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Author Interview

無医村の通信外科

「あ先生ですか。電話が通じて良かった。忘年会の帰りに友人が車にはねられて重態なんです。私は、彼の親友で畳屋の権助って言います」
「う〜ん弱ったなあ。いつもは通信外科のホストになってくれている看護婦の光くんが、今日は休んでいるからなあ。しかたがない君、その電話機の側に置いてある外科手術用と書いてある電脳キャップを被ってくれないか」
「これを被るのですか。どれどれ。ぎゃ、め目が回る」
「我慢してね、すぐ慣れるからね。よし、見えてきたぞ。これは折れた肋骨が肺を圧迫して呼吸困難に陥っているんだ。すぐに開胸手術の準備をしなくては。しばらくの間力を抜いて、私に手足のコントロールを任せてくれたまえ。よし、折れた肋骨は取り除いたぞ。後は縫合処置だけだ」
「し、しまった。ホストが畳屋だもんで、針を持つと手が無意識的に動いて背中まで針を通し心臓まで縫ってしまったぞ……」

【寸評】
最初に「畳屋の〜」と自己紹介するのは不自然ですね。医者に「君は医学には詳しいかね」と問われて「そんな……。私はただの畳屋ですよ」と答えさせるのが自然でしょう。また、「忘年会の帰り」云々は不要と思います。こう書くなら、「アルコールの影響で手術失敗」という流れにするべきです。オチのセリフは説明調で、すっきりしていません。だいたい、これは医者のセリフなのか、畳屋のセリフなのか……。

雀部 >  医者のセリフのつもりでした(爆死) そうか、この短さの中で不自然さがあるというのは、頂けませんねぇ。ううむ(汗)

魂の花

 それは1994年のある日からだったと記憶されている、世界各地で魂のない赤ん坊が生まれてくるようになったのは。そうその日、生きている人間の総数がこれまでに亡くなった人間の総数を上回ったのだ。
 同じ頃、ペルーの奥地で太古の遺跡と、美しい大振りな花を咲かせる新種の植物の大群落が発見された。かつて原住民の間では、<魂の花>と呼ばれていたらしいその花は、見る人を不思議な気持ちにさせた。
 たまたま<魂の花>を送られたローマの枢機卿が、その花を持って生まれたばかりの赤ん坊に祝福を与えに赴いたとき奇跡は起こった。魂を持っていない人間のかたわらにその花が置かれると、砂漠が水を吸い込むように、花の魂が人間に流れ込むのだ。
 私は役目の終わった一輪の花を育てている。なぜなら、この花を世話するのは、魂を持たずして生まれてきた息子の親として当然の義務だからだ。

【寸評】
魂の数には限りがある、というアイデアは面白いと思います。そして、足りない魂を補填するために咲く魂の花。いいですねえ。しかし、この設定を生かすには、もっと書き込む必要があるでしょう。魂を失った花はどうなるのか、これも気になります。

雀部 >  魂の数に限りがあるというのは、某短篇からのパクリです(汗)まあ、ファーマー氏が、魂を機械的に製造するというぶったまげたネタを書いているから、足りなくなっても大丈夫かも。それに、魂を失った花の行く末も書かなきゃラストが弱いんだなあ、納得。
 とても参考になります。ありがとうございました。

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