第一回小松左京賞受賞作品。
東北の寒村歌詠崎の教会の神父である榊和人は、心のどこかで<神の不在>を感じ、己の信仰に自信をなくしかけていた。
宇宙船の推進システムの特許を持ち、SF作家でもあるクレメンタインは、ラグランジュ点で進行中の外宇宙探査プロジェクトへの参加を認められ、その準備に明け暮れていた。精神病医であるタウトは、アプダクション<宇宙人による誘拐>の治療専門医として名を馳せていたが、その実、自分自身も宇宙人によって皮下にインプラントを埋め込まれたことを信じていた。
プロジェクトが進むある日、地球が大量のニュートリノ嵐に見舞われ、その原因が、太陽系外から侵入してきた人工物体によるものと推定された。
小松左京賞らしい重厚なテーマの作品です。前半は、地味だけど興味深い進行を見せますが、地球外からの巨大宇宙船(?)が登場するにおよび、一気にSFらしくなってきます。でも、実際のファーストコンタクトはこんなものかも知れないなという感想もある反面、もっとドラマチックな終わり方は出来なかったのかとも思います。
|