[7−15]

 うむを言わせぬ意志の一致ぶりにむしろとまどった有様でウィリアムとカシルはたがいの顔をしげしげ眺めた。つまり――あまりに長い時間彼らは暗黒の宇宙をさすらって居住可能惑星を捜し求めてきたのだ。その暮らしぶりがふたりいまではほとんど骨の髄まで染みついたライスフタイルになってしまっていた。そんなわけでいざ目的の星にたどり着いてみれば、いまさらながら慣れ親しんだ生活を百八十度転換することにふたり妙なためらいに似たものを感じるのだった。
「やっぱりそうか。でも、わたしたちはともかく……子供たちにとって二年というのは長い時間だわ」
「確かにね。そのあいだあの『菜園』に帰ることはできないわけだし――」
「うん。それにそれ以前にまだまだこの先どんな危険が待ち受けているかもわからない……」
「そのあたりだなあ。今回の調査はこの星の表面近くのほんの一隅をひっかいただけ。それでもぼくらの予想はことごとく覆ってばかりだった。じっさいこの世界ではなにが起こるかまるで見当もつかない。最悪の事態だっていくらもありえるよ。いままでの科学調査でもクレイドルへの報告の義務はじゅうぶん果たしてはいるし――これ以上の冒険はどちらかと言えばぼくらの身勝手ということなんじゃないかなあ……」
「――ぼくたちなら平気だよ」
 不意の言葉にふたりは思わずふりむいて子供たちの並んだ顔を見つめ、ついで互いのびっくり顔を横目でうかがいあった。
「平気って、おまえたち。実際かなりひどい目にあっているじゃないか? 乱流のなかで揺さぶられたり、ゴキブリにたかられたり、火傷しそうになったり……」
「火傷?」訊ねるカシルに後で教えるからと目配せしつつウィルは続けた。
「あげくのはて怪物たちに襲われ、嵐に吹き飛ばされ――やれやれ、思えばずいぶん大変な思いをしているはずだぞ」
「それはそうだけど――でも探検面白いよ」
「うん、面白い!」
「本当に?」
「ほんとうに!」

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