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インタビュアー:[雀部]

京都大学SF研究会
> 沿革
 

 1979年大森望氏らにより再結成。その後は途切れること無く継続中

> 活動
   読書会、上映会の実施と同人誌の刊行を行っています。毎年秋には京都SFフェスティバル(http://kyofes.kusfa.jp/)を開催しています。
> 現状
  さまざまな学部の部員が居るが、文学部と理学部の割合が高い。年度によってもかなりばらつきがある。少数だが、他大学の学生も在籍。
> 部員紹介
  大先輩には大森望氏・小浜徹也氏。最近では船戸一人氏、坂永雄一氏、伴名練氏、皆月蒼葉氏等々。
> 会誌
  レビュー中心の『WORKBOOK』(現在108号)、創作誌『Asterisme』、翻訳誌『中間子』。夏冬のコミケに加えて京フェスでも頒布。
京都SFフェスティバル 会誌

京大SF研のお薦め作品
『筺底のエルピス5 -迷い子たちの一歩-』
> オキシタケヒコ著/toi8カバーイラスト
> ガガガ文庫
> 799円(電子版)
> 2017.8.25発行(電子版)
殺戮因果連鎖憑依体―。遥か古より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきた人類絶滅のプログラム。そんな仇敵に立ち向かうべき狩人たちは、長い歴史の末路に不毛な衝突を繰り返していた。最悪の厄災を生み出す種子となる、白鬼を巡る抗争こそ辛くも終結するも、新たなる鬼の脅威と、時を渡る旅によりこの世にふたり存在することになった乾叶を渦の中心として、傷つき、道を見失っていた狩人たちの運命は大きく動き出す。人類の存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩。その新たな章の開幕となる、再起と転換の第5弾。 
表紙画像

   
 
『魔女の子供はやってこない』
> 矢部嵩著/小島アジコカバーイラスト
> 角川ホラー文庫
> 640円(電子版)
> 2014.1.8発行(電子版)
小学生の夏子はある日「六〇六号室まで届けてください。お礼します。魔女」と書かれたへんてこなステッキを拾う。半信半疑で友達5人と部屋を訪ねるが、調子外れな魔女の暴走と勘違いで、あっさり2人が銃殺&毒殺されてしまい、夏子達はパニック状態に。反省したらしい魔女は、お詫びに「魔法で生き返してあげる」と提案するが―。日常が歪み、世界が反転する。夏子と魔女が繰り広げる、吐くほどキュートな暗黒系童話。 

雀部>  SFファンクラブ探訪3回目は、伝統ある京大SF研です。
 京大SF研の皆さん、よろしくお願いします。
 京大SF研は、橋元淳一郎先生(1947年生)のころにはまだ無くて、大森望先生(1961年生)の頃に再結成されたとうかがっているんですが、現在のSF研はいつ頃から続いているのでしょうか?
京大SF研>  きちんと記録が残っているわけではありませんが、活動自体は大森さんの頃から途切れずに続いているようです。
雀部>  大学は毎年メンバーが入れ替わるので、長期間ファンクラブ活動が継続しているだけで凄いです。
 現在は、どういった活動をされているのでしようか。
京大SF研>  読書会、上映会の実施と同人誌の刊行を行っています。毎年秋には京都SFフェスティバル(http://kyofes.kusfa.jp/)を開催しています。今年も10月7日から翌日の朝にかけて「本会」と「合宿」の二部構成で行われます。どうぞ奮ってお越しください。
雀部>  京フェスの企画を拝見すると、「“ProjectItoh”を振り返る」というものあるんですね。故伊藤先生にはインタビューさせていただいたので、予定が入ってなかったら参加したいところなんですが、残念です。
京大SF研>  来年以降も魅力ある企画をご用意させていただけるように努力いたしますので、ぜひご都合の良いときにお越しください。
 先日刊行された小川哲先生の『ゲームの王国』の帯に、「“伊藤計劃以後“という時代は本作の刊行によって幕を閉じる」との文言があり、一部で話題になりましたが、この企画では例の帯を書かれたお二人(塩澤編集長と大森望さん)と河出書房新社の伊藤靖さんにご登壇頂く予定です。企画いたしました当方としても、どんな話が飛び出すのか今から楽しみです。
雀部>  大森先生がいらっしゃった頃は、海外SF派が多くって、創作系の人はマイナーだったと聞いてますが、現在はどうなんでしょう?
京大SF研>  少し前の世代までは創作が盛んだったようですが、そうした傾向は退潮気味かもしれません。何か書いている人は一定数いて、年一回程度は競作が企画されているものの、会としての盛り上がりはいまいち、といったところでしょうか。

 発表の場としての会誌のラインナップから見てみると、レビュー中心の『WORKBOOK』、創作誌『Asterisme』、翻訳誌の『中間子』があります。夏冬のコミケに加えて京フェスでも頒布を行っていて、『WORKBOOK』は定期的に年2回、『Asterisme』『中間子』は原稿が集まり次第不定期に刊行されています。
雀部>  各種取りそろえて三冊も出されているんですね。
フェスに加えて、それだけの活動をされているのは大変そうですね。
 それぞれ第何号まで刊行されているのでしょうか。
京大SF研>  『WORKBOOK』は現在108号まで出ています。『Asterime』『中間子』はナンバリングされていないので、号数を確認するのが難しいですね。
雀部>  年2回発行で108号というと、50年以上になりますね。
 最近部内で話題となった本はどういったモノがあるでしょうか。
京大SF研>  話題になった作家の名前を思いつくままに挙げてみると、矢部嵩、ミシェル・ウエルベック、シャーリィ・ジャクスン、木下古栗、佐藤哲也、西崎憲、オキシタケヒコ、宮内悠介……とバラバラです。しかし何かしらの傾向はあるような。
雀部>  う~ん、傾向がわからないぞ(笑)
京大SF研>  スリップストリームっぽいのが好きな人と、SFの新刊をフォローしている人が、重なり合いつつ共存している感じでしょうか。確かにはっきりした傾向はわからないですね(笑)
雀部>  京大SF研的に特にお薦めの作品はありますか。
京大SF研>  読書会で取り上げられた作品も考えたのですが、今回は①オキシタケヒコさんの「筺底のエルピス」シリーズ(小学館ガガガ文庫)と、②矢部嵩さんの『魔女の子供はやってこない』(角川ホラー文庫)を挙げさせていただきます。
 アニマソラリスの読者の皆さんにとっては、①は説明不要かもしれませんが、まだまだ読まれるべき読者に届いていないという感触がありました。アクションもののライトノベルであり、時間SFでありながら、そうしたジャンルを乗り越えていく気概とスケールを持った作品だと思います。
雀部>  《筺底のエルピス》シリーズは、面白いですよね。「アニマ・ソラリス」の著者インタビューでも取り上げさせてもらいました。
京大SF研>  ②を書いた矢部嵩さんは異色の作家で、SFとしてはJコレクションから『少女庭国』が出ており、東京創元社の『折り紙衛星の伝説』にも「教室」が所収されています。本作は矢部嵩作品の中でも特に人気の高い一作で、「魔女っ子もの」を下敷きとしつつ、時にグロテスク、時に非合理な描写の底から、人間に普遍の性質が浮かび上がってくるような、非常にエモーショナルな作品です。
雀部>  矢部さんの『少女庭国』は読んでいたのですが、『魔女の子供はやってこない』は知りませんでした。まあユニークな凄い作品ですね。ホラー系が苦手では無いSFファンには大推薦できますね。
 かまわなければ、部員構成をお聞かせ下さい。
京大SF研>  さまざまな学部の部員がいますが、文学部と理学部の割合が高いようです。年度によってもかなりばらつきがあるように思います。また少数ですが、他大学の学生も在籍しています。
雀部>  他大学の部員も受け入れてらっしゃるんですね。
 OBの方で、SF系で活躍されている先輩諸氏にはどなたがいらっしゃるのでしょう。
京大SF研>  大先輩には大森望さんや小浜徹也さん。最近では船戸一人さん、坂永雄一さん、伴名練さん、皆月蒼葉さんなど、商業デビューされたOBの方々がいらっしゃいます。
雀部>  東大はなんかアカデミックな感じで、京大はそれよりは自由闊達なイメージを私は持っているんです。土壌として、東大より京大の方がSFファンが育ちやすいのかな(笑)
 京大生で、まだ京大SF研に参加されてないSFファン及びSF系の作品が好きな方、はたまた京大(に限らず)に入学できたら京大SF研に入りたいと考えている受験生の皆さんに向けて一言頂けますか。
京大SF研>  京大SF研は週2回ペースでゆるく活動しているサークルです。
 興味を持たれた方は、Twitterやブログをのぞいて気軽に連絡してください。大学、所属、回生に関わらず皆さん大歓迎です。
 読書会や上映会などへの飛び入り参加もお待ちしております。
雀部>  ありがとうございました。
 京大SF研のますますのご活躍を期待しております。


[京大SF研]
京都大学SF・幻想文学研究会
[雀部]
大学生の時にSF研に入れなかった落ちこぼれ(汗;)

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