ることになる。これは運命と勝手に決め込んだジューンは、ロイにモーションをかけ始めるが、トイレから帰ってくると、乗客と操縦士は全てロイに殺されており、ロイは飛行機を玉蜀黍畑に不時着させる。二人は脱出するが、飛行機は爆発。 ジューンはロイから逃れようと焦るが、行く先々で、いろいろな男たちに拉致され、その都度、ロイに助けられる。 ロイは敵か味方か、または、狂人かとジューンは迷うが、二人で敵と戦っている中に、だんだん連帯感と愛情が芽生えてくる。 果たして、ロイの正体は何者か・・・。
“ゼファー”と称する宝物(ハイテク・デバイス)を巡る三つ巴(?)の争奪戦、ということになっていますが、この映画は「先ず、トム・クルーズとキャメロン・ディアスのアクション・ラブ・コメディの構想が始めにありき」で、宝物はその構想のために取って付けられたみたいな感じです。 映画の中で次々と溜まっていった疑問は、最後には全てクリアーされ、しかもハッピーエンド。おまけに、ロイは孝行息子であったりもするのです。 更に、世界各地の観光巡りもでき、サービス満点の娯楽映画です。 しかし、余りにも予告編を観過ぎたため、まだあのシーンが出てこないが、と思いながら映画の筋を追っている感じもしました。 このところ、『私の中のあなた』(2009)や『運命のボタン』(2009)など、かなりシリアスな映画に出演していたキャメロン・ディアスでしたが、今回は、完全にまた二枚目半に戻り、彼女の本領が発揮されています。 観終わってから気が付いたのですが、タイトルの『ナイト』は『KNIGHT』だったのですね。 (原題)KNIGHT AND DAY 2010/アメリカ/20世紀フォックス映画 and リージェンシー・エンタープライゼス提供 監督:ジェームズ・マンゴールド 脚本:パトリック・オニール 製作:キャシー・コンラッド、スティーヴ・ピンク、トッド・ガーナー 製作総指揮:ジョー・ロス、アーノン・ミルチャン、E・ベネット・ウォルシュ 出演:トム・クルーズ、キャメロン・ディアス、ピーター・サースガード、ジョルディ・モリャ、ヴィオラ・デイヴィス 2010/10/09公開 1時間49分 ◇ 今回、初めて映画館で観た予告編。 ■『エクスペンダブルズ』 10月20日は、ときどき小雨のお天気でしたが、元気を出して「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで、12:10分からの『エクスペンダブルズ』を観に出かけました。 毎月20日は「お客様感謝デイ」で、誰でも1000円の日。いつでも1000円のシニアーにとっては、一般が1000円の日に行くのは何となく損をしたような気になるのですが、昨日はポイントカードが5ポイント溜まっていたので無料となりました。 シアター12で座席数:128の所、「お客様感謝デイ」なのに入りは30人程度。
物語: 先ず、冒頭は、ソマリア沖のアデン湾で海賊船に拉致された船員たちを救出する“エクスペンダブルズ”の活躍でスタート。 この作戦に成功した彼らは本国に帰り、一息入れているところへ、謎の男、チャーチ(ブルース・ウイリス)から、メキシコ湾の島国、ヴィレーナで圧政を敷く独裁者、ガルザ将軍殺害の依頼が来る。 早速、調査のため、鳥類研究家だと偽り、その島を訪れるロス(シルベスター・スタローン)とクリスマス(ジェイソン・ステイサム)。 その島に着くと、ガイドと称して現われたのは、何と、ガルザ将軍の娘、サンドラであった。が、彼女は反体制派で、二人に島民が虐げられている様子を見せる。やがて、ロスとクリスマスは政府軍に見付かり、捉えられそうになるが、何とか脱出に成功する。しかし、サンドラは、どうしても島に残ると言い張って彼らに逮捕されてしまう。 サンドラに心引かれたロスは、彼女の救済のため、再び単独で島に戻ると言い出すが、4人の仲間が彼と行動を共にする。 更に調べたところ、ガルザ将軍の背後には、モンローという元CIA局員がおり、島で生産される麻薬の利権を独占しようと企んでいることが判明する。 愛用の、飛行艇でヴィレーナ島に乗り込む5人。 かくて、300人の敵軍との壮絶な闘いが始まる。 果たしてロスは独裁政権を壊滅し、サンドラを救出することができるのであろうか!? 撃ちまくり、殺しまくり、カーチェイスもありという映画ですが、ストーリーはちゃんとできています。 映画の冒頭、ブルース・ウイリス演じるチャーチが、教会で二つの傭兵軍団グループにこの仕事を打診するシーンがあります。エクスペンダブルズのリーダー、ロスが先に着き、遅れて、一方の傭兵会社の社長(?)、トレンチ役のシュワちゃんが現われます。二人は同業でライバル。シュワちゃんは、「今、忙しいので、今回の仕事はお前に任せる」といってあっさり立ち去ります。その時、スタローンに「少し痩せたな」とひとこと。スタローンは、シュワちゃんに「お前は、貫禄が付いてきたな」と返します。その後、スタローンは、ウイリスに「彼は、大統領になりたがっているんだ」というようなことを言います。 最後、ヴィレーナ島での闘いが終わり、一息ついたときにも、スタローンは仲間から「動きが遅くなったな」といわれ、「歳のせいかな」と返すところがあり、その辺の楽屋落ち的な台詞も楽しめます。 そんなわけで、ウイリスもシュワちゃんも、ほんのワンカット程度の出演で終了。 更に、期待していた、ミッキー・クロークも、元傭兵、現、タトゥー・ショップの経営者、そして、エクスペンダブルズのマネージャーという役所で、期待していたひと暴れはありませんでした。 (原題)THE EXPENDABLES 2010/アメリカ/ 松竹配給 監督:シルベスター・スタローン 脚本:デビッド・キャラハム、シルベスター・スタローン 原案:デビッド・キャラハム 製作:アヴィ・ラーナー、ジョン・トンプソン、ケヴィン・キング・テンプルトン 出演:シルベスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、エリック・ロバーツ、ランディ・クートゥア、スティーブ・オースティン、 デヴィッド・ザヤス、ジゼル・イティエ、カリスマ・カーペンター、ゲイリー・ダニエルズ、テリー・クルーズ、ミッキー・ローク、ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガー(これだけ出演者を書いてきて、やっと“シュワちゃん”が出てきました!) 2010/10/16公開 1時間43分
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