今年の3月、ダン・ブラウンの『ロスト・シンボル 上・下』がハードカバーで発売され、読みたいと思いながら文庫本化を待っていましたが、遂に待ちきれず、近くの図書館から借りて読んでしまいました。 しかし、図書館員の話では「あなたは二人目の借り手」だとか。不思議と一般人には余り人気がないようです。 今回の舞台は、ワシントンDC。 フリーメイソンの壊滅を画策する謎の男、マラークと、それを阻止しようとするCIAとの物語。その中に、ラングドン教授が巻き込まれます。 マラークは何故フリーメイソンを潰そうとしているのか、また、何故CIAは国家の重要問題として、これを阻止しようとしているのかが、物語が進むに連れて明らかになって行きます。 マラークが、フリーメイソンを潰す手段として、フリーメイソンの怪奇な儀式を特殊ビデオカメラで盗撮し、パソコンからネットに流出させようとします。丁度、今回の海保問題とタイミングが一致し、興味が湧きました。 また、宗教と科学との関係についても、面白く書かれています。 物語の中で、フリーメイソンの秘密を解くための鍵として、ラングドン教授が見付けるのが「魔法陣」。 まず最初に出てくるのが、デューラーの版画(1514)に描かれている「4X4の魔法陣」。次に出てくるのが、「フランクリンの八方陣」(1769)。 興味があったので、早速、調べてみましたらば、現在、12方陣や16方陣も作られていました。 コンピュータを使えば、もっと高次のものが作れるのではないでしょうか? http://members2.jcom.home.ne.jp/mahojin2/sub3.htm 今月は計画通りに観られた映画もあれば、公開予定の変更で観ることができた映画もあります。ご紹介するのは以下の3本です。 『怪盗グルーの月泥棒』『ラスト・ソルジャー』『マルドゥック・スクランブル 圧縮』 ■『怪盗グルーの月泥棒』 11月4日は12時10分からの3Dアニメ『怪盗グルーの月泥棒』(吹替版)を観に、半月振りにワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウンに出掛けました。劇場は、座席数:384のスクリーン2。入りは、数十人。三分の二は小さな子どもたち。
物語: ライバルのベクターにピラミッドを盗まれ、自尊心を傷つけられた怪盗グルーは、もっと大きな“月”を盗もうと計画を立てる。先ず、その手始めに、何でも小さくできる“縮ませ光線銃”を盗みに、極東の某国研究所へ出掛け、見事手に入れる。が、帰途、この銃はベクターに横取りされてしまう。グルーは、これを取り戻すために、子どもたちを利用することを思いつき、孤児院から3人の子どもたちを引き取ってくる。 銃を取り戻したグルーは、早速、ネファリオ博士と、バナナから作られた仲間(子分?)“ミニオン”軍団と共に、月世界行きのロケットの建造に取りかかる。 果たしてグルーは月を手に入れることができるのであろうか。 映画は、終始、子どもたちの笑い声に包まれていました。大人は大人なりに、子どもは子どもなりに楽しめる映画。流石、ユニバーサル・スタジオと、『アイス・エイジ』のプロデューサーが作った映画です。 利用するだけの目的で引き取ってきた3人の女の子を、初めは、邪険にしていたグルーでしたが、だんだんと情が移り、最後は優しい父親に変身していくという心温まる物語。 また、ネファリオ博士がバナナから作ったという、イタズラ好きな数百(?)の仲間“ミニオン”も、一人ずつ個性を持って描かれており、とても可愛い。 ロケットで月に向い、縮小光線で月を縮め(野球のボールぐらいになる)、持ち帰ってくるシーンはなかなか迫力があります。突如、月が無くなった地球上の“とまどい”も笑わせます。 今回も吹替え版だけしか上映されていませんでしたが、グルーの声が噺家の鶴瓶、関西弁なのがちょっと引っかかりました。 原題の“Despicable Me”は、日本語にするとどういう意味になるのでしょうか?子ども向けのタイトルにしては、ちょっと難しい? (原題)Despicable Me 2010/アメリカ/東宝東和配給 監督:クリス・ルノー、ピエール・コフィン 製作:クリス・メレダンドリ、ジャネット・ヒーリー、ジョン・コーエン 脚本:シンコ・ポール、ケン・ダウリオ 原案:セルジオ・パブロス 声の出演:笑福亭鶴瓶、芦田愛菜、山寺宏一、伊井篤史、須藤祐実、矢島晶子 2010/10/29公開 1時間35分 ■『ラスト・ソルジャー』 このところ観たい映画がないので、取り敢えずジャッキー・チェンの『ラスト・ソルジャー』を観に、15日は久し振りに渋谷の「渋東シネタワー 1」(7F)まで出掛けました(私の行動範囲以内で上映しているのは、ここだけ)。(SFではありません) 上映は、11時20分から。座席数:610に対して入りは50人程度でガラガラ。 物語: 時は、紀元前227年。群雄割拠する戦国時代の中国が舞台。 弱小国「梁」と、敵国「衛」との闘いがあり、両方の兵士が全滅する。が、その中で、戦争嫌いな「梁」の一兵士が死んだふりをして助かる。やがて、彼は深手を負って動けない敵の将軍を発見、褒賞目当てに捕虜として将軍を縛り、戦場から自国、「梁」へ連れ帰ることにする。途中、山賊や、熊に遭遇したりと艱難辛苦。やがて、追跡してきた「衛」の捜索隊にも追われるが、これは、将軍を救出するためではなく、暗殺するための軍隊であった。兵士は将軍と力を合わせ敵を倒す事に成功、二人の間に、友情が芽生えてくる。 かくて最後、兵士は、船で川を下り、やっとの思いで「梁」の都まで将軍を連れ帰るが、心が通い合った兵士は将軍に「今後、絶対に梁には攻め込まない」と約束させ、船で逃がしてやる。 しかし、喜び勇んで兵士が帰り着いた梁の都は・・・。
ジャッキー・チェンが20年間、暖めてきた構想の映画化とか(中国公開の主演作中、最高収入を記録した由)。 全編、これ中国が舞台。従って、会話も全て中国語。 やや深刻なストーリーですが、流石、ジャッキー・チェン、各所にコミカルなシーンを交え、楽しく観ることができました。勿論、カンフー場面もあります。 ジャッキー出演映画は、これが64本目だそうです(日本公開作品のみ)。 (原題)大兵小将 2010/中国・香港/プレシディオ提供・配給 監督:ディン・シェン 製作総指揮:ジャッキー・チェン 脚本:ディン・シェン 原案:ジャッキー・チェン 出演:ジャッキー・チェン、ワン・リーホン、ユ・スンジュン、ドゥ・ユーミン 2010/11/13公開 1時間35分 ■『マルドゥック・スクランブル 圧縮』 11月24日は、11時30分からの『マルドゥック・スクランブル 圧縮』を観に、新宿の「テアトル新宿」まで出掛けました。開場30分前の10時40分に着いた時には、もう地下に降りる階段に5人並んでいました。先頭の青年は階段に腰掛け、膝の上にパソコンを開いてなにやらやっていました。私は寒いので、裏の「イセタンメンズ」で時間をつぶし、15分後に帰ってきたらば、行列は15人に。 そして、上映時には、座席数:218に対して予想を上回る約70人が入場。高齢者は私を含めて2人。女性は10人程度で、後は、全て若い男性でした。 前号にも書きましたように、この映画は当初、全国で、東京、名古屋、大阪、札幌、福岡の5館のみでの深夜上映が決まっていましたが、評判が良かったせいか、公開後(?)、昼間にも追加上映が行われるようになり、更に、来年の1月8日からは、新潟、広島で、また、1月15日からは、栃木、宮城での上映も決定されたようです。
物語: マルドゥック・シティの高速道路を走る高級リムジン・エア・カーに乗せられた少女娼婦、バロットが「死んだほうがいい」とつぶやくところから映画は始まる。 やがてリムジンは、セントラルパークの湖畔に停車。カジノ経営者、シェル一人だけが車から降りた直後、車は爆破される。 これを追跡してきた委任事件担当官、ドクター・イースターと、どんな物体にも変身可能な黄金色のネズミ、ウフコックは、瀕死の重傷を負った彼女を救いだし、人命保護を目的とした緊急法令“スクランブル−O9”の機密最高技術を駆使、強化繊維で皮膚を再構成し彼女を蘇生させる。 斯くして、バロットと、ドクター・イースター、ウフコックの三人(?)は、バロットを殺そうとした一味と対決することになる。 何故、バロットは殺されそうになったのか。そして、復讐は成功するのか。 また、彼女が蘇生後に身につけた、電子干渉能力などのハイテク超能力とは……。 今回、アニメ化されたのは『マルドゥック・スクランブル 圧縮 燃焼 排気』、三部作の中の『第一部 圧縮』のみ(『第二部 燃焼』は1911年公開予定)。 私は、2010年本屋大賞の時代小説『天地明察』を読み、初めて冲方丁という名前と、彼が第24回日本SF大賞を受賞した、『マルドゥック・スクランブル』を知りました。 今回、この『マルドゥック・スクランブル』がアニメ化されるに及んで、先ず、SFマガジン11月号の特集で勉強してみましたが、全く内容不明。仕方なく(?)『マルドゥック・スクランブル 圧縮』(【完全版】ハヤカワ文庫)を購入、読んでみました。 そして、この小説がそのまま映画化されたら大変な事になるのでは、と訝りながら映画を観に行ったところ、ほぼその侭、忠実にアニメ化されているので吃驚しました(「PG12」指定)。 最後は、小説と同じく「何でここでお終いなの」といったところで終わってしまいました(紙芝居的な切れ目です(笑))。 いろいろと工夫をして上映時間を1時間に切り詰めたそうですが、熱中して観ているのには、この長さは丁度良いと思います(実際の上映時間は、長いエンドロールが付いているので、1時間5分になっています) 2010/日本/アニプレックス配給 監督:工藤進 プロデューサー:中西豪、征矢春香、加藤智行 脚本:冲方丁 製作:マルドゥック・スクランブル製作委員会ほか キャラクターデザイン・総作画監督:鈴木信吾、中井準 原作:冲方丁著『マルドゥック・スクランブル 圧縮』 声の出演:林原めぐみ、八嶋智人、東地宏樹、中井和哉、磯部 勉 2010/11/06公開 1時間05分
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