<応用コース2>
さて、マイシアターの音環境改善、電源編後半である。
・壁コンセントの交換 予算:1.3千円+実費
前回作ったホスピタルグレードケーブル。
当然それを挿す方の壁コンセントにもホスピタルグレードというものが存在し、それらを対で使うことで本領を発揮させたいところ。プラグを買った店で一緒に購入できる(松下製:1300円程度)。
ところがここでプチ問題発生。壁コンセントの交換は電気工事の有資格者じゃないとだめだ、という法律があるらしい。自分の家のごくごく一部分に手を入れるのに、お上からとやかく言われるのも納得しがたいが、まあ法律だから仕方がない。というわけで、以下のレポートは電気屋さんを呼んでやってもらったものだ(と、日記には書いてある)。もし、私が自分で勝手に交換したように読み取れたら、それは錯覚です。じゃあ、タイトルと矛盾するぢゃないか、とクレームを送ったりしないでね>皆様
作業自体は至極簡単。
まず、コンセントへ行く電気をカットするため、ブレーカーを下ろす。部屋ごとにブレーカーが分かれていて、どの部屋のものかわからないかも。大元のマスターをオフにしてしまうという強気もアリだけど、冷蔵庫やビデオデッキなど電源を切ると再設定等後々面倒なので、一つ一つ下ろして確認するのがよろしいかと。交換したいコンセントに何か機器をつなぎ、オンにしておく。ブレーカーを下ろしてその機器がオフになればビンゴ。二人で呼応しながらやると早い。また、ブレーカーを下ろすと部屋の電灯まで消えてしまうこともあるので、明るい内にするのが吉。
次は既存のコンセントをはずす。外カバーは横からマイナスドライバーをこじ入れてひねるとすぐにはずれる。壁に固定されたコンセントもネジ2つで出てくる。電線が2本ささっている。これを抜くためには写真の穴にマイナスドライバーを入れストッパーを開ける。電線が抜けた。どちらの色が右かメモしておこう。芯は経年変化で汚れているかもしれない。クリーニングするか、新たに芯出ししておく。
ところで、家庭内の配電線ってこんなローコストのものが使われていたのか、と再認識。ここから後ろにどんな高級機器をつないでもなあ、と思い始める人がいて当然。そうなると、ブレーカーコンセント間のケーブルを替えたり(つまり壁内の配線に手をつけるのだ)、ブレーカーを交換したりしたらもっと音が良くなるだろう、ってもうそっちの方向に話が行ってます、ある雑誌なんかは。しかしそれだと本当に人を呼んで工事が必要になってしまいますねえ(あ、今回も人を呼んでやってもらっているんだった:指がすべった)。
購入したコンセント。「上」と明記されているので向きは間違いようがない。「奥までさし込む」とも書いてある。電線を奥までさし込む。これで結線は終わり。ちなみに真ん中のアース線だが、これはプラグのアースピンに接続はしても、配電の方には接続されていないので、そのまま放っておいてよいだろう。あとは前半の逆をたどればよろしい。コンセントに挿す電源ケーブル。ここで前回取って置いたプラグのアースピンが復活する。アースとしての働きは無いけれど、3点でしっかりホールドし、ぐらつきによる不安定が解消。けっこうこういうことの積み重ねが音に影響するのだ。
いよいよ試聴だ。いきなりびっくりしたのは、あるギター協奏曲。耳がまだ、特に気合いを入れてスピーカーに相対する姿勢になっていなかったのに、管楽器奏者が音を発する直前の、息を吸う気配が確かに感じられたのだ。情報量が増えた。キース・ジャレットのケルンコンサート。今までもペダルを踏む音はわかっていたのだが、ピアノ椅子に座り直す時のきしみ音も聞こえてしまった。マイルス・ディビスのカインドオブブルー一曲目:So
What。トランペットによるテーマに入ると同時にパシャーンと叩かれるシンバル右一発。その余韻の滞空時間、こんなに長かった?このように、高域表現の木目がこまかくなり、かといってサ音が強調されている、というわけではない。
DVDはどうだろう。マトリックスのお馴染みシーン、キアヌのリンボーダンス。弾丸が綺麗にマイルームを斜めに飛んでいった。エヴォリューションのクライマックス。ラスボスとの対決、こいつがID4の宇宙船の如く、空一面を覆う程のデカさなのだ(ネタばれすいません)が、頭上を何か巨大なものでおおわれている、そんな包囲感がこれ程出たのは初めてだ。思うに、電源供給が安定したことでリアチャンネルの余裕度が高まり、その結果としてのサラウンド描写の向上なのではないだろうか。
オーディオ雑誌では、手っ取り早い音質向上策として、スピーカーケーブルの交換をよく特集したりしている。確かに、赤白や白黒の細い付属品ケーブルを使い続けるのは論外としても、そこそこのクラスだと1mが2000円、それを10m、20m(サラウンドはチャンネルも多いのだ)となると、もうお小遣いの域を超える。金をかけたわりに変化があまりわからないかも、という不安、躊躇もあるだろう。それに比べれば、前回今回と2回にわたって紹介した電源強化策、その音の激変ぶり、コストパフォーマンス度は相当に高いと思う。お試しあれ。
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