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Nakakukiのヲ・レビュー

時間は出来たものの……

Nakakuki

 毎月、20枚近くのアニメDVDと10枚以上のCDを買いあさり、30冊近くのコミックやライトノベルズを買い込む様な人間が、その中から気に入った物を適当な解説(ほとんど役に立たないかも)付きで紹介したいと思います。

近況:
 久しぶりに購入してあった書籍やコミックを結構読める状況になったんですよ。って言うか、通勤時間が片道2時間になってしまったと言うのが真相なんですが…。
 しかし、まだ新しく購入したのを読むのに精いっぱいって感じで、積読分はあまり減っていないし、シリーズ物の最初の方が積読の下の方に行ってしまい、シリーズの続きを買っても読めなかったりと、ダメダメな日常を過ごしています。

『お留守バンシー』
ISBN4-8402-3300-4
小河正岳(メディアワークス)
イラスト:戸部淑
¥510 '06/02/25
☆☆☆☆1/2☆
 科学が迷信を駆逐し始めた19世紀中頃の東欧。
 とある小国の片田舎にある城に住んでいるブラド卿が、法王庁から派遣されてきた凄腕の魔物退治〈クルセイダー〉に恐れをなして、自分の居城から逃げ出すところからストーリーは始まる。残されたのは、門番である臆病なガーゴイル・セルルマーニ、庭師のリビングデッド・フンデルボッチ、M属性を持つ首なし騎士のフォン・シュバルツェン、男嫌いで身持ちの堅いサキュバスのイルザリアさん、魔女のトファニアおばさま、そして城の管理を任されたきれい好きなバンシー・アリアちゃん。なんとかクルセイダーに何事もなく帰ってもらおうとそれぞれに努力するのだが、なんとそのクルセイダーの目的には別にあった…。
 な〜んって言うのは、脇に置いておいて結局、可愛い可愛い少女バンシーが一生懸命家事労働をするコメディなんですよ。ラストのご主人様への手紙がいい感じです。
 『第12回電撃小説大賞』大賞受賞作。こんな可愛いバンシーなら一人欲しい。


『狼と香辛料』
ISBN4-8402-3302-0
支倉凍砂(メディアワークス)
イラスト:文倉十
¥590 '06/02/25
☆☆☆1/2☆
 舞台は教会の勢力が増しだした中世ヨーロッパ風。
 しがない行商人のロレンスがとある山奥の村の『豊作の女神』である賢狼ホロを偶然とはいえ外の世界へ連れ出してしまうところから、二人の珍道中が始まる。狼の神であるホロは人間の女性に姿を変えているのだが、自慢の耳としっぽはそのままという、楽しくも美しいお姿。ホロ自身を別にして魔法や怪物が出てくる事はなく、ストーリーの中心は広く流通しているとある王国の銀貨の改鋳にまつわり、金儲けをたくらむ大手商会同士の争いに首を突っ込むロレンス君だったりする。
 タイトルの秘密はラストで明かされます。
 『第12回電撃小説大賞』銀賞受賞作。


『ドラグネット・ミラージュ』
ISBN4-8124-2505-0
きぬたさとし、賀東招二(竹書房)
イラスト:篠房六郎
¥571 '06/01/27
☆☆☆☆
 西太平洋上に異世界『レト・セマーニ』との超空間ゲートが出現してから15年。二つの世界は何度と無く争いを繰り返し、交流を模索していた。そのゲートと共に地球側に現れた陸地に作られたサンテレサ市は、レト・セマーニの魔法的物品と地球側の武器などが裏取引されるような、きな臭い空気が渦巻く都市となっていた。
 この都市の治安を預かるサンテレサ市警察に所属する巡査部長ケイ・マトバ。彼がとある事件捜査のために向こう側からやって来たセマーニ貴族の女準騎士ティラナ・バルシュ・(以下略)・エクセディリカ嬢とコンビを組むところから始まる、硬派なストーリー。向こう側の世界は魔法が幅をきかせ、こちら側は物質世界。ライトノベルの主人公にしては年齢設定が結構高いケイと、ぞくに言う言うツン属性のティラナの二人が衝突を繰り返しながら、最終的には悲しい結末ながら目的を果たすという、よい感じにまとまったシリーズの導入部。続編が楽しみな作品である。


『BLACK JOKER ―少女たちの方程式―』
ISBN4-8291-6337-2
あくたゆい(富士見書房)
イラスト:風都ノリ
¥600 '06/01/15
☆☆☆1/2☆
 サンノゼ郊外にある大学に留学している石動真純と、その友人で飛び級して同じ大学に在籍するミシェルは、いつものように構内の秘密の場所で勉強会を開いていた。そこにやってきた講師の西村先生から、最近起きている数学者連続殺人事件に関係すると言われている謎めいた数字が書かれた〈死のカード〉を見せられる。数日後、当の西村先生が殺されてしまった。真純はどうしても犯人を見つけたくてミシェルに協力を頼んで活動を始める。
 ライトノベル系のミステリー作品にしては珍しく、ちょっとだけ本格的な暗号を解いていく過程があり、結構わくわくさせられました。と言うか、逆にライトノベル系と呼べる設定はミシェルの謎めいた過去とその仲間たちの背景だけで、良質のミステリーと言った方がよい作品です。
 『第5回富士見ヤングミステリー大賞』奨励賞受賞作。


『マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号』
ISBN4-04-472001-0
東亮太(角川書店)
イラスト:Nino
¥533 '06/02/01
☆☆☆
 主人公である『転校生』の高浪藍子が、ふつう転校初日の朝にすることと言えば、遅刻しそうになってしまい食パンを口にくわえて走って登校する羽目になるものなのです。それがライトノベルのお約束。そして、結局同級生となる男の子と公園の角で運命的なぶつかり合いをするのだ:-)
 ところが、学校に着くと自分の転校するというデータが消されていて、もう一人「自分も転校生だ。人を殺しに来た」と言い張る記憶喪失の少女と一緒に事件に巻き込まれてしまう。
 登場人物は『巫女さん』『超能力者』『正義の味方』『勇者』『妹』に『幼なじみ』などと全てライトノベルの『記号』となっているので、それらに慣れていない人には少々読みづらいのが難点なので☆は3つですが、ストーリー的には結構いけます。
 『第10回スニーカー大賞』奨励賞受賞作品。


『煉獄のエスクード 3 RHYTHM RED BEAT BLACK』
ISBN4-8291-1801-6
貴子潤一郎(富士見書房)
イラスト:ともぞ
¥620 '06/02/25
☆☆☆☆1/2☆
 つい2回前に当コラムでシリーズ最初の巻を紹介しているのですが、この3巻目はシリーズの謎に迫る重要な巻になっています。
 この巻からの相棒になるべき、女性魔術師・ルーシアちゃんはドジ属性+眼鏡っ娘(ソバカス付き)&ツン属性娘ですか〜。属性が矛盾しているって? その理由は実際に読んでお確かめ下さい:-)
 いや〜このルーシアちゃん、登場シーンの最初のセリフでキャラとしての掴みは充分ですよ。
 とある高校での連続行方不明事件に魔族が関係しているのではないかと言うことで、潜入捜査中の主人公・薫君がルーシアちゃんと一緒に、地下で見つけた魔物の遺骸に吸い込まれてしまい、過去に一度だけ地上に残った3人の魔族公爵が一堂に会した時代と場所に来てしまう。この世界から抜け出す手段を二人で探す内に、この時代の人間の魔術師と魔族公爵が手を組み何かを企んでいることに気が付くのだが、魔族側で同じように遺骸に吸い込まれてしまった兄の真澄とヴァルデリー(お色気担当)の二人と争うはめに。
 やはり、この作者さんはいったん読み始めたらグイグイと読み続けさせる、力があります。


『ファイナルシーカー レスキューウィングス』
ISBN4-8401-1490-0
小川一水(メディアファクトリー)
イラスト:山本七式
¥580 '06/01/31
☆☆☆1/2☆
 航空自衛隊救難飛行隊の救難員・高巣英治は『千里眼』と呼ばれるほど、いち早く遭難者を発見することができる。だが、それは小学生の頃に遭難した時に英治に取り憑いた少女の幽霊・灯(ともり)の力によるものなのだ。
 この幽霊という設定以外は、航空自衛隊・小松基地に所属する小松救難隊の隊員たちの日常と救出活動を描いたドキュメンタリーと言ってもよいたいへん硬派な小説。
 この『レスキューウィングス』シリーズはアニメやコミックにそれぞれ別の設定で展開されているので、こういうハードで男臭いストーリーに興味があったらそちらもご覧下さい:-)

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