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AKIのキネマまんぽ

最近、映画館の入場者数は減ってる?

『ミッション:8ミニッツ』
『三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』
『アーサー・クリスマスの大冒険』

AKI

 映画の上映に合わせて、タイトルも『四角い墓場』(ハヤカワ文庫『運命のボタン』に収録)から『リアル・スティール』(原題は“Steel”、初出:1956)に変えて、リチャード・マシスンの短編集『リアル・スティール』(NV1245 2011年10月15日発行)が早川書房から文庫本として発売されました。
 当然ですが、この二つの小説の内容は全く同じ。
 「人間同士のボクシングが禁じられ、ボクシングは全てロボットで」というシチュエーション以外は、全く映画とは異なるストーリーです。
 この短編集には、この改題された『リアル・スティール』以外に、『運命のボタン』に収録されていたものとは全く異なる以下の9編が収録されています。
 いずれも、マシスンらしいお話です。

  • 『白絹のドレス』(1951)
  • 『予約客のみ』(1970)
  • 『指文字』(1962)
  • 『世界を創った男』(1954)
  • 『秘密』(1965)
  • 『象徴』(1951)
  • 『おま★★』(1952)原題は“F---”
  • 『心の山脈』(1951)
  • 『最後の仕上げ』(1970) 本邦初訳

 今月ご紹介するのは、以下の三作品です。
『ミッション:8ミニッツ』『三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』『アーサー・クリスマスの大冒険』

■『ミッション:8ミニッツ』

 11月4日(金)は、上映1週間後の『ミッション:8ミニッツ』を観に、何時もの「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで出掛けました。新聞などで難解な映画などと評価されているせいか、上映開始直後から朝10時からと、後、夕方からの3回、計1日4回上映だけ。劇場も、小さめの座席数:99のスクリーン10。入りは8人、いずれもインテリぽい人たちでした。(笑)そして、翌土曜日からは、劇場も更に小さくなり、夕方からの上映のみになりました。

物語:
 目を覚ますと、コルター・スティーヴンス大佐はシカゴに向かう列車の中。前の座席にはクリスティーナと名乗る美女が。しかし、彼女は大佐のことをショーンと呼ぶ。トイレの鏡に映る自分の顔は知らない別人。やがて、8分が経ち、列車は爆破され全員死亡。
 気が付くと大佐はカプセルの中。モニターからは、もう一度、車内に戻すからテロリストが仕掛けた爆弾を探し出せ、と告げられる。
再捜査の時間は爆破前の8分間のみ。前の記憶があるので、前回よりはそつなく作業が運び、トイレの天井に爆弾を発見するが、時間切れで爆発。
 再び、カプセルから列車に戻される。3回目は、クリスティーナを爆破前に停車した駅で降ろし、同じく、そこで下車したテロリストらしき人物を追跡するが間違いであることが判明。この時の争いで、大佐は線路に落ち別の列車に跳ねられて死亡。また、カプセルに戻される。
 そして、4回目、5回目も駄目。そのうち、大佐は自分が既にアフガニスタンで戦死しており、僅かに活動している脳がコンピューターに接続され、シミュレートされた仮想現実の中に自分がいることを知る。
そして、再び、列車の中に戻される。6回目。今までの学習の上に立ち、遂にテロリストを発見、追いかけるが、結局、クリスティーナも自分もテロリストの手に掛かり射殺されてしまう。そして、列車はまたしても爆破されてしまう。しかし、テロリストの名前と爆弾を運んでいる彼の車の特定に成功し、犯人が逮捕されたため、この実験は完了、スイッチを切られることになる。
 だが、大佐は未だ幾つもやり残したことがあると最後7度目の実験をオペレーターに極秘裏に懇願、もう一度だけ列車内に戻る。爆弾を始末し、今度はテロリストを逮捕、更に、自分とクリスティーナ、そして車両の全乗客も助け、父親には親不孝を詫びる電話を入れたりしている中に8分間が過ぎ、現実世界では約束通り実験のスイッチが切られる。
 が・・・。

 物語は大変難解で、結末が二転三転するという評論に、身構えて観にいきましたが、自称SFマニアの私には、何となくフォローできたように感じられました。とはゆうものの、各所に伏線と思われるシーンもあり、完全に100%、これらの関連を理解できたとは思えません。これから、折に触れて思い返し、納得してゆくしかなさそうです。(笑)
 最後、実験終了のスイッチを切る瞬間に、ほろりとさせられるシーンがあったり、更に続く、本当の最後がハッピーエンドだったりと、うまく纏められています。
 近年、“マルチバース”的な考え方が普及してきたため(?)、パラドックスのないタイムトラベルが可能になり、SFの筋書きにバラエティーが出てきたように思えます。
 監督は、ダンカン・ジョーンズ。『月に囚われた男』に続く長編の第2弾です。今回は、低予算ではなかったと思いますが、期待どおりの作品でした。

原題:Source Code
2011/アメリカ/ヴァンドーム・ピクチャーズ提供、スタジオカナル共同提供
監督:ダンカン・ジョーンズ
脚本:ベン・リプリー
製作:マーク・ゴードン、フィリップ・ルスレ、ジョーダン・ウィン
作総指揮:ホーク・コッチ、ジェブ・ブロディ、ファブリス・ジャンフェルミ
出演者:ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン、ヴェラ・ファーミガ、ジェフリー・ライト
2011年10月28日公開 上映時間 1時間43分

■『三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』

 10日は、11:55分からの『三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』を観に、「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで出掛けました。
 現在、この映画は3D吹き替え版、3D字幕版、2D字幕版(17:00からの1回のみ)と三つのスクリーンで上映中。結局、目に優しい3D吹き替え版を観ることにしました(3Dの映像と字幕の文字を同時に観るのは眼が疲れます)。
劇場は座席数:348のスクリーン2。入場者は僅か15人。

物語:
 時は17世紀。元銃士の父親から仕込まれた剣の道を身に付け、ダルタニアンは銃士になるべく、フランスの片田舎から一人愛馬に跨がりパリに赴く。
 そこで偶然、三銃士と巡り会ったダルタニアンは、騒動に巻き込まれ、4人で40人の兵士を相手に戦い、遣っ付ける。その腕前を見込まれたダルタニアンは、三銃士の仲間に加えて貰える。
 一方、宮殿ではフランスとイギリスとの間で争わせ、漁夫の利を得ようと画策するリシュリュー枢機卿を中心とした陰謀が渦巻いていた。
 ある日、王妃の首飾りが紛失、それがイギリスのバッキンガム宮殿にあることが判明。王妃の侍女から極秘に奪還を依頼された4人は、船でイギリスに向かう。無事、首飾りを取り戻した4人はバッキンガム公爵の飛行船を奪い、パリを目指して飛び立つ。
 途中、ダ・ヴィンチ設計の飛行船で待ち伏せる、枢機卿の手下たち。
 果たして、4人は無事、パリに帰り着き、枢機卿の陰謀を打ち砕くことができるのであろうか。

 『ミッション:インポッシブル』並のアクションをこなす美女スパイ、飛行船同士の空中戦、そして、剣と恋。娯楽映画の要素が全部満載されており、面白くないはずがありません。難しいところも無く、脳も使わずに観ていれば楽しめる映画です。
 ポール・W・S・アンダーソン監督が、「全ての世代に、ひとつずつ『三銃士』があってもいい」といっているように、これは正に現代の『三銃士』です。
 全編終了後、死んだ筈の美女スパイと、バッキンガム公爵が実は生きており、イギリスの飛行船艦隊がフランス目指して復讐にやってくる、というシーンが映し出されて映画は終わります。続編があるということなのでしょう。
 小説でのダルタニアンの年齢は18歳。この役を演じたローガン・ラーマンも18歳だそうで、今まで映画化された『三銃士』の中では、初めて実年齢の俳優で、かつ、一番若いとのこと。

原題:The Three Musketeers
2011/ドイツ/ コンスタンティン・フィルム、サミット・エンターテインメント、ギャガ配給
監督:ポール・W・S・アンダーソン
脚本:アレックス・リトヴァク、アンドリュー・デイヴィス
原作:アレクサンドル・デュマ
製作:ジェレミー・ボルト、ロバート・クルツァー
製作総指揮:マーティン・モスコウィック
出演:ローガン・ラーマン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、オーランド・ブルーム、マシュー・マクファディン、レイ・スティーヴンソン、ルーク・エヴァンス、クリストフ・ヴァルツ、マッツ・ミケルセン
2011/10/28公開 1時間51分

■『アーサー・クリスマスの大冒険』

 24日は、12:00からの『アーサー・クリスマスの大冒険』(3D・吹替)を観に、いつもの「ワーナー・マイカル・シネマズ 港北ニュータウン」まで出掛けました。
 11月の3本目は、『ランゴ』にしようか、『インモータルズ』にしようかと迷いましたが、予告編を見て、『アーサー・クリスマスの大冒険』が一番SFチックだったので、これを観ることにしました。上映二日目なのに、未だ、クリスマスまで日があるせいか、入場者は僅か10人。

物語:
 まず、物語は大きく三つのセクションに分かれます。
 第一セクションはイギリス北部に住む女の子、グウェンからサンタクロース宛に届いた「クリスマスのプレゼントのお願い」とともに、「なぜ、サンタクロースは一晩のうちに、世界中の子供たちにプレゼントを贈ることができるの」という質問の手紙に答える部分。
 ここは、北極。サンタクロースのウルトラ・ハイ・オペレーション・メカ“S−1”の本拠地。世界中の子供たちからのプレゼント依頼の手紙はコンピューターで処理され、自動的に国ごとに整理されたプレゼントは、巨大な宇宙船もどきのこの“S−1”に積み込まれる。作業員は妖精、60万人。かくて、秒読みで各国を訪れ、忍者もどきに各家庭に忍び込み、プレゼント置いてくる妖精たち。
 次のセクションは、全員がプレゼントの配布を終え、北極基地に戻り一息ついた時、たった一人の女の子、グウェンへのプレゼントを渡し忘れていることが発覚する。が、たった一人ならば仕方がないと全員が無視しようとしているとき、サンタクロース一家の末っ子、お手紙係のアーサーは「それは可哀想だ」と言いだし、惚け始めた136歳の元サンタクロースのおじいサンタと妖精一人の3人で、奥の倉庫に仕舞ってあった1845年製の古いそり“EVE”を引き出し、8匹のトナカイを繋ぎ、グウェンにプレゼントを届けるために北極を出発する。
 そして、第三セクションは、耄碌したおじいさんが運転する“EVE”が、空で方角を間違え地球上をさ迷い始める。その、不可思議な飛行物体をレーダーで発見した世界各地の軍隊は宇宙人のUFOと勘違いし、迎撃することを決定。
 果たして、アーサーとおじいサンタはこの窮地をかいくぐり、クリスマスイヴの夜が明けるまでに、グウェンにプレゼントを届けることができるのか。そして、彼らは再び北極に戻ってくることができるのであろうか。

 お話はお子様向けではあるものの、現代(未来?)のハイテク・システムへの皮肉や、サンタクロースの世代交代に纏わる親子、兄弟の葛藤など、大人向けの話題も満載。
 大人も子供も楽しめる映画に仕上がっています。
 また、画面、左下に時々現在の地点が経度・緯度で表示されたり、隠密行動の経過時間が秒で表示されたり(因みに、一軒あたりのプレゼント配布平均時間は18.14秒)と、凝った作りになっています。
 映画製作スタッフは全世界、20億の子供に、プレゼントを一晩で配るためには、ウルトラ・ハイ・オペレーション・メカ“S−1”をどのくらいのスピードで飛ばせたらよいか(因みに、このS−1は、時速24万km)、また、何人妖精がいれば、一軒あたり何秒掛けてプレゼントを配れるかまで計算して映画を作ったそうです。
 後半、ちょっと間延びする部分もありましたが、最後は“ほろり”としたハッピーエンド。
 一月早く、クリスマス気分に浸れました。
 この映画は、『くもりときどきミートボール』(2009)のソニー・ピクチャーズ アニメーションの3D・CGです。

原題:ARTHUR CHRISTMAS
2011/アメリカ/コロンビア・ピクチャーズ アンド ソニー・ピクチャーズ アニメーション提供
監督・共同脚本:サラ・スミス 
共同脚本・共同制作者:ピーター・ベイナム
制作者:ピーター・ロード、デヴィッド・スプロクストン、カーラ・シェリー、スティーブ・ペグラム
2011年11月24日公開 1時間44分


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