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 青空のなかにリボンのようなものがねじれ浮かんでいる。やれやれ、しっかり結びつけていたはずなのにタープが飛んでしまったようだ。いや――ウィリアムはぼんやり思った。タープとは色も形も違う。だいいち大きすぎる。あの距離でこれほど大きく見えるのだからたぶん全長は数十メートルにもなるだろう……そこまで考えてウィリアムははっと目覚めた。
 虚空を仰ぎ見る姿勢でまどろんでいたのだ。しかし目にうつったものは夢ではなく現実だった。たしかに長大な膜状のものが動いている――風にまかせての動きではない、間違いなく生き物の自律的な規則正しい動きだ。
 飛び起きようとしてシートベルトにはばまれ、少しあわてながら命綱を確認しデッキチェアを抜け出るとウィリアムは眺めのいい場所まで浮き上がった。リスト端末によるとすでに真夜中過ぎ――ベール状の雲のスクリーンが消えて青空がもどりつつある時刻だった。軽い午睡のつもりがすっかり寝込んでしまったのだ。『プラットホーム』の上の子供たちに目をやればやはりふたりとも仲良く並んで大の字に寝入っている。どうやら疲れていたのはカシルひとりではなかったらしい。――いやはや、異星への着陸三日目にして家族全員無防備のまま安心しきってまるまる一晩熟睡していたとは。……こんなことは恥ずかしくてとてもレポートには記載できないな!……赤面しつつウィリアムはまた注意を上空にもどした。

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