雀部 |
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今月の著者インタビューは、2008年7月にハヤカワSFシリーズ Jコレクションから『マザーズ・タワー』を出された吉田親司先生です。 吉田先生初めまして、よろしくお願いします。 |
吉田 |
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こちらこそよろしくお願い申し上げます。このインタビューはよく拝読させていただいておりますので、何だか緊張してます。 |
雀部 |
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拝読だなんて(汗;) ありがとうございます。 プロフィールに、岡山在住とあったので、おぉ〜と思いました(笑) 福岡生まれの吉田先生が、なぜ岡山に来られることになったのでしょうか。 岡山県人として、ちと気になりましたので。 |
吉田 |
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親の仕事の都合というあまり面白くない返事で申し訳なく思います。なお福岡には2歳までしかいませんでしたが、親戚がいるもので何度か足を運んだことはあります。 |
雀部 |
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親御さんが、転勤のあるお仕事だったというわけですね。 ちょっと前までは、Jコレに初登場の作家の方は、たいてい刊行直前にSFマガジンにインタビューが載ってたんですが、最近はないこともありますねえ。まあ、吉田先生が、数多くの著作をモノにされている方なので、編集部が紹介の必要を認めなかったのかも知れませんが(笑) ということで、そもそもJコレに『マザーズ・タワー』を書き下ろされるようになった経緯をお聞かせ下さい。 |
吉田 |
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早川書房の編集さんからメールで執筆の打診を受けたのが最初です。2007年の9月頃だったかと思います。その担当さんが以前、某社でちょっとお世話になった人で、名前だけは承知していました。もちろん快諾し、いくつか企画書を用意して見ていただいた結果、最終的に以下の二つに絞りました。
1:ある女性の命を救うために軌道エレベータを建造する話。 2:第二次大戦で日本が辛勝し、日ソ宇宙開発競争が勃発する話。
2回ほど早川書房さんの本社まで出向き、編集さんと膝を突き合わせて会議した結果、軌道エレベータの話でいこうと決まり、そこからキャラクターやストーリーを作り出していきました。なお、最初のタイトル案は『聖母の軌道塔』でした。 |
雀部 |
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なるほど。SFマガジン'08/9月号の巻頭「MY FAVORITE SF」で故クラーク御大の『楽園の泉』をあげていらっしゃいますが、同じ宇宙エレベータを題材としていても『マザーズ・タワー』は、全く趣の違う作品となっています。これは意識して書かれてらっしゃいますか。 |
吉田 |
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意識していないといえば嘘になります。クラーク氏の小説でいちばん好きなのが『楽園の泉』なのです。オマージュのつもりですが、似たような話になっても意味がありませんから、どうやって違いを出そうかと考えました。少数精鋭のチームが勝手に軌道エレベータを建造するスタイルになっているのは、最終的に協力者に恵まれたヴァニーヴァー・モーガンのアンチテーゼだったりします。まあ、僕の本らしく「びっくり人間大集合」になっている感が強すぎるのは反省材料ですが。 |
雀部 |
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個性が強い登場人物、これは王道でしょう(笑) 《帝国の聖戦》と『マザーズ・タワー』は、背景となっている世界は共通しているのでしょうか。というか、『マザーズ・タワー』のジェルジンスキーは、《帝国の聖戦》のジェルジンスキーの孫なんですか?(笑) |
吉田 |
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お孫さんです。台詞は「ウラー」以外にありませんが、いちおう喋れます。表紙にあのシーンを描いて下さった「すずきめい」さんには大感謝です。 |
雀部 |
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ジェルジンスキーが「ウラー」してますね(笑) 『突撃彗少女マリア』のラストの方で、突如秘密兵器として“アイス・ナイン”が出てきて大受けしたのですが、カート・ヴォネガット氏の小説はお好きなのでしょうか。 |
吉田 |
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ヴォネガットは大好きです。シニカルな視線と詩的な文体は真似しようとしてもできませんね。宝島社さんから出ている「第二次世界大戦秘録世界・秘密兵器大全」でナチスがUFOを飛ばしていたという短編を書いたのですが、そちらでもヴォネガットさんのネタを入れておりますので、ご笑覧下されば幸いです。 |
雀部 |
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『第二次世界大戦秘録世界・秘密兵器大全』拝見しました。 空想する秘密兵器として「円盤機」と「パンジャンドラム」について書かれてますが、どちらがヴォネガット氏ネタなんでしょうか。 |
吉田 |
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円盤機の方ですね。「プーティウィ」と「そういうものだ」で判って頂ければ幸いです。 |
雀部 |
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なるほど、そういうものだ(笑) しかし、上陸用回転殺戮兵器「パンジャンドラム」の計画責任者が、あのネビル・シュート氏であったとは驚きました(笑) |
吉田 |
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エキセントリックな人物だったのは確かであるようです。『渚にて』は映画も傑作でしたね。 |
雀部 |
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です。小松左京先生の『復活の日』にもインスパイアされたシーンが出てきますし。 起動エレベータのケーブルがトイレットペーパーみたいにペラペラだったり、二種類のケーブルを利用したりするところなんかワクワクしました。それにしても、アンカーを留めるのが東京ということは、最初からそれを東京にして、他の細部の設定を煮詰めたのでしょうか? |
吉田 |
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ORS(軌道リングシステム)を使うことを最初から決めていたので、だったら赤道上ではなく、どの街に据えても良いことになるので、派手なところということで東京にしました。そういえば『サイレント・メビウス』でも東京に軌道エレベータがありましたね。 |
雀部 |
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アニメしか見てないのですが、気が付いてませんでした(汗) 『サイレント・メビウス』って『ブレードランナー』風な世界を舞台にしてましたよねえ。 ORSシステムそのものは、石原・金子先生の『軌道エレベータ』でも言及されてる80年代頃からあるアイデアですが、あまりSFには登場してないような。 なぜORSを使われようと思ったのでしょうか。 |
吉田 |
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他とかぶらないネタを、ということで。完成したORSを輪投げみたいにして地球にかぶせるというネタは、とにかく建造方法をダイナミックにするための演出です。『星ぼしに架ける橋』には敵いませんが。 |
雀部 |
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そういえば、日本宇宙エレベーター協会というのが、今年出来て、一般公開の第一回会議が科学未来館であるそうですね。 日本宇宙エレベーター協会 11/15(土)、16(日) 10時〜17時 日本科学未来館 |
吉田 |
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遅くても半世紀後には完成してもらわないと困るので、日本が音頭を取って実現の方向へ向かうといいですね。 |
雀部 |
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著者略歴で、“ソフトウェア開発会社をクビになって、本格的作家活動に入る”とありますが、いつ頃から作家になろうと思われていたのでしょうか。 |
吉田 |
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19歳でしょうか。第一志望の大学に落ちたときです(笑)。コネも何もない状態からのスタートでしたので、最初の本を出すまでの13年かかりました。新人賞はありとあらゆるものに出しまくり落ちまくり状態でしたが、ベストセラーズさんの「ワニノベルズ原稿募集」という広告を見て、応募したのがきっかけです。同じような経緯でデビューされた先輩格として近衛龍春さんがいらっしゃいます。 |
雀部 |
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映画もお好きだそうですが、ハリウッド映画ではどういった作品でしょうか。 |
吉田 |
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70年代の作家性が残っている作品でしょうか。「スティング」「ゴッドファーザー」初期のスピルバーグ作品はどれも10回以上は観ています。あと、どうしようもないコメディも好きです。「弾丸特急ジェット・バス」とか。 |
雀部 |
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「スティング」「ゴッドファーザー」あたりは、押しも押されぬ名作ですね。 先月の瀬名先生は1968年生まれで、藤子不二雄先生の話で盛り上がっていたのですが、吉田先生は、マンガとかアニメで影響を受けられた方はいらっしゃいますか。 |
吉田 |
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マンガは広く浅く読んできたので、あまり影響を受けた作家さんはおられないのですが、アニメはよく観てました。TVシリーズでは「宇宙戦艦ヤマト」の影響下……いや、支配下にあります。「ガンダム」はZくらいまでしか判らないです。最近のアニメはあまり観ておりません。いやその、絵は奇麗になったけど、文芸がちょっとなあ、というのが多くて。もう少し製作数を絞った方がいい気もしますね。 |
雀部 |
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私は最近のアニメには全く詳しくないので(汗) さてインタビュアーとして、吉田先生のファンで、架空戦記全般がお好きな熊猫さんにも加わって頂きました。熊猫さんよろしくお願いします。 |
熊猫 |
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よろしくお願い致します。 |
雀部 |
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最近の作品から前述の『突撃彗少女マリア』に加えて《女皇の帝国》1〜3を楽しく読ませて頂いたのですが、キャラ立ちが、良い意味で共通しているような気がしました。そこに吉田先生の『マザーズ・タワー』にかける意気込みを感じました。 |
吉田 |
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読者の方が「こいつ誰だっけ?」と前のページをめくらなくてもいいように、覚えやすく特徴的なキャラクターを創造するように気をつけています。あとはページ数との相談ですね。あまりたくさんの人物が出てきても書き分けができるか不安なので(笑)、なるべく一人一人にスポットライトをあてて、個性を出してやれるように頑張っております。意気込みといいますか、今回は原稿用紙換算で680枚前後でしたが、たいへんやりがいのあるお仕事でありました。 |
雀部 |
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核となる魅力的な人物の回りに、一癖も二癖もある登場人物が集まってくるというのは、王道ですよね。中心が葵飛巫女という大変魅力的な女性ということで「里見八犬伝」を連想したりして。 キャラ設定をする時に、特に気を付けていらっしゃることは何でしょうか。 |
吉田 |
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前作ったキャラクターと被らないように、でしょうか。あとは読者さんのニーズに応えつつ、いい意味で裏切る、つまり想定外の魅力を掘り起こせたら、と考えています。難しいのは仮想戦記における軍人の扱いでして。歴史上の人物像から大きく逸脱するわけにはいかず、かといって毎度毎度同じ個性でも駄目ですし。そんなわけでハルゼーさんと南雲さんにはいつも酷い目に遭っていただいております。 |
雀部 |
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そこが仮想戦記の難しさであり、腕のふるいどころでもあるというわけですね。 熊猫さんも岡山の大学で学ばれたそうですが、なぜ岡山に来られることになったのですか。 |
熊猫 |
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七年ほど前の事ですが、現在の吉田先生の持ち味の一つとなっている「萌え」と「架空戦記」の融合という試みの中心的なメンバーが岡山に揃っておりました。 当時大型新人と呼ばれた吉田親司先生も岡山在住ですし、これは岡山に行ったら面白い先達方に会えるだろうと思って大学の進学先を選びました。 実際に吉田先生にお目にかかるのはいつも東京の架空戦記コンベンションだったのですが。 |
雀部 |
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IFCON――架空・仮想戦記コンベンションというのがあるんですね。もうしわけないけど、初めて知りました(汗;) 「萌え」と「架空戦記」の融合というと、《女皇の帝国》もそれに当たると思うのですが、岡山に他の作家の方もいらっしゃったのですか。よろしければ、ご紹介下さい。 |
熊猫 |
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基本的には、インターネット上や同人といったベースで運営されましたので、作家さんが多くいらっしゃったというわけではないのですが、一昨年創刊されたハイパー美少女系ミリタリーマガジンをうたう雑誌、「MC☆あくしず」などはその系譜の集大成かもしれません。そこでライターをされている架空戦記作家の内田弘樹さんが代表格と言えると思います。愛知県在住ですが、吉田先生との親交も長いかと思います。 |
雀部 |
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え、そんな雑誌まであるとは。 内田弘樹さんは、IFCONの零戦賞を二年続けて取られているようですね。吉田親司先生の『女皇の帝国 内親王那子様の聖戦 1941皇国占領!』も一票差の二位だとか。 七年前までは、萌えと架空戦記が両立する作品はあまり無かったのですか? |
熊猫 |
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そうですね、基本的に軍という男むさい組織が物語のメインですから(笑 |
雀部 |
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では、熊猫さんから見た吉田作品の魅力はどういったところにあるのでしょうか。 |
熊猫 |
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吉田作品の魅力を三つ挙げると、大胆かつ重厚な世界の構成力、破天荒な個性がもたらす躍動感、旺盛なファンサービスであると思います。 デビュー作「新世界大戦」シリーズで核によって日本が一旦滅びるまでを描ききるように、大胆な世界の改変を作る、あるいは作られた状況での物語は数多いですが、そこにどんな人が生き、どんな戦争がおきて、どのような社会を形作っているかをしっかりと感じられます。 そんな中に、鉄火面の海軍提督やら巫女やら皇女といったイロモノと言ってよいようなキャラクターが、常識離れしたまでの行動力で所狭しと暴れまわってしまう、これが吉田親司作品ならではの妙でしょう。 そして、本筋のなかにチラリと歴史や映画を元にしたオマージュを取り込んで、解る人の心をくすぶるような話を仕込んでくるのです。 このように読者の事を徹底的に意識して、その上で読者の期待を上回る度胸を見せてくれる点が大きな魅力です。 |
吉田 |
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そこまで読み込んでいて下さって嬉しく思います。「小説の執筆=世界観の構築」と考えている僕にとって、有り難い御意見でございます。ただ、なかなか考えた世界観を完璧に表現するには足かせも多く、四苦八苦しているのが現状です。『マザーズ・タワー』はその打破を目指してます。 |
熊猫 |
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小説を構想する際にはどういった順序で構想を練るのでしょうか、 個性あるキャラクターが先に生まれているのか、世界観が先にあるのか、あるいは展開する場面、戦場なのでしょうか? |
吉田 |
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世知辛い話ですが、まずは商業出版として通用するか否か?という所からスタートだったりします。そのためには読者さんや出版社のニーズに合うものでなければならないので、やはり背景となる世界観の構築が最初ですね。例外として『女皇の帝国』はキャラクターが最初でしたけれど。 |
雀部 |
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こういう仮想戦記を読むのは初めてだったのですが、惚れてしまいました(笑)>内親王那子様 それでは、世界観の構築とキャラ設定とでは、どちらが楽しいですか? |
吉田 |
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楽しいのは世界観の構築でしょう。その縛りの中で、どう登場人物を動かすか?を考えていくうちに、キャラの個性が生まれたりしますので。 |
熊猫 |
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近年は少女を主人公とする作品が多いですが、彼女たちの思考回路を描く際の苦労や秘訣などがあればお聞かせ願えませんでしょうか? |
吉田 |
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僕は男ですから女心は想像しかできません。そんなわけで彼女たちの大半は僕の好みの女性ばかりです(でないと書き割りみたいなキャラクターになってしまうもので)。好みの女の子を書くのに苦労はありませんです(笑) |
熊猫 |
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母というモチーフを物語の重要要素に組み込んでいる事が多いですが、何か思い入れがあるのでしょうか? |
吉田 |
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母を多用している理由は『MM 記憶師たちの夜明け』の後書きに書いたのがすべてなのですが、まあ、早い話「父親」を書くには、まだ僕は若すぎるみたいです。よく言われますがマザコンじゃありません。好きな映画は「サイコ」ですが。 |
熊猫 |
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デビュー当時は宇宙戦争を扱った硬派な作風と文体でしたが現在は随分と手広くお仕事の範囲が広がっています。 どのようにして、変化したのでしょうか? その際に参考にされた作品などはございますか? |
吉田 |
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スケジュールの許す限り、いただいた仕事は断らないようにしているだけです。昔から広く浅く多趣味を通してきたので、題材にはまだ困ってません。作風というか、趣向が大きく変わったのは「巫女巫女メイド」こと『血闘絶対国防圏』からでしょうか。あの作品を上梓したあと、『女皇の帝国』や『突撃彗少女マリア』などのお仕事を頂戴できたので、僕としても思い入れのある一作です。 |
熊猫 |
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最近注目している作品やライバル意識しているクリエイターさんなどいらしたらお聞かせ願えませんでしょうか? |
吉田 |
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憧れているのは秋山瑞人先生です。売り上げに嫉妬する人はたくさんいますが、文才に嫉妬するのは秋山先生だけです。とりあえずEGFマダー? ということで(笑) |
雀部 |
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ですねぇ。もう十年が来るのでは。どのような結末になるか怖いけど。 取りあえず、秋山先生の作品の主人公になるのは辛いです(笑) |
熊猫 |
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これから挑戦してみたい分野・テーマあるいは時代があったら教えていただけないでしょうか? |
吉田 |
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SFは他にもやってみたいお話があるので、頑張りたいと。あとミステリーとホラーにも挑戦すべく、色々とやっております。 |
雀部 |
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ぜひ萌え系ハードSFの巨匠として、我々ハードSFファンの度肝を抜くような作品をお願いします。まあ『マザーズ・タワー』でもかなり驚かせて頂きましたが(笑) |
熊猫 |
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吉田先生の新境地、一読者として楽しみにお待ちしております。 インタビューへのお誘いを頂きましたことを雀部さんに深く感謝致します。 多忙の中で拙いインタビュアーに丁寧にご対応頂いた吉田先生、ありがとうございました。 |
雀部 |
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熊猫さんこちらこそありがとうございました。 吉田先生、たいへんお忙しいところインタビューに応じて頂きありがとうございました。 最後に、現在執筆中の作品及び近刊予定をお聞かせ下さい。 |
吉田 |
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まだタイトルは申し上げられないのですが、11月20日頃に、世界文化社さんから某赤い壁映画にちなんだSF仮想戦記(?)が上梓予定です。本屋さんで見かけられたら笑ってやってくだされば幸いです。 |