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AKIのキネマまんぽ

『キック・アス』はなんと満席

『キック・アス』
『人生万歳!』
『グリーン・ホーネット』

AKI

 新年明けましておめでとうございます。
 本年も、宜しくお願い致します。
 1月18日は、恵比寿ガーデンシネマへ映画を観に行った帰途、同じガーデンプレース内にある「東京都写真美術館」に回り、『3D ヴィジョンズ』(3D Visions Look into history and future expression)展を観てきました。(入場料、一般:500円、65歳以上:250円。2011年2月13日まで)
 展示の内容は、私の期待した「3Dの技術的可能性」とは若干方向がずれており、全体のほぼ80%は3Dの歴史でした。
 先ず、第1章は『立体視・浮遊する視覚』で、1851-52年頃に商品化されたステレオビュワーの展示と、それの写真が沢山壁に貼られてあり、ひとつずつ3Dメガネで眺められるようになっていました。
3D写真は、『クリスタルパレス』と、何故か『日露戦争』!?その他、観光写真として、『エジプト』や『アルプス』、そして、19世紀末になるとヌードなども出てきます!
 続いて、第2章は『メカニズムへの焦点』と題して、当時の豪華なステレオビュワーと、ステレオカメラが、多数展示されていました。
 そして、第3章は『新たな表現を求めて』のタイトルで、3人の作家による、3Dによる新しい芸術的表現の展示となっています。

http://syabi.com/contents/exhibition/index-334.html

 このところ、何回目かの3Dブームに乗じて、映画だけでなく、テレビやパソコン、それにゲームなどが3D化されてきており、昨年末には「朝日新聞3D特集専用メガネ」までもが新聞屋さんから配達されました。
 これら、現在の3Dは、依然としてメガネ方式が中心。東芝から発売された「メガネなし3Dテレビ」は、文字通りメガネは不要ですが、矢張り観る位置に制限があります。
 このような、メガネや、レンチキュラーレンズを使用した方式では、いずれも画像の左右方向の目の両眼視差を使って3Dを表現しているので、横に寝転がって観ることはできません。
 現在、唯一、寝転がって観ることができるのは、NHK放送技術研究所で開発中のレンズアレー(複眼レンズ)を用いた「インテグラル立体方式」ですが、“フル解像度スーパーハイビジョン”並の画像情報量が必要で、残念ながら、今すぐ実用化は無理のようです。
 これは、昨、2010年春のNHK放送技術研究所一般公開の折、展示され、実物を見てきました。

http://www.nhk.or.jp/strl/open2010/tenji/05.html

 今月ご紹介する映画は以下の3作品です。
『キック・アス』『人生万歳!』『グリーン・ホーネット』

■『キック・アス』

 1月4日は寒かったですが、上天気。どれを観ようかと迷った挙句、初映画には『キック・アス』を選び、渋谷の「シネセゾン渋谷」まで出掛けました。
 上映45分前に切符売り場へ着いたらば数人の行列。順番が来て指定席券を買おうとしたら、狙っていた辺りは既に売り切れ。
 その後、近くの「ヤマダ電機」を冷やかして、15分前に戻ってきた時は、切符売り場は大行列、ロビーも満杯。
 上映開始時には、一番前の方に僅かに空きがあるだけで、後は完全に満席でした(座席数:219)!

物語:
 父親と二人で暮らすスパーヒーロー・オタクのごく平凡な高校生、デイヴは、ある日、チンピラに絡まれたのを機会に、正義の味方とばかりにスーパーヒーローのコスチュームを購入、早速、街中へ出てそのチンピラに立ち向かう。が、こてんぱんに伸されてしまい、挙句の果てに車にひき逃げされてしまう。
 入院し、折れた体中の骨を金属で補強して貰ったことで、少なくとも打たれ強くなったデイヴは、再び街で活躍、また、ボコボコにされるが、この映像がwebで流されたため、一躍有名人になってしまう。
 しかし、麻薬マフィアのボスから、身内の不祥事はこのスーパーマンのせいだと睨まれ、襲われる。危機一髪の所を、この麻薬組織壊滅のために戦っている本物(?)のヒーロー、ビッグ・ダディと、その娘、ヒット・ガールに助けられる。
 この父娘たちは何者で、なんのために組織と戦っているのであろうか?
 また、この三人は、手を組んで、この組織を壊滅させることができるのであろうか?

 映画を観ていると、物語は非常に分かり易いのですが、粗筋を正確に文章化しようとすると長くなりそうなので、「物語」はこの程度にしておきます。
 正に、お正月向けの超娯楽映画。混んでいる理由も頷けます。
 が、いくら相手がマフィアだからといって、『マルドゥック・スクランブル』(「PG−12」指定)顔負けの残虐なシーンが何回も出てくるので、この映画が「R−15」指定になっているのも「宜なるかな」です(勿論、こちらは実写版です)。
 父親のビッグ・ダディ役はニコラス・ケイジ。すっかり出演していることを忘れていて、突然、あの顔がスクリーンに現われて驚きました。その筋の雑誌によると、彼は、現在、莫大な借財を抱えており、どんな映画にもオファーされたら出演しないわけにはいかない状況だとか。
 主役は、“キック・アス”よりか、むしろ、娘役の“ヒット・ガール”(13歳!?)のような感じで、素晴らしいアクションを見せてくれますし、コスチュームを脱いで、普通の女の子になると、とても可愛い。
 映画の中で、ビッグ・ダディが「彼は、名前をキック・アスよりか、アスキックにすべきだ」というシーンがありますが・・・?。英語は難しい。
 余談ですが、観終わって超満員のロビーに出たらば、付き人に先導されて入ってきた竹中直人と擦れ違いました。彼も、この映画を観に来たのでしょうか?

(原題)KICK-ASS
2010/米・英/カルチュア・パブリッシャーズ配給
監督:マシュー・ヴォーン
製作:マシュー・ヴォーン、ブラッド・ピット、クリス・サイキエル
製作総指揮:マーク・ミラー、ジョン・ロミータ・Jr.、ジェレミー・クライナー
脚本:ジェーン・ゴールドマン、マシュー・ヴォーン
原作:マーク・ミラー、ジョン・ロミータ・Jr.
出演:アーロン・ジョンソン、クリストファー・ミンツ=プラッセ、マーク・ストロング、クロエ・グレース・モレッツ、ニコラス・ケイジ
2010/12/18公開 1時間57分

■『人生万歳!』

 1月18日は、恵比寿ガーデンシネマまで、11時からの『人生万歳!』を観に行ってきました。入りは、116席に三十数人。男性は僅か5人だけ!
 この映画館は、1月28日で休館とのこと。チケット売り場のお姉さんに聞いたらば「恵比寿ガーデンシネマとしては閉館。その後は、どうなるか分りません」とのことでした。今まで、数々のウディ・アレンの映画を観に行ったし、最近では『ちょんまげぷりん』を観た映画館。残念なことです。

物語:
 かつて、ノーベル賞候補にもなった物理学者、ボリスは頭の良さから人生のむなしさを感じ、窓から飛降り自殺を図るが未遂に終り、妻も職も、住まいも失い、現在は、N.Y.下町の安アパートに住み、近所の気の合った連中とカフェで議論しあうのを唯一の楽しみとしている。
 そんな彼が、夜、帰宅すると、玄関の階段の下に若い女性がうずくまっており、「家出し、何も食べてないので何か食べさせてくれ」と言う。2分間ということで室内に入れたボリスだが、なんだかんだと、ずるずると住み込まれ、やがてこれは宿命と勝手に決め込んだ彼女、メロディから、ボリスは結婚を申し込まれてしまう。
 そして一年後、ボリスの安アパートに離婚したメロディの母親が、また、暫くして、父親が尋ねてき、話がややこしくなってくる。
 やがて、母親の差し金で、メロディの前に新しい若い恋人が現われたりと、各人が自由気ままに自分たちの幸せを探り当てていく。
 そして最後は、全員がハッピーエンド!!

 ウディ・アレンの40作目とか。
 矢張り、ご贔屓、ウディ・アレン監督の映画、期待以上に楽しめました(同じハッピーエンドでも、意外なハッピーエンドです)。
 『メリンダとメリンダ』(2004)以降、彼はアメリカから脱出、舞台をヨーロッパ各地に移して映画を撮っていましたが、今回は、久し振りにN.Y.を舞台にした映画です。
 そして、この映画でウディ・アレンは、メロディ役にまた新しいエヴァン・レイチェル・ウッドを抜擢しています。
 素粒子物理学者のボリスと、1年間、結婚生活をしたメロディは、門前の小僧で、セックスの話にまで、ハイゼンベルクの不確定性原理を持ち出したりして笑わせます。
 タイトルの『人生万歳!』は、ウディ・アレンの映画にしては、捻りが利いていないなと思っていましたが、原題は“Whatever Works”。
 映画の中でも、ボリスが何回か口にする言葉で、「あらゆる幸せは全て束の間だ。だからこそ、うまく行くのなら“何でもあり”だ!」の“何でもあり”が原題のようです。
 映画の中で、ミシシッピー川流域出身の田舎娘、メロディが、ボリスのために、嬉々としてザリガニ料理を作りますが、ボリスが食べるのを嫌がるシーンがあります。昔、ニュー・オーリーンズ に出掛けたとき、レストランで、この名物(?)の茹でた“crawfish”を食べて来ました。

(原題)Whatever Works
2009/アメリカ/ アルバトロス・フィルム配給
監督・脚本:ウディ・アレン
製作:レティ・アロンソン、スティーヴン・テネンバウム
撮影:ハリス・サヴィデス
編集:アリサ・レプセルタ
出演:ラリー・デヴィッド、エヴァン・レイチェル・ウッド、パトリシア・クラークソン、エド・ベグリー・Jr.、ヘンリー・カヴィル
2010/12/11公開 1時間31分

 1月7日の朝日新聞に、4日に『キック・アス』を観に行った「シネセゾン渋谷」のことが、次のように報道されていました。
 「■シネセゾン渋谷閉館へ 1980年代のミニシアターブームの一角を担った映画館『シネセゾン渋谷』が2月27日で閉館することになった。運営する映画会社の東京テアトルが6日、発表した。85年に開館。『レオン』『グラン・ブルー』などアート系作品の上映で知られた。」
 この映画館の隣にあった「渋谷ピカデリー」は、もう大分前に、閉館しています。

■『グリーン・ホーネット』

 1月25日は公開4日目、朝一(10:40)の『グリーン・ホーネット』を観に、今年初めて「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」へ出掛けました。
 この映画は一番大きな劇場、スクリーン1で上映され、吹替版、3D(+300円)、ULTILA(+200円)で、基本料金+500円でした!
 座席数:388に対して入りは僅か7人!!

物語:
 小さいときに母親を亡くし、ロサンゼルスの大新聞社「デイリー・センチネル」の創業者である父親に厳しく育てられたブリットは、成長しても全く父の会社の仕事には関心がなく、毎晩パーティを開いて遊びまくっている。
 が、父親が謎の死を遂げた後は、跡を継がざるをえなくなる。
 ある晩、車の運転手、カトーと二人で、街のチンピラ共に絡まれていた男女を救ったことで快感を覚え、カンフー(喧嘩?)の達人、カトーと組んで、街の悪を滅ぼそうと一念発起する。
 そして、自らを“グリーン・ホーネット”と名乗り、この行動を自社の新聞の一面に大きく報道、世間の関心を煽り立て、発行部数を伸ばし始める。
 彼らの行動が、だんだんとエスカレートしてきたため、遂に、街を牛耳っている黒幕のボス、チュドノフスキーは、100万ドルの賞金で「“グリーン・ホーネット”を殺せ」と街中の手下に指令を下す。
 発明の天才、カトーが考案した最強の武器を搭載した車、“ブラック・ビューティー”に乗り込んだ二人は、ボスの挑戦に応じて、闘いを開始する。
 果たして、グリーン・ホーネットに勝ち味はあるのか!?
 そして、父の死因は・・・?

 この映画も、よく壊し、よく殺します。
 アメリカ人好みの、臭いギャグが満載でしたが、主演は「アメリカで国民的人気を誇るコメディ・スター、セス・ローゲン」とのこと、仕方がないのかも知れません。
 唯一、爽やかでチャーミングなキャメロン・デイアスが秘書役で出演しているのが救いでした。
 『グリーン・ホーネット』は、かなり歴史があるようで、そもそもは1936年にラジオで放送されたのが始まりとか(そのまた元は『ローン・レンジャー』だとも?)。
 そして、1966年から1967年にかけてはテレビで放映され、カトー役は、未だ有名になる前のブルース・リーが演じていたそうです。
 それにしても、アメリカのスーパー・ヒーローには、大富豪が多いですね。
 映画は、それなりに楽しめましたが、別段、3Dや大画面のULTILAで観る必要はないような気もします(500円、安い方が良かった!?)。

(原題)The Green Hornet
2011/アメリカ/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給
監督:ミシェル・ゴンドリー
製作:ニール・H・モリッツ
製作総指揮・脚本:セス・ローゲン & エヴァン・ゴールドバーグ
ラジオ版の原案:ジョージ・W・トレンドル
製作総指揮:マイケル・グリロ、オリ・マーマー、ジョージ・W・トレンドル・Jr
出演:セス・ローゲン、ジェイ・チョウ、キャメロン・ディアス、クリストフ・ヴァルツ
2011/01/22公開 1時間59分


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