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mitch の American Movie Express

2001年夏・ブロックバスター速報第2弾・・・
『トゥーム・レイダー』『Cats&Dogs』『ムーラン・ルージュ』

mitch

『パールハーバー』の早期失速、『シュレック』の大健闘、さらには大穴カーアクション『The Fast and the Furious』が1週間で製作費を回収して余りあるスーパーヒット・・・と水商売ならではの動きを見せる今年の全米夏興行。また、日本では『E.T.』『スターウォーズ・Ep1』を凌ぐ大ヒットが予想される『A.I.』がアメリカでは予想外の大苦戦を強いられるという状況でもあります。そんな中から今回は6月から7月上旬にかけて公開された話題作『トゥーム・レイダー』『Cats&Dogs』『ムーラン・ルージュ』の3本のレビューをお届けしましょう。


■ララ・クロフト/トゥーム・レイダー
ごぞんじ大ヒットゲームの実写映画化。(といっても私はこのゲームを体験したことがないのです。)ヒロインであるララ・クロフトを演じるアンジェリーナ・ジョリーはGCキャラクタの印象をそのまま実像化したようにも思えるほどです。アンジェリーナの実父である怪優ジョン・ボイトとの共演も話題になりました。

簡単に言ってしまえば『ハムナプトラ』+『インディアナ・ジョーンズ』+『コンタクト』。(おおーっ、勘のいい人はこれだけでストーリーを90%推測できるかな?)キャラクタ的に『バットマン』なところもあるようで。

5千年に一度の『惑星直列』が起こった時に世界を支配できるパワーを生み出すトライアングル。そのトライアングルを入手するためにカンボジアからアイスランドへと飛びまわってアクションが繰り広げられます。しかし・・・盛りあがりません。新味のないストーリーを如何にSFXで誤魔化すかということだけに心血を注いだように思える作品です。そのSFX自体も技術的に進歩しているとは言え、上記作品で見られた内容の焼きなおし。前半は完全に『インディ』で、中盤は『ハムナプトラ』。特に中盤のボス・キャラの情けなさは『ハムナプトラ2』にも匹敵します。(笑)

ストーリーを語る以前に、「この程度のイベントを入れておけばいいだろう」という見せ場優先で脚本が作られているために、予告編で見た以上のものが得られない、凡作となってしまったですね。評価は★★☆どまり。上記3本を見たことがない人ならそこそこ楽しめるかも。

公開第1週こそかなりの好成績をあげましたが、2週目以降の急落は『パールハーバー』以上。約60%も興行収入は落ち込んでしまいました。私は公開3週目に鑑賞したのですが、すでにお客さんはほとんど居なくなってました。(爆)

■Cats&Dogs
アメリカ映画は動物を使わせると本当にうまいなあ・・・と思いますね。これもそんな作品の一つ。

ストーリーは壮大。古代エジプト時代にネコを駆逐して『原始的な生物である人間の最高の友人』となったイヌ。しかし、時は現代。イヌたちは再度その地位をネコに脅かされます。そこで、人間のイヌアレルギーを解消するクスリを開発する科学者をサポートして、その地位を確固たるものにしようとする裏のイヌ組織。それを阻止しようと暗躍するネコ組織との壮絶な戦いを007ばりのアクションで描きます。・・・こう書いてしまうとスゴイ。(笑)

もちろん基本的にはお子様向け作品ですが、SFXは手を抜いてません。『ドクター・ドリトル』で動物モノに強いところを見せるジム・ヘンソン・スタジオ等がアニマトロニクスで大車輪の活躍をしているようで、イヌ・ネコの会話時の表情はマンガ的ではありますがかなり精巧にできています。(それ以外は「ゆるめ」の特撮かな。)アクションシーンで『matrix』のパロディを出すのはそろそろやめてほしいなあ。

結局はスクリーンに可愛いイヌやネコが出てくるだけですべて許してしまえるのかな?という作品です。一緒に見てたうちのヨメもしきりに「あー、かわいー」とほざいておりました。それだけだと『チャトラン』になってしまいますが、ひと工夫、ふた工夫してあるのはさすがアメリカ。作品の評価は甘くして★★★止まりですが、動物好きの方ならもう一個追加できるでしょう。ただ、イヌ派の人間が製作した作品のようで、ネコ派の方はちょっと納得できないかも。

■ムーラン・ルージュ
ユアン・『オビワン』・マクレガーとニコル・『代表作は何?』・キッドマン共演のラブ・ストーリーです。興行的には中ヒット程度でしたが、先行公開のNYでは満場の拍手で絶賛されたとか。

1899年。爛熟した世紀末のパリのナイトクラブ『ムーラン・ルージュ』を舞台に売れっ子の歌姫(売春婦でもある)と駆け出しの作家が織り成す恋物語。定番中の定番の物語を歌にのせて描いていく・・・一歩間違えば「あちゃあ」の作品なのですが・・・

タイトルからは文芸調のやや重苦しい雰囲気を予想してましたが、みごとにハズしてくれました。全編ミュージカルなのですが、一部オペラのような雰囲気もありますね。(監督はオペラの演出経験があるみたい)
フランスもパリも何も関係ありません。単なる背景です。この作品では80年代のポップスが効いてきます。マドンナの『マテリアル・ガール』『ライク・ア・バージン』、ジョー・コッカー『愛と青春の旅立ち』、さらにはエルトン・ジョン、おまけになぜか『サウンド・オブ・ミュージック』まで使っているのですが、これがうまくハマっているのです。特に『ライク・ア・バージン』のミュージカルシーンはかなり笑えます。

主役の二人の歌はおそらく吹き替えだと思うのですが、ありきたりな物語でありながら、上記のポピュラーな楽曲をオペラ風の掛け合いにしたりしてうまく使い、最後まで飽きさせずに見せてくれます。ただ、ミュージカル系はちょっと・・・という方には厳しいかもしれませんね。見ててやっぱどっか恥ずかしい。(笑)

視覚効果的にもデジタル技術が多用されてて面白いです。パリの街の全景ショットからホテルの一室へのズーム・インとか、ミュージカルシーンの合成等、効果的に使われてます。かなり大型の劇場セットも見応えがありますが、どちらかといえばハデハデで、ちょっとうるさ過ぎたかも。

ヒロイン歌姫役のニコル・キッドマンはちょいとこの役には合わないタイプのように思うのですが、それでも前半のコメディ部分の体当たり演技に何かふっきれたもの(笑)を感じたりもします。もしかするとこれが彼女の代表作になるのかもしれません。

予想以上に楽しめた・・・ということで★★★☆。たしかに新しモノ好きのNYあたりでは受けそうな作品。食わずぎらいで日本人には避けられそうなタイプの作品でもありますが、毛嫌いせずにみていただけば、それなりに楽しめると思います。


さて、今回はやや地味目の作品が多かったのですが、アメリカの夏興行はまだ本命を多数残しております。今回は翼竜シーンの目白押しか?『ジュラシックパーク3』、ここへきて観客にも浸透し始めて、一挙にブレークの予感もする『ファイナル・ファンタジー』、猿よりも猿らしい主役のあんちゃんの『猿の惑星』。次回はこの3本のSFモノレビューを2001年夏ブロックバスター第3弾としてお届けする予定です。

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