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六畳間シアターより愛をこめて

この夏は「それ」の準備に明け暮れてしまった

ゾンビ

本題に入る前にお知らせ。先日ある方からメールをいただいた。
26号で書いたカラオケボックスをシアタールームへ活用という提案を、実際にビジネスとして手掛けていらっしゃる方が大阪におられたのだ。商売繁盛をお祈りします。在阪の方、是非是非遊びに行っていただきたい。

さて本題。「それ」の準備とは、あるものを使えるようにするためのPCの話。

(対応1)DVD再生をあきらめる

苦労して取り付けたDVD再生用のオーバーライド用PCIカード(22号参照)は、泣く泣く取り外した。なぜなら「それ」は、Firewireなどという今後も私にはしばらく縁のなかったはずのインターフェースでのみ、PCとデータをやりとりするから。
Firewireカードを挿すため、MYボロPCの3つしかないPCIスロットのどれをつぶして空きにするか。サウンドカード、SCSIカード、DVDオーバーライドカード。そうなれば使用頻度の少なさから、落とすカードは自然と決まってしまう。ビデオカードがAGPで良かった。LANカードがISAで良かったよ(笑)。
PCIスロットの数というのは仕様によるので、マザボを買い換えるしか増やしようがない。その上、以前にも書いたが、現マザボは今や全く消えてしまったAT電源なので、マザボ交換=電源交換=ケース交換と、話はどんどん大きくなってしまうのだ。ああ、思えばちょうど次男が生まれた6年前。ATケースの現PCなら即納、ATXなら1週間待ちという状況で、ほんのちょっとの辛抱と6年後を見通す目が私に備わってなかったということか。まあこの6年間で、ケース内のパーツは少なくとも2回転は世代交代しているので、我ながらよく健闘していると思う。つくづくメーカー品買わなくてよかったな、と。

(対応2)OSをWin98から2000に上げた

何故なら「それ」の対応OSは、Me、XPか2000に限られるという。これまた「ついてこれないやつは使わんでよし」という高ビーな設定。まあ、今時98を使っている私も相当遅れているんだけどね。
OSを上げると使えなくなるアプリや周辺機器が続出するのはお約束。しかしその中で、MP3プレイヤーとの連携ソフトだけは、再インストールしようとも二度と使えなくなってしまったのは皮肉としか言いようがない。
そう、「それ」とはAppleが出しているMP3プレイヤー、iPodのことだ。この9月の新製品からWindow対応機種もラインアップに加わったのである。iPodをご存じない方はリンク先を参照いただこう。

「そんな何千曲も持ち歩いても、一日中音楽を聴いているわけではないし」そう思われる方にとっては、iPodは高価すぎる商品だろう。しかし、ウォークマンに始まり、ディスクマン、MD、MP3プレイヤーと続いてきた携帯ミュージックプレイヤー史において、iPodが新境地を拓いたと言えるその価値とは、大容量HDに詰め込めば毎日その日に聴く曲をあらかじめ準備するという手間から解放されるという点。MP3プレイヤーになって携帯性は格段に向上したが、その一方で少ないメモリを気にしながら今週聴く曲をセレクト、PCから転送する手間というのは、日曜の夜にはあまりやりたくない作業だ。
iPodなら、5ギガで千曲=アルバム約80枚分、私が購入した10ギガで160枚分、20ギガで320枚分のCDを毎日棚からごっそり持ち出せるのだ。聴きたくなる曲なんて、その時々で変わるもの。iPodは携帯プレイヤーというよりも、むしろ自分専用のラジオ局を持つようなもの、と言った方がいいのかもしれない。

(対応3)ハードディスクを増設した

iPodにMP3データを転送するためには、あらかじめ母艦PCにそのデータを作成、格納しておかなければいけない。つまり、10ギガiPodのためには、とりあえずPCのハードディスクも10ギガ空きが必要。さらに出来ればバックアップ用にもう一枚欲しい。というのも、10ギガ分のMP3データを準備する作業というのは、かなりの時間と手間がかかる。160bpsでCDからエンコードするとMYボロPCだとアルバム1枚で約20分かかる。10ギガでは、単純計算160枚のCD*20分の時間を、iPodに食べさせるデータ作成に費やすことになるのだ。HDをトバしてしまうと、例えそれまでに転送済みであろうと、母艦にMP3データを戻すことはできない仕様(著作権対応ゆえ)なので、またいちからエンコードしなおさなければいけないのだ。
私の場合、ビックカメラに予約してから(7月末)、発売(9月19日:なんせ当初発売予定日の8末より20日延びたんだからね)までの間、毎日エンコード作業に励んだ結果、10ギガを余裕で超えてしまった。所有のCD全部入るかと思ったけれど、少々甘かったようだ。転送レートを一ランク下げてエンコードしなおすか?

(対応4)アクセサリー買いまくり

iPodの裏面はきれいな鏡面仕上げになっており、キズが付くのは悲しいので、専用フィルムを貼った。
また、付属のケースは本体で操作する場合はいちいちそこから出さなければならないし(操作性最悪)、ベルトクリップで止める以外、ストラップで下げられるわけでもないので(携帯性も悪い)、早晩キャリングポーチが欲しくなってくる。はっきりいってこんなものつけずに値段引いて欲しいのだが。

というわけで私は別ケースで値段も手ごろなこれを購入。ケースに入れたまま本体操作が出来るのは、なかなか快適である。しかし、ベルトループはあるにはあるのだがいちいちベルトに通すタイプ。そこでショルダーストラップの取付具にこんなものをつけてみた。

アウトドア用品店で見つけてきたもので、本来はバックパックのストラップをまとめるためのものらしい。腰に下げるとこんな感じ。

ショルダーバックにくっつけるとこんな感じ。

また、付属のインナーフォンも、個人的にはいいとは思わなかった。音の傾向がぼんやりしていて、癒し系に振れ過ぎている。前述の「使えない」ケースのコストをこちらにまわしてくれたら、と思う。この付属フォンで「iPodは音が悪い」と判断するのは早計だろう。コンポでもスピーカーを買い換えると、音の変化に驚くものだし。私の場合、メインの用途は通勤電車内なので、何より遮音性(内へも外へも)を重視したい。しかし、いかに遮音性が良いからといって、密閉型のスタジオモニターを電車でかぶるほど若くはないし、第一あれは耳が蒸れる。

話は逸れるが、電車内でのヘッドホンの音もれは、他人にとってはとても耳障りで不愉快なもの。
しかし、逆に音楽を聴いている側からすると、別に他人を困らせようとして音量を上げているのではない(一部の人を除き)。電車内で音楽を聴くからこそ気づく現実。騒音のオーケストラ:エンジンや空調の通低音上に、レール継ぎ目で刻まれるリズム音、車輪のきしみが甲高い旋律を奏でれば、車掌のだみ声ボーカルがそれにかぶさる。通常のインナータイプや耳かけタイプでは、それらの進入をくい止めることはできない。ボリュームを上げることでしか。
鉄道車両の設計において、いやそれ以上にレールや駅、乗客サービスまでを含めて、それら全てのシステム設計において、当初から静粛性という観点はサッパリと抜け落ちているとしか思えない。でなければ何ゆえに、秋の交通安全運動がどうしただの、ケイタイは電源を切れだの、およそ誰も聞いていないノイズを多量に垂れ流し続けられるのだろうか。と、この話は別の機会に譲るとして。

というわけで、最強の通勤用フォンに出会うべく、短期間で買い換えた3台。買った順に書くと、

1. ソニー MDR−NC5

環境音と逆の波形を合成して騒音を打ち消すというノイズキャンセリングフォン。その効果は確かに大きいが、一方でカタログ仕様の周波数特性(上が15000Hzまで)に偽りはなかった(涙)。シンバルが殆ど聞こえない。iPodのイコライザーで高音をブーストしてかろうじて、という状態だ。ただ、オープンエアタイプゆえ、装着性は快適なので新幹線・飛行機専用としてキープしておくことにした。しばらく縁がないが、海外旅行にもiPodは重宝するだろうし。

2. アイワ HP−VX100
  
これはまったく良くなかった。高域はソニーと同じくこもっていて、遮音性が若干落ちる。低域ブヨブヨ、中域も芯が無い。一日で買い換えを決意し、下記3を翌日に購入。しかしながらこのVX100、しばらく大音量で鳴らしていると大化けするらしい。出ない高域がちゃんと出るようになるとか。てなことって後からわかるんだよね、いつも(笑)。

3. KOSS THE PLUG

2ちゃんねる上で専用スレも出来るほど特異な製品。
好き嫌いがはっきり分かれるようだ。ただし用途を限れば(つまり騒音下で聴くということ)、最強のインナーフォンであるというのがもっぱらの評判。形状は文字通り耳栓にイヤホンがついたものと言ってよく、スポンジ状のイヤプラグを指でコヨリの形に押しつぶしてから耳穴に入れると、ほどなくして膨らみ内耳と外界を遮断してくれる。ノイズキャンセリングフォンは周りの騒音が静かになるという感じだが、PLUGの場合は外界から隔離されているという印象。耳に詰め物をしている、という感触が生理的に受け付けられない人もいるだろう。その遮音性は前述ソニーと遜色なく、携帯性からいうとこちらの方が上。高域もコモリ気味だが、イコライジングで好バランスだ(かなりひいきめですが)。低音はかなり膨らむが、装着の度合いで量の調整は出来ないこともない。ただ、クラシックには向かないだろう。概して美音とは言いがたいので。まあ電車内でクラシックに浸ろうというのが土台無理な話なのではあるが。

さて、ここまでの収支報告をしておこう。以下は全て税抜き。

(出金)  
  本体
47,800
  保護フィルム
700
  ケース
1,980
  フォン1
6,800
  フォン2
1,980
  フォン3
1,980
  40ギガHD
6,300
  Firewireカード
3,000
   
(入金)  
  以前所持していたMP3プレイヤー
ヤフオクで売却
7,000
     
  ビックカメラポイント2%
956
   
(差引)  
62,584

 

と、まあこの金額を高いと見るか安いと見るか。私は1〜2年(充電バッテリーの寿命がそのくらいらしい)の間、快適な通勤時間を過ごすことができるなら、またその準備のための時間と手間が大幅に省略できるなら、支出してもよい額だと考えた。そもそも、これほど「XXのために」とハマることができるということは、それだけの訴求力があるのだし、モノが売れない売れないとよく言われるけれど、それはもっともっと「ときめく」商品が開発されるべきだということに他ならないか。


<おすすめDVD>

秋の夜長、非スプラッターのしっとりしたホラーはいかがでしょうか。

Devil’s Backbone

スペイン内戦下の孤児院。夜な夜な現れる少年の幽霊は何を訴えているのか?
戦時中という社会の緊張感が、孤児院という閉じられた世界でも十分に感じられ、それゆえその中で起こる事件もいっそう怖いものとなる。ショックシーンに頼らず登場人物をきちっと描いてウェルメイドな幽霊話となりました。監督はブレイド2も撮っています。

In Dreams

ニューイングランドの秋の風景が何より美しい。そういう意味でレンタルビデオ(日本版あり)よりDVDでご覧あれ。愛娘をサイコ者に奪われ、徐々に自分もサイコへと進むアネット・ベニングの鬼気迫る演技が見もの。監督は「狼の血族」のニール・ジョーダン

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