| TOP Short Novel Long Novel Review Interview Colummn Cartoon BBS Diary |

まあちゃんのお誕生日会

doru

 

今日はまあちゃんが7つになった誕生日です。妹のえっちゃんは1ヶ月前に4つになりました。ときどき叩いたり叩かれたり、はちゃめちゃな喧嘩もしますが、普段は仲のいい姉妹です。
「まあちゃん、えっちゃん、でかけるぞ〜」おじいちゃんの明るい声がします。なぜなら前日新装開店のパチンコ屋でおじいちゃんは大勝利したのです。おじいちゃんの財布の中は1万円札がごろごろしています。こんなときのおじいちゃんは気が大きくなってなんでもしてくれます。その代わり、大負けしたときは、布団にうつぶせになって、手をばんざいして死人のポースをとり情けないのです。
「どこでかけるの?」まあちゃんは聞きます。
「いいところだよ」おじいちゃんは片目をつぶってウインクします。
おばあちゃんとおかあさんは一生懸命鏡台の前でお化粧しています。どうやらおばあちゃんとおかあさんも一緒におでかけするみたいです。でもこの中にはおとうさんがいません。おとうさんは島根で単身赴任中なのです。
「まあちゃん、えっちゃん、おばあちゃん、二人の髪結んであげて」おかあさんは先に化粧が終わったおばあちゃんに言いました。
おばあちゃんは二人の髪を結びます。おばあちゃんに髪をいじられるのが嬉しいのか二人はくすくす笑っています。
「おばあちゃん。へたくそ〜おかあさんの方が上手に結ぶよ」7つにもなったら一人前に文句を言えるようになったまあちゃんです。
みんなよそいきの服をきて、おじいちゃんの運転する車で出発です。ぶっぶーくるまがしゅっぱつします。窓から見える町並みをみながらまあちゃんとえっちゃんはどこにつれていかれるのか、わからずどきどきです。車で20分も走ったでしょうか。白い建物の赤い屋根のついたしゃれたお店に到着です。
「さあついたよ」おじいちゃんが笑顔で二人にいいます。
「わぁい、ここ何の店?」まあちゃんが聞きます。
「ステーキハウスだよ。なんでも食べてもいいよ。ばあさん割引券ちゃんと持ってきてくれたのだろうね」おじいちゃんはふとっぱらなわりには、事前にフリーペーパ調べて割引券を持っているところがおちゃめです。
おじいちゃん、おばあちゃん、おかあさん、まあちゃん、えっちゃん5人がはいると、事前に電話をかけて予約していた席に案内されました。店内はお肉の焼ける香ばしい匂いでいっぱいです。静かなクラシックの音楽が店内に流れています。
店員がやってきてお水とメニューを差し出します。おじいちゃんはメニューをもらうと、どのお肉がいいか考え始めました。割引券があるとはいえ、おじいちゃんが思っていたよりも全体的に値段が高かったのです。
「ううむ、どれにしようかのぉ……」みんなにもメニューを見せながら相談することにしました。5分ぐらいして、下から3番目、上から5番目の値段のお肉を4人前頼みました。
「まあちゃん1人前食べたい」「えっちゃんも」二人は少しふくれつらです。まあちゃんとえっちゃんはまだ小さいから半分づつ食べることになったのです。
「そのかわりとってもうれしいサプライズがあるから楽しみにしておくのじゃよ」おじいちゃんは英語を使いました。
さあ、食事です。湯気がたちながらスープがやってきました。お腹もすいているしまあちゃんもえっちゃんもスープは大好物なので、おじいちゃんが食べるものをぶんどってそれぞれ1人前食べました。
次々に料理がでます。5人は美味しいスープとサラダとごはんとお肉を食べてご満悦です。
最後にサプライズがありました。ケーキです。大きなケーキがやってきました。店員がケーキの上にたててあるろうそくの火をつけました。そして店内に流れていたクラシック音楽がとまり、誕生日を祝う音楽が流れました。
音楽がとまると店内放送でまあちゃんの名前が呼ばれ、店内のみんながぱちぱちはくしゅを送ってくれます。まあちゃんの7つになるお祝いの言葉がおじいちゃん、おばあちゃん、おかあさんの口から出ます。まあちゃんはもう目をしろくろさせています。
えっちゃんは羨ましそうに見ています。
店員がカメラを持ってきました。この様子を写真にするつもりでしょうか。まあちゃんは、笑いながらピンク色の服をきてVサインをして写真を撮ってもらいました。
えっちゃんもみどり色の服でVサインしています。
さあさ、ケーキのろうそくを消してとみんなから促されるとまあちゃんは口を大きくして一気にとはいかなかったけど、2回3回にわけてろうそくの火を消しました。
みんなろうそくを消すまあちゃんを見ながらうれしそうです。
ケーキをみんなでわけてみんな食べました。ステーキの上にケーキまで食べたので腹がはちきれそうです。でもみんな笑っています。
ケーキを食べた後、しばらくみんなで色々なことを言いました。まあちゃんが赤ちゃんの頃、おしめを替えようとして処理が終わった後噴水のようにおしっこがでたことなど、まあちゃんはやめてよ〜と恥ずかしがったけど、目は笑っています。
さて食事が終わり、おじいちゃんが割引券と現金を会計に渡している間に、さっきとった写真が現像されて店員がフレームにいれてもってきました。みんな笑っているいい写真になっています。
 それから誕生日にもらえる子供用のおえかきセットをまあちゃんはもらいました。
えっちゃんも欲しいと言いましたが、おねちゃんと仲良く使うのですよとおかあさんに言われ納得しました。
店の外にでると、11月の風は少し肌寒く感じました。でも上を見ると満天の夜空で、星がきらきら光っています。
「今日はいい日だったのぉ。明日もこんないい日が続けばいいのお」おじいちゃんはつぶやきました。

翌日、「なんじゃぁこりゃあ」おじいちゃんの悲鳴が聞こえます。大人が目をはなしたすきに、まあちゃんとえっちゃんが協力して、昨日ステーキハウスで誕生日のお祝いでもらった子供用のおえかきセットを使って、真っ白だったふすまに、けばけばしい芸術的ともとれる巨大ならくがきをしていました。
おじいちゃんのどなり声が家中響きわたります。サプライズの魔法はまだまだ続きそうです。


トップ読切短編連載長編コラム
ブックレビュー著者インタビュー連載マンガBBS編集部日記
著作権プライバシーポリシーサイトマップ