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六畳間シアターより愛をこめて

D.I.Yオーディオシリーズ 電源編(上)

ゾンビ

オーディオマニアにとって、再生音のグレードアップは永遠のテーマ。
手っ取り早いのは機器を買い換えることだ:財力の許す限りは。しかし、現使用機器が本当の実力を充分に発揮できているかどうか、あるいは発揮できるような環境を作れているかどうか。そのあたりの検討からはじまる創意工夫。これがやたらと楽しい。私自身が何度か体験しているが、少額の費用で再生音が劇的に向上する。まるで一ランク上の機器に買い換えたかのように。愛聴のCDにまだこんな音まで入っていたのか、という新鮮な驚き。また、たとえそれ程効果が無くても、そのプロセスであれこれ考えて試行すること、これがどんなものでもそうだろうけど、ホビーの醍醐味というものだろう。
というわけで、今回から始まるD.I.Yオーディオシリーズ。第一回目は装置を駆動するおおもとの電源から手をつけたい。電源系改善のポイントは、クリーンで安定した電流を装置に供給してやるということ。

<基礎コース> 予算:ゼロ
1.タコ足の解消
アンプ裏のサービスコンセントから他の機器に供給していたり、聴きもしない機器が常時ONになっていたり。一番パワーの要るアンプがタコ足の末端からとっていたり。アンプを一番タコ足の上流に。CDプレイヤー、DVDプレイヤーなどのデジタル系の電源コードはノイズの干渉を避けるため、アンプのそれとは離す。必要最小限の機器以外が、スイッチOFF。スピーカーケーブル、ラインケーブルと絡みあっても、歪み、ノイズのもとだ。これだけのことで(費用ゼロ)、音が元気良く、一方でまろやか、とげとげしくなくなってくるように感じるのでは?あまり分析的にならずとも、本能的に「快」と感じる、その直感を信じていこう。

2.極性の統一
日本の家庭内コンセントは2穴なので何も考えず、挿せば電気は流れるのであるが、実は極性というものがあって、それを統一すれば音は良くなる、と言われている。アンプが充分暖まったところで、ある程度ボリュームを大きくして、ヴォーカルの入った愛聴盤を試してみよう。声がビシっと真ん中に定位し、気分的にしっくりくる方で、おそらく極性が合っているはずだ。音の出方も無理がなく、スムーズになってくる。

<応用コース> 予算:2千円程度
1.電源ケーブルの自作
今や電源ケーブルはオーディオアクセサリーの一ジャンルとなっていて、一本で数万、機器を一つ買い換える程のものがいくらでもある。しかし、ちょっと見れば構造は簡単。機器とつなぐコネクタープラグ、コード、壁に挿すコンセントプラグの三点だけ。とりあえず自作で音の変化を実感してみよう、という狙いだ。
今回はCDレコーダ用のものにトライ。このレコーダや、DVDプレイヤーにもよく使われているのが、メガネ型プラグ。この形状で自作に使えそうなパーツは、私がアキバをくまなく探したのだけれど、すごくちゃちいのしかなくて(100円程度)ぶっといコードを結線するのには無理がある。といわけで、既存のケーブルのその部分だけは流用することとした。

メガネ型プラグ

コードは、これもオーディオ専門店では最低でもメーター2千円するので、以前スピーカーケーブルとして用いていたキャブタイヤケーブルを2本重ねで使うことに。キャブタイヤケーブルとは故長岡鉄男氏が推薦されていたもので、安価(10mで千円前後からある)でタフ、太さもいろいろ選択可能な汎用コード。単なるグレー色で、オーディオケーブルのような入手した時のトキメキはないけれど、スピーカーケーブルとして使った場合、よくある付属品の細い黒白ケーブルよりはずっとしっかりした音が鳴る。ホームセンターで入手可能。

キャブタイヤケーブル 2本重ねのケーブル

2本のバラケをまとめるため、ワイヤーで結わえてもいいのだけれど、ここは見てくれを重視して、スケルトンのスパイラルチューブに通すことにした。パソコンパーツ店で入手できる(400円程度)。

スパイラルチューブ

コンセントプラグは気合いを入れてホスピタルグレード(松下:1290円)を使うこととする。ホスピタルグレードとは、医療機器用として、安定的にクリーンな電流を供給できるようにパーツや形状がより厳密な規格になっているもので、それが音的に良い結果をもたらすとのオーディオマニアの定説。第一、見てくれがスケルトンでかっこいい。用意するパーツは以上。

ホスピタルグレード

作り方は簡単。分解して結線するだけ。コンセントプラグはアースピン付きの3ピン構造なので、壁コンセントやテーブルタップが3ピンではない方はこの段階でアースピンははずしておこう。でも、捨てないで取っておいてほしい(次号で使います)。

プラグ分解 プラグに結線

スパイラルチューブの通し方は、あてがって巻き付けるようにする。長さにもよるけど、端から中に通していこうとすると、途中でにっちもさっちも行かなくなる。機器とつなぐプラグの方は、適当な長さでカット、芯を出してキャブタイヤケーブルと結線し、元々のケーブルから切り出したゴムチューブをかぶせて絶縁する。黒ビニールテープを念入りに巻けば完成。絶縁用のビニールテープを直巻きするのは、粘着剤のベタベタが電線に悪そうなので避けたいところ。それから、結線時けっこう指先に汗をかくので、電線に触るときは同様にご注意を。

チューブをかぶせる 結線
絶縁

いよいよ試聴だ。判断はアンプが充分暖まってからおこないたい。低音にガッツが加わったように思えてくるのでは。これはスーパーウーファーで単純にブーストし量的に水膨れしたようなものではなく、骨格のがっしりした芯のある低音。ジャズのウッドベースなら、これまでの「ぶんぶん」から「ごんごん」「ガンガン」と、角が出てきて、いかにも指ではじいている、という感触がある。オーケストラではクライマックスのティンパニに迫力が増すし、コントラバスの最低域に凄みが加わった。作品にこめられた情感への表現力が向上してくる、と思う。

最終的に装置とつながる部分は変わっていないので、途中までいくら線を太くしても同じではないか、との意見もあるだろう。しかし、理屈はともかく、総額2千円そこそこ。ハンダ付不要、工具はドライバーとカッター、ビニールテープのみ。CD一枚買うのを我慢して、お試しあれ。

<おすすめDVDコーナー>
・フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ
高い高いと文句をいいつつ(笑)3ヶ月連続して買ってしまった東宝の怪獣DVD。あとは「ラドン」と「ゴジラ対キングギドラ」が今出ている中では欲しいな。「海底軍艦」もリリースしてくださいね、買うから>東宝殿。
この作品、東宝怪獣映画の頂点との名声に、私としても異論はない。メーザー砲がガイラを攻撃するシーンは何回観ても素晴らしい。木の陰に隠れて逃げるガイラ、メーザー光線が横切るたびになぎ倒されていく樹木。光線の合成処理、倒れていく木々、ガイラの悲痛な叫び、それらが絶妙のタイミングでシンクロしている。また、この映画、サンダとガイラに正反対の性格付けと習性を設定し、怪獣の感情表現という面でも高度な域にあり、主役は怪獣、人間達は兄弟喧嘩に翻弄される存在でしかない、という話自体これまでとは一線を画している。「フラバラ」に続き出演の水野久美が、DVDコメンタリーゲスト。テクニカルな話は聞けないにしても、撮影時の人間関係など、なかなか興味深い。

・DEAD ALIVE(ブレインデッド)
ロード・オブ・ザ・リングで今やすっかり巨匠の存在、かの監督ピーター・ジャクソン、10年前はこんな映画も撮っていたんです。「死霊のはらわた」シリーズに通じる、人体損壊をギャグとして極めたら、ゾンビ映画の名作が出来てしまいました。シャレにならない悪のりギャグ満載。だがロード・オブ・ザ・リングでも、モブシーンにやはり彼のテイストは残っているように感じた。画質はこんにちの水準からするとメロメロだし、音質もチープ、DVD的なクオリティに見るべきものはない。その内、「死霊のはらわた」シリーズのように、リマスター、5.1リミックス化されるかも。

・ミミック
ヤフオクで安価に仕入れたのだけど、これが思わぬ拾い物。バイオ・ホラーというジャンルだろうが、要はデカい虫に襲われる話。レターボックス収録で暗いシーンが多い(舞台はNYの地下鉄廃坑)のに、ノイズ極小で画質良好。また、音響が、ホラーはこうでなくちゃ、のお手本のようなサラウンド演出で、よく動きよく響きよく回る。主演のミラ・ソルヴィーノもカワいいし、ひととおり観てヤフオクに出してしまおうかと当初思っていたのだけれど、これは保存版としてコレクション棚行きに決定。

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