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Author Interview

インタビュアー:[雀部]

『この時代小説がすごい! 2014年版』
> 「この時代小説がすごい!」編集部編
> ISBN-13: 978-4800219565
> 宝島社
> 657円
> 2013.12.23発行
 今もっとも旬な時代小説はこれだ!
 市場を賑わす文庫書き下ろし時代小説と単行本の二本立てのランキングを掲載。書店員・書評家など、時代小説の目利きが選んだ、本当におもしろい文庫書き下ろしベスト20&単行本ベスト20を発表、紹介します。畠中恵、あさのあつこ、上田秀人、伊東潤といった人気作家のインタビューも掲載。注目作品、人気シリーズを紹介する完全ガイドも。

☆文庫書き下ろしベスト5(すべてシリーズもの)
1,《奥右筆秘帳》シリーズ、上田秀人
2,《みをつくし料理帖》シリーズ、高田郁
3,《風の王国》シリーズ、平谷美樹
4,《燦》シリーズ、あさのあつこ
5,《風の市兵衛》シリーズ、辻堂魁

『風の王国 4 東日流府の台頭』
> 平谷美樹著/遠藤拓人装画
> ISBN-13: 978-4758436953
> ハルキ文庫
> 705円
> 2012.10.18発行
 明秀たちの率いる東日流軍は、遼東に東日流府をうち立てた。だが、契丹の動きが気になった明秀は、須哩奴夷靺鞨を助けに向かうのだった。そんな中、罪のない良民を多数殺害し出奔した建部清瀬麻呂が、安東勇魚を訪ねて帰ってきた。馬朝義の忠告に逆らい、勇魚は罪を償うと言う清瀬麻呂を受け入れるのだが……。

『風の王国 5 渤海滅亡』
>平谷美樹著/遠藤拓人装画
> ISBN-13: 978-4758437097
>ハルキ文庫
>705円
> 2012.12.18発行
 芳蘭は唐へ貢ぎ物として送られるさ中、耶律突欲と出会い、運命を共にすることとなった。一方、契丹の皇后・月理朶の命により、遼州城にいた明秀たちは、捕らわれの身となってしまう。失ったものは東日流兵千人の命。明秀は、自分を獲ろうとして死んでいった千人のために、何があっても生きのびようとする決意をする。滅びゆく渤海の運命は果たして……?

『風の王国 6 隻腕の女帝』
>平谷美樹著/遠藤拓人装画
> ISBN-13: 978-4758437202
>ハルキ文庫
> 724円
> 2013.2.18発行
 渤海は滅亡し、契丹では皇帝・耶律阿保機が暗殺された。激動の中、契丹国皇后・月理朶は、弟の堯骨を皇帝にするために、突欲に東丹国の統治を命ずるのだった。一方、新たなる渤海国の復興のために、明秀は安東勇魚たちとともに、東日流軍を率いて契丹国に抵抗し続けていた。突欲と明秀は、それぞれの野望と覚悟を持って再び闘うことになるのだが……。

『風の王国 7 突欲死す』
>平谷美樹著/遠藤拓人装画
> ISBN-13: 978-4758437288
>ハルキ文庫
> 724円
> 2013.4.18発行
 契丹皇帝耶津堯骨から謀叛の疑いを受けた突欲は、医巫閭山で隠棲させられることになった。その隙をつき、高元譲は天福城を占領し、渤海の復興を宣言する。そんな中、激しい揺れとともに白頭山が噴火した。滅亡と復興が繰り返させる激動の時代の中で、これはさらなる変化への予兆なのか? そして、李嗣源によって、唐へ亡命した突欲に魔の手が忍び寄るのだが……。

『風の王国 8 黄金の仮面』
>平谷美樹著/遠藤拓人装画
> ISBN-13: 978-4758437486
>ハルキ文庫
> 743円
> 2013.6.18発行
 暗殺された突欲。だが劉于は、以前突欲が前皇帝・那津阿保機に試みた秘術で、突欲を蘇らせてしまう。全てのものから解放され、別人のようになった突欲は、無敵の軍を率いて血の雨を降らすのだった。一方、火山灰が降りつづく中、明秀は農耕の民たちのために東日流府を遼東南部から引かせることを提案する。闘うものたちの運命は果たして……。

『風の王国 9 運命の足音』
>平谷美樹著/遠藤拓人装画
> ISBN-13: 978-4758437691
>ハルキ文庫
>743円
> 2013.8.18発行
 父や多くの仲間たちを失った明秀は、悲しむ間もなく突欲が率いる猖獗兵の動きを探っていた。狙いは黒水靺鞨か、それとも定安府なのか。一方で高氏渤海王を名乗る高元譲は、猖獗軍の隙をついて懐遠府の域を奪還するのだった。そして、契丹皇太后・月理朶は皇帝・堯骨に死相を見てしまう―――数年以内に堯骨は死ぬ―――。野望の中で、死んでいく者と生き残り闘う者。明秀と突欲は、決着の時を迎えようとしていた。

『風の王国 10 草原の風の如く』
>平谷美樹著/遠藤拓人装画
> ISBN-13: 978-4758437820
>ハルキ文庫
> 781円
> 2013.10.18発行
 九四六年。高元譲を倒すために、大明秀は高氏渤海に潜み、機会を狙っていた。一方、大地を全て血に染めながら進軍する突欲の猖獗軍は、高氏渤海軍を追いつめていた。明秀は息子のチョルモンや安東勇魚とともに、闘いの場へ向かう。それぞれの野望と大義がぶつかりあう中で、死にゆく者と生き残る者。明秀を待ち受ける運命は果たして……?

『採薬使佐平次』
> 平谷美樹著/ヤマモトマサアキ装画
> ISBN-13: 978-4041103951
> 角川書店
> 1500円
> 2013.2.28発行
 大川で惨死体が上がった。吉宗配下の御庭番にて、採薬使の佐平次は探索を命じられる。その死体が握りしめていたのは、昇降図と呼ばれる代物で、温度を測るものだった。一体何のために使うのか?同じ頃、西国では蝗害が広がり、ほかの採薬使仲間は原因を究明すべく、江戸を立つが……。

『将軍の象 採薬使佐平次』
>平谷美樹著/ヤマモトマサアキ装画
> ISBN-13: 978-4041105580
>角川書店
>1500円
> 2013.9.30発行
 将軍吉宗に献上するために輸入されることになった二頭の象。一度は白紙になったものの、なぜか長崎に着いてしまった象を巡り、老中たちの陰謀が明らかになっていく。佐平次は解決できるのか……。

『吉祥の誘惑 採薬使佐平次』
>平谷美樹著/ヤマモトマサアキ装画
> ISBN-13: 978-4041106068
>角川書店
> 1600円
> 2013.11.26発行
 吉原で、御大尽の肥前屋が亡くなった。持病などはなかったが、なぜか遺体の側には、宝相華の模様がはいった薬包が落ちていた。同心の省吾は、薬屋を調べ始めるが、薬包の中身の正体は分からない。そこで、植物に詳しい採薬使・佐平次の所へ相談を持ち込む。佐平次は、その頃花街で流行っていた、惚れ薬や性欲剤などではないかと推測して、花街にある薬屋などに、話を聞きに行くことに。そして、吉宗へ報告しに行った佐平次は、花街での四十〜五十代男性の“病死”が多発していることを知る。薬包の中身を調べていくうちに、「抜荷」の存在に気付いた佐平次が追うと、それは長崎奉行と繋がっていく……!?

『冬の蝶 修法師百夜まじない帖』
> 平谷美樹著
> ISBN-13: 978-4094088854
> 小学館文庫
> 552円
> 2013.12.11発行
 電子文庫で大人気の平谷美樹の「百夜百鬼夜行帖」が、『修法師百夜まじない帖』とタイトルを変え待望の文庫化。美少女修法師が江戸の町で大活躍する姿に一度読み出したら止められないこと必至。いつも強気だけど、時々かわいらしくて、でも物の怪調伏では、百夜の右に出る物はない、こんな魅力的な修法師・百夜が次々と強敵を倒していく様が痛快この上ない。時は文政期の江戸、舞台は神田川にかかる昌平橋(現在のお茶の水駅近く)。津軽から江戸へやってきたばかりの盲目の少女・百夜は、津軽弁しかしゃべれず、全く言葉が通じない。そこで、江戸の町で命を絶たれた侍の霊を自分の身体に取り込み、侍言葉を操れるように。言葉を手に入れた百夜に、もう恐れるものは何もない。
 年の瀬、さっそく物の怪退治の話が舞い込む。上野黒門町で薬種屋を営む倉田屋で、冬だというのに白い蝶が飛んでいるというのだ。その蝶、倉田屋に住む九十九神で、蝶の正体はなんと100年前の……。

『丑寅の鬼 ゴミソの鐵次 調伏覚書』
>平谷美樹著
> ISBN-13: 978-4334767143
> 光文社時代小説文庫
> 660円
> 2014.3.20発行
 師走の一夜。江戸に向かう新酒番船の一艘が大きく航路を変えた。船に乗り込むのは、鐵次の宿敵・傀儡使の惣助。惣助が企む、江戸の平安を覆すある陰謀とは? 一方、亡魂の調伏に奔走する鐵次とイタコの百夜の前に、師匠の峻岳坊高星が現れる。高星が鐵次に託す極秘の使命とは? すべての謎が明かされる時、江戸の命運をかけた決戦が始まる!

『妖しい怪奇譚 実録怪談集』
> 平谷美樹・岡本美月共著/Massimo Merlini/gettyimages写真
> ISBN-13: 978-4758437608
> ハルキ・ホラー文庫
> 600円
> 2013.7.18発行
 山間部の川沿いを車で走行中、窓から入ってきた腕(第二話 腕)、病院で起きた様々な怪異(第二十二話 看護師夫妻)、夜の火葬場での不思議な体験(第二十五話 火葬場二題)。著者のもとに自然に集まってくる、奇妙で不思議で怖い話を、「解釈」をせず、忠実に書きつづった〈怪談の標本箱〉です。全三十七話の全てが、あなたの身近で起こる可能性があります。何者かが語りかけてくる話に、耳をかたむけてみませんか。

『浄霊特捜ファイル 氾れし冥宮』
> 平谷美樹著
> ISBN-13: 978-4812497449
> 竹書房タソガレ文庫
> 657円
> 2013.11.29発行
 亡き父親のあとを継いで伊勢にある神社の禰宜{ねぎ}になった鹿児矢崇(かこやたかし)は、突然、東京にある“IPC”というところに行くことを祖父に命じられる。
 状況もわからぬまま現地へ赴くと、そこには超心理学と心霊学を研究しているという佐伯、僧侶である想空、霊媒師の冥沙らが出迎え、彼らが言った「これから仕事に加われ」と。
 あっけに取られる崇が連れて行かれたところは「SUMIDA6」と呼ばれる全体が巨大な堤防として作り変えられた町で、その区域では謎の心霊現象が頻発していた。蘇る死者、水死した人々の幻影、そして大規模な地盤沈下……。
 彼らはそういった悪霊に侵された場所を浄霊する組織だったのだ。出口なき迷宮となってしまった地下の町の中心で彼らが出遭うモノの正体とは?

『藪の奥 眠る義経秘宝』
> 平谷美樹著
> ISBN-13: 978-4062774253
> 講談社文庫
> 629円
> 2012.12.14発行
 後にトロイア発掘によって世界的な名声を得ることになるシュリーマンは、早世した友人チェリョムヒンから、彼の遺言とともに「黄金郷ヒライズミ」の地図を預かる。藤原氏は源頼朝が持ち帰った以外の膨大な財宝を隠したに違いないとチェリョムヒンは考え、その発掘をシュリーマンに託したのだ。
 一攫千金と名声獲得の野望を胸に、シュリーマンは奥州藤原氏の財宝探しに幕末の日本に渡る。髭を伸ばし蝦夷に化け、横浜居留地から平泉生まれの橘藤や通訳の深野らを伴い平泉に発つ。700年の時を隔て、頼朝が平泉から奥州征伐から戻った行程を逆に辿って平泉に向かう一行。義経にも仕えたという山岳信仰の修験者集団を謎の黒装束の男達が襲い、不穏な状況が漂い始める。稀少な手がかりを元に財宝の在処を平泉北西の北上山地と割り出し、山道険しい藪の奥を分け進む。財宝目当ての争いに、シュリーマンも短銃を手に持ち構える。はたして財宝は見つかるのか、そして義経北行伝説の真相とは?

『小倫敦の幽霊 居留地同心・凌之介秘帖』
> 平谷美樹著
> ISBN-13: 978-4062777810
> 講談社文庫
> 750円
> 2014.3.14発行
 幕末、四方を海に囲まれた出島のような横浜外国人居留地。同心・草間凌之助のもとに厄介な事件が持ち込まれる。イギリス人の居住地区、リトル・ロンドンの屋敷で女の悲鳴が聞こえるという。その悲鳴は原因不明で死んだ前の持ち主のメイドの幽霊なのか!?
 それから程なくして日本人がピストルで撃たれて殺される。死体の脇に転がっていたのが羊羹のように甘い固形物。異国情緒漂う幕末横浜で謎が謎をよび、事件は拡大していく!

雀部> 今月の著者インタビューは、昨年の10月18日に角川春樹事務所から『風の王国 10』(完結編 草原の風の如く)を、出された平谷美樹さんです。平谷さんへのインタビューは、今回で8回目になりました。前回から一年ちょっと経ちますが、色々なご著書が増えましたね。
平谷> SFを書いていないのに、お招きいただきありがとうございます。
 SFの注文がまったくないので(笑)
 最近は「江戸モノ。お化けナシで」と注文されたりします。
 去年は実録怪談を入れて12冊出しましたが、本当にSFのお声は一度もかかりませんでした。
 きっと、わたしのSFは面白くないんです。
 それはそれで、仕方がないかなぁと。
 書いていて楽しい作品ばかりでしたから、不満はありません。
雀部> 歴史SFミステリとか需要ありそうに思うのだけども。
 『この時代小説がすごい! 2014年版』の「文庫書き下ろし BEST20」第三位おめでとうございます。完結したというのも大きかったとは思いますが、かなり評価も高かったようですね。個人的には、岡山在住のあさのあつこさんの《燦シリーズ》(第四位)と一点差というところもうれしかったです。うちの孫の名前が"燦"なので、読みはじめたというのもあります(笑)
平谷> ありがとうございます。書評家のみなさんには、過分なお褒めの言葉をいただきました。
 時代小説も歴史小説も、“駆け出し”ですから「こういう風に書いていいんだ」と安心しています。
雀部> いえいえ、もう駆け出しではないでしょう。『この時代小説がすごい! 2014年版』で、《風の王国》以外にも、《採薬使佐平次》シリーズと『藪の奥』が紹介されてます。
 この本のベスト20を見てみると、時代小説も様々なサブジャンルが勃興してきているんですね。和田はつ子先生インタビューの時に、少しばかり勉強したのですが、料理ものの時代小説の人気は定着してる気がします。
 そんな中、今まであまり書かれることの無かった渤海と契丹の時代を取り上げたのも評価されてますね。渤海を舞台にするのは、角川春樹氏からの依頼だったそうですが、やはり目の付け所が良いなぁ(それを平谷さんに依頼したという点も含めて)
平谷> 渤海は名前しか知りませんでした。まさにゼロから勉強して書きました。
 初めの何冊かに情報がいっぱい詰まっているのは、わたしの勉強の覚書的な意味もあったりして(笑)
 「書きたい」というモチベーションがない状態から、隔月で1冊ペースで書き下ろすことができる精神状態にまで持ち上げることが、結構簡単にできたので、自信にもなりましたね。
 これをお読みの編集者のみなさん。平谷はどのようなご希望にも添いますよ(笑)
 わたしの歴史小説・時代小説は、けっこう今まで書かれていなかったニッチの部分を扱っています。
 王道の歴史小説・時代小説では長く書いていらっしゃる諸先輩に太刀打ちできませんから。
雀部> こうやって、Best3に評価されたのだから、注目度高いと思いますけど〜(笑)
 《風の王国》主人公の大明秀も良いキャラだと思うのですが、前回のインタビューの時にも言ったように、"耶律突欲"の造形が見事でした。個人的感想ですが、最後には主役を喰うようになったような気がします。やはり面白い物語は、敵役が魅力的でないと。
 物語の最初のころから、突欲をこういう役割にされることは決められていたんでしょうか。
平谷> 第1巻の執筆を始めた時点で、主人公や主要なサブキャラたちがどう変化して行くかとかは決まっていました。
 最終巻のストーリーも決まっていましたから、ひたすらそれに向けて書いていました。 細かい所で迷ったことはありましたが、各巻2週間から3週間で一気に書きました。
雀部> すごい早さで執筆されていたんですね。まあ、それくらい書かないと、一年に12冊は出せないとは思いますが。
 新聞に毎日連載された《義経になった男》と比べるとどうだったのでしょうか。矢継ぎ早に出て間があかない刊行スピードも評価されている気がします。
平谷> 「義経になった男」は、連載開始までに、「風の王国」は刊行開始までに、いずれも1200枚書いていました。できるだけケツに火がつかないように余裕をもって書こうとしたのですが「風の王国」は、執筆スピードに刊行スピードがジリジリ追いついて来ました。 「風の王国」を1巻書き終えて別の作品を書くという感じでしたから、余裕がなくなって来たんですね。1ヶ月に1000枚書いた月もあります。
 「義経になった男」は、1日に原稿用紙3枚掲載。「貯金」は1ヶ月に90枚、2ヶ月で180枚減るだけです。一方「風の王国」は1巻で400枚ですから。2ヶ月に400枚ずつ減っていく――(笑)
 それでも、昼寝の時間はしっかり確保できましたから、まだ限界まで忙しいというわけではありませんでした。
雀部> そういう計算もされていたんだ(爆笑) しかし、《風の王国》シリーズの方が大変だったのはちょっと意外だったかもです。
 さて、《採薬使佐平次》シリーズですが、最初に出た『採薬使佐平次』の仕掛けの大きさに驚き、二巻目の『将軍の象』でニヤリとし、三巻目の『吉祥の誘惑』で存在感が増してきたなあと思いました。
 で、奥付見てみると、なんと三冊ともに平成25年に出版されていたんですね。しかも二巻目と三巻目は、9月と11月という間隔。これは凄いと思いました。
平谷> 「採薬使佐平次」は早々と重版がかかったので、2巻、3巻を矢継ぎ早に出しましょうという話になって、一気に2冊書きまた。ところが、「将軍の象」、「吉祥の誘惑」は動きが遅くて(苦笑)
雀部> 「採薬使佐平次」は、大仕掛けで日本全国が舞台だし、派手だからかな。個人的には長崎から江戸まで象を運ぶという「将軍の象」が好きです。参考文献に『象の旅 長崎から江戸へ』が挙げられていたので実際にそういう史実があったのでしょうが、老中や各藩の思惑が絡み合うところがとりわけ面白かったです。ああいう設定は平谷さんの創作ですよね。
平谷> 象が長崎から江戸まで旅したのは史実です。『象の旅』には、かなり細かい記録が載っていました。
 ちなみに、象の購入を依頼した人物と、運んできた人物が違うのも史実です。
 雌象が長崎で原因不明の病気で死んだのも史実。
 箱根で雄象が体調を崩したのも史実です。
 それらの裏にある事情はわたしの創作。
 「老中たちが気を回して象を輸入した」とか「尾張宗春が妨害した」というのも、創作です。
雀部> 象を運ぶという史実の裏で起ったであろうあれこれを、楽しみながら想像して書かれているなあと思いました。あと、「吉祥の誘惑」にも登場する尾張家御家中の鬼頭が、“すまじきものは宮仕え”というか中間管理職の悲哀を感じさせ、何げに良い味を出していて好きです(笑)
平谷> 鬼頭はこれからもちょくちょく出て来るキャラクターで、実は最後の大仕掛けに重要になってくるのですが……。
 《佐平次シリーズ》が続かなければ、せっかく第1巻から仕掛けていたものが無駄になってしまいます(笑)
雀部> あれま。みなさま、《採薬使佐平次》シリーズよろしくお願いします。
 『藪の奥』は、トロイア発掘で有名なシュリーマンが主人公というところが意表をついてますね。この作品はかつて平谷さんが「ふらっと」で書かれていた“ドイツの考古学者ハインリッヒ・シュリーマンが、奥州藤原氏が埋蔵した財宝の発掘に挑む小説”そのものですね。このシュリーマンを主人公に持ってこようと思ったのはどういうところからなんでしょうか。
平谷> 幕末にシュリーマンが日本に来ていたという史実を知ったところからです。
 シュリーマンが来ているなら財宝を発掘させたいと考え、一番掘らせてみたかったのが平泉藤原氏の財宝だったので。
雀部> なるほど。ほかならぬシュリーマンなら、言語の壁を乗り越えて、財宝にたどり着く可能性が大ですね。
 当然のことながら、《義経になった男》とネタが被っているので、時代は全然違いますが、あまり苦労せず楽しく読めました。
 例の平谷さんが、“ロードマップ数頁をコピーしてテープで繋いで発見した”惣社を拝むと必然的に経清の墓に頭を下げることになる”も出てきてニヤリとしました(笑)
平谷> わたしの作品には「1枚の年表に記される作品群」というのがあります。
 同じ歴史の軸の中に存在している物語で、それぞれの作品にそれを示すキーワードをチョロッと入れています。
 気がついた人はニヤッとできるという、わたしの「遊び」です。それから「似ているけれど、ちょっと異なった歴史の軸の中に存在している作品群」もあります。
 1つの物語を書いていて『こういう考え方もあるかもしれない』というものを見つけることがあるのですが、それを1つの作品に入れ込んでしまえばストーリーがばらばらになります。それで、使えそうなアイディアは別の作品で書く――。
 パラレルワールドですね(笑)
雀部> そういえば、“泰衡が鎌倉へ送った首は杉妻小太郎という義経の影武者の首であった――”とサラリと書いてありましたが、何かそれらしきことを示唆する資料はあるのでしょうか。《義経になった男》には書いてありましたが……
平谷> 東北にはそういう伝説があって、今でも信じ続けている人がかなりいます。杉妻小太郎のために建てられた墓というのもあります。
 文字の資料は残っていません。
雀部> そういう伝説はあるんですね。
 ほかに義経関連の時代小説を書かれる予定はないのでしょうか。
平谷> 未発表の長編ですが〈義経の死〉を「義経になった男」とはまた違ったストーリーで書いたものもあります。「義経を殺したのは誰か?」というミステリーです(笑)
雀部> あ、それも読みたいです。>「義経を殺したのは誰か?」というミステリー
 歴史小説も、特定の時代に詳しくなると、その時代が舞台の物語は、より一層楽しめるようになりますよね。まあそういうところは、SFと似ているかも。
 昨年、バスツアーで、中尊寺にも行ったのですが、40年前に比べると相当変わっていて驚きました。その時には毛越寺にも行きました。考えてみると平谷さんのお住まいはかなり近いんですね。あのあたりには度々行かれるのでしょうか?
平谷> 年に何回かは歩きます。友達を案内しながら、わたしの妄想を語るツアーで(笑)
 地形とか、当時の寝殿造りのお約束とかを知っていると、色々楽しめるんです。ただ、予備知識がないと、「ただの田舎町」なんですよね。
雀部> う〜ん(笑) やはり楽しむにはそれなりの素地が必要ではありますね。
 さて、歴史物でも『冬の蝶 修法師百夜まじない帖』は、平谷さんお得意(歴史物より前から書かれている)の物の怪・妖怪をあつかった物語ですが、もう一つ現代物の『氾れし冥宮 浄霊特捜ファイル』がありますが、テーマとしては似てるのですが、歴史物と現代物では、お書きになる上での違いはあるのでしょうか。
平谷> 怪談は、歴史モノの方が書きやすいです。
 現代モノだと、説明しなければならないことが多くなってくるし、人間関係や社会との関わりなんかも考慮して書いていかなければなりません。
 例えば「主人公の霊能者がどうやって食っているのか?」など、『百夜』や『鐵次』ならば修法師だけですみますが、『冥宮』の方ではそれぞれの設定をしなければなりません。
 江戸時代の方がシンプルですね(笑) また、人情話にもって行きやすい。現代モノだと、人情だけでは解決できなかったりします。
雀部> 確かに、時代物と怪異・妖怪譚は相性がいいですね。
 《修法師百夜まじない帖》の電子書籍版は、30作目「侘助の男」のようですが、だんだんと百夜の出自も分かってきましたね。百夜、最近ツンデレ度が増してきたように思うのですが、気のせいでしょうか?(笑)
平谷> 3月刊行の『ゴミソの鐵次 調伏覚書 丑寅の鬼』では、百夜と鐵次の色々なことが暴露されます(笑)
 「判る人には判る」という程度ですが、鐵次や百夜の物語が、わたしの別の作品と地続きであるという描写がチラリと出て来ます(笑)
雀部> 『ゴミソの鐵次 調伏覚書 丑寅の鬼』は、仕掛けが大きくなり展開も派手でまさにSFファン好みでもありますね。
 たぶん、あそこかな(笑)>わたしの別の作品と地続きであるという描写
 しかし鐵次と百夜が江戸にやってきたのは、そういうわけだったとは
.。oO(゜ペ/)/ガビィーン
平谷> 帯には「最終決戦」とありましたが、まだ続くつもりですんで(笑)
雀部> ありゃまですが、実は楽しみ(笑)
平谷> あの「最終決戦」は、惣助との最終決戦という意味――だと思います。
 帯の文はわたしが書いた物ではないので(笑)
雀部> 承知の助でございます(笑)
平谷> 今年の中頃に出る『修法師百夜』の2巻目では、百夜が佐吉に対して優しい態度をとる話(書き下ろし)が入ります。ツンデレをちょっと反省したり(笑)
 今年の末くらいに配信になる百夜の『百鬼夜行帖』は、百夜と七瀧の章になります。
 鐵次と百夜は出版社が違いますが、うまくリンクできるよう、いろいろと仕掛けていこうと思っています。
雀部> 《修法師百夜まじない帖》は、ほぼ百夜の個人技ですが、『氾れし冥宮』のほうは、チームプレイになっていて、それなりの理屈付けもありますね。
 『氾れし冥宮』では、高規格堤防として作り変えられた街全体が悪霊を招き寄せる心霊スポットになり、行方不明者も頻発するというのが発端なんですが、柳田國男先生の『山の人生』は、全国(特に遠野近辺)の行方不明者を丹念に調べられていて、明治時代にしては科学的なアプローチに驚きました。有名な『遠野物語』もありますが、“遠野”も平谷さんのところから、わりと近いですね。「遠野」に関連した物語を書かれる予定はないのでしょうか。
平谷> 「遠野」に関連した物語を書く予定は今のところありません。
 ネタは幾つかあるのですが、お付き合いのある出版社はほとんどシリーズ物を書いているので……。
 新しい出版社の編集さんと知り合ったら、売り込んでみるつもりですけれど。
雀部> 楽しみです。山の民と蝦夷の関係とか、平谷さん流の怪異の解釈も読んでみたいです。
平谷> ただ、山の民については、わたしは「ロマン」と捕らえています(笑)
 よく言われる組織的な山の民は存在しなかったのではないかなと。
雀部> そこをなんとか(笑)
平谷> 〈組織的ではない、山に生きる人々〉という形でなら(笑)
 『義経になった男』に出て来る〈歩き筋〉たちなど、その1つかなと。
雀部> 確かに〈歩き筋〉は、山の民系の人たちぽいですね。
 最新刊の『小倫敦の幽霊 居留地同心・凌之介秘帖』も面白いですね。
 この主人公の凌之介くんは、『藪の奥』の凌之介くんですよね。
平谷> そうです。あの凌之介くんです(笑)
雀部> やはり。
 あのキャラを『藪の奥』一作で終わらせるのはもったいないと思ってましたよ。
 講談社文庫の情報誌「IN★POCKET」3月号の「もうひとつのあとがき」というコーナーに、エッセイ〈小倫敦逍遙の日々〉が掲載されていましたが、平谷さんは〈シャーロック・ホームズ〉がお好きなんですね。
平谷> 小説よりも「グラナダテレビ」のシャーロック・ホームス・シリーズが好きなんです(笑)
 服装やインテリア、小道具などの時代考証がしっかりしているんですよね。
 特にパイプ(笑) ホームズはキャラバッシュパイプは吸いません。時代がずれているんですよ。
 ホームズはクレーパイプと桜材のパイプ、ブライヤーのパイプを吸っています。
 そして、ロンドンではディアストーカーはかぶらない。あれは、郊外に出かけるときにかぶるモノです。
雀部> うへっ、何か口を挟んではいけない領域に入られているような(笑)
 去年、BSでやってましたよね。あまり熱心な視聴者ではないのですが時々見てました。
 小説のほうはご多分に漏れず、中学生の頃ルパン・シリーズと共に図書館にあるやつを制覇しました。
 そういえば、平谷さんの小説の中に出てくる英国趣味――クルマだったり服だったりしますが――は、ホームズがお好きなのと関係ありますか。
平谷> クルマにしても服にしても、イギリスのデザインって、浮ついていないというか、なにかドッシリと落ち着いているんですよね。
 明治維新以降、江戸的なモノを次々と捨てていった日本とは、どこか違う。
雀部> 渋いというか通好みというか。ま、人を選ぶとも言いますが(笑) ←英国趣味
 題名の『小倫敦の幽霊』、“たぶん歴史ミステリだろうな、でも平谷さん作で"幽霊"ってことは伝奇推理ものの可能性もあるかも”とか色々考えながら読み始めましたよ。
平谷> 本当は「英吉利羊羹」というタイトルにしたかったんですけど(笑)
 反対されました(笑)
雀部> 私も反対(笑)
 凌之介がパイプ煙草を嗜むのはホームズの影響なんですか?それとも、当時日本でも流行っていたのでしょうか。
平谷> クレーパイプは、安土桃山時代にはすでに入っています。
 和蘭煙管(オランダぎせる)ってやつです。
 形としては、吸い口が長い「チャーチワーデン」というタイプで、回し喫みする時に、吸い終わったら口をつけた部分を折って渡したそうです。
 まぁ、吸えたのはお殿様たちばかりだったでしょうけれど。
 開港した港では日本人もパイプを試したとは思いますが、資料は見つけていません。
 ただ、高価なものだったはずですから、豪商の道楽じゃなかったのかな。
 凌之介がパイプを吸うのは、わたしもパイプ煙草が大好きだから(笑)
 煙管も好きですが、あれは火皿に入れられる煙草の量が少なく、5、6服するとすぐ終わってしまいます。
 しかし、パイプは大きさにもよりますが、30分から50分は煙をふかせます。
 考えながら吸い、執筆するのにちょうどいいんですよね。
 凌之介の推理についても同様ではないかと思ったんです。
 ホームズも「煙草3喫分の問題だ」なんて言います。
 あれは「3服」ではなく、「3ボウル」つまり、3回パイプに煙草を詰めて煙草を吸う時間で解ける謎という意味です。
 彼の吸っているパイプのボウルはあまり大きくないから「1時間半くらい」ということになりますかね。
雀部> なるほど。パイプの効用あらたかですね。
 重要な証拠品“英吉利羊羹”なんですが、医療関係者だと微妙に甘い味ってところからだいたいの見当がついちゃいますが、凌之介くんがどこから手がかりを得るのかが見物でした。過去の新聞を集めてくるアイデアには、大いに感心しました。
平谷> あれはねぇ(笑) 知っている人はすぐに判るだろうと思っていました。
 第二次世界大戦中、お腹が減った兵士たちが食べたという話もあります。
 「気づく人と気づかない人、どちらが多いか?」と考えて、たぶん気づかない人が多いだろうと思いまして。
 ただ、凌之介くんは当然知らないモノですから、謎として引っ張れるので(笑)
 「採薬使 佐平次」のあのネタも、気づく人はすぐに気づくだろうと思いながら書きました(笑)
雀部> ありゃま、確信犯であられましたか(笑)
 『妖しい怪奇譚 実録怪談集』は、ラストの巻だと書いてありましたが……
平谷> 角川春樹事務所での実録怪談シリーズは終了ですが、お話が集まれば、他社から出すことになると思います。
 まだ色々、集まってきますので(笑)
雀部> 住職さんの「あなたの所に話が集まってくるのは、霊が語ってほしいと思っているからだ」というのは、すとんと胸に落ちました。SFファンならカード氏の『死者の代弁者』を思い浮かべるかもしれませんね。
 あと後書きに書かれていた“心霊現象の体験者に「そうか。よかったね。会いに来てくれたんだね」と聞く側が語りかけることによって、話者は癒される。”という言葉にもなるほどなぁと感じ入りました。
平谷> 科学的か非科学的かでは割り切れないことがあるんですよ。割り切らない方がいいことも。
 「これは地縛霊ですねぇ」と断定することと同様に「そんなことは非科学的だ」と断じることはナンセンスだと思います。
 じっさい、それこそ科学的ではないということ以上に、体験をした人のメンタルな部分を考えれば、肯定してあげるべき場面はずいぶん多いです。
雀部> それは日本の心霊体験の特徴でもあるのでしょうか?
平谷> 日本の心霊現象の特徴といいますか――。日本人って、流行に乗って無批判に肯定したり否定したりするじゃないですか。
 オカルトブームの時は熱狂的に受け入れていた人たちが、ひとたび否定的なムードが世間にあふれると、何もかも否定する側に廻ってしまう。
 そういう節操のないところがあるでしょう。
 まぁ、日本以外のことはよく判りませんから、諸外国がどうなのかは言えませんけれど。
 日本は今のところ、心霊現象全般に否定するムードが強いですよね。
 心霊関係の番組も、存在を否定するスタンスで作られたりしている。
 でも、
「死んだお祖母ちゃんが別れの挨拶に来てくれた」
 という人に、
「幽霊なんて非科学的だから存在しないんだよ。だから君が見たのは幻覚さ」
 と言ってしまうデリカシーのない人たちも多いのはどうかと思います(笑)
 岩手では、わりと「挨拶に来てくれたんだ。よかったね」という会話が普通に交わされています。
 特に3年前の出来事があってからは、肯定するスタンスが正しいと思える場面が多々あります。
雀部> 日本のマスコミは、視聴率が取れる・売れるとなると柳の下に何匹もドジョウが出てくるようですからね。庶民の方はそれほど節操がないとは思ってませんが(笑)
 平谷さんの最近の歴史ミステリでは、登場人物のキャラがたっていてとても魅力的だと感じています。まあSF作品ではキャラ立ちはあまり重要視されてない(シリーズものを除く)というのもありますが、これは何か理由があるのでしょうか。
平谷> 時代モノ、歴史モノであれば、キャラが立っていても不自然じゃないからですかね。鐵次や百夜のようなキャラクターが現代モノに出て来ると嘘くさすぎるでしょう。
 そういうのは嫌いなんですよ。江戸時代だとああいうキャラもしっくりと背景に馴染みます。
 「冥宮」のキャラたちは嘘くさいなぁと感じながらも、あえてあのように書いています。
 扱うテーマが異なれば、キャラの立っていない登場人物だけで書くことになるでしょうね。
雀部> ではキャラのたったSF作品を書かれる予定(既に書かれている)はおありでしょうか。
平谷> キャラが立っているといえば、待田部長ですかね(笑)
 科学警察研究所第五部のお話を1本書き終えて、エージェントに預けてあるのですが、出るのはいつになりますやら。推理モノの形式で進んでいって、ラストにSF的な解決が来るというのがネックになっているようで(苦笑)
 推理モノのつもりで読んでいた読者が「???」となるってことで。
雀部> あ〜、それは何となくわかる理由です。最初から「SFだよ」とうたってないと。でもSFとうたうと売れないというジレンマも(笑)
 持田部長って、『銀の弦』の。そうですか、出来上がってるんだ、ちょっと楽しみ。
 今回もお忙しいところインタビューに応じていただきありがとうございました。
 最近、創作活動が充実している平谷さんですが、今年の刊行予定で、公にして良いものががあればご紹介ください。
平谷> 「修法師百夜」の2巻目が5月に出ます。3巻目も年内に出るんじゃないかな、と。
 それから、時代モノの文庫1つが夏に出ると思います。
 長編シリーズのお話や、単行本のお話なども進んでいます。
 でも、去年と違って、隔月刊行の《風の王国》が終わったので、刊行される本は半分くらいになっちゃいます(笑)
 小説以外では、わたしの所属している映画部で新作映画を撮ることになっています(笑)
 〈ちょっと意外な表現形式〉で、わたしの小説を原作にした作品が夏頃に発表になります。
 それらは決まりしだい、わたしのブログで順次お知らせして行きます。
雀部> 去年ほどではないにしろ、けっこう出される予定なんですね。平谷さんの著作を待っているファンの方々も安心でしょう。私も安心しました。「アニマ・ソラリス」も10回目のインタビューを目指して頑張ります(笑)


[平谷美樹]
1960年岩手県生まれ。大阪芸術大学卒業後、岩手県内の美術教師となる。2000年6月、『エンデュミオン エンデュミオン』(ハルキ・ノベルス刊)で作家デビュー。同年、長篇SF『エリ・エリ』で第1回小松左京賞を受賞。著書に『ユーディットXIII』、〈エリ・エリ〉三部作を形成する『レスレクティオ』『黄金の門』の他、『運河の果て』、『ノルンの永い夢』、『約束の地』、『ヴァンパイア 真紅の鏡像』、『君がいる風景』、聖天神社怪異縁起シリーズ『呪海』『壺空』『銀の弦』などがある。近年は河北新報に2年間にわたって毎日連載された『義経になった男』全4巻や、『この時代小説がすごい! 2014年版』の「文庫書き下ろし部門」で第三位になった《風の王国》シリーズ全10巻など、時代小説作家として着々と地歩を固めている。
[雀部]
女性歴史ミステリ作家の大御所・和田はつ子さんを読み始めてその面白さから、著者インタビューまでお願いしてしまい、最近は歴史小説も面白くなってきた60代(笑) 平谷さんの時代小説は、けっこうユニークで理詰めなので、SFファンにもお薦めできます。



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