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幸せの青い鳥

doru

 

まあちゃんは7つ、えっちゃんは4つ、いつも仲のいい姉妹です。

少し前にインコのひなを踏んでから、今度は踏まないという約束でセキセイインコのひなをまた買ってきました。前のは緑のセキセイインコでしたが、今回は全身水色の綺麗なセキセイインコのひなです。まあちゃん、えっちゃんはひなの間一生懸命えさをあげました。ペットショップで勧められた卵黄がえさのまわりについているちょっと高いけど、ひなの成育にいいのならと買って、お湯でふやかしてえさをあげています。いくらえさをあげてもくれくれというものだから、欲しがるだけあげたらえさで胃袋がはちきれそうです。薄く透けて見える胃袋に針でもさしたらぱちんと音がしてえさが大量に飛び出してきそうなほどあげました。

そんなセキセイインコのひなの鳴き声からぴっぴぴと名前をつけました。
ぴっぴぴは最初オスだと思って買ったのに、半年たったらころんと卵を一つうみました。ぴっぴぴはメスだったのです。ぴっぴぴは人間が好きで好きでたまらないのだけど、一つだけ悪癖がありました。それは愛情表現のつもりか、指とか肩を思い切り血がにじむほど噛むのです。

島根に単身赴任でゴールデンウイークに1週間帰ってきたパパが、見知らぬ人間だと思ったのか、自分が番犬ならぬ番鳥と使命感に燃えて、ぴっぴぴがパパに突進して、フライングカム(噛む)をします。パパが逃げてもおってきてフライングカム(噛む)をします。パパは悲鳴をあげて、文鳥でもじゅうしまつでも買ってあげるからこの鳥は許してくれと逃げるように単身赴任先の島根に帰っていきました。

そんな気難しいぴっぴぴですが、まあちゃんとえっちゃんには慣れて、ずっと肩にとまって甘えています。まあちゃんが口に菜っ葉をくわえてぴっぴぴに見せるとちびちび食べます。えっちゃんがサンドイッチを食べているとわたしにも食べさせてと甘えた声を出して食べにきます。

まあちゃんもえっちゃんもぴっぴぴがかわいくてかわいくてたまらないのです。
そんなとき、ママがバレーボールの試合で神戸に行くことになりました。ママが神戸で一泊するので、夜まだ小さいまあちゃんとえっちゃんでは心配だから、週末遊びにいっているおじいさん、おばあさんの家に金曜日から日曜日までお泊りにいきました。

そんなときに事件が起こりました。ぴっぴぴが行方不明になったのです。さらに悪いことに縁側に閉じ込めていたはずなのに、縁側の障子をあけて、さらに玄関を全開にして開けているものだから、ぴっぴぴは家の人が知らない間に逃げ出しているかもしれないのです。

まあちゃんとえっちゃんは泣きました。ぴっぴぴかえせーと玄関を開けていたおばあさんに言っています。おばあさんは困って、ぴっぴぴの代わりに他のセキセイインコのひなを買ってあげるといっても、ぴっぴぴじゃないと嫌だと泣き叫んでいます。

まあちゃんとえっちゃんが大泣きしていたときに、少し戸が開いていた衣装箪笥からがさごそという音が聞こえてきました。まさかこんなところにぴっぴぴが、中をのぞいてみると・・・

ぴっぴぴが元気よく こんにちは していました。

まあちゃんとえっちゃんはもうぴっぴぴがいなくなったものだと思っていたのが出てきたので嬉しいのとさっきまで泣いていたのとで、めちゃくちゃな顔になっていました。

夕方、鳥の空揚げを食べました。美味しい空揚げでした。もちろんぴっぴぴの空揚げじゃないですよ。ぴっぴぴも興味を持って空揚げをつついています。まあちゃんとえっちゃんの家にはぴっぴぴがいて、楽しそうな笑い声がいつまでも続いていました。


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