暁の女神号が行く。風を切り、波を蹴立てて海を行く。ザイマンのドレアント王が率いる百五十隻の艦隊はすでにグーノス島の西を通り過ぎ、南に下る海流に逆らって進んでいた。北からのマルバ海の水の色は青と言うより緑に近い。その緑が船の舳先で砕けて白い飛沫となって水面にきらめきながら広がった。
真っ赤な地に銀の刺繍入りの上着を着て、赤いマントを羽織った巨漢のザイマン王は、王家の旗艦の層をなした船室の最上階にあるデッキの手摺に掴まって海を眺めていた。その手には今日もビールの巨大なジョッキが握られている。侍従長のロタスが後ろから見ていると、王は、笑いながら手にしたジョッキを遠く、最も下の甲板を越えて海に投げ捨てた。ロタスはそれを見てため息をついてうなだれた。
(この癖だけは最後までなおらなかったな)
ロタスはこの航海に出て以来、常に白くて柔らかい宮廷用の正装をしていた。華奢な侍従長が白い帽子に手をやってふと目を上げると、王はピンク色のドレスを着た少女のような女性と並んで立っていた。
ドレアントは隣のか細い女神を見下ろした。
「寒くないか」
「もちろんよ」
うなずいたドレアントは低くて心地よい声でぼそりと言った。
「ありがとう」
「何が」
「俺が最後にやる事に文句を言わないでくれた事だ」
暁の女神エルディは手すりに頬杖をつき、大男を見上げて笑った。
「止めても止まらないのならば、せめてせいいっぱいの笑顔であなたを送ってあげるわ」
ドレアントはためらいがちに女神の肩に手を置いた。エルディはニコッとした。
「あらありがとう。あなたから触れてくれたのは初めてよ」
「そうだったかな。ところでブライスはもうシムラーに向かったのか」
「ええ、六人の聖宝の守護者が全員揃ってね。でも肝心のアーヤの魂がまだガザヴォックの手の中にあるの」
「そうか、それは困った。しかしその解決はあいつらにまかせよう。そうなるとセントーンの首都エルセントはからっぽか」
「そうなの。どういうわけかミリアまでいなくなってしまって、私にもどこに行ったかわからない」
ドレアントは海風にさらされてゴワゴワになった髭をボリボリとかいた。
「緑の要塞にたてこもっている連中はどうしているんだ」
「見事なまでに完璧にソンタールの大軍に包囲されているわ。デル・ゲイブの艦隊はまだ戦える程に回復していないし、陸上の戦力はとても少ない。それからやっとまとまりかけたバルトールにもパール・デルボーンが大軍を率いて向かったわ」
ドレアントは手すりを両手でドンと叩いた。
「ついにソンタール第六の将も出撃したか。どうやらどこも手一杯の様子だな、どこか一カ所くらいは早々と突破してくれないかと期待していたんだが」
ドレアントは振り向いてロタスを呼んだ。侍従長は恐れるように女神を見ながら歩み寄った。王は確かめるように女神に尋ねた。
「ライケンは戦いを避けずに、俺達を目指して来るのだな」
「そうよ。ライケンとしてもあなた達の艦隊を後ろに残したままではセントーンまでの航海は出来ないわ。こちらの位置を確認しながらまっすぐにやって来ます。このまま両方の艦隊が進むと、今日の夕方には遭遇するはず」
ロタスが不安そうな顔をした。
「夜には戦闘は出来ません」
「ああ、ここで待とう。決戦は明日の朝だ」
侍従長の表情が険しくなった。
「しかしこの海域はグーノス島にまで続く岩礁の最北端で、戦艦には危険な浅瀬があります」
「そうだ、その最大の浅瀬にライケンのユマール艦隊を追い込む」
ドレアントはロタスにニヤリと笑いかけた。ロタスは首を振った。
「ゼレンの浅瀬ですか。危険ですぞ、われわれの船も危ない」
「だからこそゼレンの浅瀬は俺達にしか利用出来ないのだ。この艦隊の船乗りの操船技術は世界一だ、こればかりはブライスが引き連れて行ったザイマンの主力よりも上のはず」
「なる程、しかしこの艦隊には年寄りもたくさんいます。問題はそういった連中の体力がどこまでもつかですな」
「それは仕方が無い。とにかく出来る事をすべてやろう。ユマール艦隊からセントーンにたどり着く船を一隻でも減らすんだ」
その会話を黙って聞いていたエルディが、くるりと振り向くとツイッとロタスを見上げて言った。
「あなたには失望したわよ」
侍従長は恐怖に打たれたような顔をして後ずさった。
「私が何かお気に障るような事をしましたか」
「あなたがいなくなったら、ブライスはどうやってザイマンを切り盛りしたらいいかわからないじゃない」
「し、しかし、わたしはドレアント王の侍従長です。ブライス様にはブライス様の家臣と宮廷が出来るでしょう」
エルディは背中で手を組んで悲しそうに笑った。
「そうね。それにその必要も無いかもしれない」
ドレアントがけげんな顔で女神を見下ろした。
「ブライスは王にはならないという事か」
エルディは黙っていた。ドレアントが首を振った。
「女神、俺達が会うのもこれで最後だ。何も心にわだかまる事無く死んでいきたい」
エルディの大きな瞳がうるんだ。
「そうね。あなたに悲しい気持ちのまま戦って欲しくないから黙っていたかったけど、話すわ。私の未来を感じる意識の中にブライスがいないの」
ドレアントはさすがに驚いた。
「シャンダイア勢力が負けるという事か」
「いいえ、その未来は黒い冠の魔法使いが見るはず。私はシャンダイアが勝てるような前兆を見つけだして繋いでゆく。その兆しの中にブライスが感じられない」
「ほう、それぞれの陣営が自分に都合の良い未来を見るわけだ。それであなたが感じる未来にはブライスがいない。ならばザイマンは誰が継ぐんだ」
「そこまではっきりとはわからないわ。でもシャンダイアに王が戻った時、ザイマン侯になる可能性が一番高いのはデル・ゲイブでしょう」
ドレアントは寂しそうに笑った。
「不肖の息子を持った事を恥じるぞ。それでは俺は甥のデルのために戦ってやろう」
「そんな事を言うものではないわ。ブライスが死ぬとは限っていないし、何か別の未来があるかもしれない」
「そうなるといいな」
ドレアントはそれきり黙って北の水平線を見つめ続けた。女神は背伸びしてその耳になにかささやいた。後ろにいたロタスがふと気がつくと、その女神の姿もいつの間にか消えていた。
その夜、ドレアント率いるザイマン艦隊は、ゼレンの浅瀬の東側に船を留めてライケンの来襲を待った。
深夜。百五十隻の戦艦の灯火が海上に町を作り上げたように煌めく近くに、一隻の小型の船がこっそりと忍び寄った。船上にはこのあたり一帯の海域を治める海賊王ドン・サントスの部下、長身の魔法使いシャクラと小柄な海賊ベズスレンの姿があった。二人はこの海戦を偵察に来ていたのだ。
相変わらず派手な水玉模様のシャツを着て葉巻をくわえたベズスレンが、ぺっとつばを吐き捨てて文句を言った。大きな鼻が月明かりで妙に明るく光っている。
「ドレアントの野郎、ドン・サントスの庭先で勝手な事をしやがる」
シャクラは仕方が無いといったように肩をすくめた。
「ライケンのユマール艦隊は強大だ。ザイマンの主力部隊ならともかく、この急造艦隊ではどうにもならない。今回はサントス様も参戦を見送った」
ベズスレンは葉巻を指先で海にはじくと、波間に赤い火が消えるのを見つめた。
「悔しいがな。ザイマン艦隊がここにいると言う事は、ドレアントはゼレンの浅瀬を利用するつもりだろう。こいつはちったあライケンの艦隊を困らせる事が出来るかもしれないぞ」
ベズスレンが部下に酒を持って来させて、シャクラにも勧めた。堕落だとか何とかブツブツ言いながらもシャクラは酒を受け取った。そしてふらりと船の後方を見に行った時、そこにソホス玉が浮かんでいる事に気が付いた。黒い冠の魔法使いの支配下にある五十センチ程の七本足のイカ、ソホスが個々の見分けがつかないくらいに密集して海面近くに浮いている。
(何でこんな所にいるんだ)
シャクラはソホスのいるあたりに目をこらした。月明かりにイカの白い皮膚が光っている。そしてふと思い付いて小型の船の甲板をぐるりと一回りしてあたりの海面を観察した。魔法使いの視力は夜でも鋭い。甲板の前方に置かれた丸い椅子に座っていたベズスレンが声をかけた。
「何をしてるんだ」
「いかん」
「どうした」
シャクラは海面を指差した。
「ドレアントはライケンを甘く見た。ソホスが見えるな」
ベズスレンは立ち上がって海面を眺めた。
「ああ、いたいた。明日の戦闘に備えているのか」
「いや、違う。戦艦相手ではソホスはあまり役に立たない。奴らの浮かんでる位置を見てみろ」
小柄の海賊は海面に白く浮かぶいくつものソホス玉の位置と、このあたりの海の知識を照らし合わせて息を飲んだ。
「おい、浅瀬に沿って浮かんでいるぞ。ライケンに位置を知らせているんだ。浅瀬を使えなければ、ドレアントはユマール艦隊にかすり傷をつける事も出来ない」
シャクラは腕を組んで考え込んでいたが、部下に命じて小舟を降ろさせると一人で乗り込もうとした。ベズスレンがあわてた。
「どうするつもりだ」
「ソホスを追い払ってくる」
「お前、あのイカを操れるのか」
小舟に移った魔法使いは首を振った。
「いや、それは獣の魔法使いクラスの神官でないと無理だ。俺にはそれ程の力は無い。だが俺は火球を扱える、水中でやれば海水を温める事ができる」
「危険だろう、そんな事までする必要があるのか」
「サントス様はすでに南の将との戦いで、ザイマンの一翼を担っている。このままライケンがセントーンを制圧してしまえば、何年か後に必ずマルバ海の海賊一掃作戦が始まる」
「まあ、そらそうだ」
「シャンダイアには少し頑張ってもらわないとな」
「気を付けろよ」
ベズスレンの声を背に受けながらシャクラは夜の海に漕ぎ出した。
気味が悪いくらいにおだやかな夜の海面を見ながら、シャクラは櫂をあやつってソホス玉の一つに近づいた。そして黒の神官衣の袖をまくると海面に手を差し入れた。その手の中で赤い炎がちらちらとゆらめいた。しばらくするとソホスがざわめくように揺れ、やがてズルズルとお互いの体を擦りながら散っていった。元々寒流に生息するイカなので、暖かい水が嫌いなのだろう。少し自信が無かったシャクラはホッとした。
(やれば出来るものだ)
シャクラは目に付いたソホス玉に移動すると、同じ方法で散らしていった。それは危険な作業だった。もしソホスが暴れ出してシャクラに襲いかかればひとたまりもない。シャクラは魔法の鍛錬で会得した術を使って、人間の気配を消しながら作業を進めた。緊張で全身に汗をびっしょりかきながらも、シャクラは一晩中かけて浅瀬の上に漂っていたソホス玉のほとんどを散らした。そしてそのあたりに見える最後の玉に向かおうとした時、シャクラの気持ちが一瞬緩んだ。そのスキをソホスが捕らえた。魔法使いの小舟の前の海面が、突然ザーッと盛り上がった。
「しまった」
そう叫んだシャクラをあっという間にソホスが押し包み、小舟ごと海中に引きずり込んだ。後の海面には無数の泡が浮かび上がったが、それもすぐに消えて海面は静けさを取り戻した。
朝が来た。風が無い日だった。
ザイマン王ドレアントは、全艦に帆を降ろさせて緑色のザイマン王旗を掲げさせた。大柄で色が黒いザイマンの船乗り達は皆一斉に櫂につき、戦闘体勢でユマール艦隊を待ち受けた。
ユマールの将の艦隊を構成する戦艦は、皆横幅が広い巨大なものだった。ライケンは元々セントーンへの上陸作戦を目指していたため、兵員の輸送に艦隊の主眼を置いている。従ってその戦艦は必然的に巨大で速度が遅い。しかし甲板での戦いになればその圧倒的な兵力がものを言う。ザイマンの戦艦はほとんどが元々漁船や商船だったものを改造したもので、その強度と規模においてはとてもユマール艦隊の比では無かった。平均してザイマン船の四倍はある巨大な戦艦群は、海獣の旗印の大戦艦を中心にして悠々と南下して来た。
ドレアントはユマール艦隊をしばらく待ってから、自分の艦隊をやや東に移動させた。動きの鈍いユマール艦隊はザイマン艦隊の動きについて行けず、そのまま直進してザイマン艦隊とゼレンの浅瀬との間に進入した。両艦隊は相手を左舷に見ながらすれ違った。ザイマン艦隊の船列はユマール艦隊よりはるかに短い。そのザイマン艦隊の最後尾がユマール艦隊の先頭と同じ位置に来た時、ザイマン艦隊は逆らっていた海流をうまく利用して一隻ずつ敵に向かって方向を変えた。そしてザイマンの戦艦は、動きの遅いライケンの艦隊の隊列の隙間にくさびを打つように側面から攻撃を開始した。
ユマール艦隊は、朝日を背にして有利な位置を取ったザイマン艦隊の勢いに圧されるように西に流され、やがて最も西の端にいた戦艦がゼレンの浅瀬に乗り上げて傾くと、中央から二つに折れるように壊れて座礁した。ソホスの目印が無かったため、底の浅さに気付かなかったのだ。同じ海域にいても、ザイマンの戦艦は無事だった。規模が小さく、乗員が少ないため船の海面下に沈む部分が浅くて済んだのだ。
ユマール艦隊は相手の思いも寄らない奇襲攻撃に列を乱した。そこがザイマン艦隊の狙い目だった。動きの遅いユマール艦隊から何隻かの船が脱落し始め、ザイマン側はそういった船に攻撃を集中させた。さらにドレアントは、敵艦隊の船列の乱れに乗じてユマール艦隊の中央部に守られて進んでいた食料輸送船を攻撃させた。これほどの艦隊ともなれば膨大な量の物資が必要になる。それを断てばこの艦隊は海の上で枯れてしまう。ドレアントは最初からまともな戦闘では勝てない事を知っていた。だから序盤戦の敵の混乱を最大限に活かす計画だったのだ。その作戦は見事に成功した。
遠くからこの様子を眺めていたベズスレンの後ろで、部下の海賊達が賛嘆の声をあげた。
「ドレアントってのはただ荒っぽいだけじゃなかったんですねえ。見事に攻めている」
だがベズスレンは首を振った。
「見事過ぎる。見てみろ、ザイマンの船は操船がうま過ぎて器用にユマール艦隊に潜り込んだため、すっかり飲み込まれちまった。こうなれば数が物を言う。五百年前、ザイマンの艦隊は黒い冠の魔法使いが操る巨獣のために全滅した。だが今回は巨獣抜きのユマール艦隊の前に全滅するだろう」
部下達は感心したようにうなずいた。
「はあ、そうですか」
「いいか、俺達がドン・サントスに報告するのはザイマンの健闘ぶりじゃねえ。ライケンが何隻船を減らしたかだ。しっかり目を開いて数えておけ」
「へいっ」
戦闘が開始されて二時間もたつと、船員の年齢が高いザイマン船の動きが目に見えて落ちた。そしてユマール艦隊の反撃が始まった。巨大な戦艦からは杭のような巨大な矢が無数にザイマン戦艦に打ち込まれた。そして複数の船が押しつぶすようにザイマン船を包囲すると、重装備の戦士達が次々と乗り移った。そこから先の戦闘は一方的になった。
戦闘は数時間に及んだ。ザイマンの船乗り達も頑張って良く戦ったが、圧倒的な戦力の差はいかんともしがたかった。やがて正午を迎える頃になると、戦艦ごとに行われていた戦闘はほとんど終了し、ザイマン船の何隻かはユマール兵によって放たれた炎に包まれて煙を上げながら波間に姿を消した。
そんな戦闘の中で最後まで獅子奮迅の戦いぶりを見せ、最も大きな被害を受けたのが暁の女神号だった。最後には突き刺さる大弓の矢でカインザー大陸の砂漠地帯に棲む針ネズミのような姿になった王家の船は、ライケンの大艦隊のほぼ中央部で動きを停止した。
突き刺さった矢と敵味方の死体で、暁の女神号の船上は足の踏み場も無いくらいになっていた。その中で白い服を鮮血に染め、細身の剣を振るいながら戦い続けていた侍従長のロタスは、これまでと見て王のいる最上階のデッキに這い上がった。すがるような目でデッキを見回したロタスは、帆柱に巨大な数本の矢で張り付けにされているドレアント王を見つけてその足元に駆け寄った。
「王」
まだ息が残っていたドレアントは気がついて目を開き、うっすらと笑った。
「ここまでだ。ロタス、逃げられる者は逃がせ」
こんな状況でもその声には温かい響きが消えていない。ロタスは溢れる涙を止められなかった。
「そんな者おりませんよ」
「ああ、そうか。それではあの世で皆に酒を振舞ってやらねばなあ」
そう言ってザイマンの王は事切れた。ロタスはその足元に背をもたせて座り込んだ。息を整えようと二三度深呼吸したその時、目の前に昨日と同じ衣装のエルディ神が現れた。ロタスは悲しそうに言った。
「遅かったですよ。王は逝かれた」
女神は涙を流しながら儚く微笑んだ。
「もう昨日、お別れは言ったもの。あなたたち二人の体は、これ以上傷付く前に海に沈めてあげる」
「ありがとうございます」
そう言って王の侍従長も目をつむった。エルディが二人に歩み寄って両腕に抱くように覆い被さると、あっという間に暁の女神号は海に沈んだ。こうして半日に及んだマルバ海の海戦が終わった。
やがて夕闇が迫って来た。生き残ったザイマンの戦艦は散り散りになって戦場を遠巻きにしていたが、ライケンの艦隊が去った後、生存者を拾うために戻って来て小舟であたりを探索させていた。小舟や戦艦の残骸に小さな火が残って海面を悲しく照らしている。
ドン・サントスの片腕である海賊ベズスレンは、葉巻をふかしながらその景色を見つめていた。そして近くにいる部下達に話しかけるでもなく独り言のように言った。
「シャクラの努力の結果もこんなものか。さて、帰るぞ。ドレアントは死んだ」
そして部下が何かを言おうとするのを手で制した。
「わかってるってさ。俺も海賊だ。海の上じゃ命なんて簡単に消える。ユマール艦隊の損害はどの程度だった」
赤ら顔の部下が答えた。
「約三十隻」
「大健闘だな。だがザイマン艦隊は壊滅した。ドレアント王は死に、ついでに俺たちの間抜けな魔法使いシャクラも死んだ。ドン・サントスにそう伝えよう」
ベズスレンは真っ赤な水平線を右手に見ながら、本拠地のグーノス島目指して船を発進させた。
(第四章に続く)
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