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Interview


連載開始号連載終了号

『魔法物語』

ヴィンセント・オーマー著

インタビューア:[福田]&[おおむら]

     
 バーソロミュー・ジョハンスンは予言した。やがて愚かな人類は滅びると。
 ドクター・カッパーが神と呼ばれる存在と接触した日、かつてジョハンスンが予言したように地球上で最終戦争が勃発した。やがて、時は移り時代は流れ、完全に死に絶えたと思われた地上で魔法という新たな力が生まれていた。
 やがて、ドクター・カッパーらは魔法の大きな潮流に巻き込まれていくこととなる。
[おおむら]  先月「魔法物語」の連載を終えたヴィンセント・オーマー先生にインタビューです。どうぞよろしくお願いします。
[オーマー]  こちらこそよろしくお願いいたします。
[福田]  はじめまして。  私もアニマ・ソラリス上で連載をさせていただいているのですが書く側の立場から「魔法物語」を読んでみて、知りたいと思った事があるんです。
 オーマー先生がこの話を紹介しようと思い立たれた時に最初のシーンをどうやって決められたでしょう。いくつかの時代、場所、人物の中で、読者に最初に見せる風景を選ばれたポイントなど秘密で無ければ教えてください。
[オーマー]  実は今回のはなりゆき的なところがあります。元々、歴史の断片としての物語ですから、どこから始めることもできたのですが、この話はバックボーンにいくつかのキーワードがあったので、それが出てくる場面としてあの部分を最初のシーンとして選びました。
[福田]  『魔法物語』という題名にしたのはなぜですか。
 魔法と科学の力の限界がよくわからなかったのですが、科学のほうが大きな力を持っていたようにも思えたのですが。
[オーマー]  私はこの一連の歴史物語を編纂するにあたって、科学、魔法、超能力の三本を区別し用いています。『魔法物語』で魔法より科学の方が効果的だとされていたのは、この時代が魔法の歴史の黎明期であったことからきています。魔法があたりまえとなってしまう以前の時代をこの話では書きたかったのです。
 将来、もし可能でしたら、科学を中心にした「革命1」と超能力を中心にした「革命3」も発表できればと思いますが、「革命1」はよほど勉強しないと書けそうもないですね。
[おおむら]  オーマーさんのプロフィールで生年が未来になっていることが気になる人もいると思うのですが。
[オーマー]  必ずしも未来というわけではないようです。確かに私が調べた歴史とあなたがたの生きている現在とが重なる部分が多いことはわかっています。実際、似たような名前の人物が出てきますしね。
 作中に出てきた白田英雄と私をアニマソラリスに紹介してくれ、翻訳を担当してもらった白田英雄氏は同一人物なわけないですよね。ただ、伝説から、ヒデオ・シロダがまたヒーローとも呼ばれていたことから、氏と話し合って、同じ名前を訳として採用してもらうことにしたのです。
[福田]  名前や地名に比較的馴染み深い音が多いですよね。
 この世界の登場人物達は、民族の歴史的背景を持ち続けたまま、私たちから見た未来世界を生きていると思うのですが先生ご自身は、故郷が無くなっても、地球人はあまり変わらないと思われますか。
[オーマー]  短期間ならイエスといえるでしょうが、長期的に言えばノーでしょう。
 大帝国の植民地は本国から切り離されても、しばらくは母国の文化を保ち続けるでしょうが、やがて衰退するか独自の文化を築いていくことになると思います。
 ただし、一世紀や二世紀程度昔の人でしたら、おそらくまだ共通の文化や言語を持ち得るといえるのではないでしょうか。
 名前については、その時代のはやりすたりはあると思いますが、どこか共通したものが残るのではないかと思います。例えば、欧州人は1000年以上にわたって、聖書から取ってきた名前を好んで使っています。
[おおむら]  翻訳ということなのですが、私もこのインタビュー自体、白田氏の翻訳を通してのことなので、オーマーさんが何語を使ってらっしゃるのかわからないのですが。
[オーマー]  もちろん、私の世界とあなたがたの世界では使用する言語が異ります。
 ただ、偶然にも私の世界における共通語的な存在としてラテン語が使用されていたことが幸いしました。今回の翻訳においては、ラテン語を媒介として、お互いの世界観についての情報を交換しながら話を作っていくという感じになっています。そういう意味では厳密には翻訳とも違うかもしれません。
[おおむら]  はい。私も白田氏からのお願いで、表現のニュアンスなどの部分について今回協力させていただいています。
[オーマー]  話を作っていく上で気になったことは、これは私にとっては歴史小説であるのに対して、あなたがたの世界においては比較的近未来についての SF にあたるということです。私も白田氏からの情報を元に、あなたがたの歴史観から大きくはずれないようにしながら、話をまとめていく作業は楽しくもありました。
[おおむら]  歴史小説ということなのですが、今後もまた「歴史」としての小説をお書きになっていく予定なのでしょうか?
[オーマー]  いえ。現在用意している話は、あなたがたにとっても私にとっても未来の話ということになるはずです。ある種の歴史と言えなくもないですが、「魔法物語」とはまた違った感じの話になってくれるのではないかと思っています。
[おおむら]  それでは最後に読者のみなさんにメッセージを。
[オーマー]  次回作もよろしくお願いします。私自身も楽しめる作品にしていきたいと思っています。
[おおむら]  それでは、どうもありがとうございました。

翻訳:白田英雄

[ヴィンセント・オーマー]
本名、ヴィナ・オメロス・ケント・ヤ・イプシロニア。
西暦4380年(イプシロン歴2180年)にイプシロニアに生まれる。
歴史小説家兼SF作家。
このたび、翻訳者である白田英雄氏を通じ、この世界へ作品を紹介することとなる。
[福田]
アニマ・ソラリスで「シャンダイア物語」を連載中。
SF・ファンタジイメーリングリスト管理人。
http://www.sf-fantasy.com/ml/sff/index.html
ファーマーとシルヴァーバーグとエディングスの作品を愛読。
モーニング娘。全員の名前が言える。
[おおむら]
同人作家。ホームページは http://www.t3.rim.or.jp/‾yutopia/

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