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『ぼくらは虚空に夜を視る』
上遠野浩平著 中澤一登イラスト ISBN4-19-905002-7 C0193
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徳間デュアル文庫 | 590円 | 2000/8/31 | ||
粗筋:
ごく普通の高校生である工藤兵吾は、ある日同級生の景瀬観叉子から「この世界はカプセル船の中で凍結されている人々が夢みる世界に過ぎず、工藤と景瀬の実体は、その巨大宇宙船を、敵<虚空牙>から守る超光速戦闘機ナイトウォッチのパイロットだ」という話を聞かされる。現実だと思っていた高校生活も、絶対真空の虚空に人間が発狂してしまわないようにスタビライザーとしてコンピュータが設えた仮想世界だった。その瞬間、宇宙空間で展開される戦闘シーンに転移した工藤は、パイロットとしての本領を発揮する・・・ |
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ある日下駄箱に入っていた別のクラスの女の子からのラヴレターと思しき手紙から始まり、宇宙空間での戦闘シーンまでがシームレスに続くどことなく非現実的な世界。
あの《ブギーポップ》でも見られた、ディックにも共通するシュミラク(偽物)ぽい感覚がさらに研ぎすまされて完成度を増してます。雰囲気的には、コードウェイナー・スミスの「鼠と竜のゲーム」と山田正紀の『チョウたちの時間』とヴァン・ヴォクトが得意の貴人漂流譚が合わさったような感じと言えばお分かり頂けるでしょうか。ううむ、余計にわけわかかな(笑) |
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『冥王と獣のダンス』
上遠野浩平著 緒方剛志イラスト ISBN4-8402-1597-9 C0193
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電撃文庫 | 570円 | 2000/8/25 | ||
粗筋:
絶対真空の宇宙空間から襲い来る虚空牙によって地球上に封じ込められてしまった人類。 やがて文明は逆行し、以前の世界とは様変わりした群雄割拠の時代の後、<奇蹟軍>という奇怪なエネルギーを利用する集団と、かつての超文明の生き残った自動生産プラントを軸とする<枢機軍>の二つが、真っ向から対立していた。 五年以上の戦歴を持つ<枢機軍>の臨時少尉とはいえ、まだ18になったばかりの青年トモルは、胸騒ぎを感じていた。一方<奇蹟軍>では、凄まじい<奇蹟>能力が使える戦略奇蹟使いたちが、<枢機軍>を待ち受けていた。 |
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この後、何を思ったか<奇蹟軍>のICBM級の奇蹟使いの兄妹が<枢機軍>に投降してきて、勢力バランスが変わったりするのですが、メインはトモルと心を閉ざした奇蹟使いの少女夢幻の切ない心のさざめきでしょうね。
ライトノベルファンのみならず、少年少女の心を失っていない全てのSFファンにお薦めします。 |
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『殺竜事件』
上遠野浩平著
ISBN4-06-182135-0 C0293
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講談社NOVELS | 880円 | 2000/6/5 | ||
粗筋:
ロミアザルスは僻地の独立都市。大国に囲まれたこの田舎街が独立を維持していられるのも、この度戦時調停の地として選ばれたのも、この街に竜が棲んでいるからだ。百万の軍勢をも凌駕し、天変地異ですらも歯牙にかけない竜の存在こそが、まさに絶対不可侵のものであり、調停の場として相応しいからだ。それとこの街の竜は、あと六匹居る他の竜と違い比較的人間の近くで暮らしていて、生まれて直ぐの赤ん坊を口の中に入れ安全を祈願するという風習を許しているほどであった。 調停の地として使うという断りを竜に伝えるため、洞窟に赴いた特務仕官レーゼ・リスカッセ、 風の騎士ヒースロゥ・クリストフ、 戦地調停士エドワース・シーズワース・マークスウィッスルこと通称EDは、不可侵のはずの竜の刺殺死体を発見する。しかも、竜殺しの犯人として疑われた三人は、土地の者に呪いをかけられ一ヶ月のうちに真犯人を挙げなくてはいけない羽目に陥ってしまった。 |
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《ブギーポップ》の作者が贈る、珍しやミステリ・ファンタジーです。この竜殺しの真犯人探しがメインの粗筋です。謎解きは正統派で、動機という点ではちと弱いものの、手段はかなり考えられていて、唸らされました。 |
[雀部]
48歳、歯科医、SF者、ハードSF研所員 ホームページは、http://www.sasabe.com |
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