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 ガツン!
 突然『プラットホーム』が激しく揺れて、不意をつかれた彼らは宙に投げ出されかけた。あやうく船へのロープを手放しそうになり一瞬肝を冷やしたものの、なんとか体勢を整えて何事かとふりかえって見たウィリアムは再度背筋が凍りつくのを感じた。――いま一匹の『鮫』が数メートルと離れていない位置で『プラットホーム』の下面に強引に巨大な頭を潜り込ませようとしている姿が目に飛び込んできたからだ。まるで腹をたてているかのように『鮫』はこんどは『プラットホーム』の端に噛みつくと巨体をひねってゆすぶりはじめた。
 ――いけない! こんな力がかかることは予想していないから土台を止めているペッグは簡単に抜けてしまう!
 ウィリアムがそうちらりと思ったときふたたび激しい衝撃がきた。二匹の『鮫』たちは力をあわせてしゃにむにクレーターの地表との隙間に頭をつっこんできたのだ。あっと思う間もなく『プラットホーム』全体が持ち上がるように傾き、つぎの瞬間ふたりは今度こそ空中に投げ出されていた。
 離すまいとしっかり握っていたロープがかえって災いとなり、彼は弧を描くようにして一回転したあげく苔むした岩塊の表面にたたきつけられた。視野のなかで天地がぐるりと逆さになり、つぎの瞬間苦痛とともに一瞬目の前がまっくらになった。

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